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大型洋上ハイブリッド発電。大規模洋上風力発電につづく、九大チームの更なるプロジェクト。

大型洋上ハイブリッド発電

大規模洋上風力発電につづく、九大チームの更なるプロジェクト。

100万キロワット級の大規模洋上風力発電の技術的研究を進めている九州大学とSCF(セカンダリカーボンファイバー)研究会(会長・太田俊昭九州大学名誉教授)が、洞爺湖サミット開催中の7月7日、これまでの風力発電に加え、太陽光発電も組み合わせたハイブリッド型の大型洋上発電システムを福岡市内の九州大学工学部で記者発表した。当日は記者発表の後、国土交通省の沿岸技術研究センターがSCF浮体技術の第3者評価を行なった。太田名誉教授は「今秋の中間報告、来年2月の最終報告で技術評価が得られれば、国に対し大規模洋上ハイブリッド発電の開発シナリオを申請する」という。

SCF研究会と九州大学の100万キロワット級の超大型洋上風力発電システムは、これまで引っ張りは強いが圧縮に弱く接合できなかったカーボンファイバー(CF)を、圧縮にも強く接合可能にした第2世代のカーボンファイバー(SCF)の誕生によって可能になった。比重7.85の鉄に対し、カーボンファイバーの比重は1.3と軽く、強度は鉄の10倍、しかも錆びないため、洋上での大規模建設が容易となった。

現在、SCF研究会と海洋研究開発機構(JAMSTEC)は、「しんかい6000」を上回る水深1万メートル以上の潜水耐圧能力を持つ次世代海洋調査艇の構造材として共同開発中。太田教授によると、「すでに6000メートル級実験はクリアし、来年には姿を現す」段階だという。

通常の3−4倍の発電能力をもつ風レンズ風力発電や魚の種類に合ったプランクトンを集める発光ダイオードの特許など、九州大学の各研究者が集まったSCF研究会がこれまで研究してきた超大型洋上風力発電は、直径100メートルに及ぶ超大型の風レンズや、それを支える直径600−800メートルの中抜き6角形トラス構造でセミサブ方式の浮体とそれを数10台繋ぎ合わせたシステムなどの建設が可能だが、SCF構造材を大量に製造する汎用ロボットの開発などに10年程度かかるという。

そこで大田名誉教授らは今回、待ったなしの温暖化対策のため、開発期間が短く、小型でも発電能力が高い風力・太陽光併用のハイブリッド型を提案した。

大型洋上ハイブリッド発電

まず第1段階の短期目標である「湖上ソーラー発電の開発」では、CG図のような直径60メートルの浮体2台の上に2基の風レンズ風力と太陽光のハイブリッド発電システムで、1メガワット(100万ワット=約300世帯分)の電力供給が可能だという。しかも、鉄筋コンクリートを使用する従来工法に比べ、超軽量・高強度で錆びないSCF構造材はコンクリートの使用量が5分の1の300トン以下で済むため、陸上で製造して重機で吊り下げて運べる利点がある。セメントも鉄筋コンクリート製に比べ5分の4減りCO2を80%削減できる。水力発電ダムの湖や淡水湖に浮かべ、特に電力需要がピークになる夏場の渇水期に有効な電力供給源として活躍することを想定する。水力発電ダムでは、すでに蓄電や送電施設があるため、開発経費は3−5年間の実証研究を含め7−12億円で建設可能で、発電コストは1キロワット5−7万円と格段に安い。

第2段階の「洋上ソーラー発電の開発」は、水深80メートル以下の海域で台風や高波による被害を防ぐ安全ネットを繋ぐ着床式プラットフォームを採用する。特許の発光ダイオードで魚の好物プランクトンを集めて養殖が可能になり、電力供給のみならず、海を蘇生し、漁業の振興に寄与できる。すでに担い手不足と燃料高騰に悩む福岡県内の漁協から引き合いがあるという。4−6年間の実証研究で開発可能という。

第3段階で中期目標である「大型洋上ハイブリッド発電」は水深1000メートル以下の海域で、洋上プラットフォームとして低コスト・長寿命の大型SCFコンクリート浮体を採用する。浮体上の大型風レンズ風車による風力発電と太陽光発電を組み合わせたもので、発電コストは1キロワット当たり10−15万円になるという。遠浅で岩盤が固い欧米で実用化している着床方式の建設コストが1キロワット40万円で、日本で検討されている鋼製浮体方式の1キロワット45万円と比べると、如何にSCF浮体の経済性が優れているかが分る。しかも、養殖など漁業関係者にも期待されており、海に囲まれた日本の地理的条件に適した再生可能エネルギーといえる。

大型洋上ハイブリッド発電・海中部分

SCF研究会による大規模洋上ハイブリッド発電の事業採算性の経済的シミュレーションによると、欧州並みに25%(2200億キロワット)を洋上ハイブリッド発電で賄う場合、10ヵ年整備計画で100万キロワットのハイブリッド発電プラント1基の建設費が約1267億円で、全国で85基建設(発電量2210億キロワット)した場合の総投資額は約11兆円となる。洋上ハイブリッド発電の逐次稼動による11年間の累積収入額は約11、8兆円で返済が可能。整備計画実施2年後から、毎年約2、1兆円の収益が得られるという。年稼働率を3分の1と想定し、石油0、5億キロリットル、CO2換算で約1、4億トン、つまり現在の輸入量の6分の1を節約できる計算となる。

再生可能エネルギーの積極採用でCO2削減を

2050年の温室効果ガス排出50%削減を、来年12月の国連総会(COP15)に先送りしたG8洞爺湖サミット。議長国・日本は、97年の京都議定書(COP3)を離脱し今回も目標を示さなかった米国と、国内経済界の意向を優先して基準年を明記できず、待ったなしの温暖化対策に何の役にも立たなかった。チェルノブイリやスリーマイル島の原発事故や高レベルの放射能を浴びた廃棄物問題などから脱原発が進むEUを中心に風力や太陽光発電など、各国が再生可能な自然エネルギーを積極的に導入してCO2削減を進めているのに対して、日本とフランスだけがいまだに原子力に固執している姿が異様に映る。

COP3では、先進国は1990年(一部は95年)を基準に温室効果ガス排出を2008年から2012年までに5%削減を義務化。昨年のバリ会議(COP13)では急激な温暖化防止のため先進国は90年比で25−49%削減が必要とされた。国連環境計画(UNEP)が7月1日発表した世界の再生可能エネルギーへの投資は07年度が前年度比で60%増加し1480億ドルを超えた。最大投資先が風力エネルギーの502億ドル。太陽光発電も急速に伸びて286億ドル。資金の流入先は1位欧州、2位アメリカで中国、インド、ブラジルへの投資額も急増している。持続可能エネルギーによる新規発電設備容量は31ギガ(10億)ワットで世界の新規発電設備容量の23%(原子力の約を10倍)を占めている。

世界の趨勢に逆らうように、日本政府のCO2削減策は原子力発電に偏っている。自民党案では2020年までに9基の原子力発電建設により1226.2万キロワットの電力と、年約5500万トンのCO2削減効果を謳い、その実現のために、これまで以上の原子力推進に向けた税制優遇、資金面での支援を明記する。1基1兆円以上といわれる原発関連予算はあまりに不透明でコストも高い。温暖化対策が待ったなしの今こそ、地球環境に安全な風力発電や太陽光発電など、再生可能エネルギーの本格的推進へ税制優遇や資金面での支援が待ったなしだ。

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