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人間らしい働き方の実現のために

人間らしい働き方の実現のために

 働いても、生活保護の水準以下の収入しか得られないワーキングプアが急増しています。取りあえずの生活費を稼ぐことが精一杯で、職業訓練を受けたり転職活動をしたりする余裕を持てないため、生活状況の改善が難しい状況にあります。従来では母子家庭や、不採算な自営業者の問題でしたが、近年では長期不況で失職した中高年世帯や非正規雇用者が増えている若年層においても増加し、社会問題化しています。

 その背景には労働分野の規制緩和があります。労働基準法の改定、労働者派遣法の原則自由化など規制緩和が繰り返され、経費節減のため雇用の調整弁として非正規雇用への置き換えが急激に進められた結果、非正規労働者はいまや1890万人におよび全雇用労働者の35.5%と過去最高に達しています。偽装請負、残業代未払いなどの違法状態は蔓延し、不安定就労と低賃金が広がり、若者を中心に、特に教育訓練の機会がない労働者が貧困に固定化されています。

 一方、正規労働者においても、賃金が低下し、長時間労働が拡大しています。十分な権限も報酬も得ていないのに管理職扱いされて残業代を支給されない「名ばかり管理職」の問題をはじめ、成果主義・能力主義の激化によって、職場は社員の競争と評価の場と化しています。安易な配転や解雇、職権を利用した嫌がらせやいじめ、不払い残業や長時間労働などが横行し、多くの働く人びとが過度の精神的ストレス、うつ病、過労死、過労自殺などに追い込まれています。まさに「雇用破壊」といわざるを得ません。

 ところが、経営者団体は、さらに長時間労働や残業手当の不払いを認証する「自律的労働時間制度」(日本版ホワイトカラー・イグゼンプション)や一定の金銭で解雇を合理化する制度を検討しています。労働者を守る労働関係法令(労働基準法、労働組合法など)も危機にさらされています。

 社民党は、人間らしい労働と生活を実現するために、労働の規制緩和に歯止めをかけ、雇用のセーフティネット(安全網)をきちんと張り、格差と貧困の拡大に終止符を打ちます。

1、不安定雇用に歯止めをかけます

 有期雇用、細切れ契約の横行など不安定な雇用に歯止めをかけ、ワーキングプアを解消するために、労働法制と労働政策を抜本的に見直します。雇用は「期間の定めのない雇用」が原則であり、有期雇用を含む非正規雇用は合理的な理由がある例外的場合に限定されるべきであることを原則とします。

2、労働者派遣法を抜本的に改正します

 労働者派遣法を抜本改正し、派遣業種を限定します。日雇い派遣・登録型派遣を原則禁止します。ピンハネを規制し、違法派遣には企業に直接雇用の責任を負わせるなど、派遣労働者の権利を保障します。

〔改正のポイント〕

@労働者派遣対象業務を見直し、登録型派遣は専門的・一時的・臨時的業務に限定します。

A常用型派遣を基本とし、日雇い派遣は禁止します。

B派遣料金のマージン率の上限規制と情報公開の義務を設けます。

C派遣先と派遣元の責任を強化し、双方の責任を明確にします。

D常用型派遣でも特定職場での派遣期間の上限は1年間とします。

E派遣労働者保護の実効性を確保するため、派遣先での直接雇用の「みなし規定」を設けます。

F均等待遇の原則を徹底し、派遣労働者の労働条件の改善に努めます。

3、労働契約法などを改正し均等待遇原則を確立します

 パートタイマー、アルバイトなど、多様な雇用・就労形態が拡大しています。労働者の権利を明確にし、雇用の安定と公正な労働条件を確保することは急務です。「同一価値労働・同一賃金」原則にもとづいて、パート労働者等の均等待遇原則を確立します。

@「パートタイム等労働者と通常の労働者との均等待遇の確保等に関する法律」をつくります(現行の「短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律」を改正して実現)。法案には、賃金その他、労働条件に関する通常の労働者との差別的取り扱いを禁止する、均等処遇を前提に、ライフスタイルにあわせてフルタイム、パートタイム労働の双方向の転換を可能とする、違反した事業主が厚生労働相の勧告に従わなかった場合はその旨を公表する、などを盛り込みます。

AILOの175号パート労働条約を早期に批准します(ILO175号パート労働条約:パートタイム労働は労働者が自由に選択すべきものである、労働者の権利と労働条件は比較しうるフルタイム労働者と均等とすべきである)。

B同一または同等の労働であるにもかかわらず雇用形態の違いによって、賃金などの労働条件に差違が生じないよう、労働契約法を改正し、すべての労働契約における労働条件の均等待遇を実現します。

