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安倍教育改革 「再生」どころからより荒廃深める道

 部活顧問教師の体罰を苦に大阪市立桜宮高生徒が自殺した事件を受け、同市の橋下市長が予算執行権を盾に入試中止と教員総入れ替えを要求した問題は、さまざまに波紋を広げた。

 同市長が以前、「口で言って聞かないと手を出さないとしょうがない」などと体罰容認発言を繰り返し、どこまでがオーケーなのかに関する「指針」を作るとまで言っていたことは、報道を通じてよく知られている事実だ。その市長が事件後、「自分の認識は甘すぎた」と反省の弁を述べた。「生徒さんが亡くなったことは入試などよりはるかに重大」との発言には、往々にして事なかれ主義が指摘される教育界の体質を突くものがあることは確かだ。だが、「部活を続けたいという生徒や保護者は人間としてダメ」と突き放した言葉には、切り捨ての論理が見え隠れすると言わざるを得ない。特色ある学校づくりという市長の競争主義教育思想を奉じ忠実に実践した使徒たちが、訳も分からぬまま放り出されたという格好ではないだろうか。

 安倍政権の掲げる「教育再生」は、維新のツートップである石原・橋下教育改革をその先駆とするものだ。下村現文科相が本部長を務めていた自民党教育再生実行本部が総選挙前の昨年11月に公表した中間取りまとめには、どんなことが書かれていたか。首長が任命する教育長を教育委員会の責任者とし、教委を教育長の諮問機関と位置付けるとし、教委を事実上解体する。教科書検定基準を文科相が「共通で記載すべき事柄を具体的に定める方式」に改めるとし、国定教科書化を進める。「世界のリーダーとなる日本人を育成できる力のある教師を養成」するため、本採用前の「準免許」付与制導入、勤務評価に関する教育長、校長の責務の明確化、「特定イデオロギー教育の禁止」などを盛り込んだ教育公務員倫理規程の策定、政治的行為の制限違反に対する罰則規定の設置などを行なうとし、教育現場支配を徹底強化する。複線型教育で「多様な選択肢」を用意して「個人の能力・適性に応じた学びの保障システム」を構築するとし、能力主義教育を再編強化する、等々。これらは全て、特に大阪で体系的に制度化されてきたことだ。

 その自民党は今、「いじめ防止」を「教育再生」の皮切りにしようとしている。加害者は「ダメ人間」であり犯罪者だとして排除するだけのシステム作りに終わらないか、監視が必要だ。


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