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社民党の政策

社民党政策セミナー2009開催

社民党は09年9月29、30の両日、党全国連合で「政策セミナー2009」を開き、衆参国会議員らが出席。与党として迎える臨時国会の課題などについて研修と議論を行った。

セミナー冒頭のあいさつで福島みずほ党首は「新しい政治が始まったということで国民の期待は高まっている」と強調。鳩山政権の中で3党連立合意の実現を図りつつ、党の政策を一層、政権の政策に反映させることを追求するとした。

当セミナーでは、党外から3人の講師を招き、講演を行なってもらった。講師とテーマは、早野透さん(朝日新聞コラムニスト、連立政権と社民党の役割)、孫崎享さん(元防衛大学校公共政策学科長、日米関係とこれからの安全保障)、飯田哲也さん(環境エネルギー政策研究所所長、新政権における環境エネルギー政策の行方と期待)。講演要旨は以下の通り。

孫崎 享  元防衛大学校公共政策学科長

日米関係とこれからの安全保障

孫崎享・元防衛大学校公共政策学科長 日米の安全保障体制は今、安保条約が規定する内容とは大きく変質している。05年に両政府が署名した文書「日米同盟・未来のための変革と再編」は日米安保の範囲を極東から世界全体に広げるほか、「共通の戦略」として掲げる「国際的な安全保障環境の改善」は中東の「民主化」や独裁体制変革への武力使用も含み国連憲章や日本国憲法の理念とも全く異なる。この変質に対し国内では議論も国民合意もなく、一般紙の解説記事も見ない深刻な状況だ。

 対アフガニスタン戦争に日本がどうかかわるかは新政権の最重要課題だが、実はアルカイダのビン・ラディンが対米戦争の目的として挙げたサウジアラビアからの米軍撤退は03年に実現し、05年には米CIA(中央情報局)のアルカイダ追跡グループも解散した。目的が不明確なアフガン戦争が続くのは冷戦終結後、米国が世界一の軍事力維持を目的に打ち出した「ボトムアップレビュー」戦略(イラン・イラク・朝鮮民主主義人民共和国などを念頭に大量破壊兵器所有阻止と「米国化」のため積極的に軍事介入する志向)に基づく。国家主権尊重や既存の政府との協力という西欧安全保障の根幹概念を捨てる単独行動主義で、日米間の「国際的な安保環境の改善」もここにつながっている。

 日本では今、北朝鮮脅威論が叫ばれるが(1)核保有(2)敵基地攻撃論(3)ミサイル防衛(4)米の「核の傘」――のいずれも頼れるものではない。核を除去させるためには、体制転覆の意図がないと相手に伝えることが非常に重要。イランも同様だが、核問題と現体制交代をセットにすると物事は進まない。米国防省の年次報告「中国の軍事力2008」には、中国が政権の正当性の基盤として経済成果を重視し「経済成長のため二国間及び多国間協調を世界規模で強化している」とある。中国は年間10兆円以上の対日輸出があり、この利益を失うことを思えば対日攻撃は採算が合わないと思うだろう。経済的な一体感を増すことで攻撃意欲をなくさせるのは対北朝鮮にも当てはまる構図で、日本の進むべき道がここにある。

飯田 哲也  環境エネルギー政策研究所所長

新政権における環境エネルギー

飯田哲也・環境エネルギー政策研究所所長 地球温暖化対策に関してメルケル独首相が今春、日本のことを「懐疑的な国」と評していたのを覚えている。日本はその後、政権が交代。鳩山由紀夫首相が9月、20年までに温室効果ガスを90年に比べて25%削減することを明言したことは、国際的に高い評価を受けた。

 「90年比25%削減」シナリオについてこれまで政府・経済産業省や経済界は「190兆円の費用がかかる」「国民1人当たり年36万円の負担増」を招くとして、経済成長への影響ばかりを強調。まさに国民負担を「脅し」に使ってきた。

 しかし、この数字にはトリックがある。「190兆円の費用」と言っても、太陽光発電やエコカーへの投資だから「グリーンGDP」にほかならない。また、「36万円の負担増」も可処分所得が今より36万円減るのではない。「05年比4%削減」の場合と比べての試算なので、現在から見れば「25%削減」の場合、20年には可処分所得が「年76万円増える」ことになる。

 この目標を達成するには(1)再生可能エネルギーの固定価格買取制度(フィードインタリフ、FIT)(2)石炭課税を大幅にアップした温暖化対策税(3)キャップ・アンド・トレード方式の排出量取引――が政策の3本柱だ。

 とりわけFITは、実施した瞬間に効果が出る政策。「すべての再生可能エネルギー」を対象にし、「全量買い取り」にすることが必須だ。麻生政権の下で駆け込み的に導入したFITは「太陽光発電のみ・余剰電力のみ・非事業用のみ」で問題が多い。経産省は11月1日施行を目指しているが、鳩山政権は一時凍結すべき。

 温暖化対策は各省縦割りで、かつ経産省主導で行なわれてきた。この「霞が関政治」から脱却して、真の政治主導を確立しなければならない。例えば、閣僚委員会や国家戦略局などの下に「25%タスクチーム」を設置して政策全体の司令塔とすべきだ。

早野 透  朝日新聞コラムニスト

連立政権と社民党の役割

早野透・朝日新聞コラムニスト 民主党は、政権交代という歴史的な選択を有権者それぞれに終始言い続けた結果、大逆転が起きた。しかし、参院で民主党は第1党であるものの単独過半数に達していないため、社民党がキャスティングボートを握った。このことが連立政権の出発点となっている。また衆院でも、民主党単独では議席の3分の2に当たる320議席に届いていないため、社民党、国民新党と連立政権を組むこととなった。だが、議会制度の下で多数を取った与党と力のある指導者が出てくると、一種の独裁政治になってくる。05年の総選挙で自公が大勝し、その後安倍、福田政権では強行採決が連発された。これを見てきた民主党が今度は多数を握ったわけで、下手をすると「民主党独裁」が起きかねない。

 政治手法の違いから、民主党はともすると走りがちだから、そのときに連立を担う社民党が「ちょっと待て」とタイミングよく発信していくことが求められる。連立の中で社民党は、民主党の政治感覚とは違って、地べたで一生懸命やっている感覚の方が大事なときもあるという発想を大切にしてもらいたい。

 社民党は、先の総選挙で現有議席は確保したが、厳しい結果だ。連立に加わったというプラス面があるとは言え、足元がしっかりしていないとこの面は生きてこない。300万の比例票を獲得したが、この300万人は連立を望んで投票したとは思えない。だが社民党が連立政権に入るという政治決断をしたことを、300万人が一挙手一投足、ハラハラしながら期待して見守っている。小なりとは言え、堂々と振る舞ってほしい。

 また社民党は、党とこれまでつながってきた人たちを大事にしないといけない。社民党の今後は「新政権の品質保証」という役割を果たし得るかどうかにかかっている。憲法だけではなく、さまざまな局面で存在感を見せてほしい。

(社会新報09年10月07号より)


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