HOME政策>総合的な経済対策について(社民党政策審議会コラム)

社民党の政策

総合的な経済対策について(コラム)

08.9.1
社民党政策審議会コラム
 

現在の物価高騰について一番大事なのは、輸入品の価格上昇と、中小企業・消費者の「痛み」の拡大をなんとかすることであり、国産品中心・自給率向上を進めていくこと、省エネ・自然エネルギー重視にすること、この間企業の利潤が増える一方で大きく抑制されてきた賃金を増やすこと、格差の是正策を講じること、個人消費を拡大し内需主導型の経済構造に転換していくことです。すなわち、これまでの路線を転換し、個人消費と内需を力づける緊急対策を行うとともに、弾みがついてしまった格差拡大と貧困化に歯止めをかけるために、セーフティネット(安全網)を強化することが必要です。

とりわけ高齢者層・所得の低い層をはじめ生活弱者への対応も急務です。そこで、社民党は8月27日、景気減速と物価高騰などにより国民の“痛み”が拡大していることを受け、所得税と住民税から一定額を差し引く「定額減税」の実施や、食料品にかかる消費税の払い戻しなど、内需拡大・生活改善のために新自由主義「構造改革」路線や外需依存経済からの転換を求める「9兆円規模の緊急経済対策」を「生活・地域の底上げ宣言」としてまとめました

▼今回の経済対策をどう評価するか

小泉政権以来の「構造改革」は、日本の競争力を強化することを目標に、リストラや賃金コストの切り下げを進め、輸出中心・外需依存の成長を遂げた。日本の超低金利政策と米国債購入による円マネーの供給拡大がアメリカのドル体制を下支えし、世界的マネー過剰と投機を促した。

しかし、円高・ドル安による競争力の低下で外需依存経済が打撃を受け、サブプライムローン問題で露呈した住宅バブルが破裂し、投機資金が原油や食料など輸入原材料にシフト、ドル安とも相まって、コストプッシュ型の物価上昇が進行している。

2002年2月からの6年にも及ぶ「景気回復」は、国民生活を犠牲にした経済成長であり、構造改革によって格差が社会のあらゆる分野に拡大するとともに、賃金は下降の一途、社会保障費に焦点を絞った経費抑制で国民生活に耐えがたい「痛み」を強いている。特に勤労世帯の年収は9年連続で低下・停滞し、個人消費が縮小・停滞している。まさにこの間の景気回復は国民に「実感のない」大企業中心の「リストラ景気」であり、GDPの6割近い個人消費は縮小し、家計と中小企業にしわ寄せしてきた。

したがって、市場競争原理万能論の新自由主義「構造改革」路線の転換が不可欠であり、大企業の輸出依存から内需・国民生活重視の経済運営へ変えていくことが求められている。

社民党は、
(1) 地域経済や農林水産業、福祉・環境の重視へ、
(2) GDPの6割近くを占める国内個人消費の活性化へ、
(3) 格差の是正・所得再分配の強化=一番「痛み」を受ける層への配慮を目指して、
景気減速と物価高騰に対する内需拡大・国民生活改善のための9兆円規模の緊急対策として、「生活・地域の底上げ宣言」をとりまとめた。

一方、政府の総合経済対策は、そうした本質、「改革路線」は推進しながら、一方で総選挙対策のバラマキを行おうとするものである。

まずは、“痛みの伴う「改革」に耐えて頑張れば将来良くなる”や、“企業が良くなれば国民生活に果実が回ってくる”などという、この間の政府・与党の政策が誤りだったことを認めるべきではないか。

政府案で弱いのは地方財政である。来年度の地方交付税を減額要求で算定しているが、地域で身近な福祉や医療、教育、生活支援を行うのは自治体の枠割り。きちんと国の責任で支えていくべきである。社民党は、この間5兆円以上削減されてきた地方交付税について、削減分の復元(当面2兆円)を行い、地域医療・介護、福祉、教育(耐震構造化含む)の充実強化、低所得層の学校給食費支援、赤字路線などの生活交通対策、全国7878の限界集落対策などを行えるようにすべきだと主張している。

▼低所得者向けの対策について

身近な物価が上がり、とくに所得の低い人は苦しくなっている。こういうときこそ頼りにしたいのが「公」の支えである。物価高で一番困っている中低所得者を救う視点がなければならない。

社民党は、

(1) 所得税・住民税の定額減税の実施(3兆円) 
<格差是正のため定率減税ではなく定額減税に変更>

(2) 4万円を限度に、年収・所得に応じて、年1回支給する、
飲食料品に係る消費税額戻し金方式(1.2兆円)

