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政権延命へ国民の税金バラまく補正予算を斬る!

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2009年度補正予算が5月29日、成立しました。「100年に1度の危機」に対応するとして約15兆円にも上る過去最大規模の予算を組みましたが、中身は大企業や富裕層優遇の大型公共事業や減税、業界支援策がずらり。政権延命を狙う麻生内閣の露骨な選挙目当ての税金バラまき予算にすぎません。しかも財源のほとんどを赤字国債に頼り、将来にそのツケを回す無責任極まりないものです。社民党は「改革」の名で壊された年金、医療、介護などの社会保障や雇用分野の再生を図り、環境分野をはじめとした将来を見据えた産業育成・雇用創出策こそ優先すべき課題だと考えています。来るべき総選挙で政権交代を果たし、こうした課題を実現させなければなりません。

2009年度補正予算案のポイントと問題点

社民党政策審議会

超大型補正予算案の提出 

 「政局より政策」を強調する麻生首相は、「100年に一度の危機」に対処するとして、(1)「安心実現のための緊急総合対策」、(2)「生活対策」、(3)「生活防衛のための緊急対策」と、財政支出規模で12兆円、事業規模で75兆円もの、いわゆる「3段ロケット」の対策を打ち出してきた。しかし、2009年度予算の成立こそ「最大の景気対策」と強弁していたにもかかわらず、4月27日、2009年度予算が成立して1か月足らずで、事業規模で56・8兆円、財政支出で13・9兆円もの、過去最大規模の超大型補正予算案を提出した(補正による一般会計歳出総額の増加は13・9兆円。経済緊急対応予備費8500億円を取り崩したので、一般会計追加額は14・7兆円。「真水」と称される追加財政支出の総額は一般会計追加額14・7兆円に0・7兆円(贈与税減税0・1兆円、労働保険特会から雇用調整助成金0・6兆円)を加えた15・4兆円)。

 これから今回の危機の原因を探ろうというのか、今回の補正に「世界金融・経済危機に関する調査研究費」1億1200万円が計上されたが、今の危機的な経済状況をもたらした、小泉・竹中改革路線の破たんに対する真摯な反省もない。「蝶蝶(兆兆)」が飛んでいるとばかりに、党利党略的な施策や、大企業・富裕層優遇、業界支援策が多く盛り込まれ水ぶくれした。災害対策や緊急の経済対策のためならわかるが、今回の補正予算案は、当初予算案の審議中から補正の編成が噂されているなど、その経緯や中身からして、「予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要となつた経費の支出」(財政法第29条)とは言いがたい気がする。本来、当初予算の組み替えや修正で対応すべきであり、経済緊急対応予備費1兆円を当初予算に組み込んだのは何のためだったのか、ということにもなる。「3段ロケット」の効果や、「積極予算」となった09年度当初予算や公共事業の前倒し執行の効果を検証するのが先決であったが、民主党も含めて補正予算ありきの規模の競争戦になってしまった。

 もちろん、国民生活にとって必要な施策や野党が求めていた施策も含まれてはいる。しかし、必要なものならば本予算に組み込めばよく、突然「景気対策」として打ち出すのはおかしく、かえってインパクトが薄まってしまう。エコカーやエコポイントで買い替え需要を喚起しても、家計の所得が減少している現状では、他の支出を削って振り替えるだけで、個人消費全体を底上げする効果は限定的であるし、ここ数年の需要喚起の後は大幅な需要減がおそってくる。補正予算案の財源確保のため大量発行する国債が、景気回復の足を引っ張る可能性もある。何よりも将来の消費税率引き上げが控えていて、いまの財布のひもがゆるむのか。

 結局、2%の成長押し上げ(内閣府)は皮算用にとどまり、壮大なバラマキに終わる可能性もある。以下、補正予算案の内容を見ていきたい。

大企業・富裕層対策が目白押し

 第一の特色は、大企業や富裕層対策である。企業の国際競争力強化に向けた研究開発投資を後押しするため、研究開発減税の適用条件も緩和され、減税枠の拡充や繰り越しも認められる。先端分野で活躍する研究者に支給する研究基金の創設など、科学技術振興費も総額9000億円規模にのぼる大盤振る舞いとなっている。

