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社民党の政策

日米地位協定改定案(社民党案)の概要

2008年3月11日
社民党政審全体会

1、第2条関係(現行、以下も同様): 基地の提供

●目的(日本国の安全、極東における国際の平和と安全の維持)外の基地使用の原則禁止。

●基地の使用目的・範囲・条件を明示した使用計画の4年毎提出義務 。

●計画審査にあたって知事、関係地方公共団体の長の意見聴取。

●新しい施設の提供のルールを新設。日米両国政府の定める手続きを経て合同委員会にはかる。合同委員会の合意内容の公表。

※本来、在日米軍基地は、安保条約第6条に定められた目的すなわち「日本国の安全に寄与し、並びに極東における国際の平和及び安全の維持に寄与する」ために使用を許されているに過ぎない。これを超える基地の使用は地位協定違反である。しかし、現実には米国はあらゆる目的のために日本の基地を使用しており、協定違反がまかり通っている。この際、あらためて基地提供の目的を明記し、これを超える際の事前協議ルールの確立をはかるべきである。

※協定2条3項は基地が「必要でなくなったときは日本に返還しなければならない」とあるが、実際には完全に使われていない状態となっても放置されている(※池子、上瀬谷など)。米側から言い出さなければ日本側から動き出すことはない。こうしたデタラメさの背景には使用協定が米側の都合しか考えられておらず、その中身も明らかにされていないことがあると考えられる。基地の使用目的を常に緊張感を持って検証していくことが必要であり、一定期間ごとに基地の使用目的や範囲・条件等を点検することが必要である。

※関係する自治体の声を反映させる制度が必要。

2、第3条関係: 基地への立ち入り

●占領意識のにじみ出ている「すべて」を削除。

●基地への立ち入り権をあらたに明記。緊急の場合は通報のみで立ち入れるようにする。

●環境の保全への考慮を明記。新たな施設を建設する際の環境アセスメントを義務づける。

※協定3条に基地の設定、運営、管理のために、米軍は「すべての措置を執ることができる」とされているが、米国側はこれを何をしてもよいという意味にとらえている疑いがある。しかし3条は2条で提供された基地についての管理権であり、2条を越える運用はできないはず。一方的な基地管理権の結果うまれる基地被害から周辺住民を守るために、問題が発生した場合に自治体による基地への立ち入りが必要である。

※基地内の環境問題についても日本の法令が適用されるのは当然である。

3、第4条関係: 返還時の原状回復

●日本政府が基地の原状回復義務を負うことを明記。

●施設返還の際に環境調査を行ない、必要があれば汚染除去・環境浄化作業を行なうこととし、米国の協力義務を明記。

※米軍基地内の汚染問題が深刻であることが次第に明らかになっている。こうしたずさんな基地使用を抑止するためにも本来は原状回復義務を課したいところ。しかし、厳格に原状回復を義務づけると、そのための負担を嫌って返還がすすまないおそれも大きい。そこで、日本政府に原状回復義務を課し、米軍にはこれへの協力を義務づけるのが現実的である。

4、第5条関係: 港湾・空港使用時の日本法令遵守

●米軍関係の船舶、航空機が、訓練、演習、補給の目的等で提供施設以外の日本国内の港湾、空港を使用する際に、日本国の法令に従って使用するということを強調。

※協定5条では通告のみで米艦船が日本の港湾に入港できることになっている。提供施設でもない港・空港に通常時に自由に入港できる権利まで与える必要があるとは考えられない。

※提供施設についてはまったく通告も無しに米艦船・航空機が出入りしている。とくに5条の基地間の移動という名目で危険な低空飛行訓練が行なわれており、航空法などの日本国内法は米軍には適用されないこととなっているが、実質的な訓練を移動と拡大解釈することは許されない。少なくとも通常時は日本の法令を遵守するべきである。

5、新設: 訓練・演習時の環境配慮と提供施設外での訓練・演習ルール

●訓練は、原則として提供施設・区域内で行なう。その場合、米軍は日本国の法令を尊重し、施設・区域外に環境被害を及ぼさないようにつとめる。

●訓練・演習がもたらす環境への影響調査を日米両国政府、関係自治体で3年毎に行なう。

●調査結果が出た場合、環境改善プログラムを策定し、改善をおこなう。環境調査基準は両国のうち、厳しい方を採用する。

●提供施設外での訓練・演習活動が行なわれる場合は、日本国当局との協定、もしくは個別の合意を必要とすることとする。

※基地外での訓練・演習が野放図に行なわれている。前述したように現5条の拡大解釈で行なわれている低空飛行訓練などは極めて危険であり許されない。訓練・演習は原則として提供されている施設・区域内において行なうべきだ。訓練・演習に関する規定を設け、せめて自衛隊の訓練・演習並の基準で運用されることとするべきである。

6、第6条関係: 航空管制業務

●米軍による航空管制業務は提供されている基地のみの管制に限定する。

※米軍に委ねる航空管制業務は、提供された基地の飛行場管制のみに限定し、進入管制は日本側が行なうこととするべきである。

7、第9条関係: 基地外居住に関し通報義務、検疫への日本法令の適用

●日本に入国した米軍人・軍属とその家族のうち、施設・区域外に居住する者については、外国人登録法並びに住民基本台帳法の主旨に基づく必要な事項を、日本国当局へ通報する義務を課することとする。

