2013年参院選 選挙公約

5つの約束

約束 改憲を阻止し、憲法をいかそう

今、日本国憲法と日本社会そのものが危機に瀕しています。私たち社民党はその危機に真正面から向き合い、先頭に立って、また多くのみなさんと共に危機を打開していきます。

安倍首相はことあるごとに「戦後レジームからの脱却」を強調しています。「戦後レジーム」とは、先の大戦の反省に立ち、二度と戦争はしないという決意の下で生まれた、平和憲法を柱とする平和と民主主義の体制から脱却するという主張に他なりません。それはこの日本を、その時々の政権与党や権力者が自由に操作できる国に変えてしまうということです。まさに「日本を取り戻す」というのも、私たちから平和主義、国民主権、基本的人権を取り上げることであり、私たちの先輩が築き、今日まで受け継がれてきた、平和と民 主主義、そして基本的人権そのものが危うくなっています。

そして安倍首相は、憲法尊重擁護義務に違反し、改憲発議にかかわる憲法第96条の「改正」に取り組もうとしています。その先には、自民党の「日本国憲法改正草案」があります。集団的自衛権の行使の容認や国防軍の設置を提起し、また、「公益及??公の秩序」によって、「基本的人権」を制約できるようになっています。「戦争できる国」づくりを進めるため、第9条「改正」をはじめとした平和憲法の全面改定が狙われています。

立憲主義を破壊し、憲法第9条「改正」につながる、憲法第96条「改正」に反対します。平和憲法は変えさせません。幸福追求権や生存権をはじめとする平和憲法の価値を、現実のくらしと政治にいかします。

  1. 憲法改正の発議要件を緩和する第96条「改正」は、国家権力を縛るためにある「立憲主義の憲法」の本質を破壊するものであり強く反対します。
  2. 日本国憲法の「平和主義」、「国民主権」、「基本的人権の尊重」の三原則を遵守し、憲法の保障する諸権利の実現を第一として、国民の生活再建に全力をあげます。
  3. 日本国憲法は、21世紀の時代を先取りする価値を持っています。平和、福祉、人権、地方自治などの憲法理念の具体化のための法整備や政策提起を進めていきます。平和憲法は変えさせません。
  4. 平和憲法の理念の実現をめざし、「平和基本法」を制定します。憲法の理念に反する自衛隊の実態を、必要最小限の水準に改編・縮小します。
  5. 「武器輸出3原則」を厳格に守り、法制化を求めます。集団的自衛権の行使を可能とするための憲法解釈の変更に強く反対します。自衛隊の海外派遣のための恒久法や、言論・表現の自由を侵す秘密保全法の制定に反対します。

約束 くらしと雇用の再建で景気の回復を

安倍政権は、「アベノミクス」と称する、大胆な金融緩和、機動的な財政出動、民間投資を喚起する成長戦略の「3本の矢」を展開しています。その結果、円安・株高が進み、経済は良好な環境に向かい始めたとされますが、企業の設備投資は5四半期連続マイナスとなり、多くの働く者の賃金は上がっていないなど、実体経済の回復にはほど遠い状況です。世論調査では、景気回復については、「実感していない」との回答が80%に達しており、依然として日本経済は深刻な不況が続いていると言わざるを得ません。もともと企業内がカネ余りで、銀行にも大量の預金が存在する中、通貨供給量を倍増しても生産や投資、さらに家計所得の向上につながる保障は、まったくありません。それどころか、「アベノミクス」のデメリットが最近の長期金利や株価、国債価格、円相場の乱高下にあらわれています。

また、職種や勤務地、労働時間などを限って雇い、その職種などがなくなれば解雇されかねない「ジョブ型正社員」の雇用ルールの整備、企画業務型裁量労働制やフレックスタイム制等労働時間法制の見直しなどの雇用分野の規制の緩和も提起され、また解雇の金銭解決ルール、労働時間規制に関する適用除外制(ホワイトカラー・イグゼンプション)なども検討課題とされるなど、雇用はますます不安定になりかねません。「10年後の1人当たり国民総所得(GNI)150万円増」という目標も、GNIは1年間に作り出された付加価値額であり、企業所得や海外所得も含まれている数字であり、皆さん一人一人の所得が増えるかのように言うのはまったくのマヤカシです。

