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社民党の政策

社民党の労働政策

社民党の労働政策

人間らしい労働

国際競争力を取り戻せ、利益のでる体質を強化せよ、という経済界の掛け声と並行して、90年代後半から、政府の「構造改革」による労働市場の規制緩和が強引に進められてきました。その歪みは、契約社員、パートタイマー、アルバイト、臨時社員、派遣社員、請負社員といった非正社員の急増・固定化とリストラによって減らされた正社員の労働強化に現れています。

長時間過重労働、成果主義・能力主義の激化、安易な配転や解雇、職権を利用した嫌がらせやいじめなど、職場環境の悪化で、正社員はうつ病、過労死・過労自殺と隣り合わせの状態におかれています。

一方、「均等待遇」という視点を欠いた多様な雇用形態の拡大によって、非正規社員は、低賃金で雇用の打ち切りが可能な労働力として、構造的に企業の底辺に組み込まれ、若者、女性を中心に自ら望んで非正規社員になったのではない層が増えています。雇用の二極化による所得格差の拡大によって、最低限度の生活を営めない勤労世帯、いわゆるワーキングプアの出現は深刻な事態です。さらに、正社員は長時間過重労働で、非正社員は働き続けることに将来の希望が持てないことから、仕事と家庭生活の両立が困難となり、日本は少子化から抜け出せない、あるいは社会保障制度が持続できないなど、社会不安の要因にもなっています。

このような状況にもかかわらず、経営者団体は、長時間労働や残業手当の不払いを認める「自律的労働時間制度」(日本版ホワイトカラー・イグゼンプション)や一定の金銭で解雇を合理化する制度を検討し、さらなる労働分野の規制緩和を進めようとしています。働く者を守る労働法制の基本原則が危機にさらされています。

人こそが富を生み出す源泉です。一刻も早く、働く人びとの命と健康、生活が脅かす「雇用破壊」を止めなければなりません。社民党は、働くことに誇りが持てる社会、自活して生活できる賃金が保障される社会、努力すれば報われる社会を目指します。均等待遇の徹底、ワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)の実現、性別役割分担の解消によって、人間らしい働き方を実現していきます。

(2007年選挙政策より)

1、パートタイム等労働者の均等待遇を確保する法律をつくります

パートタイマー、アルバイトなど、多様な雇用・就労形態が拡大しています。労働者の権利を明確にし、雇用の安定と公正な労働条件を確保することは急務です。「同一価値労働・同一賃金」原則にもとづいて、パート労働者等の均等待遇原則を確立します。

(1)「パートタイム等労働者と通常の労働者との均等待遇の確保等に関する法律」をつくります(現行の「短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律」を改正して実現)。

(法案内容)
・賃金その他、労働条件に関する通常の労働者との差別的取り扱いを禁止する
・均等処遇を前提に、ライフスタイルにあわせてフルタイム、パートタイム労働の双方向の転換を可能とする
・違反した事業主が厚生労働相の勧告に従わなかった場合はその旨を公表する

(2) ILO 175号パート労働条約を早期に批准します(ILO 175号パート労働条約:パートタイム労働は労働者が自由に選択すべきものである、労働者の権利と労働条件は比較しうるフルタイム労働者と均等とすべきである)。

2、使用者に都合のよい「労働契約法」に反対し、
労働者のための「労働契約法」をつくります

採用方法の多様化、成果主義の導入、非正規労働者の増加などにより、人事管理が非常に複雑化しています。これに加え、労働条件の引き下げや解雇の増加、企業組織の再編により、個別労使紛争が急増しています。しかし、労働基準法や労働組合法では、これらの変化に対応することができず、迅速な解決を望むことができないのが実情です。また、採用、内定、配転や転勤、出向、転籍、人事評価、退職・解雇などに関する個別労使紛争は、裁判所の判例が解決の基準の一つとされているため、解決結果を予測することも困難です。

今年4月から労働審判制度が始まりましたが、判例に頼る不安定性、不透明性を解決するためには、雇用契約の基本ルールを明確にする労働者のための新しい法律「労働契約法」が必要です。