 地域の飲食店などでの消費増を期待し、中小企業(資本金1億円以下)の交際費課税も、定額控除の限度額を現行の年400万円から600万円に拡充される。よく高級ホテルのバーに通う首相と違い、厳しい中小企業に接待を増やす余裕はあるのだろうか。

 中堅・大企業向けでは、日本政策投資銀行や商工中金を通じて行っている融資枠が当初予算の1兆円から9兆円に拡大される。公的資金による株価の下支えは主要国では異例だが、政府保証をつけて最大50兆円で株式を買い取る政府機関の新設まで行われる。

名ばかりの「エコ」

 第二は、アメリカのグリーン・ニューディールを意識して、低炭素革命や環境対策が強調されているが、それは名ばかりではないかということである。

 たとえば、「エコカー」支援4066億円と、「エコポイント」制度2946億円が「目玉」になっている。しかし、今までエコカーや省エネ家電を使ってきた人に何の恩恵もなく、燃費のある委車を乗り回してきた人に買い換えを支援するというのは、不公平だ。以前より消費量は小さいとはいえ、電力消費量が多いテレビほどポイントが高くなるのも変だ。買い換えられたテレビや自動車も膨大なごみになりかねない。本当に低炭素化を進めるつもりなら、自動車・家電メーカーに対し、より厳しい排ガス規制や省エネ基準のハードルを課すべきである。

 この間の高速道路の割引やエコカー減税という自動車優遇政策によって、フェリーや鉄道など地球にやさしい公共交通にしわ寄せが出ており、マイカーに頼らなくてもいいまちづくりや地域づくりに大きく踏み出すことが必要である。

 結局、世界不況で輸出が急減した自動車や家電といった特定業界の要望に応えた要素が強い。自動車や家電の販売不振に対して消費喚起を目的とするのならば、家計に安心をもたらすよう、雇用の安定、賃金引き上げなどの個人消費活性化策を講じるべきだ。

土地・住宅対策

 第三に、今回の対策は、土地・住宅対策にも大きな力を入れている。まず、住宅購入・増改築を推進するため、贈与税の非課税枠を通常の110万円から610万円に拡大する。かたやハウジング・プアといわれる方々が路頭に迷う中、富裕層を一層優遇する格差拡大税制である。約1400兆円の個人金融資産の動きの活性化というなら、相続税を強化してはき出させるべきである。そもそも将来が不安だから個人で備えるために貯蓄せざるを得ないのであって、本筋は社会保障の充実による安心感の回復ではないか。

 停滞する民間の再開発事業の公的資金による支援や、不動産関係では、官民一体となったファンドの創設や日本政策投資銀行等によるJリートへの支援が充実される。しかし、将来の損失懸念もある。

 住宅ローンの借り入れ支援策として、住宅金融支援機構の「フラット35」を頭金なしでも利用可能とする。ゆとりローンが問題となっているが、今回の措置は、「借りすぎ」を誘発しかねず、日本版サブプライム・ローンになるのではとの懸念がぬぐえない。しかも機構にマンション業者支援融資の任務も与えるのは行き過ぎだろう。

大盤振る舞いの公共事業

 第四に、麻生首相が強調するような「ワイズ・スペンディング」(賢い支出)なのかということである。麻生首相は、「未来の成長につなげることを重視した。公共事業も15兆円のうち2.4兆円に抑えた」と胸を張り、バラマキ批判をかわそうとしている。しかし、いくら「底力発揮・21世紀型インフラ整備」と称しても、実際事業が進むのは、この間抑制してきた道路や橋梁、港湾、新幹線などの従来型の大型公共事業である。