そうした中、2%の物価上昇を目指すことによって、暮らしはますます苦しくなっていきます。すでに円安によるガソリンや燃油、電気料金、輸入食品等の値上がりが私たちを襲い、住宅ローン金利も上がり出しました。

そのうえ、来年4月から消費税率アップが実施されれば、家計に大打撃があることは間違いありません。しかも、消費税増税分は福祉に使うと言いながら、安心の社会保障の充実策はみえてきません。それどころか、「国土強靱化」という名の大規模公共事業の大盤振る舞いが始まっています。

景気が回復しないのは、GDPの6割を占める個人消費の元気がないからです。15年連続で下げられ続けてきた勤労者の賃金や、全勤労者の35%超にも増大した非正規労働者にみられる雇用の不安定化、その一方で金融機関を除く日本企業が保有する現金・預金は225兆円と過去最高に達しています。この余剰資金を消費と需要の拡大に振り向けることが必要です。くらしと雇用を立て直し、景気の回復を実現します。

1. 賃金の引き上げと「いのち」「みどり」の雇用創出で景気回復

  1. 所得と雇用の安定で、GDPの6割を占める個人消費を活性化するため、家計に対する支援を最重点と位置づけ、「家計を温かくする経済対策」で、積極的な賃金の引き上げや安定雇用の拡大を目指します。
  2. 「いのち」(介護、医療、子育て、福祉、教育)と「みどり」(農林水産業、環境や自然エネルギー)分野へ重点的に投資し、働きがいのある人間らしい仕事をつくり、安定した所得と雇用でGDPの6割を占める個人消費を活性化し、景気回復につなげます。
  3. この間落ち込んだ労働者の年収を回復するため、「賃上げ目標」を設定し、政策を総動員します。
  4. 「中小企業憲章」を国会で決議し、中小企業予算・施策を拡充します。また、中小企業に対する法人税率を引き下げます。市中銀行による貸し渋り・貸しはがしを防止するとともに、民間金融機関に公正な融資を義務づける日本版「地域再投資法」(金融アセスメント法)を創設します。

2. 労働者保護のルール破壊を許さない

  1. 解雇しやすく低賃金に押さえ込む「限定正社員」(ジョブ型正社員/職務や勤務地、労働時間を特定)の導入、労働者派遣制度の野放図な拡大、残業代を払わない労働時間の用除外制度など、労働者保護ルールの改悪を絶対に許しません。
  2. 暮らしの底上げをはかるため最低賃金を引き上げます。時給1000円を目指します非正規雇用から正規雇用への転換促進、同一価値労働同一賃金の実現を推進し、「ディーセント・ワーク(尊厳のある人間らしい働き方)」を実現していきます。
  3. 増え続ける過労死・過労自殺に歯止めをかける「過労死防止基本法」の制定に取り組ます。長時間労働、不払い残業、過労死をなくし、ワークライフバランスを推進します。
  4. 4雇用の分野における性差別を禁止し、賃金格差の是正、男女平等の実現を目指して、男女雇用機会均等法の改正、パート労働法の改正に取り組みます。
  5. サービス残業やパワハラ、退職強要などで若者を使い捨てにする違法で悪質な「ブラック企業」の増加は放置できない問題です。法的な取り締まりの強化、企業名の公表で若者の被害を防止します。
  6. 地域公共サービスを守るためにも、「デフレ脱却」に反し、地域経済にマイナスとなる、地方公務員給与の削減に反対します。国や自治体の官製ワーキングプアをなくします。