※基地外へ居住する米軍人・軍属とその家族による犯罪が多発している現状に鑑み、防犯及び安全対策上、必要な協定改定である。

●これまで、米軍の軍人、軍属とその家族と、それらに付属する(例えば、ペット)動物は検疫なしに日本に入国が許されていたが、これを、日本の国内法に基づいて検疫を実施することとする。

※海外からの伝染病の侵入に対する住民の不安を払拭するためにも、人、動物、植物に対する検疫並びに人の保健衛生に関しては日本国内法を適用し、米軍に対しても日本国当局による検疫を実施することとするべきである。

8、第10条関係: 運転免許

●軍人、軍属、その家族は日本の運転規則に関する講習をうけ、講習済み証明書と免許証の両方を携帯するものだけが、基地外での運転が認められるものとする。

※米軍人・軍属やその家族による交通事故が多発している。日本の交通ルールについて一定の研修を義務づけるべきである。

9、第13条、第14条関係: 租税

●租税対象として私有車両の保有を課税対象に加える。

※米軍人等の私有車両に対する自動車税は民間車両に課税されている税率と比べ著しく低くなっている。例えば沖縄県の場合、米軍人等の私有車両は2万5000台ほどになり、これらの車両の通行に伴う行政需要、財政負担は大きい。米軍人等の私有車両に対して民間車両と同率の自動車税を課した場合約7億8000万円の税収増が見込まれ、基地所在県の自主財源の充実をはかることができる。

10、第15条関係: 役務の提供

●米軍施設内の諸機関が提供する役務についても、物品の販売と同様に、提供を制限することとする。

※米軍の諸機関による物品の販売、処分については、地位協定15条に規定されいるが、ゴルフ場の利用やセスナ機への搭乗など役務の提供や施設の利用については明確な規定がない。これらの機関は租税が免除されていることから、課税の公平性の観点から物品の販売に準じた明確な規定を設けるべきである。

11、第17条関係: 被疑者の起訴前の身柄の引き渡し

●米国政府(米軍側)に対し、軍人、軍属、家族(公務外)被疑者の起訴前の拘禁は日本国の拘禁施設で行うことを明確化。

●前記拘禁について、米国は拘禁者の処遇について意見を述べることができ、日本国はその意見に好意的考慮を払うものとする。

※日本が裁判権を行使すべき米軍・軍属たる被疑者の拘禁は、起訴されるまで拘禁できない。沖縄で米兵による事件が相次いだことから、95年10月25日の「刑事裁判手続に関する日米合同委員会合意」によって、凶悪な犯罪の場合、合衆国は日本国の要請に対して「好意的考慮を払う」こととされたが、日米合同委員会において提起し、協議をするなどのために相当の時間を要するなど、十分には機能していない。国民の生命・財産等の基本的人権を保障する観点から、被疑者の起訴前の拘禁は日本国の拘禁施設にて行うことを明確にすべきである。

12、第18条関係: 請求権、民事裁判権

●米軍側のみが責任を有する場合にも日本が支払額の25%を分担していたものを、米国が負担することとした。

●米軍人、軍属の公務外、またそれらの家族が起こした事件、事故に対する請求権の処理について規定。日本国政府が被害者に補償金を支払い、米国に請求することとした。

※「公務中の被害」については、日本政府がアメリカに肩代わりして被害補償を行なうこととなっているが、米兵・軍属が公務外に事件・事故を起こした場合は、米軍も日本政府も一切法的な責任をとらない仕組みになっている。米兵・軍属の個人的行為による被害は加害者個人が責任をとるべきととの考え方であるが、実際には加害者個人の責任を追及することは難しい。個人間の問題として処理する前提が存在しないからである。公務外の事故についてもいったん日本政府が補償を行ない、米軍を通じて米兵・軍属個人に請求することとするべきである。

※米軍人等の子ども出産した女性が子どもの養育費を支払ってもらえないために生活に困窮している事例が多発している。軍人・軍属の特殊性を考えるならば、民事問題についても処理の仕組みを整備するべきである。

13、新設: 米軍の飛行機、船舶の起こす事故

●日本国内で訓練や移動の際に米軍の飛行機、船舶によって起った事故に関して、日米合同で調査委員会をつくり、調査を行なう(これまでは、米側のみの事故調査結果が報告されていた)。

●基地内での事故で基地周辺住民に影響が及ぶ可能性のある事故に関して日米合同で調査を行なうこととした。

※米軍基地での事故等は周辺住民の安全に直結している。米側の一方的な調査では十分な解明ができないため、日米合同で調査を行なう仕組みを新設する必要がある。

14、第25条関係: 日米合同委員会

●日米合同委員会の合意事項の公表を義務づけた。

●施設の返還、提供の変更の際には、関係する地方自治体に影響を与える案件に関して日米合同委員会で協議される場合に、地方公共団体の意見を聞くことを義務付けた。

●日米合同委員会の中に米軍基地を有する地方自治体の代表者の参加する「地域特別委員会」を設ける。合同委員会の中に現在設けられている分科委員会がに基地を有する地方公共団体の代表をいれた特別委員会を新しく設けるもの。

※米軍基地の近接している地域の住民や自治体については、日米地位協定や日米合同委員会合意に基づく米軍基地の運用は、重大な関心事である。96年12月のSACO最終報告おいて「日米合同委員会合意を一層公表することを追求する」とされたが、その後の運用は必ずしも十分とは言えない状況である。合同委員会合意を速やかに公表する原則を規定する必要がある。

15、第26条関係: 新協定の効力

●新協定が締結され、効力を発すると同時に現協定を無効とする。

以上

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