 たとえば、建設が中断し高速道路、環状道路などがつながっていないため機能が発揮できない「失われた輪」(「国土のミッシングリンク」)を結合して、地域連携と競争力の強化を図る狙いで1441億円が計上された。首都圏では、首都高速中央環状線、東京外かく環状道路(外環道路)、首都圏中央連絡自動車道(圏央道)といった環境面などから問題の多いものが含まれており、反対の市民運動も大慌てで対応している。

 また、公共事業費のなかの「その他施設費」も、09年度の当初予算では6492億円しか計上されていないにもかかわらず、補正によって2兆8969億円も追加されている。「官庁施設の耐震化等安全対策」「太陽光発電の導入」などを名目に、役所の施設費や営繕費が予算項目のなかにズラリと並んでいる。たとえばアニメやマンガ、ゲームに関する展示を行う「国立メディア芸術総合センター(仮称)」の建設費用など、本当に緊急に打ち出さなければいけないものなのか、疑問が残る。

世論受け・選挙向けの場当たり策

 第五に、国民生活向けの対策も盛り込まれているが、問題の本質に踏み込まない場当たり的な弥縫策であるということである。3万6千円の「子育て応援特別手当」の第1子への拡充は、1年限りであり、少子化対策というよりも選挙対策そのものである。安心こども基金関係経費として1500億円が別途追加されるが、安心して子どもを産み育てる環境こそ構築すべきである。10年は必要といわれる医師不足対策も3年限定となっている。また、女性のがん対策や福祉施設の耐震化、教育費負担支援対策も不十分である。

 後期高齢者・障害者などの負担軽減策も計上されているが、後期高齢者医療制度や障害者自立支援法の抜本改正こそ踏み込むべきである。

 自民の衛藤征士郎衆議院予算委員長は、テレビのワイドショー番組で、生活保護の母子加算の復活を約束していたが、3月末で母子加算は予定通り打ち切られた。厚労省は、代わりに、「就労促進費」(月額3万円以上の収入で1万円、3万円未満および職業訓練を受けている場合は5千円)を設けたから問題ないというが、病気や障がい、育児などで就労できない世帯には「就労促進費」は支給されない。今回の補正予算で、生活保護制度において、子ども(小・中・高校生)の学習支援のための給付を新たに創設(40億円)される。しかし40億円は母子加算の復活ではなく就学児に限った給付であり、子どもが就学していない家庭などには届かない。

 また、厳しい雇用情勢を受け、雇用調整助成金6000億円を含む総額2兆5128億円の緊急雇用対策費が盛り込まれた。すでに昨年度の100倍以上の雇調金となっているが、雇調金の財源は企業負担の雇用保険二事業特会の残高は1兆円余りで、もうすぐ限界となる。

 雇用保険と生活保護の間の第2のセーフティネットとして、緊急人材育成・就職支援基金7000億円を設けて、訓練・生活支援給付の支給及び貸付けを行うことが盛り込まれた。野党や運動団体の要求に応え、雇用保険を受給していない人の職業訓練期間中の生活を保障するためのものであるが、3年間の時限措置である。水準をアップさせるとともに、恒久的な制度として設けるべきである。

 本来、消費を刺激するためにも雇用の安定が重要である。介護職員処遇改善も4773億円計上されているが、事業者経由であり介護労働者の賃上げに使われる保障はない。「雇用創出対策費」の追加も3084億円にすぎない。

省庁は「干天の慈雨」

 第六に、族議員・省庁にとっては恵みの雨が降ってきたということである。単年度では消化困難なほどの予算が計上されてしまったので、総額4・3兆円(うち自治体向けは2・1兆円)にのぼる46種類もの基金が作られる。うち30が新設であり、補正でこれだけ多くの基金を設けるケースは異例のことである。これらの基金は、数年にわたって使うことになっており、憲法第86条や財政法第11条の予算単年度主義を形骸化させる懸念も強い。一方、政府は、国が基金を造成するのではなく自治体や特殊法人などが基金を造成するために要する経費について予算措置を行うものであるし、今年度に国からの支出を行うことを予定しているので、予算単年度主義には反しないとしている。しかし実際は、省庁が国会の審議を経ず数年にわたりある意味で自由に使えることになり、基金の使途や効果に関するチェックが不可欠である。実は、基金など複数年度にわたって使うものをその時々に配分すれば、補正に伴って新たに発行する国債の利払い費768億円も不要になる。