3. 社会保障・社会福祉、住宅政策の充実

  1. 社会保障は置き去り、消費税増税のみが突出した「一体改革」ではなく、国民本位の社会保障改革に取り組みます。社会保障の空洞化の大きな要因である雇用の劣化や格差・貧困の拡大に歯止めをかけます。
  2. 生存権、生活保護の基本理念・原則を侵しかねない生活保護法の改悪と生活困窮者自立支援法を撤回させます。生活保護受給者のみならず、低所得者の生活に深刻な影響を及ぼす生活保護基準の切り下げを許しません。「健康で文化的な最低限度の生活」の底上げ、社会的セーフティネットの構築に取り組み、貧困の連鎖を防ぎます。
  3. 住み慣れた地域で安心してくらしが継続できるよう、必要な医療、介護、保育の確保・充実に取り組みます。また、医療、介護、福祉分野の人材育成と確保、従事者の処遇改善に取り組みます。だれもが安心して老後を迎えられるよう最低保障機能を備えた年金制度を目指します。
  4. 住まいは憲法25条の保障する「健康で文化的な生活」の基盤です。現物給付(低廉な家賃の公営住宅の供給拡大や空き家等の既存の住宅ストックを活用した借り上げ住宅等)や現金給付(家賃補助等)による「住宅支援制度」を創設し、「住まいの貧困」に対するセーフティネットを強化します。
  5. 社会生活の基盤として、移動を確保するため、交通基本法を早期に制定するとともに、生活交通への支援を強化します。

4. 消費増税をストップ

  1. 今後、消費税をはじめ給料1か月分が吹き飛ぶ国民負担増が襲ってきます。国民生活や 家計、中小零細事業者、景気に大きな影響を及ぼし、逆進性を強める消費税の増税には反 対です。「消費税増税法廃止法案」を制定し、弱者に厳しい消費税増税の撤回を実現します。
  2. 低・中所得者への逆進性を解消するために、「消費税額戻し金制度」(自治体を窓口とし て飲食料品の消費税額負担分を支給)の創設や複数税率の導入を検討します。
  3. 不公平税制の転換と経済成長による税収増で財政再建を目指すとともに、中期的な財政健全化プログラムを新規に策定します。
  4. 膨大な金融資産などに対する富裕税を創設します。

約束 「生活再建」で一刻も早い被災地の再生を

未曾有の被害を出した東日本大震災から2年余り。現在も全国で約30万人もの被災者が不自由な避難生活を強いられる一方、被災地では復興特需で活気づく事業や地域と、まちづくりや事業再開のメドがたたない地域との「復興格差」が広がっています。また避難生活の長期化が被災者の心身に過重な負担を強いる中、高齢者や障がい者の健康悪化とそれに伴う家族の介護負担の増加、医師・看護師不足の慢性化など、「いのち」の問題も深刻化しており、生活・雇用の場としての地域再建を今こそ急がなくてはなりません。

社民党は復興予算のずさんな実態を抜本的に見直すとともに、復興の進展に伴い多様化する被災地の要望を迅速・柔軟に反映する国の支援制度を確立。雇用や住宅の再建をはじめ、きめ細やかな生活支援を着実に推進します。

被災地の方々にとっての活力は、復旧・復興の前進が日々実感できることであり、それが未来への希望に繋がっていきます。社民党は震災や原発事故を決して「風化」させることなく、被災者や国民の思いに寄り添った一刻も早い「人間の復興」「生活再建」の実現に全力で取り組みます。

