マニフェスト

総合版


農林水産業再生

1.真に実効性のある振興策で農山漁村の発展に全力で取り組みます

○民主党は2009年総選挙のマニフェストで「農林漁業を立て直し、食と地域を再生」すると公約しました。確かに「農業者戸別所得補償制度」は創設されましたが、その実施は米や小麦、大豆などに限られ、畜産・酪農、野菜・果樹など多くの作物が対象外です。制度の裏付けとなる法制化も未だ実現していません。

○「農山漁村の6次産業化」というマニフェスト項目も、「地域資源を活用した農林漁業者等による新事業の創出及び地域の農林水産物の利用促進に関する法律」(6次産業化法)は成立し制度化されましたが、例えば農山漁村の大きな地域資源として6次産業化にも有用な再生可能エネルギー利用には土地利用の制限や複雑な法手続など、大きな障壁が残されており「農山漁村における再生可能エネルギー電気の発電の促進法案」(再生エネ法案)も未成立です。

○また民主党は「日本の食料自給率は低すぎる」として「主要穀物等では完全自給を目指」すと掲げ「農地は現在および将来の国民のための貴重な資源として不可欠」とうたっていましたが、日本の自給率は39%(11年度)と低迷したままで、耕地面積も12年は454.9万fと前年から1万2000fも減少し耕作放棄地は増え続けています。食の安全・安心に関しても輸入食品の検査員増員など一定の前進面もある一方、マニフェストに明記されている「食品安全庁の創設」や「加工食品の原料原産地表示拡大」、「BSE(牛海綿状脳症)対策として全頭検査への国庫補助金復活」は果たされず、それどころか野田政権は米国産牛肉の輸入条件緩和に踏み切ろうとしています。

○そして野田政権は、民主党マニフェストに全く記載のないTPP参加へ前のめりで、昨年決定した「我が国の食と農林漁業再生のための基本方針・行動計画」でも「高いレベルの経済連携推進と国内農業振興との両立」を掲げていますが、TPP参加と農業振興は相容れません。社民党はTPPによらず戸別所得補償の本格実施と水田の多面的利用の定着、穀物増産による食料自給率向上、再生可能エネルギー資源の有効活用等に取り組み、農林水産業の再生と農山漁村の発展に全力を挙げます。

2.農林漁業への再生可能エネルギー導入促進と6次産業化をすすめます

○農林水産業では重油の利用量が多く、多額の燃料費が経営を圧迫しています。地球温暖化防止の観点からも化石燃料の利用を減らし、農山漁村が大きな潜在力・供給力を有する太陽光・風力・小水力・バイオマス・地熱等の地域自給型再生可能エネルギーの導入を、全量固定価格買取制度を活用して積極的に推し進めます。その際、土地賃借料の高騰を防ぐとともに、無計画に発電施設設置が進められ農山漁村が持つ食料供給・国土保全機能が損なわれないよう、農林地等の適切な利用調整をはかります。自治体やNPO等とも連携し、農山漁村地域で再生可能エネルギー導入推進をコーディネートする人材の育成に努めます。

○自治体との連携を強めた農林漁業の6次産業化を進め、資源の循環、再生可能エネルギー産業の創出などで低炭素社会構築をリードする地域として農山漁村の付加価値を高め、新たな雇用を創出し活性化します。創設される「株式会社農林漁業成長産業化支援機構」は、出資する企業主導とならないよう生産現場の意向を十分反映した仕組みとします。

3.戸別所得補償制度の法制化・拡充、環境支払の強化をはかります

○「農業者戸別所得補償制度」の法制化を目指します。水田農業の所得向上と経営安定、国内生産力の確保と食料自給率の向上、多面的機能の維持、環境保全型農業の拡大、農山村地域の再生、米の需給安定等をはかる観点から、現行制度の検証を進め、政策体系を明確化し、畜産・酪農、果樹・野菜などにも対象を広げ環境加算も含めて拡充するなど、本格的な直接支払制度を構築します。

○当面、@定額部分の算出方法は、家族労働費(現行8割)は全額算入、定額部分は2万円以上A全国一律方式からブロックなど地域性を重視した制度を設計B「水田活用の所得補償交付金」は飼料米など水田の多面的利用を定着させるとともに、飼料増産にむけた畜産振興策を強化C地域における農業振興、営農・作付体系の尊重と一体化D既存の水田政策との整合性をはかり、現場の事務コストの負担軽減、交付金の分配の簡素化E集落営農の役割強化――などに取り組みます。

