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社民党の政策

保坂展人衆院議員に聞く・年金記録漏れ問題・社保庁の照合作業2025万件特定困難

「年金記録問題」について、社民党は年金問題対策プロジェクトチーム(保坂展人事務局長)を設けて、これまで独自の視点で追求してきました。「宙に浮いた年金問題」が発覚する以前から、年金問題を追及してきた保坂展人事務局長の下記の著書も、ぜひご覧ください。

『年金のウソ 隠される積立金147兆円』(ポット出版刊 定価:1,200円+税 ) 『年金を問う』(岩波ブックレット637 定価:480円+税)
『年金のウソ 隠される積立金147兆円』(ポット出版刊 定価:1,200円+税 )年金危機の本当の原因はここにある!国民に隠され続けた「年金積立金」の使われ方をレポート。
『年金を問う』(岩波ブックレット637 定価:480円+税)年金積立金147兆でメガバンク誕生。年金利権の歴史を振り返り、6月国会で成立の年金法が産んだ新年金利権を追う。

年金記録漏れ問題 社保庁の照合作業2025万件特定困難

『社会新報』08年4月2日号掲載

「申請主義」見直し国民と情報共有を

年金記録問題で政府・与党の責任があらためて問われている。基礎年金番号と統合されず「宙に浮いた」ままの約5000万件の年金記録のうち、4割に当たる2025万件が、社会保険庁の3月までの名寄せ(照合)作業によっても依然として持ち主が特定できず統合が困難な状態になっていることが分かった。総務省の第三者委員会での「消えた年金記録」等の処理も進んでおらず、年金記録問題の全面解決にはほど遠い状況だ。政府のこれまでの対応を検証した。

進まぬ記録解明公約違反明らか

 「宙に浮いた」年金記録をめぐっては、社保庁のコンピューター上に誰のものか分からない年金記録が5000万件も存在することが昨年初め明らかになり大きな政治問題となった。参院選への影響を考慮した政府・与党は7月、照合作業を今年3月末までに終了し「最後の一人までチェックし正しい年金をきちんと支払う」と公約していた。

 社保庁が3月14日に公表した照合結果によると、持ち主が特定され「基礎年金番号の記録と結び付く可能性」があるとしたのは全体の2割の1172万件にとどまり、逆に特定困難で「今後解明を進める記録」としたのは4割の2025万件に上った(【図1】参照)。残りはすでに死亡が判明するなどして「解決済み」とした1898万件だが、この中にも「新たに給付に結び付く可能性がある記録が存在する」との指摘も出ている。照合作業は約束どおり終えたとしても、照合内容が不透明な上に、肝心の統合がほとんど進んでいない状況では公約が果たされたとは言い難く、政府・与党の責任は極めて重い。

図1・宙に浮いた年金問題の推移

 社保庁は特定困難な記録は今後、住民基本台帳ネットワークシステムを使って死亡記録の確認や、コンピューター入力時の転記ミスの補正、「国民年金特殊台帳」など紙台帳との突き合わせなどを順次進めるとしている。

最終期限示せず解決長引く恐れ

 最終的にはインターネットなどで情報を公開し国民に協力を呼びかけることも検討するとしているが、社保庁の今後の対応方針をまとめた「工程表」では、最終的な解決時期を明示できておらず、年金記録問題が長引く危険性も否定できない。

統合情報の開示積極的な姿勢で

 さらに、給付に結び付く可能性が高い人に「ねんきん特別便」を送付して確認を呼びかけたものの、記録の空白情報が明記されないなど「分かりにくい」ため、3月4日までに送付された356万人のうち、「訂正あり」と回答してきたのは9・3%の33万人にすぎず、「訂正なし」は23・2%の83万人、未回答が7割近くの約235万人だった。「訂正なし」と回答した人に、その後電話や面接で加入期間や事業者名などの情報を示し再確認したところ、8割近くの約2万1000人が本人の記録と結び付いたという。ここでも「申請主義」の課題が明らかになった。情報を持っている社保庁が率先して国民に情報を開示する姿勢を求められている。