【給与所得266万円(収入400万円以下の世帯)まで】
・夫婦子2人平均世帯 =4万円全額を給付

【給与所得780万円(収入1000万円の世帯)まで】
・夫婦子2人平均世帯 =2万円を給付

予算規模は1.2兆円を提案した。

規模は別として公明党の主張する定額減税の提案を応援したい。

また、まじめに働けば食べていける、という当たり前のことを実現することで、安心と希望をもっていただくことが必要。年金の物価スライドの実施や非正規の正社員化支援(1人年額24万円×100万人=2400億円)を進めていきたい。

立て直しを迫られている年金も医療も雇用対策などに力を入れることも必要だ。

(その他)
○年金控除の縮小、老年者控除の廃止などこの間切り下げられた控除を復元する。

○低年金者・生活保護世帯への物価スライド分の上乗せをはかる。

○寒冷地における高齢者、障がい者、一人親家庭、低所得者等への灯油代支援のため、「福祉給付金」にならい、臨時特別給付金を給付する。

○公共住宅の整備・充実を図る。家賃補助制度を充実するとともに、都市機構住宅(旧公団住宅)家賃値上げを中止する。

○生活保護の捕捉率を向上させる。

○労働者派遣法の一般業務の登録型は禁止し、常用型労働へ転換する。特に、「日雇い派遣」は違法なケースを根絶する。

○中小企業に充分な配慮をしつつ、最低賃金を引き上げる(時給1000円)。

○フリーターやニートなど若者の就労対策、適職選択の支援を強化する。企業での実習、教育訓練を受けるとともに、正規雇用への円滑な移行を目的とする「インターンシップ(体験入社)制度」を普及する(企業向け助成措置を強化)。

○技能アップに直結する失業給付にかかわる訓練延長給付の適用や無利子の「能力開発ローン制度」の創設を図る。

○一定所得以下の家庭の子どもの給食費、学用品、修学旅行費等に係る就学援助予算を充実する(準要保護児童生徒に対する国庫補助の復活も含めて検討)。公的奨学金制度を大幅に拡充する。具体的には、大規模な給付型奨学金制度の新設や、貸与型奨学金の無利子化をはかる。返還中の貸与奨学金について、金利分の一部を免除。

▼経済対策に必要な財源をどう確保するか

(1)もともと国民の財産である特別会計の積立金・剰余金といった余剰資金(霞が関埋蔵金)40兆円から当面4.7兆円の活用をする、

(2)不公平税制の是正を進め捻出される財源を充当(バブル期より2倍の利益増で空前の利益を上げながら減税されてきた法人税減税の復元:2兆5000億円、減価償却減税5100億円、租税特別措置の見直し、高額所得者の所得減税2600億円の廃止等で年4兆円超)する、

(3)道路特定財源の一般財源化で生まれる財源を充当(当面2兆円)すれば、

約11兆円が生み出され、赤字国債にも、消費税の引き上げにもよらずに財源が生まれる。
中期の財政見通しでは、2011年度までの5年間で14.3兆円という大幅な歳出削減を前提にしても、なお、借金の利払い費以外の歳出を税収で賄う基礎的財政収支は3.9兆円の赤字になる。政府・与党は、国と地方の基礎的財政収支の2011年度黒字化という政権公約を破棄するのかどうか。

そのほか、防衛予算・米軍への思いやり予算・公共事業費など歳出の無駄をなくしていくことも。

▼財政再建と経済対策のバランスは

“財政は黒字になったが、国民生活は赤字になった”、“税金だけ取って何もしないのが一番いい財政”というのでは、本末転倒である。国民生活を支えるところに、財政の役割がある。財政再建は必要だが、国民の暮らしに気を配りながらすすめるべきだ。

こうした財源を活用し、緊急に対策を打ち、国民の生活不安が少なくなれば、個人消費の増加で企業の生産活動なども高まり、税収増となって国家財政にも波及し、国民、企業、国ともに好循環をもたらすはずである。国民生活支援策、GDPの6割を占める個人消費を支える政策が必要だ。

 

(関連リンク)
政策生活・地域の底上げ宣言 9兆規模の緊急対策
政策インフレ不況 バブル期待清算し個人消費に力を
神野直彦東大教授講演「日本の社民主義の未来」;原材料費高騰の背景
政策森永卓郎さん(経済アナリスト)に聞く 消費税大増税は本当に必要か
政策「安心の財政再建プラン」の実現 (コラム)
特集浜矩子(エコノミスト)の世の中に“喝”
特集始まった世界経済危機 景気失速とインフレ(経済コラム)

 

HOME政策>総合的な経済対策について(社民党政策審議会コラム)