  1. 生活・雇用の場としての地域再建を進めます。特に女性や子ども、障がい者、高齢者、外国人、非正規労働者などの復興過程への参画と意見反映を大切にし、セーフティネットを張り直し、弱者に手厚く福祉が充実した地域コミュニティの再生に全力をあげます。
  2. 被災地を置き去りにした復興予算の無駄づかいや、「アベノミクス」の公共事業大盤振る舞いで復興事業が後回しになることは許されません。予算の優先順位を明確化し、情報公開と執行チェック機能を徹底します。
  3. 「制度に合わせた復興」ではなく、「復興に合わせた制度」を実現し弾力的運用を行います。復興の進捗状況に応じて変化する被災地の要望を、的確に反映する支援制度を確立します。復興交付金の一括配分の制約を撤廃するなど、国による復旧・復興事業への各種財政支援を事情に応じ、生活再建のニーズに即応して柔軟に拡充・継続し、各地域の主体性・独自性も十分に発揮できるよう改めます。予定年度内にやむを得ず事業完了しない復旧・復興事業については、必要に応じて弾力的に繰越を認め、手続きも簡略化します。
  4. 生活再建へ、被災者・避難者むけ雇用の創出・拡大と住まいの再建は待ったなしです。災害復旧事業や自治体業務に被災地の失業者を優先的に雇用拡大するほか、安定した雇用創出の支援策を拡充します。被災企業の復旧を支援する「第8次中小企業グループ化補助金」の遡及支給をはじめ、支給の要件・対象範囲を拡大、柔軟に運用します。災害公営住宅の整備を急ぐとともに、「生活相談支援員」などを配置したシルバーハウジングを実現します。二重ローン問題解消に向けて強力にサポートします。固定資産税の課税免除措置を延長します。
  5. 復興の主役は「ひと」です。被災地での人材不足が深刻な医師・看護師、介護職員、保育士などの確保対策を推進します。被災した児童・生徒に対するきめ細やかな心のケアや学習指導を継続実施できるよう、被災県への中長期的な教職員の加配措置を充実させます。全国からの職員派遣増加や経験者を中心に中途採用できる十分な交付税措置、職員への心のケアの拡充、被災地の職員定数増など、復興を最前線で担う被災自治体職員への支援を早急に強化します。

約束 原発再稼働反対、脱原発社会の実現を

長年にわたる自民党政権の原発推進政策、「原発安全神話」が東京電力福島第1原発事故で破綻したにもかかわらす、安倍内閣は、その責任に無自覚なまま原発再稼働に意欲を見せ原発輸出にやっきになっています。しかし、原発事故はいまだ収束せず、15万人を超える方が避難生活を余儀なくされています。放射性物質は拡散し続け、放射能汚染も広がりを見せています。最近地震が頻発していますが、地震大国日本では原発とは共存できません。また使用済み核燃料1.7万トン(広島型原爆換算で120万発相当)の処分方法も処分場所も決めることもできないままです。子どもたちに「核のゴミ」のツケを残してはなりません。

1.まずは東京電力福島第一原発事故の収束と被害者救済

  1. 東京電力福島第一原発事故の処理を東電任せにせず、早期の完全収束に全力をあげます。放射能汚染水の環境中への放出に強く反対します。
  2. 原発労働者の被ばくを最小化するための体制を整備し、線量管理を徹底させます。国の責任で健康管理手帳(仮称)を発給し、検診・治療費を無償化します。
  3. 福島の再生・復興に全力で取り組みます。避難を希望する者の「避難する権利」を保障し、避難の経費や避難後の生活再建を支援します。「原発事故子ども・被災者支援法」を活用し、子どもを放射能から守ります。健康被害に不安を抱え、外で思い切り遊ぶこともできない福島の子どもたちの保養を支援します。
  4. 東京電力は法的に破綻処理を行い、株主や金融機関の貸し手責任などステークホルダーに負担の分担を求めます。その上で、国の責任で十分な賠償を行える体制を整備します。
  5. 原子力事故の特殊性を踏まえ、「立証責任の転換」を行い、十分な賠償を早期に行わせます。
  6. 放射能を帯びている可能性のある瓦礫や廃棄物については、放射能の拡散につながらないよう予防原則を徹底し、国の責任で処分することとします。
  7. 指定廃棄物の最終処分については、上限無しに各県で分散処理する方針を見直し、処分場の選定については白紙からやり直します。

