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社民党の政策

社民党の医療政策

政策死を迫る「後期高齢者医療制度」 あべともこ
広報後期高齢者医療制度の廃止を
ニュース助産師と医師との対等な連携を
ニュースメタボ健診と後期高齢者医療制度の問題点
政策崩れゆく日本の医療〜その原因と対策〜

後期高齢者医療制度の問題点 阿部知子・政審会長

医療はニーズです

 人の一生において、病気やケガは誰もが抱えるリスクです。いつ、どのくらい必要になるかは予期することができません。そこで、日本の国民皆保険制度は、いつでも、どこでも、だれでも、必要な医療サービスが受けられるよう、現物給付の制度として充実が図られてきました。医療は、すべての人びとの健康、生活を守るためのNeeds(要求)であり、単なるWants(欲望)とは異なるのです。

 社民党は、医療の質と安全性(効果)、アクセスの良さ(公平)、費用対効果(効率)、この三つの観点から、納得と安心、安全の医療を実現します。

 また、5つの医療格差をなくし、2つの納得に取り組みます。

5つの医療格差を是正
  1. 患者の支払い能力による医療格差をなくす
    (一方的な患者負担増に反対、医療給付費の総額管理・混合診療・保険免責制に反対)
  2. 医療提供体制の格差をなくし、地域に必要な医療を確保する
    (地域における医師・病院の偏在、小児救急科・産婦人科など不足する診療科目への対策)
  3. 健康診断の受診格差をなくし、生活習慣病対策等の予防医療を充実
    (非正規雇用労働者、家事専従者の健診受診率は50%以下。生涯を通した健康づくりへ)
  4. 病院の官民格差をなくす
    (官民を問わず、地域が必要とする医療・医療機関を確保するために公費を投入)
  5. 労働環境の格差をなくす
    (医療スタッフの労働環境を改善、慢性的な人手不足を解消)
2つの納得を実現
  1. 情報開示と患者の自己決定権を確立し、納得のいく医療を実現
  2. 公正・公平にもとづく納得の負担を実現
患者の支払い能力による医療格差をなくします

(1)これ以上の医療費抑制は患者を切り捨て、医療現場を荒廃させる

 政府は、医療費の高騰を理由として、さらに医療費抑制政策をすすめようとしています。しかし、内閣府が公表した評価報告によれば、この間の医療制度改革('97、02、03年度)は、患者負担を増しただけで、総医療費の抑制には、ほとんど効果を発揮していないという結果が出されています。つまり、この間の医療制度改革は、国庫負担と事業者負担を患者負担に置き換えただけで、真の意味での「医療費適正化」にはつながっていないということです。

 厚労省が医療費の将来予測を過大に見積り、予測の修正を繰り返してきた点も見逃せません。総医療費は、患者負担の引き上げと診療報酬の引き下げにより、1999年に30兆円台に乗ってからほとんど増加をしていないのです。(2003年度31.5兆円/年率1%前後)

 日本は世界的にみれば医療水準の評価は高く、医療費は安く、効率のよい医療を行っています。すでに医療給付費の伸びが抑制されている中で、これ以上の医療費抑制政策をとることは危険です。

 自己負担の引き上げは、医療を本当に必要とする人の受診抑制に直結します。病気の早期発見が困難となり重症化すれば、本人の健康が守られないばかりか、結果的に医療費の増加につながります。特に低所得者層や有病率・受診率が高い高齢者のアクセスの悪化が懸念されます。

 また、医療の質の低下、供給量の不足など、医療現場の荒廃も余儀なくされます。診療報酬の引き下げなどによる歪みは、すでに医師・看護師不足、小児救急医療、産科医療の危機、医療事故や医療従事者の過労死・長時間労働などの形で出ています。いったん荒廃した医療現場を回復するには、削減した以上の多大な費用と長い時間が必要になりかねません。

(2)ムダをなくし、医療の質を検証、確保しながら効率化を図る

 医療の質とアクセスの良さを確保し、さらに高齢化社会へ対応していくためには、総医療費の一定の伸びは避けられません。しかし、医療制度を維持していくためには、ムダ(過剰診療、過剰投薬など)を極力なくすとともに、医療の費用対効果(効率)をモニタリングし、目標を掲げて、質の改善につなげる仕組が早急に必要です。

 また、医療費は人びとの健康状態を反映して支出されます。がんを始めとする生活習慣病の予防・健診とフォローアップを、個々人の健康を守ることが医療費削減につながる非常に重要な健康政策として位置付け、体制を強化します。

(3)総額管理方式、混合診療、保険免責制度に反対します

 経済界が提唱している「医療給付費の総額管理」(名目GDPを基準に医療給付費の伸びを管理する)は、国民皆保険制度が下支えする医療範囲を無理矢理、縮小して、国内外の民間医療保険に流し込む危険性があり、社民党は明確に反対します。