消えた年金審査迅速な対応期待

 また加入者・受給者本人が保険料を納付した領収書などを持っているのに、同庁のコンピューターや紙台帳に記録がない「消えた年金記録」問題で、同庁が記録訂正したのは昨年9月時点で1541件に上っている。しかし証拠がなく総務省の年金記録確認第三者委員会への申し立てでは、3月10日現在、約3万件の申し立てのうち、審査を終えたのは1割程度の約4000件にとどまっている。約1800件が認定され、却下は1900件だった。人員体制も含め迅速な対応が必要だ。

 このほか、紙台帳時代の厚生年金記録(旧台帳)1430万件がマイクロフィルムで保存されオンラインに未入力だった問題や、同じ旧台帳でオンライン済みとされる1365万件の保管問題(【図2】参照)なども未解決で、今後の課題として残されている。政府は国民の年金権を保障するとの基本姿勢で情報開示を進めるなど年金記録問題に全力で取り組むべきだ。

図2・旧台帳オンライン入力済み1365万件の保管問題

「特別便」で幕引き許さず政府の責任で全面解決を
党年金問題対策PT事務局長の保坂展人衆院議員

保坂展人・衆院議員 年金記録問題は大きなヤマ場を迎えている。3月末までに「宙に浮いた年金記録」5000万件の解明を進めると政府が公約した期限が来たからだ。社会保険庁が3月半ばに発表した照合作業の結果を見て驚いた。基礎年金番号と結び付く可能性がある記録は1172万件で、4割を超える2025万件は解明できなかったという。公約破たんは明らかだ。

 私自身にも3月に入って「ねんきん特別便」が届いた。20歳のころに働いていた会社の厚生年金の記録が2社漏れていたのだ。名前が変わったわけでもないのに記録が統合されていないとすれば、相当多くの人の記録が消えていても不思議はない。ただ「特別便」を送れば、解決済みという政府の姿勢も、あしき「申請主義」の習慣から抜け出ていない。党年金PTとしては、社保庁にコンピューター記録の全容を公開し国の責任で解明すべきと要求している。

手書き台帳が深刻な問題になる可能性も

 年金記録問題は「宙に浮いた年金記録」だけでなく、年金保険料を払った領収書などを本人が持っているにもかかわらず社保庁のコンピューターなどには記録がない「消えた年金記録」や、「旧台帳」と呼ばれる手書き台帳の記録1430万件がマイクロフィルム化されたがオンラインに未入力だった問題などもある。しかし私たち社民党が、もっと深刻な問題になる可能性があると指摘しているのが、「旧台帳」のうち、磁気テープ化してオンライン済みと社保庁が説明している1365万件の手書き台帳の保管問題だ。埼玉県の民間倉庫に保管されているが、保存状態や整理状況が悪く、照合作業が難しい状態になっている。宙に浮いた年金記録や消えた年金記録の照合でも、あったはずの台帳が未整理なために引き出せず、もらえるはずの年金がもらえない、膨大な数の「受給漏れ」がこれから出てくる可能性があるからだ。

 記録問題が整理されてくると財源問題を含めた抜本的な制度改革の議論に入っていくことになるだろうが、少なくとも約束したことを守らないで次の段階へは進むべきでないし、国民も生活のセーフティネットである年金制度が崩壊の危機にある現状では、もっと憤り行動をするべきだ。そうしないと次の年金制度はもっとひどいものになってしまうに違いない。

 だからこそ社民党としては旧台帳問題などでこれからも政府の姿勢を追及していくと同時に、地域で社会保険労務士の人らとも協力して勉強会や年金相談会などを開き、国民とともに年金問題の解決に努力していく必要がある。

「せたがや年金者フォーラム」発足総会

日時:08年4月19日(土) 14:00⇒16:30
会場:世田谷産業プラザ会議室(三軒茶屋しゃれなあどホール3階)
 (世田谷線・田園都市線三軒茶屋駅下車徒歩2分)
世田谷区太子堂2-16-7 世田谷区役所三軒茶屋庁舎3F
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(関連リンク)
社民党、安心の社会保障政策
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