2.原発稼働は一切認めず、新増設は白紙撤回

  1. 原発再稼働は一切認めません。
  2. 稼働中の大飯原発3・4号炉は即時停止させます。
  3. 原発の新増設はすべて白紙撤回し、建設を中止します。

3.「脱原発基本法」の制定

  1. 福島第一原発5・6号機と福島第二原発1〜4号機および活断層の上に立地することが明らかとなった原発は直ちに廃炉とします。
  2. その他の既存原発については、「脱原発基本法」を制定し、老朽炉等のリスクの高い原子炉から順次計画的に廃止します。
  3. 「もんじゅ」や再処理等の核燃料サイクル計画からは撤退し、使用済み核燃料については当分の間ドライ(乾式)キャスクによる暫定保管します。
  4. 原発立地地域支援のための立法を行い、国が責任を持って地域振興と雇用対策を進めます。
  5. 国会事故調査委員会の提言に基づき、事故の未解明部分の究明や廃炉問題などを調査審議する第三者機関を設置します。国会による原子力規制当局や電気事業者を監視体制の構築します。

4.電力システム改革と再生可能エネルギーの促進

  1. 電気料金の安易な値上げを認めません。電力会社の発・送・配電の所有を分離し、50キロワット未満の規制部門も含めて自由化します。電力需給の逼迫に対しては、電力料金によりピーク需要の削減を誘導したり、「ネガワット取引市場」(節電量を供給量と見立てて取引する市場)を創設するなど、デマンドレスポンス(需要の抑制)によって対応します。
  2. 土地利用制度や環境アセスメント体制の整備、地域社会での合意形成のガイドライン策定など、再生可能エネルギー整備のためのルール化を推進します。再生可能エネルギー関係の研究・開発投資を支援します。電源三法交付金は再生可能エネルギー促進のためのものとします。
  3. コジェネレーション(電熱併給)や、熱利用を促進し、地域・自治体レベルの取り組みを積極支援します。市民発電等様々な主体の参入・仕組みの構築を可能にし、地域エネルギー主権を促進します。
  4. 再生可能エネルギーの規模が拡大するまでの間は、LNGコンバインドサイクル発電など高効率の火力発電を促進し電力供給の主力として活用します。

5.放射能検査を拡充し安全性を確立

  1. 市民参加の放射線量測定体制や一次産品の生産者による測定体制の整備等を促進します。
  2. すべての食品について放射性物質を検査する体制と、その結果を表示する制度を構築し、食品安全の確立、消費者の信頼回復に万全をつくします。重点検査の対象品目・地域を大幅に減らした国の食品放射性セシウム検査の新指針を改め、検査体制縮小を許しません。特に保育園や学校給食については、放射能検査を拡充し厳格な規制値を設けます。
  3. 汚染農作物は国による買い上げを含め保管・処分費用、補償など公的支援を強めます。東京電力による農作物被害の損害賠償を迅速化させます。
  4. 全国の大気や水質、土壌、汚泥、野生生物など周辺環境の放射能検査体制を国の責任で拡充・強化します。

約束 TPP参加反対、地域再生の柱に農林水産業を

安倍政権は今年3月、TPP(環太平洋経済連携協定)交渉への参加を表明しました。しかしTPPは、首相が「あるべき社会像」とした「農山漁村の豊かな資源が成長の糧となる、地域の魅力があふれる社会」とは真逆の選択です。農業を破壊するだけでなく保険や食品安全、公共調達、労働なども対象となっており、国内産業や国民生活に与える悪影響は計り知れません。日本が守ってきた国民皆保険制度が崩壊しかねないほか、海外企業との激しい競争にさらされる中小企業にも大きな影響が出ます。労働者の移動自由化は賃金の安い国が基準となり、労働者の賃金低下、内需の縮小をもたらしかねません。東日本大震災からの復興途上にある東北など被災地の農林水産業や関連産業、地域経済にも深刻な打撃を与えるおそれがあります。TPPは、日本への輸出拡大を実現できる米国にとってこそメリットが大きく、日米同盟を深化させるために米国主導のTPPに入る必要は全くありません。