 また、「混合診療」の導入は、患者の支払い能力によって医療サービスに差をつけることを認めることになり、医療の階層化が拡大する恐れがあります。安全性と有効性が確認された医療技術は国民に公平に提供されるべきであり、新しい技術や薬剤に関しては、より迅速に安全性と有効性を確認し、保険給付対象として採用すべきです。

 カゼなど軽い病気に「保険免責制」を導入することにも反対します。「保険免責制」は患者負担をさらに増やし、保険加入の動機づけを弱め、制度の信頼性を損ねるものに他なりません。

医療提供体制の格差をなくします

 人口当たりの医師数、面積当たりの医師数ともに都道府県の格差が拡大しています。また、同じ都道府県にあっても、医師の偏在が深刻です。

 医師、診療所、医療機関の適正配置ができるよう都道府県の「医療計画」を根本から見直します。住民、直接診療に携わる人びと、保健事業を実施する人びと、市町村、医育機関や臨床研修病院の代表が集まる医療評議会をつくり、「医療計画」の策定を行います。

 地域の必要性という観点から重点細目(救急医療、へき地医療、不足する診療科目の補充、先駆的な医療や難治性の疾病等に関機能など)を決め、公立・公的病院か民間病院かを問わず、両者を対等な立場において公的資金を投入します。

 日常的な医療や健康相談が受けられる「かかりつけ医」の普及、定着を図り、相対的な医師不足の原因である大病院志向に歯止めをかけます。また、急性期−回復期−慢性期のそれぞれの状況に応じて切れ目のない医療サービス体制をつくるために、「かかりつけ医」となる診療所と、病院とが互いの役割分担を明確にした新しい病診連携の体制を構築します。

 小児救急医療・産科医療の体制整備は喫緊の課題です。診療報酬上の評価を行うとともに、「子育て支援」の観点からも総合的な支援を行います。

 へき地拠点病院における医師を確保するために、医学部教育との連携を図り、地元に就職すれば返済不要な奨学金制度の創設、へき地医療の経験を専門性として認定するなど、地方勤務を評価します。

医療の効率化と質の向上を図ります

 英国では、数百項目におよぶ業績(パフォーマンス)についてモニタリングを行い、病院・分野・技術ごとに医療サービスを評価した結果を公表しています。ブレア政権は、評価結果を示し、説明責任を果たすことで、国民に対し医療政策についての理解を求めています。日本においても、医療の質の向上と効率化、限られた財源を適格に投入できるよう、総合的なモニタリングと評価の制度を導入し、国民の納得を得ることが必要です。

 感染対策、ソーシャルワーカーなどの相談体制、セカンドオピニオン体制など、医療スタッフの充実を高く評価します。診療報酬における評価の重点を、モノ(薬剤、医療機器)から人(医師、看護師など医療スタッフ)と技術・経験に移します。

 電子レセプト、電子カルテのオンライン化を早急に実現し、事務効率を図るとともに、データの集積と分析を行い、EBM(根拠に基づく医療)、住民の健康状況の把握、健康予防・保健事業、医療費の分析などに活用します。もはや一刻の猶予も許されない。

がん対策、生涯を通じた健康づくりに取り組みます

 一般常雇用者の健診率が75.3%であるのに対し、1ヵ月未満の契約雇用者は48.2%、家事専業者47.8%に留まっています。所得や雇用、地域状況などによって健康を得るための機会に格差があってはなりません。

 母子、児童・生徒、就業者、老人など対象が分立する制度を見直し、一貫した健康づくりができる仕組みに作りかえます。

  現在の医療保険制度は、症状を有することが制度利用の前提であるため、疾病の早期発見・早期治療が遅れがちです。予防医療を充実し、各保険者に健康診断、フォローアップ、健康づくりの取り組みを強化させます。とくに、生活習慣病対策について、かかりつけ医と専門医の連携、看護師・保健師・管理栄養士などによる地域の受け皿をつくります。

 日本人の死因第1位はがんです。海外で実績のある治療薬の早期認定、専門医の養成などに取り組みを強めます。「肺がん」による死亡者はこの十年間で約1.4倍に増え、国際的にみると日本の男性の喫煙率は高く、また若い女性の喫煙率も上昇傾向にあります。たばこ価格を引き上げ、増税分をがんの早期発見、健康増進事業に充てます。

高齢者医療制度と各健康保険制度の再編・統合について

(1)高齢者医療制度について

 政府は、75歳以上の全高齢者を対象とする「後期高齢者医療制度」を提案しています。しかし、有病率と受診率がともに高い、ハイリスク層を一括りにしたのでは、保険原理が働かないばかりか、リスクを社会的にプールして対応していこうとする国民皆保険制度の理念にも反します。また、保険者間の財政調整(支援金)を基盤にする方法では基本的に限界があります。高齢者医療制度については、介護保険制度との連携を含めて、幅広い議論が必要です。

