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社民党の政策

労働者派遣法の抜本改正に向けて

労働者派遣法の抜本改正に向けて(案)

※現時点での案ですので、さらなる検討を重ねています。
2008年2月13日
社民党記者会見資料

1,深刻な雇用劣化

 偽装派遣、二重派遣、危険業務や建設業・警備業など禁止業務の派遣、派遣元の不透明なマージン率、法的に根拠のない管理費などの賃金天引き…。2007年は、派遣労働、特に「日雇い派遣」について、法令違反が蔓延化し、悪質かつ根深い問題があることが表面化した。ついに、日雇い派遣大手「グッドウィル」は事業停止処分に追い込まれた。

 雇用劣化の弊害は、ワーキングプア、貧困化を増幅し、働く人々の生存権を侵害する所まできている。

2,働く人々の生存権を保障するために抜本的な改正が必要

 労働政策審議会の労働力需給制度部会は、労働者派遣法見直しの議論を行っていたが、規制強化を求める労働者側と、より一層の規制緩和を主張する使用者側とが対立し、昨年中に結論を出すことができなかった。厚労省は、1月25日に、日雇い派遣の規制を強める指針と省令で対応することを決めた。

 社民党は、当面、省令・指針の徹底と、日雇い労働保険の適用を強く求める。しかし、これらは応急処置的な対応に過ぎない。働く人々の生存権を保障するためには、派遣対象業務の範囲の見直し、一般業務の登録型の禁止(特に日雇い派遣の根絶)、派遣先・派遣元の使用者責任の強化、マージン率の規制など、抜本的な改正が必要であると考える。

3,問題の背景

(1)なし崩し的に進められた規制緩和−「労働者派遣」とは何か、根本的な議論が必要

 労働者派遣法が制定される当初、政府は派遣労働者は「常用型派遣」のみとする案を検討していた。しかし、1985年法律制定(86年施行)時は、派遣の対象業務は「専門性の高い業務」に限定されていたこともあり、充分な検討がなされないまま、「登録型派遣」(派遣会社に雇われるのではなく、仕事のあるときだけ雇用関係を結ぶ)が認められた。

 その後、経済のグローバル化のなか、人件費削減を追求する経済界の強い要請と政府の規制改革推進の動きがあいまって規制緩和が進んだ。1999年には製造業や建設業などを除いて、原則としてどんな仕事にも派遣が認められ、2004年には製造業も解禁された。

 戦後、「労働者供給事業」は、中間搾取を認めるものだとして、職業安定法で厳格に禁止され、刑事罰の対象となった。しかし、派遣労働が「一般業務」にまで認められたことによって、非常に不安定な、究極の細切れ雇用(一日単位の契約、単純作業)である「日雇い派遣」が一挙に拡大した。

・派遣労働者は、この10年間で、3.5倍増の255万人に増加
・常用型は24%、登録型は76%
・年収200万円以下の給与所得者は1022万人

(2)非正規労働者の権利が放置されてきた − 同一価値労働同一賃金の原則が必要

・経済のグローバル化、労働力の流動化は、先進国に共通する課題。欧州諸国では、非正規労働者の権利を守るための対策に力を入れ、弊害を少なくしてきたが、日本では放置されてきた。


4,労働者派遣法改正の検討課題

〔ポイント1〕 労働者派遣法改正について

(1)労働者派遣対象業務を見直す
・1999年の専門的な業務(26業務)に限定したポジティブリスト方式にもどす。
・専門26業務について、現時点で再度、専門業務リスト内容を精査する。

(2)常用型派遣を基本とし、日雇い派遣は禁止する
・一般業務の登録型は禁止し、常用型労働へ転換する
・特に「日雇い派遣」は根絶する。短期間の派遣は職業紹介に整理する。労働者派遣業は、派遣元会社が、労働者を「教育訓練」して、適正、能力などを勘案し最も適合した職場へ派遣するものであり、「日雇い派遣」は労働者派遣の形態とはいえない。

(3)派遣期間の上限を厳守
・派遣先にとって労働者派遣(一般業務)は臨時的・一時的な労働力の需給調整制度であり、派遣可能期間の上限は延長しない。

(4)派遣先の責任を強化する
・派遣先職場(就労場所)にいない派遣元使用者に、36協定、労働災害や事故の補償などの責任を負わせることは無理がある。労務提供に係わる使用者責任は一義的に派遣先とし、派遣先・派遣元に重複の規定をおく。

(5)派遣先と派遣元の両者に共同責任を負わせる
・労働安全衛生管理責任、労働災害や事故の補償責任などについては、派遣先・派遣元に重複の規定をおく。
・派遣元が報酬を支払わない場合は、派遣先に補充的な責任を認める。

(6)派遣元の責任を強化する
・マージン率(契約単価と賃金の差)の上限規制、ならびに情報公開を実施する。
・派遣労働者に対する教育訓練を義務付け、「日雇い派遣」のような「労働者供給事業」は防止する。

(7)直接雇用みなし規定を設ける
・期限上限を超えた派遣(一般業務)、禁止業務への派遣、偽装請負など、違法な派遣が行われていた場合について、派遣先の直接雇用と見なす規定を設ける。

(8)紹介予定派遣制度の見直し
・紹介後の直接雇用は期間の定めのない雇用とし、派遣就労時の労働条件を下回らないことを原則とする。派遣可能期間は、6ヵ月を超えてはならないことを条文化する。

(9)行政による指導・監督の強化
・一般労働者派遣事業の許可要件を厳格化する。
・法令違反に対する罰則の強化をはかる。

〔ポイント2〕 請負労働について
・請負であっても受け入れ事業者に使用者責任を負わせる。労働法規制によって規制されるべき請負が何ら規制されていないことが問題。

〔ポイント3〕 同一労働同一賃金原則の徹底
・正社員であれ、派遣社員であれ、同じ仕事に対しては同じ待遇を保障していく。

〔ポイント4〕 最低賃金の引き上げ
・07年11月、「生活保護との整合性に配慮する」ことを明記した改正最低賃金法が成立。中小企業に充分な配慮をしつつ時給を引き上げる。


(関連)
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社民党の労働政策;人間らしい労働

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