4、最低賃金を時給1,000円以上に引き上げます

 最低賃金で働いた月収(1日8時間、22日労働)と、18〜19歳の独身者の生活保護限度額(生活費と住宅費)の都道府県平均を比べると、東京や神奈川、大阪など11都道府県で生活保護の方が上回っていたことがわかりました。(厚労省、2004年度の調査)働いても生活保護より安い賃金しか得られないワーキングプアの要因はここにあります。

 日本の最低賃金は全国加重平均額で1時間当703円です(2008年10月31日)。英国1,096円、フランス1,162円(2006年)に比べ低すぎます。

 憲法25条の生存権の保障、ワーキングプアの解消、格差の是正の観点から、社民党は最賃の底上げをはかります。

@全国一律(ナショナルミニマム)の最低賃金を最賃法で定め、地域別最賃は、全国一律最低賃金に上乗せする方式に変更する。最低賃金を段階的に引き上げ、時給1,000円以上にします。

A地域別最賃を決める都道府県別の審議会に民意が反映されるよう、その在り方を見直します。

B産業別最低賃金制度は、継承・発展させます。

C職業別設定賃金制度の導入について検討します。

5、雇用保険の有効活用を図ります

 労働者のセーフティネットである雇用保険制度の充実と安定化をはかります。2007年政府は、雇用保険の積立金残高を理由に、雇用保険への国庫負担55%削減を行い、さらに財務省は09年度予算では国庫負担の廃止を主張しています。しかし、4兆9千億円余(08年度予算)の積立残高に示された雇用保険財政の好転は、この間の保険料率の引き上げや給付率削減など、受給者、受給額を絞り込んだ結果です。政府の雇用政策の責任放棄を許してはなりません。社民党は、雇用保険の受給要件の拡大、職業訓練との連携強化等を実現し、雇用保険制度を有効に活用します。

@雇用保険への国庫負担削減を行うのではなく、給付の改善を図り、若者、短期間労働者や高齢者への就労支援などを行います。

A2007年の雇用保険法改定で、自己都合の退職者について厳しくなった受給資格要件を加入期間6カ月に戻します。(現在は加入期間1年)

B2007年に「日雇い雇用保険」は日雇い派遣労働者にも適用が拡大されました。しかし、保険申請に必要な被保険者手帳の交付が非常に制限されています。「日雇い雇用保険」の弾力的な活用拡大をはかり、貧困防止につなげます。

C雇用促進住宅について、安易に譲渡・廃止するのではなく、地域の公共財として活用をはかります。転居困難な居住者が住み続けられるよう手当を行います。

6、長労働時間、不払い残業に対する規制を強化します

(1)長労働時間、不払い残業に対する規制を強化、「名ばかり管理職」を根絶

不払い残業等の強要に象徴される不法行為根絶に向けた監督・検査体制の強化および長時間の時間外労働や休日労働に対する実効ある法規制を進めます。「名ばかり管理職」を根絶します。

(2)ワークシェアリングを推進

@均衡・均等待遇原則に基づくワークシェアリング(仕事の分かち合い)を根づかせるための公的支援策を整備します。

Aワークシェアリングにより雇用を創出し、横暴なリストラや過労死・過労自殺などを防止します。

(3)残業代の割増率を25%から50%に引き上げます

(4)日本版ホワイトカラーイグゼンプション(残業代ゼロ制度)の導入は反対

 経営者団体は、労働時間法制(労働基準法)を見直して、米国のホワイトカラー・イグゼンプションを模した「自律的労働時間制度」を導入するよう要望しています。現在、管理職は、時間外の割り増し賃金の支払い対象から除外されていますが、同制度は、それを研究開発職や企画職のような本人裁量で時間管理をしているホワイトカラー層にまで広げようというものです。労働時間の制限はさらに後退し、割り増し賃金の不払い制度は認証され、過重労働が拡大する恐れがあります。さらに、日本ではブルーカラーにも適用の範囲が拡大されかねません。社民党は同制度の導入を阻止します。

7、雇い止め、短期反復雇用を制限し、
雇用の継続を保障します

(1)解雇の制限ルールの確立

@判例法上の整理解雇に関する「4要件」(1整理解雇の必要性 2整理解雇を回避するための努力 3整理解雇の対象労働者の選定基準の合理性 4対象労働者・労働組合への説明・協議)を雇用者に厳守させます。

Aさらにこれらに加え、5「雇用創出型のワークシェアリング」(時間外・休日労働の削減、所定労働時間の削減方法によって、ワークシェアリングを実施し雇用を確保することを使用者に義務づける)を新要件として追加します。

