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社民党の政策

医療行為を原因とする肝炎患者の救済に関する取り組みについて

2006年7月21日
社民党「医療行為を原因とする肝炎患者の救済に関するプロジェクトチーム」
座長 阿部知子(社民党衆議院議員・小児科医)

 今日、日本には、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルスを併せて300万人から350万人の感染者・患者がいると推定されている。年間、肝がんなどで亡くなる3万人から5万人の大半は、B型・C型肝炎ウイルスが原因であると考えられている。

 ウイルス性肝炎患者の大半は、血液製剤(血漿分画製剤・輸血用血液製剤)の使用、集団予防接種における注射器の使い回し、つまり医療行為を原因とする医原性の感染によるものである。ウイルス性肝炎は潜伏期間が長く、多くの持続感染者(キャリア)は、感染を知らされないまま放置されている。また、重度化を防げなかったため、慢性肝炎から肝硬変や肝がんに進行した患者は、充分な治療体制や生活支援がないなかで、過酷な闘病生活と高額な医療費の負担、社会的な差別偏見に苦しんでいる。

 06年6月16日、最高裁は、集団予防接種による「B型肝炎訴訟」について、感染防止義務を怠った国の責任を全面的に認め、損害賠償の支払いを命じた。これによって原告被害者全員の勝訴が確定した。

 続く6月21日、大阪地裁は、「薬害C型肝炎訴訟」について、国と製薬会社(旧ミドリ十字=現三菱ウェルファーマ等)の過失責任を明確に認め、損害賠償請求の支払いを命じる判決を言い渡した。出産や手術時に止血剤として投与された血液製剤「フェブリノゲン」などにより、C型肝炎ウイルスに感染させられた患者らは、2002年以降、国と製薬会社を相手に、全国の5地裁に賠償を求めて集団提訴をしている。その初の判決となる大阪地裁で、国の薬事行政は「安全性確保の認識や配慮に著しく欠けており違法である」と厳しく指摘された。

(国は6/28に控訴。製薬会社は7/4に控訴。原告団は、判決が1987年4月以前の国の責任を認めず原告によって判決が異なることを不服とし、勝訴した人も含め原告全員が7/4に控訴)

  「B型肝炎訴訟」は、集団防衛を優先するあまり個人の健康が犠牲となりかねない予防接種行政の積年の問題を明らかにした。また「薬害C型肝炎訴訟」は、サリドマイド、スモン、薬害エイズ、薬害ヤコブ病など、過去に繰り返された薬害と同じ構図が、ウィルス性肝炎感染にもあることを示した。

  二つの司法判断によって、医薬行政の怠慢、誤りが明らかになった今、国は自ら反省し、過失責任を踏まえた肝炎対策へと政策を大きく転換すべきである。また、カルテの保存期間が過ぎて被害の証明ができない患者についても医師の証明等により救済の対象を拡大すべきである。

  社民党は、国と製薬会社に対して、被害患者への責任ある対応と以下の救済策を強く求めていく。

(1)検診体制の確立

[1]潜在的な感染被害の可能性を周知徹底

「薬害C型肝炎訴訟」「B型肝炎訴訟」の原告と同様に、血液製剤(血漿分画製剤・輸血用血液製剤)の使用、集団予防接種における注射器の使い回しによる感染被害の可能性が、潜在的にあることを周知徹底する

[2]検診体制の強化

・感染被害の可能性がある者に対して、ウイルス感染の有無や肝機能の検診を全額公費で行う

・早期発見・早期治療、肝炎の重度化を予防するため、継続的な検診体制を確立し、経過観察を行う

[3]登録制度の創設

感染患者をフォローアップできるよう、個人情報保護を徹底した登録制度の創設、手帳交付を検討する

(2)医療支援・生活支援

[1]治療費に伴う経済的負担の軽減

・治療薬インターフェロンについて保険適用の条件制限を緩和する

・高額となる治療費について一定の上限を設けるなど、医療費の公費助成を行う

[2]治療体制の強化

・ウイルス性肝炎に関する専門医を質量ともに充実する

・ 治療体制の地域格差を是正し、治療の均てん化を図る

・ 一般医のレベルアップと専門医との連携を図る

[3]ウイルス性肝炎に対する治療法の研究や開発を推進する

[4]被害患者の生活実態を把握し、必要な生活支援を行う

(3)原因究明と再発の防止

[1]国と製薬会社等が保有する情報を全て公開し、第3者機関を設置して、徹底した原因究明を行う

[2]安全性確保の観点から、学校における集団予防接種、血液行政全般を抜本的に見直し、被害の再発を防止する

(4)正しい知識を普及し、患者への偏見・差別をなくす

[1]厚生労働省にウイルス性肝炎に関する窓口を設置し責任ある対応を行う

[2]特に就学、就職差別をなくすよう具体的な施策を行う

(5)責任の明確化と謝罪

[1]国と製薬会社が責任を認めて被害者に謝罪し補償することを求めるとともに、裁判の早期解決を図る

[2]救済対策推進のために国と被害者の協力体制を確立する

(6)特別立法の検討

上記の救済策を推進するために、特別立法の創設を検討する

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