そもそも自民党は、昨年末の衆院選で「6つの条件が守られない限りTPPには反対」と国民に約束したのに、政権復帰するや否や参加に転じたのは明らかな公約違反です。社民党は日本を売り渡しかねないTPP参加に断固反対し、安倍政権と厳しく対決します。

  1. 参加各国との事前協議でも農産物の重要品目の関税例外確保は何ら担保されておらず、TPP参加で日本農業は壊滅的打撃が避けられません。21分野もの規制緩和で地域経済や国民生活の隅々に甚大な悪影響を及ぼすTPPへの参加は、断じて認められません。国家主権を侵害するISD(投資家・国家訴訟)条項など非関税分野での弊害も計り知れず、日本の交渉参加を阻止し日米並行協議も即時打ち切ります。
  2. プラス効果を水増しする一方、農業などへのマイナスの影響を過小評価している政府のTPP統一試算はまやかしにすぎません。農産物への直接的な打撃にとどまらず関連産業、地域経済に及ぼす影響まで考慮した正確な数値を示すよう、地域別試算の公表も含めて政府に見直しを強く求めます。
  3. 後発参加国には対等な交渉権や拒否権すら与えられず、米国言いなりを強いられるTPP参加ではなく、各国の食料主権や多様な農業基盤を守る、真に公正で柔軟な経済連携を東アジア地域などですすめます。
  4. 日本の輸出相手国は、TPP不参加の中国・韓国・台湾・香港・インドなどが主力です。「ASEAN(東南アジア諸国連合)プラス日中韓」やRCEP(東アジア地域包括的経済連携)など、東アジアを中心に相互互恵的な経済連携を進めるべきです。
  5. 株式会社の農業参入の全面自由化など、TPP参加を念頭に安倍政権が画策する新自由主義的な規制緩和を許さず、地域産業の柱として農林水産業の再生と農山漁村の発展に全力をあげ、里山や棚田など美しい日本の原風景や農村文化を守ります。
  6. 安倍政権が掲げる「農業・農村所得倍増」は何の裏付けもない空約束でしかありません。社民党は戸別所得補償制度の法制化・拡充、環境支払の強化、飼料米・稲や米粉生産など水田の多面的利用の推進などで、食料自給率は「2020年に50%以上」を目指すとともに、特に若い世代が希望を持って農業に取り組める環境を整備します。小麦や飼料の20%以上を米粉や飼料米・稲でまかなう「田んぼの底力をいかす農業改革法」をつくります。
  7. 「森林・林業再生プラン」を着実に実行するとともに、森林・林業人材育成対策を強化します。地域材、国産材の普及を支援します。
  8. 水産物の安定供給維持と漁業者の所得向上へ「資源管理・漁業経営安定対策制度」を着実に推進。担い手確保・育成支援事業も拡充し、持続可能な水産業を確立します。
  9. 食品添加物や残留農薬基準、遺伝子組み換え食品表示など、日本が独自に積み重ねてきた食の安全基準・規制がTPP参加によって緩和・変更されることは断じて認めません。
  10. 米国が日本のTPP交渉参加条件とした米国産牛肉の輸入条件緩和を元に戻すとともに、全頭検査・トレーサビリティの徹底・全ての特定危険部位の除去・飼料規制などBSE(牛海綿状脳症)対策を継続・強化します。米側が求めている、米国産牛を原料とするゼラチンやコラーゲンの輸入解禁は認めません。
  11. TPP参加による医薬品・医療機器の価格規制の撤廃・緩和、株式会社の病院経営参入と混合診療の全面解禁を許さず、国民皆保険制度を守り抜きます。
  12. 農山漁村地域などで住民の貴重な足である軽自動車の規格が、TPPにより廃止・変更を強いられることを許しません。

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