○環境保全型農業直接支払交付金(2012年度10e4000円)は10eあたり1〜2万円に拡充します。

○中山間地域等直接支払制度の拡充については水利の確保保全、鳥獣害対策を含めた里山管理が耕作放棄地対策解消や営農継続上も非常に重要となっていることから、「地域政策としての農業・農村・景観保全対策」として水系を考慮した水田・里山を一体的に管理する直接支払制度を創設します。具体的には水田のための里山管理を対象とし、@里山の下刈及び枝打ちの管理A谷底、水路の管理・草刈、泥上げB水路補修Cため池の管理D鳥獣害対策の実施と効果の状況E放牧等の実施と景観保全F間伐材などの有効利用G動物との共生――などの作業項目により、里山面積に対し最大10eあたり4万円の直接支払制度を創設。地域のゾーニング(土地区分)を前提として10f程度を恒常的に管理する「もり人」を設置し、生産・生活の基盤形成と地域への定住を促進します。

4.食料自給率の向上と米の需給安定に取り組みます

○世界的な穀物価格の高騰、食料不足が進む中、食料の安定供給を確保するため、食料自給率は「2020年に50%以上」をめざします。

○飼料米・稲や米粉の生産、水田放牧による耕畜連携、大豆トラスト、菜の花プロジェクト、えさ米のアルコール化など水田の多面的利用を推進します。小麦や飼料の20%以上を米粉や飼料米・稲でまかなう「田んぼの底力をいかす農業改革法」をつくります。

○米の需給安定のため、国の責任において効果的な過剰米対策、価格対策を実施します。生産数量目標は当面、適地適作や地域の営農体系を尊重し、生産者の理解と自発性にもとづき、自給率目標にかなうものとします。

○所得補償制度に乗じた米の買い叩きを厳しく監視・指導するとともに、生産者の立場にたった価格形成システムをつくります。

○政府備蓄米は300万dをめざすとともに、貧困国への援助や加工用、飼料用、燃料用としても活用します。東アジアにおける食糧安保に向けて、米などの共同備蓄を推進します。備蓄予算は安全保障、外交、エネルギーの観点から手当を検討します。

○種子の自給を高めるため、公的な種子の保全・管理を進め、農家の自家採取権を守ります。

○学校給食は週4回以上は米飯とし、地場産や有機農産物の利用、自校方式の促進に向け、国の助成を拡大します。米を中心とした日本型食生活を普及します。

5.担い手の育成・確保、優良農地の維持・有効活用をすすめます

○農業分野における青年農業者の増加に取り組みます。「青年就農給付金制度」は環境保全型農業を基本とし、農業大学校等の研修施設を充実させます。青年農業者への長期無利子資金を拡充します。

○意欲ある多様な農業経営者を育成・確保し、農業スタッフ育成制度をつくります。新規就農者への農地の優先賃貸使用を進め、雇用就農者の所得や設備、労働環境を改善します。

○優良農地は470万f(「食料・農業・農村基本計画」では2020年に461万f)を確保するとともに、耕作放棄地や遊休農地の再生・保全・活用を進めます。市民農園を広く展開します。

○一般株式会社による農地取得や長期貸借、農業生産法人の出資要件緩和は厳しく制限します。農用地の転用規制を強化し、優良農地の転用・改廃は原則禁止とします。都市計画法を見直し、農地周辺の乱開発を規制します。農地基盤整備を継続します。

○「人・農地プラン(地域農業マスタープラン)」の実施に当たっては地域の実情を踏まえ、必要な農地集積・規模拡大を行い多様な担い手づくりにつながる施策を拡充するとともに、地域の特色ある産地づくりにつながるようにします。

6.都市農業の保全・振興をすすめます

○農業産出額と耕地面積の3割を占める都市農業の保全・振興を強め、新鮮・安全な農産物の提供、災害防止、市民の農業体験の場、みどりや景観の形成、生物多様性保全、温暖化防止などの機能を向上させます。野菜や果樹、工芸作物など地域性ゆたかな農産物の振興と消費拡大をはかるとともに、共済の充実、価格や収入変動などに対する経営安定対策を強化します。相続税や宅地並み課税などに伴う税負担を軽減します。

○直売所の拡大や地域商店街の再生、地域や消費者が生産者を支えるCSA(地域支援型農業)の推進などをはかり、自給的基盤を強めます。

7.農業委員会の体制拡充、農協改革に取り組みます

○自治体の農業担当や農業委員会の人員・体制を拡充、優良農地の確保と有効利用を促進し公的機能の発揮を強めます。農業委員の選出は女性の拡大、青年や地域住民、消費者など多彩な人材選出に向けた環境整備を進めます。

