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2013春闘 「賃金復元」は未来を見据えた要求

 13年春闘が本格的にスタートした。連合は格差是正を視野に入れた「賃金の復元・底上げ」を掲げ、1%を目安とした賃上げや「誰もが時給1000円」などを要求している。これに対し経団連は、非正規労働者を含まないデータを用いて賃金は低下していない、と「反論」している。これは、日本経済の抱える問題を象徴する事態だと言える。

 賃金はピーク時の97年以降、どうなったか。水準で7・2%、現金総額で15%(月5・5万円)下がった。その間、非正規の割合は10%以上増加。主稼得者である44%の非正規の平均年収は207万円であり、200万円以下層は30%以上増えた。その結果、給与総額は90年以来最低に。貯蓄ゼロ世帯も15%以上増えた。

 他方、企業(資本金10億円以上)の1社当たり株主配当は約2・8倍、1人当たり役員報酬は約1・2倍となった。そればかりではない。企業の内部留保は20年間で約2・2倍増え、資本金10億円以上企業で約268兆円に達した(11年度)。この元手が賃金低下と企業減税であることは明らかだ。ある試算によると、大企業が貯め込んだ内部留保と比べた場合、賃金の97年水準への復元や均等待遇などに必要な原資はその20%程度、最低時給1000円への引き上げに必要なのはその2%強にすぎない。

 短期的利益と株主利益、そして企業合併・買収対策を最重視する経営路線は、経済全体が低迷する中で格差が広がり、社会が不安定化するという状況を招いた。賃金抑制による有効需要減少が投資先を確保するため庶民を住宅ローン利用へと誘導する方策につながり、積もり積もった借金の山がついには世界全体の信用秩序を揺るがす事態となったのは、つい昨日のことだ。

 ILOの統計によると、11年の世界(中国を除く)の実質賃金平均上昇率(0・2%)は、そのリーマンショック直後より低くなったという。グローバル資本主義の下、賃金の低位標準化が世界的に進んでいる。これは裏を返せば、「コスト削減によって新興国との競争力を強化する戦略はすでに破綻しており、新たな成長モデルを確立していかなければならない」(経団連経労委報告に対する連合見解より)ということこそ、グローバル経済が突きつけるある意味冷厳な現実であることを意味する。今春闘が、こうした時代的かつ世界的な射程を有していることを確認しつつ、自信を持って取り組みを進めよう。


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