(2)解雇予告制度の拡充

@予告期間は現行労基法第20条の「少なくとも30日前」としている原則を完全履行させます。

A当該労働者の「勤続年数に比例した解雇予告期間」の保障に取り組みます。

(3)実効ある年齢差別の禁止

@雇用対策法第7条を改正し、募集・採用における年齢差別を禁止します。

AILO111号条約(雇用及び職業における差別待遇)を早急に批准します。

(4)再雇用についての配慮

使用者が、法的に有効と認められる整理解雇を行った後に、新たな労働者の雇い入れを行う場合には、整理解雇によって退職した労働者の中で「退職時に再雇用を希望する旨」を申し出ていた労働者について、優先的に雇用する「特別の配慮」を使用者に義務づけます。

(5)雇用を継続するための「配置転換・出向」についてのルール化

リストラ目的の人事異動において、雇用を失ったり、あるいは「意に反する配転」をもたらすことのないように、「配置転換・出向」制度におけるガイドラインの制定を図ります。

8、非正規労働者の社会保険
(年金、健康保険、雇用保険など)適用を拡大

@条件を満たしているにもかかわらず、労働者を社会保険に加入させないという、違法、脱法的な社会保険未加入者をなくします。

A非正規雇用労働者の社会保険制度の加入適用を拡大します。

9、利用しやすく効果の高い
職業教育・職業訓練制度を確立

@ハローワークの機能を抜本的に強化し、再就職支援が必要な求職者ごとに処方箋を示し、きめ細かな職業相談・職業能力開発・職業紹介サービスを一体のものとして提供できるマンツーマン的な「個別就職支援システム」を整備します。

A仕事と人を結びつける人材の養成・確保するとともに、NPOなどを活用します。

B公共職業訓練校の訓練内容等の大幅拡充・改善を進め、再就職に向けステップアップできる技能取得の「再教育機関」としての機能を強化します。

C地域の特性を活かした産業と雇用対策が相互に連携をとれるように、地域産業、自治体、国、民間などが集まる協議会の設置を検討します。

10、若者の雇用に積極的に取り組みます

(1)若者の仕事をつくります

自治体が発注する事業入札について、若者の正社員比率の高い企業を優先させる制度をつくります。

(2)職業体験、職業訓練、キャリアアップ、職業紹介、起業の機会を充実

@高校中退者、就職氷河期の若者への対策を行います。

A失業保険による職業訓練の対象を拡大することを検討します。

(3)若者の仕事よろず相談所の開設

職場での悩み、求職、職業訓練など、若者の仕事に関する総合相談窓口を設置し、専門員によるコンサルティングを含め、きめ細かな対応で雇用に結びつけます。

(4)若者の経済的自立に向け総合的にバックアップ

若者の経済的自立への総合的な取り組み(住宅、生活資金貸与、子育て支援など)を推進します。

11、雇用の男女平等と
ライフ・ワーク・バランスを推進します

@男女共通の労働保護規制(長時間・深夜労働等)とライフ・ワークバランスの実現に取り組みます。

A育児・介護休業法の改正(非正規労働者に適用を拡大、休業給付40%を60%に)を行います。

B男女雇用機会均等法の改正(ポジティブ・アクションの導入、間接差別の限定を解除)に取り組みます。

12、障がい者の就業機会を拡大します

@国、地方公共団体、民間企業に課せられた障がい者の法定雇用率を早期に実現させます。

A最低賃金と障がい者の賃金の差を税金で穴埋めする「保護雇用制度」(例えばスウェーデン)、企業から障がい者グループに委託された仕事を企業の法定雇用率に換算できる「見なし雇用制度」(例えばドイツ、オランダ)を検討します。

B障がい者の就業機会の増大および就業率の向上に結びつくよう、都道府県、市町村の「地域障害福祉計画」を策定します。

Cジョブコーチを増やし、障がい者が職場で活躍できるよう援助を強化します。

13、働く者の権利を学ぶ教育を確保します

@学校教育のなかに、労働基本権に関する学習を組み込みます

A労働行政、社会教育などにおいて、労働基準法や労働組合法など、労働者の権利と雇用者の義務を知らせる教育機会を保障します

14、労働安全衛生対策・メンタルヘルスケアを充実します

@労働者の健康を保持するために、健康診断、治療はもとより、メンタルヘルスケアの充実、休養の確保、職場環境の改善に取り組みます。

A非正規労働者の雇用保険加入の促進、元請けの責任を明確化することで、労働者の労働安全対策と労働災害補償を行います。

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