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社民党の政策

有害情報サイトの規制に当たっての考え方

2008.6.2
社会民主党
  1. インターネット上のいわゆる有害情報から青少年を守るための方策は喫緊の課題である。一方、情報に関する規制は、憲法21条の保障する表現の自由の問題である。法制化が表現活動に悪影響を及ぼす懸念があることから、ただちに法規制が適切な手段なのかは疑問が残る。あくまでも情報の有害性の判断は、時代、文化、社会、個人による主観的な要素によって異なることから、情報の内容を公権力が決めることがあってはならない。
  2. しかし、現在、議論されている法律案については、以下の点が懸念される。

    • 定義の仕方によっては、公権力の介入を招きかねない。
    • 有害情報の定義ができれば、流通や閲覧の制限に留まらず、表現内容そのもの規制に拡大しかねない。
    • 表現にかかわる公的な規制が萎縮効果をもたらし、闊達な情報流通を疎外するのみならず、健全な市民社会の発達を疎外する。
    • 2010年の成立を目指し、「情報通信法」が準備されているが、統合的に管理されたメディアに同様の規制が広がるおそれがある。実際、すでに、法的根拠のない行政指導により、プロバイダーが利用者に無断で、情報を削除する等、過度の自主規制が生じている事態からすれば、今後、「情報通信法」等の整備により国の規制がさらに及ぶこととなることもあわせて考える必要がある。
    • 民間の「指定機関」と政府の関わりが多くなれば、サイトの有害性を判断する民間の第三者機関は政府の出先機関化する恐れがあるが、国が関与するのは、事前検閲にもなりかねず、「表現の自由」の観点から問題である。また、国が関与する団体が情報選別の仕組みに権限を持ちうる限りは、国による実質的な情報統制にほかならない。
  3. したがって、青少年のためにインターネット上のコンテンツについて配慮が必要であるものの、直接、間接に関わらず、国がコンテンツの内容にかかわる問題に関与したり、行政が改善命令に関与したりすることがありうることは認められない。基本的には業界団体の自主規制に任せるべきである。現在、業界では第三者機関の設立に向けての準備や、民間で自主的に青少年の保護に努め、社会全体での啓発活動をさらに進めていこうという動きがある。青少年を有害情報から守るための実効性のある手段については、行政関与を認めず、民間による自主規制を基本とし、フィルタリングを含め民間の取り組みが発展するように、民間事業者の努力を国がサポートする仕組みをつくることの方が重要であると考える。
  4. その際、以下の点に留意すべきである。

    • 「違法情報」、「違法な情報」、「青少年有害情報」に関するプロバイダの義務の整理が不十分であり、過度の自主規制を生ずる恐れや、逆に規制の抜け道、海外ホスト等の対応が不明である。
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    • 「青少年閲覧防止措置」(削除またはゾーニング)規制は、実質的に成人にも影響が及ぶ可能性がある。性同一性障がい者や性的指向など少数者の情報発信や意見交換が制限されるおそれがある。
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    • フィルタリング等、監視ソフトウエアの性能は十分でなく、実効性が疑わしい。
  5. 民主党案について付言すると、もともと、民主党案は、目的、定義、基本理念等、「民間における自主的かる主体的取組」に基軸が置かれていることから、行政の関与、(主導)を軸とする与党案とは、一応、表現の自由への配慮を示し、一線を画していると言える。とはいえ、民主党案にも以下のような心配が残る。

    • 行政の関与を限定的にしているものの、フィルタリングがシステム的に不安定であり、「健全情報」も排除するケースがあり、実質的な表現規制を生ずる懸念があるため、「表現の自由」への侵害の危険が、「成果」よりも重くなる可能性がある。
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    • 基本理念にある“基本理念にのっとり、子供が安全に安心してインターネットを利用することができるようにするための施策を策定し、及び実施する責務”については、行政の指導、主導を導かぬ担保はどうか?
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    • “フィルタリング”の精度等、実効性に不安定要素があり、ゾーニングした場合、一般の通信が疎外される確率割合はどうか?(現行のメールフィルタリング機能でも、通常のメールが拒否、削除される例がある)
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    • 現在のフィルタリングシステムをそのままの運用でも構わないのか?
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    • 情報流通を妨げぬ技術的方策はどうか?
  6. したがって、技術的完成が担保されぬ限り、民主党案も危険をはらむと思われる。いずれにしても、「情報流通」、「表現の自由」を疎外しない、「有害」に該当しない情報への保護が技術的に担保され、「健全」情報流通を疎外せぬ「機能」が完成した後の施行とすべきでないか。
  7. なお、青少年特での参考人質疑では、表現の自由や、プロバイダの責任の研究者、技術的専門家など招致されておらず、審議が不備と言わざるを得ないことから、拙速に取り扱うのではなく、一層の議論を求めたい。

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