 しかもあわてて要求したので、省庁側の準備不足が目立っている。職業訓練の実施に向けた準備状況は、「走りながら考える」(舛添厚生労働相)ものであるし、「エコポイント」導入や、介護職員の待遇改善も、補正予算案提出時には細部は詰まっていなかった。基金名が未だ仮称のものもあるし、事業の実施団体が決まっていない基金もある。

 さらに、自衛隊の海賊対策費や、「社会保障カード」の導入、街頭防犯カメラ、拉致問題関連情報の収集経費まで、もっけの幸いとばかりに予算が付けられている。

ツケは国民に

 問題はこの占拠対策の大盤振る舞いのツケは国民に帰るということである。今回の大盤振る舞いの財源は、経済緊急対応予備費から8500億円、「霞が関埋蔵金」である財政投融資特別会計財政融資資金勘定から3・1兆円を繰り入れるほかは、建設国債・赤字国債に頼ることになり、国債の追加発行額は10兆8190億円(建設国債7兆3320億円、赤字国債3兆4870億円)となっている。一般会計の総額は補正によって102兆円を超えるが、税収を上回る44・1兆円が国債であり、歳入に占める国債発行額の割合は43・0%と、戦後最悪になる。

 今回、政府は、今年度の実質成長率の政府経済見通しを当初の0%からマイナス3・3%へと大幅に下方修正した。しかしこれに伴う税収の減額補正はなされていない。政府は、09年度税収を見積もる上で、土台となる08年度税収の決算が確定していないこと、09年度における課税実績の状況も明らかでないこと、使用可能な経済指標が限られていること等を理由にあげているが、すでに08年度の国の一般会計の税収が補正予算を3年連続で下回ることはほぼ確実になっており、09年度の税収も30兆円台後半から40兆円台前半に落ち込むのは間違いない。税収の減額補正をしないのは、国債発行を小さく見せるための「粉飾」といってもよく、実際の国民負担はさらに増えることになる。

 また、今回、国直轄事業への地方負担金の問題が明るみになったこともあり、地方が「無い袖は振れない」とばかりに国の対策にはつきあえないと声が大きくなった。そこで、地方への配慮として、地域活性化・公共投資臨時交付金1・4兆円と地域活性化・経済危機対策臨時交付金1兆円が交付されることになった。本来、地方交付税を抜本的に増額するとともに、直轄事業負担金を廃止すべきであって、うるさいから一時しのぎの金をばらまくのはおかしい。

 しかも今回の国の補正予算に伴う公共事業、施設費等の地方負担額は1兆4426億円と試算されているが、全額将来の地方交付税で措置されるとはいえ、補正予算債という地方の借金が増えることになる。

 最終的に、この史上最大規模の対策のツケは、将来の消費税率引き上げで国民が払うことになる。麻生首相は「景気回復後、消費税を引き上げる」と述べており、与謝野馨財務・金融・経済財政相も「たくさん(お金を)使ったので、それを取り戻す必要がある」と発言している。昨年末に定めたばかり「中期プログラム」を改訂する方針も明示され、財政赤字の削減にも消費税を充てる可能性が出てきた。

政権が替われば、税金の使い方が変わる!

以上、見てきたように、今回の補正予算は、内容的には、「大洪水よ、わが亡きあとに来たれ!」とばかりに、国民の血税を政権延命のためにばらまく、国家予算を使った選挙向けの「大型買収」ともいうべきものである。消費税増税を許さず、格差是正に視する内需拡大、社会保障制度の再生、環境分野をはじめ将来を見据えた産業育成と雇用創出に向けた、長期的視野に立った制度改革や根本からの政策転換を実現するためにも、今度の総選挙が重要な分岐点となる。


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