現在、労働政策審議会(厚労省の諮問機関)では、来年の通常国会に向けて、「労働契約法」の検討が行われています。しかし、使用者側の意見は、1)労使委員会(過半数の従業員の代表)同意があれば、会社が就業規則を変更して賃金など労働条件を切り下げることができる、2)一定の金銭で会社が労働者を解雇できるなど、到底、受け入れることのできない内容です。

社民党は、労働者の権利を奪う使用者主導の「労働契約法」ついて、断固反対します。別途、雇用の安定と労働条件の明確化を図るために、「労働契約法」と「労働者代表法」をつくります。

3、長労働時間、不払い残業に対する規制を強化します

(1)不払い残業等の強要に象徴される不法行為根絶に向けた監督・検査体制の強化および長時間の時間外労働や休日労働に対する実効ある法規制を進めます。

(2)均衡・均等待遇原則に基づくワークシェアリング(仕事の分かち合い)を根づかせるための公的支援策を整備します。ワークシェアリングにより雇用を創出し、横暴なリストラや過労死・過労自殺などを防止します。

(3)時間外賃金割増率を引き上げます(50%引き上げを検討)。

(4)「自律的労働時間制度」(日本版ホワイトカラー・イグゼンプション)に反対します。経営者団体は、働かせ過ぎの職場環境を改善するどころか、労働時間法制(労働基準法)を見直して、米国のホワイトカラー・イグゼンプションを模した「自律的労働時間制度」を導入するよう要望しています。現在、管理職は、時間外の割り増し賃金の支払い対象から除外されていますが、同制度は、それを研究開発職や企画職のような本人裁量で時間管理をしているホワイトカラー層にまで広げようとしているのです。労働時間の制限はさらに後退し、割り増し賃金の不払い制度は認証され、過重労働が拡大する恐れがあります。また、日本ではブルーカラーにも適用の範囲が拡大されかねません。

4、雇用の継続を保障する法制度を充実します
(横暴なリストラ、雇い止め、短期・反復雇用を制限)

(1)解雇の制限ルールの確立

判例法上の整理解雇に関する「4要件」(1.整理解雇の必要性 2.整理解雇を回避するための努力3.整理解雇の対象労働者の選定基準の合理性4.対象労働者・労働組合への説明・協議)を雇用者に厳守させます。さらにこれらに加え、5.「雇用創出型のワークシェアリング」(時間外・休日労働の削減、所定労働時間の削減方法によって、ワークシェアリングを実施し雇用を確保することを使用者に義務づける)を新要件として追加します。

(2)解雇予告制度の拡充

1)予告期間は現行労基法第20条の「少なくとも30日前」としている原則を完全履行させます。
2)当該労働者の「勤続年数に比例した解雇予告期間」の保障に取り組みます。

(3)実効ある年齢差別の禁止

1)雇用対策法第7条を改正し、募集・採用における年齢差別を禁止します。
2)ILO111号条約(雇用及び職業における差別待遇)の早急に批准します。

(4)再雇用についての配慮

使用者が、法的に有効と認められる整理解雇を行った後に、新たな労働者の雇い入れを行う場合には、整理解雇によって退職した労働者の中で「退職時に再雇用を希望する旨」を申し出ていた労働者について、優先的に雇用する「特別の配慮」を使用者に義務づけます。

(5)雇用を継続するための「配置転換・出向」についてのルール化

リストラ目的の人事異動において、雇用を失ったり、あるいは「意に反する配転」をもたらすことのないように、「配置転換・出向」制度におけるガイドラインの制定を図ります。

5、職業能力のアップ、就労支援を強化します

(1)ハローワークの機能を抜本的に強化し、再就職支援が必要な求職者ごとに処方箋を示し、きめ細かな職業相談・職業能力開発・職業紹介サービスを一体のものとして提供できるマンツーマン的な「個別就職支援システム」を整備します。