○農協改革は地域の人々との連携を強化するとともに、環境保全型営農活動の展開・指導、農村環境の保全など民主的な農協活動をめざします。地域を主体とし、相互扶助を基礎とした協同組合や非営利組織に対しては統一的な育成・支援策をはかります。

8.食の安全・安心を実現します

○すべての飲食料品に流通経路を明確にする「トレーサビリティ制度」を導入。外食・中食産業など原料原産地の表示を義務化します。加工食品の原料原産地表示を大幅に拡大します。輸入農畜産物・食品への監視・規制を強化します。

○事業者に適正な食品情報を開示させ、消費者の安全と商品選択権の確保・向上を図るため、複雑な食品表示制度・関連法を統合して消費者の権利を明記した「食品表示法」を早急に制定します。

○農薬や食品添加物を削減、有機農業を推進して有機農産物を拡大します。遺伝子組換食品への規制を強化し(表示義務の厳格化および対象の拡大)、受精卵クローン牛の表示を義務化します。生産者や消費者の立場に立った米穀検査・表示制度をつくります。「食品への放射線照射」は認めません。

○食品安全委員会は、消費者代表の参加を促進、リスク管理機関からの独立性を高め、評価や勧告機能の強化、消費者の意見反映、予防原則にたった情報提供を進めるようにさせます。

○米国産牛肉の輸入条件緩和(月齢20ヵ月以下→30ヵ月以下)や国産牛肉のBSE対策緩和(検査対象月齢引き上げ、特定危険部位の縮小)は認めず、現行のBSE対策(全頭検査・トレーサビリティ・全ての特定危険部位の除去・飼料規制)を継続します。

9.酪農・畜産振興対策を強化します

○生乳もしくはプール乳価の生産費を踏まえた不足払い制度や直接所得補償制度を導入し、酪農経営安定のための抜本的な対策を確立します。

○配合飼料価格安定対策については飼料購入費の補助拡大、「配合飼料価格安定制度」の弾力運用や財源確保、飼料穀物の備蓄水準引き上げなどに取り組むとともに、激変緩和対策にとどまらず高値固定化の場合の補てん及び将来の負担となる借入金の返済財源の国庫負担化など、価格安定対策の抜本的な見直しを行います。

○「肉用牛肥育経営安定特別対策事業(新マルキン事業)」について補てん割合を8割から10割に引き上げます。

○飼料負担増などのコスト増を踏まえ、肉用子牛の経営安定のため「肉用子牛生産者補給金」の保証基準単価を引き上げます。また乳雄の初生牛(ヌレ子)については、酪農経営安定を図る観点から最低保証基準価格を設置します。

○都府県酪農の急激な減退を踏まえ産地向上対策、飼養牛の更新対策、新技術・設備・機械の導入対策、技術改善対策、経営資源の継承及び後継者育成対策、空き牛舎活用対策、環境対策、減免や無利子等の金融対策など、あらゆる対策により生産基盤を確保します。

○後継者育成のための施設や自立するための牛舎等を設置し、公共牧場を後継者牧場として整備・強化します。

○酪農振興につながる畑地での酪農飼料基盤拡大推進対策の強化、さらに稲発酵粗飼料、飼料米、飼料作物など水田での自給粗飼料増産対策を強化します。また畜産側の利用促進対策として、流通・給与対策として助成措置を講じます。

○国内飼料増産のためのコントラクター(飼料生産受託組織)育成事業の継続強化や、給与実証事業(飼料米の給与実証を含む)への支援を強化します。また環境直接支払制度の対象とするなど、日本型畜産としての里山・水田放牧などへの支援を強めます。

○畜産や飼料自給の在り方などを含め、牛乳の脂肪率の基準設定や畜種・飼養形態・規模などについて検討し、地域の特性や条件を生かした家族経営や複合経営(乳肉・生産加工販売・耕畜連携)、さらに放牧を含めた畜産の多様な在り方など、将来の方向性を確立します。

10.口蹄疫、鳥インフルエンザ対策をすすめます

○口蹄疫や鳥インフルエンザの監視・診断・防疫体制の強化および迅速化、農家への補償、自治体の負担軽減などに万全を期します。国外からの水際対策を強化するため検疫官などを増員し、予算確保、機能強化をはかります。