(2)都道府県を軸にした保険者の再編・統合について

 政府は、保険者について、都道府県単位を軸とした再編・統合を推進しようとしています。保険者の広域化は、財政調整上の意味はありますが、保険料を医療費(ひいては診療報酬)と連動させ、地域によって異なる医療が供給されることは問題です。国民皆保険制度として、医療のナショナルミニマムが確保できるよう国の責任を明確にします。

(3)国民健康保険制度の立て直しについて

 独立運営が困難な小規模自治体、国保保険料の格差(市町村単位で約5倍の開き)、保険料徴収率の低下(全国平均で90.9%、大阪府門真市75.1%)と無保険者の増加など、市町村国保は危機に立たされています。特に構造的な変化は大きく、本来の自営業者や農林水産業者は2割に過ぎず、年金生活世帯が過半数を占め、非正規雇用労働者が流入しています。国民健康保険制度を早急に立て直し、保険者機能を強化します。

 事業主負担のない国保加入者が相対的に増加した結果、事業主負担率は被保険者負担率を下回っています。(事業主負担率20.9%、被保険者比率29.2% 2003年度)パート、派遣などを含め、すべての被用者を組合健保または政管健保に加入させるよう事業者に義務づけます。

(4)地域単位の健康保険制度について

 患者や被保険者のニーズを反映させるためには、保険者をより身近な存在におくことが必要です。全国一つの保険者である政府管掌健保に被保険者の意見が反映しにくい一方で、被保険者の身近にあるはずの各市町村国保は構造的に行き詰まり、保険者集団のあり方が根本的に問われています。

 適度な財政基盤を確保し、被保険者の受診行動範囲が合致する地域を単位とした新しい保険制度の創設が課題です。保険者機能と地域の健康医療計画の策定、医療提供体制の整備、予防・健診・フォローアップ事業などが密接となる地域単位の保険制度について、国民的議論をおこします。

情報公開と患者の自己決定権を確立します

 多くの人びとが、医療事故・医療過誤、医療の質に不安を感じています。医事関係訴訟件数は、この十年間で倍増(95年488件、2004年1107件)し、医療過誤の過半は、「充分な検査を行っていない」「説明不足」などでした。

 患者本位の医療を実現するために、インフォームド・コンセントの徹底、カルテ開示、セカンドオピニオンなど医療情報の請求権、医療行為に対する自己決定権を確立します。また、自己決定権の明記に加えて、国や自治体、医療機関や医療スタッフの責務を明らかにする「患者の権利基本法」を制定します。

 患者の知る権利の第一歩として、医療費の内容(検査、投薬、処置等)と単価がわかる領収書の発行を医療機関、保険薬局に義務づけ、実施を徹底します。

 医療事故・医療過誤が起きた際に、迅速な対応できるよう、立ち入り調査権、勧告改善権などをもった機関を、各都道府県ごとに配置し、事故の再発を防止します。

2006年2月16日
社会民主党政策審議会

資料 医療制度改革の主な内容  (×は自己負担増)

2006年4月〜
・診療報酬を3.16%(本体1.36%、薬価等1.8%)引き下げる

2006年10月〜
×現役並みに所得がある70歳以上の医療費窓口負担の引き上げ(2割→3割)
×70歳以上の療養病床入院患者の食住費を全額自己負担にする
×高額療養費(定額部分)の自己負担限度額を引き上げる
×埋葬料(健康保険から所得に応じ遺族に支給)を一律5万円に引き下げる
・出産育児一時金を30万円から35万円に引き上げる
・地域型健保組合の創設
・医療機関のレセプトのオンライン化開始

2007年度3月〜
・中医協の委員構成の見直し、団体推薦規定の廃止

2007年度4月〜
・傷病手当金、出産手当金の支給率等の見直し
・保険料を決める標準報酬月額の上下限拡大

2008年度〜
×70歳〜74歳の医療費窓口負担の引き上げ(1割→2割)
×75歳以上の全高齢者から保険料を徴収する独立保険「後期高齢者医療制度」を創設
×65歳〜69歳の療養病床入院患者の食住費を全額自己負担にする
・都道府県が医療費適正化計画を作成。入院日数短縮や生活習慣病予防の政策目標を設定
・乳幼児医療費の軽減(医療費窓口負担2割)を3歳未満から就学前までに拡する
・国運営の政府管掌健康保険を都道府県単位の公法人移管する。(財政を都道府県単位に分割)

2012年度末まで
・介護型療養病床(全国14万床)の全廃

2013年度〜
・医療費適正化計画の達成状況検証
・計画未達成の都道府県の診療報酬を変更

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