(2)仕事と人を結びつける人材を養成、確保します。NPOなどを活用します。

(3)公共職業訓練校の訓練内容等の大幅拡充・改善を進め、再就職に向けステップアップできる技能取得の「再教育機関」としての機能を強化します。

(4)地域の特性を活かした産業と雇用対策が相互に連携をとれるように、地域産業、自治体、国、民間などが集まる協議会の設置を検討します。

6、非正規雇用労働者の社会保険制度
(年金、健康保険、雇用保険など)加入を積極的に推進します

(1)条件を満たしているにもかかわらず、労働者を社会保険に加入させないという、違法、脱法的な社会保険未加入者をなくします。

(2)非正規雇用労働者の社会保険制度加入を積極的に推進します。

7、最低賃金を引き上げ、すべての労働者の生活の安定を図ります

日本の地域別最低賃金の全国平均額は、時給673円です。フランスは1,148円、イギリスは1,039円、諸外国に比べ非常に低い水準(購買力平価換算)に設定されています。東京都の最低賃金(時給719円)で月150時間働いた場合、月の賃金は10万7850円ですが、20代単身で、生活保護を受けた場合、最低生活費として受け取る額は13万7400円です。日本の最低賃金の水準が、労働者が生活できる基準に達していないうえに、若者が自活できない額であることは明らかです。非正社員の賃金が地域別最低賃金を基準としていること、非正社員の比率が、すでに労働者3人に1人の割合に達していることを直視し、最低賃金を引き上げます。

(1)憲法25条にもとづく現行の生活保護水準を下限として、最低賃金の水準を大幅に引き上げます。

(2)ナショナルミニマムの基軸として全国一律の最低賃金制度を確立します。

(3)システムエンジニア、介護ヘルパーなど、技能職や専門職の賃金ダンピングを防ぐために、職種別最低賃金の設定を検討します。

(4)ILO第94号条約の早期批准を行うとともに、同条約に基づく、公契約法、自治体の公契約条例を制定します。国、自治体が民間会社に公共サービスの委託や、公共事業を請け負わせるにあたって、公契約の下で働く労働者に対する公正な労働基準を確立します。

8、若者の雇用に積極的に取り組みます

(1)自治体が発注する事業入札について、若者の正社員比率の高い企業を優先させる制度にするなど、若者の仕事をつくります。

(2)職業体験、職業訓練、キャリアアップ、職業紹介、起業の機会を充実します。高校中退者、就職氷河期の若者への対策を行います。能力開発や資格取得を国が支援する「教育訓練給付金」の対象拡大、内容の充実を図り、雇用保険料の積立金(06年度予算で約3兆3800億円)を活用します。

(3)職場での悩み、求職、職業訓練など、若者の仕事に関する総合相談窓口を設置し、専門員によるコンサルティングを含め、きめ細かな対応で雇用に結びつけます。

(4)若者の経済的自立への総合的な取り組み(住宅、生活資金貸与、子育て支援など)を推進します。

9、雇用の男女平等とライフ・ワーク・バランスを推進します

(1)男女共通の労働保護規制(長時間・深夜労働等)とライフ・ワークバランスの実現に取り組みます。

(2)育児・介護休業法の改正(非正規労働者に適用を拡大、休業給付40%を60%に)を行います。

(3)男女雇用機会均等法の改正(ポジティブ・アクションの導入、間接差別の限定を解除)に取り組みます。

10、障がい者の就業機会を拡大します

(1)国、地方公共団体、民間企業に課せられた障がい者の法定雇用率を早期に実現させます。

(2)最低賃金と障害者の賃金の差を税金で穴埋めする「保護雇用制度」(例えばスウェーデン)、企業から障がい者グループに委託された仕事を企業の法定雇用率に換算できる「見なし雇用制度」(例えばドイツ、オランダ)を検討します。

(3)障がい者の就業機会の増大および就業率の向上に結びつくよう、都道府県、市町村の「地域障害福祉計画」を策定します。

(4)ジョブコーチを増やし、障がい者が職場で活躍できるよう援助を強化します。

11、働く者の権利を学ぶ教育を確保します

(1)学校教育のなかに、労働基本権に関する学習を組み込みます。

(2)労働行政、社会教育などにおいて、労働基準法や労働組合法など、労働者の権利と雇用者の義務を知らせる教育機会を保障します。

12、労働安全衛生対策・メンタルヘルスケアを充実します

(1)労働者の健康を保持するために、健康診断、治療はもとより、メンタルヘルスケアの充実、休養の確保、職場環境の改善に取り組みます。

(2)非正規労働者の雇用保険加入の促進、元請けの責任を明確化することで、労働者の労働安全対策と労働災害補償を行います。

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