○改正された家畜伝染病予防法を生かし、監視の強化、早期通報・診断体制の改善、消毒や殺処分・ワクチンなど防疫措置のあり方検討、埋却地の確保、出荷減少対策、国と自治体の役割と責任の明確化、被害農家への手当金の拡充、重要家畜の飼育方法や大規模で密集化した畜産業のあり方検討、東アジアでの研究体制確立など、対策を強めます。野鳥への防疫措置を検討します。

11.鳥獣害対策、野生生物の保護に取り組みます

○野生鳥獣害対策は、駆除や防止柵設置などハード面にたよるだけでなく、野生生物の多様性を守るための森林整備(里山林の再生、ブナ林や広葉樹の育成など)、エサを残さない取り組み(埋却、移動)、耕作放棄地の活用、科学的知見に基づいた被害防止策、個体群や頭数の管理と適切な狩猟、自治体での鳥獣行政の強化(鳥獣保護員の増員・人材育成)、狩猟者の育成・確保などを総合的に進めます。

○農林水産業と生物多様性(種)の保全、動物との共生をはかるとともに、鳥獣保護法における鳥獣保護区域の保全強化と拡大に取り組みます。自治体における「生物多様性地域戦略」の策定を急ぎ、鳥獣保護計画や被害防止計画との整合性をはかります。

12.諫早干拓の開門調査を実施します

○国営諫早湾干拓事業については、環境破壊の原因解明と水産資源の回復に向けて、開門に係わる環境アセスメント結果を受け、必要な防災・営農対策を講じた上で、開門調査を実施します。

13.森林・林業の活性化に取り組みます

○被災地の森林除染は地域の実情に即しつつ、宅地周辺地域に限定せず里山など幅広く早急に進めます。

○「森林・林業再生プラン」を着実に実行するとともに、山村振興策の強化、森林整備の推進、間伐材を含む地域材・国産材の需要拡大と安定供給体制の確立、森林吸収源の達成と森林整備予算の確保、固定価格買取制度を生かした木質バイオマスの利活用の促進を進めます。

○再生プランを推進するためにも地域を支援する体制を明確化します。

○「森林管理・環境保全直接支払制度」予算、「農山漁村地域整備交付金」、「森林・林業・木材産業づくり交付金」等を増額するとともに、「森林整備加速化・林業再生基金」を積み増しします。切り捨て間伐も直接支払の対象とし、間伐を加速化します。

○間伐や路網整備を促進し、「フォレスター」「森林施業プランナー」など技術をもった林業者の育成にむけた養成機関を創設、森林・林業人材育成対策に係る事業を拡充します。

○条件不利地域等の森林については、水源林造成事業等の公的森林整備を進めるとともに、国・自治体による林地取得を行います。

○全国の森林情報の把握およびデータベース化など情報整備を進めます。

○国産材・地域材を活用した公共施設・木造住宅の建設・リフォームを推進します。

○ナラ枯れ(害虫による伝染病)の被害実態を把握し、早期の防除、ナラ枯れ後の森林管理対策を講じます。

○国有林事業については人材育成を図る中で現行体制の拡充を行い、組織・技術・資源の活用、民有林との連携、災害対策、山村活性化、雇用創出、森林整備などを進め、地域貢献と公益的機能を一層発揮する体制を確立します。生態系保全機能の維持増進、国民参加の森づくりなどを進めます。

14.持続可能な水産・漁業を確立します

○漁業・水産業の復旧・復興は、大規模化・集約化の方向ではなく、地域漁業の共同性や漁業者の意欲回復、二重ローン対策、生活補償、コミュニティの回復、水産資源の維持を重視し、公的支援を強めます。

○藻場・干潟の復元など浅海の生態系を守り、沿岸漁場やゆたかな里海を再生します。食用魚介類の自給率(2010年60%)を向上させます。漁業の6次産業化(加工・流通、観光、民泊、漁業体験など)の推進、産地ブランドの確立、産直や直売を進めます。

○導入された「資源管理・漁業所得補償対策制度」を着実に実行し、水産資源管理、水産物の安定供給が維持できるよう漁業者の所得向上と経営支援を進めます。漁業者むけの無担保・無保証人型の融資の推進、利子助成等を実施します。漁業の担い手確保・育成支援事業を拡充します。

○気候変動や災害などによる水産資源の被害に対し、政府の財政援助を拡充します。原油・燃料高騰に当たっては、国の責任で燃料代の直接補てん、休業補償、燃料高騰緊急対策基金の改善などを行い、漁業者・漁村を守ります。

○漁業者の労働環境を改善し、暮らしや人権を守ります。沈没事故による人命の救出体制を確立します。漁船員の福利厚生、特に社会保障制度の充実をはかります。

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