社民党の主張
(1)鳩山政権の3党合意で、「現行の消費税5%は据え置くこととし、今回の選挙において負託された政権担当期間中において、歳出の見直し等の努力を最大限行い、税率引き上げは行わない」ということを確認している。これは、小泉構造改革路線で疲弊し痛んだ生活をまず再建することが第一だという考え方に基づくもの。昨年9月の三党合意に基づき、少なくとも4年間は、きびしい国民生活の現状から消費税率の引き上げは認められない。
(2)消費税云々の前に、歳出の思い切った見直しが必要。菅総理も副総理兼財務相時代、「逆立ちしても鼻血も出ないほど、完全に無駄をなくしたと言えるまで来たとき、必要であれば措置をとる」と述べている。
(3)税率アップを云々する以前に、この間行われてきた所得税・法人税の金持ち減税や輸出還付のような不公平を正すべき。憲法の人権・福祉条項を踏まえ、所得税の累進制強化、総合課税化、法人課税の強化、大企業優遇税制の見直し、相続税や贈与税、資産課税の課税強化、奢侈品課税がまず講じられなくてはならない。リーマンショック以来、アメリカ、韓国では大企業と富裕層増税、庶民減税に踏み出している。イギリスも消費税減税と富裕層への増税を決定し、スペイン、ドイツでも富裕層への増税が検討されている。
(4)税率アップの前に、消費税の最大の欠陥である逆進性の実効性ある是正策の導入が必要。社民党は、飲食料品にかかる「消費税額戻し金方式」(収入400万円以下の世帯は4万円、400万円超1000万円以下の世帯は2万円を年1回支給)の導入を提案。現在のデフレ不況の原因が、消費不足による不況であり、食料品に対する実質非課税は、日々の買い物でその恩恵を実感でき、消費を促進する効果もあり、不況対策としても有効。
(5)そもそも消費税率引き上げには、民主的手続きと政府に対する信頼が不可欠。国民的論議は不十分。
(6)福祉の財源というのであれば、むしろ自治体の財源として、福祉の現物給付を充実するよう、地方消費税に回る部分を増やすべき。
(7)高齢化社会の負担や社会保障費の増大をまかなうならば、消費税だけでなく、所得税の最高税率引き上げや法人税の課税ベースの拡大、金融所得や資産課税の課税を強化して税制全体でカバーしていくことが基本。さらには地球温暖化対策のための環境税の導入(税制改正大綱で11年度実施にむけて成案を得るべく検討)などをもって、対応すべきである。
(8)歳出歳入構造の見直し、税金のムダの削減をまっさきに行なうとともに、社会保障のビジョンを示すべき。使い途は、国民が納得できる形(国民生活向上、福祉の充実のために)で、決めるべき。
社民党の税率引き上げ反対の理由
@景気にダメージ!
現在の状況下での税率アップは、可処分所得減による個人消費の縮小をもたらし、景気を冷え込ませることにつながる。 景気の悪化など経済が後退している中で、企業物価や消費者物価指数を押し上げ、ますます景気、内需が落ち込んでしまう(※97年の消費税5%引上げの際も消費者物価指数は2%上昇した)。
特に、非正規労働者や年金暮らしなどの低所得者層や子どもの多い家庭、消費税を転嫁できない中小企業に一層の苦しみ。中小企業とくに小規模業は、原材料の高騰、リーマンショック以降の仕事や単価の減少、価格引下競争で売上が伸びない状況があり、消費税を転嫁できない中小企業は、身銭を切ることになり、消費税を実質上自ら負担している。
消費税増税により、消費が落ち込むとともに、原材料費がさらに値上がりすれば、製造業などの小規模企業の経営をさらに悪化させ、滞納が増え、倒産や失業の増加、生活苦など経済的、社会的な被害が相当出てしまう。政府は日本の景気が回復傾向にあると発表するらしいが、「帝国データーバンク」の調査によると資本金1000万円以下の倒産が8月以降増加するという予測。
外需の回復もあり、統計上、GDPは成長軌道にあるが、個人消費や雇用状況に波及しないために、国民は景気回復の実感を持てないままであり、生活に直撃する消費税の税率引き上げでは、ショックが大きすぎる。
医療や年金など社会保障や保育・教育への現金・現物給付、雇用の創出、失業者や貧困者への手当(現金給付など)を増やし、今は「生活再建」を優先して暮らしと雇用を立て直すべき。
A逆進性拡大!
消費税は所得に関係なく負担をすることから、貧しい人に負担が大きく、豊かな人に負担が小さい逆進性がある。失業者・生活保護受給者など収入が無くても税負担。一方、株や土地取引、配当や利子取引は非課税であり、資産家の投資活動には負担を求めない。消費税率アップは、逆進性がさらに拡大され弱い者に大きな痛みが強いられる。しかも、貧しい人のための給付の財源を逆進性の高い税に求めることは、「貧者による貧者の支え合い」となり、税制の所得再分配機能が働かないことになる。
B福祉が「人質」!
福祉の財源を消費税に一本化してしまうと、需要がある限り自動的に税率が引き上げられてしまう。一方、必要な税率アップができないと、不足分がそのまま給付水準の低下になってしまう。
C不公平の拡大
金融・配当・資産所得は現在、給与所得を上回っている。また給与所得においても、「会社役員」から「派遣・下請け」まで、格差が拡がっている。この間行われてきた所得税・法人税減税を是正せずに消費税を上げることは、強者の減税を続ける一方で弱者の負担増を招くことになり、不公平を拡大する。
・大きく低下してきた大企業の法人税率(資本金1億円以上)
45%(1981年)→ 42%(87年)→40%(89年)→37.5%(90年)→34.5%(98年)→30%(99年)
・大きく低下した所得税+住民税の最高税率
78%(1987年)→65%(89年)→50%(99年)
・世界でも異常な証券優遇税制
大資産家の株式配当や譲渡所得には、何億円の所得があっても課税は10%。
D減税のツケを広く薄く弱者が負担?
消費税が始まって22年で、消費税収は累計で224兆円にのぼる一方、同じ時期に法人3税は208兆円下がっている。国税収入に占める法人税の税収比は、20年間で3分の2になり、法人税収のウエイトが減った分、結局、消費税というのは、大企業減税の穴埋めに使われてきた。これまでの高額所得者や法人の減税分のツケを、広くうすく消費者に回すのは問題。企業にやさしい税制に変える原資を、国民に肩代わりさせようというのはおかしい。
E逆所得再分配?
財政再建のために消費税を増税しようという政策は、消費税負担を貧しい人々に多く求め、国債をもっている豊かな人々にお金を配分するということになってしまう。
【2010参院選社民党マニフェストより】
消費税
○消費税の増税は、低所得者層や中小企業への負担増、逆進性の拡大、個人消費の縮小に伴う景気悪化と財政赤字の拡大につながるものであり、厳しい国民生活の現状から消費税率の引き上げはしません。
○消費税の逆進性緩和策として、「飲食料品にかかわる消費税額戻し金制度」(収入400万円以下の世帯は4万円、400万円超1000万円以下の世帯は2万円を年1回支給)もしくは所得税からの消費税額控除・還付制度を導入し、生きていくための飲食料にかかわる消費税負担をゼロないし大幅に軽減します。
○地方消費税の税率を拡大します。益税を解消するインボイス方式を導入、輸出免税など公正・公平の観点から見直します。








