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社民党の政策

格差拡大、住民不在の道州制に異議あり

2009年7月29日
社会民主党

 

焦点となる道州制

 今回、改革派首長や全国知事会などの働きかけで「地方分権」が焦点に浮上してきた。こうした声を受けて、自民党も、地方分権の柱の一つとして道州制を打ち出し、党道州制本部がまとめた案を基に、内閣に「検討機関」を設置し、道州制基本法を早期に制定し、その後6〜8年をめどに導入するとしている。そして、先行モデルとして北海道の道州制特区を一層進めるとしている。

 47都道府県を廃止し、全国を9、11、13の広域ブロックに分ける三案を例示するとともに、国の出先機関を廃止して、その機能を道州に移譲する考えを盛り込んだ地方制度調査会の2006年2月の答申によれば、「地方分権を加速させ、国家としての機能を強化し、国と地方を通じた力強く効率的な政府を実現するための有効な方策」であり、「市町村合併を通じた効率化に加えて、さらに国の行政組織の縮減や都道府県から道州への再編等によって、国と地方を通じた組織や職員、行政経費の削減を定めて実現すべきである」 として道州制が提唱されている。これは、「地方分権」を名目にした、「小さな政府」を目指す小泉構造改革の一環としての道州制にほかならない。国の役割を軍事・外交などに限定し、くらし・福祉にかかわる責任を後退させるとともに、道州制導入をテコにした国及び都道府県等の徹底したスリム化を意図したものになっている。しかも答申は、「海外に対するプレゼンスが弱い」として、現行の都道府県制では、海外の諸地域との結びが弱いことを取り上げており、資本のグローバルな海外戦略に貢献させるという側面も露骨に打ち出している。また、日本経団連の御手洗会長が「道州制で行政改革や人件費の削減などが進み、住民がスピーディーな行政サービスを受けられる」といっているように、財界からも、福祉やくらしの公共サービスを削ることで、財政規模や公共サービスを担う人件費を大幅に縮減して企業負担を軽くするとともに、財界の望むビッグプロジェクトを進めやすくするという狙いから、道州制の導入が語られている。

格差拡大・住民不在の道州制の問題点

 いまでも、都道府県の行政は、住民からは遠い存在と見られているが、道州はさらに広域となる。こうした道州制導入論議は、次のような問題があり、地方自治の形骸化が一挙に進んでしまい、本当の意味で分権・自治を進めることになるのか疑問が残る。現状の中央集権構造を残したまま道州制を導入しても、地方分権なき国主導の府県合併が進むだけとなりかねない。「平成の大合併」の二の舞となることは必定であり、まず「平成の大合併」が地域の切り捨てや疲弊の拡大につながった点をしっかり検証すべきである。道州制導入のこれまでの議論は政府や財界主導によるものであり、主権者たる国民の感覚から遊離したものとなっており、そもなぜ道州制なのかも含めて住民の理解と納得が十分得られていない。社民党は、道州制については基本的に反対であり、慎重に対応すべきと考えている。

・広域化に伴い、住民からも大きく遊離し、行政の官治化と画一化、縦割り行政の悪弊を生じるのではないか。

・行政のきめが粗くなり、ナショナルミニマムが切り捨てられ、とりわけ社会福祉、公衆衛生等生活基盤につながる身近な行政がますます後退するのではないか。

・道州内における旧府県間のアンバランスや格差が一層拡大するのではないか。

・人口の少ない旧府県からの道州議員の選出数が少なくなり、当該住民の声が道州に届きにくくなるのではないか。

・国の財政再建のための単なる都道府県合併となり、住民サービスや地方財政へのしわ寄せが生じる危険があるのではないか。

・「全国町村長大会」において、全国の町村長の総意により「市町村の強制合併につながる道州制には断固反対」するとされているように、新たな市町村合併を呼び起こし、ますます住民自治が失われていくのではないか。

・憲法の規定する直接請求や、地方特別法に対する住民投票の意義が損なわれるのではないか。

都道府県の「自治体」化

 現行の都道府県は、国からの権限移譲の受け皿として十分な実績と能力を持っており、都道府県・市町村の現行の二層制の地方制度を堅持しながら権限と財源の移譲を着実に進め、分権をかちとっていくことが重要である。都道府県を広域的な本来の「自治体」としてもっと住民との関係を充実させていくことや、広域の行政課題に対しては、県同士の「広域連合」を活用することが先決である。なお、沖縄については、これまでのさまざまな経緯に鑑み、「一国二制度」的な特例的自治制度を検討し、沖縄県民の意思を尊重しながら実現を目指していきたい。

自治なき分権は問題あり

 橋下大阪府知事らの言動をみると、「分権」をはき違えているのではないかと思わざるを得ない。国直轄事業の地方負担金の廃止のような正しい主張もなくはないが、一方で、それぞれの地域でやっていることは、住民不在の広域化の推進、社会的弱者にとって必要な福祉施策の切り捨て、公共サービスの民営化ではないか。知事や市長として独裁的にふるまえる権限や財源がほしいだけではないのかとも思え、彼らの自由度ばかりが高まる分権では、住民の福祉や公共サービスがどうなってしまうのか心許ない。あくまでも地方分権は地方自治の確立や民主主義の発展のための手段であって、目標ではない。そして分権は、政府と自治体の単なる権限や財源の奪い合いではないし、国の責任放棄、地方へのつけ回し、体のいい行革・リストラ策でもない。生活者の視点に立った行政をいかに実現していくのか、住民が主人公となる豊かな自治をどう作っていくのかということである。自治体労働現場や地域住民、自治体議員の地道な分権・自治の取り組みなくして「未完の分権改革」は実現されえないし、豊かな市民自治も築きえない。

 

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