「もっと生活再建」3本柱の緊急提言〜消費税論議の前にやることがある〜

2010年7月9日改定

「もっと生活再建」3本柱の緊急提言
〜消費税論議の前にやることがある〜

社会民主党政策審議会長
阿部 知子

 多くの国民が景気回復の実感を持てない中、民主党から消費税増税論議の呼びかけがありました。社民党は、景気への影響や格差、不公平の拡大などの観点から、消費税論議は現段階できわめて不適切と考えます。

 持続的景気回復が見えない中での税率アップは、可処分所得減による個人消費の縮小や、原材料費の高騰をもたらし、景気を冷え込ませることにつながり、倒産や失業の増加、生活苦など経済的、社会的な被害が相当出ることが想定されます。なかでも、非正規労働者や年金暮らしなどの低所得者層や子どもの多い家庭、消費税を転嫁できない中小企業に一層の苦しみがもたらされるでしょう。

 昨年8月に示された民意からも明らかなように、今、国民から求められていることは、「生活再建」を優先してほしい、地域と雇用とくらしを立て直してほしいということではないでしょうか。社民党は、「生活再建」まっしぐらの立場から、以下の3点について、緊急に提言します。

緊急提言1=「地域を元気に、地域の活性化」

@沖縄及び離島の負担軽減と活性化
・沖縄及び離島の消費税をゼロに。
・沖縄及び離島のガソリン税を軽減(ガソリン税の旧本則分以上の加算なし)

A中小企業金融の円滑化
・政府系金融機関の融資(セーフティネット貸し付け)の個人保証の撤廃。
・連帯保証制度の廃止。
・中小企業に対する法人税(所得800万円以下は18%)は、税率を11%に引き下げるとともに適用所得を1600万円に引き上げ。

B「環境配慮型住宅社会資本」や「安全・安心の公共事業」の推進
・住宅や生活関連事業の推進。
・学校や公共施設のバリアフリー化、省エネ化・太陽光パネルの設置・耐震化・脱アスベスト対応。
・老朽化した橋梁など、危険なストックの改修、延命の推進。
・保育所や介護施設の建設・増床。
・自転車道の整備や歩道の拡幅、道路の段差解消、電線の地中化。
・再生可能エネルギー(太陽光、風力、小水力、地熱、バイオマス等)による発電推進、送電線網のスマート・グリッドの構築。
・都市部の緑化、間伐や森林整備、河川や海浜の自然再生、藻場・干潟の整備など。

C農林漁業に直接支払い制度を導入
・戸別所得補償モデル事業を検証しながら、多面的機能の補償、食料自給率の向上、農山村地域の再生の観点から、直接支払制度を本格実施。
・生物多様性や景観、食料生産など農業の多面的価値を明らかにし、有機・減農薬農業を支援し、自然環境を支えるための「環境直接支払」(10a当たり1〜2万円)を導入。
・需給安定と農家の不安解消にむけ、09年産持ち越し在庫の買い入れを実施する。備蓄米は(売れる米から順番に主食用などで売る)回転方式を(市場から隔離しよほどの米不足にならない限り、備蓄米は主食用としては売らない)棚上げ方式・300万トンとし、援助・加工・飼料用にまわす。
・食料自給率は、水田の多面的利用をすすめ、飼料や大豆、油脂類など国内農産物の生産を増やし、2020年に50%を実現。
・青年農業者助成金制度(1人あたり年200万円)を創設し、就農・後継者を確保。
・6次産業化では、農山漁村地域に豊富な自然エネルギーを利用し、自然エネルギー発電電力の全量を買いとる固定価格買取制度を早期に導入、脱化石燃料と産業・雇用創出をはかる。スマートグリッドの普及は、都市部だけではなく、農山漁村に集中投資し、普及を促進。(一部再掲)
・生物多様性の保全、里山・里海を再生するため、農林漁業で働く若者の育成制度(就業助成金や無利子融資、研修施設の拡充など)を創設。

緊急提言2=「もっとしごとを、もっと雇用を」

@労働者派遣法の抜本改正
・継続審議となっている労働者派遣法改正案(政府案)の早期成立。
・政府案で例外規定となっている登録派遣の専門26業務や、製造業派遣の常時雇用が、法の抜け穴とならないよう、厳格な運用とさらなる法改正をめざす。

A最低賃金引き上げ
・最低賃金が生活保護水準を下回る都道府県の最低賃金を早急に引き上げる。
・中小企業に十分に配慮をしつつ、最低賃金(現在、全国加重平均で時給713円)を段階的に時給1000円以上へ引き上げることをめざす。

B均等待遇の実現
・雇用契約は、直接雇用、期限の定めのない雇用であることを原則に。
・有期契約労働と正規労働者との均等待遇の実現。
・同一価値労働同一賃金原則の確立。男女差別、雇用形態による差別を禁止。

C若者就職支援
・地域若者ステーションサービスやサポートステーション、ハローワーク等に若者向け専門職員(「高卒就職ジョブサポーター」・「大卒就職ジョブサポーター」などの個人アドバイザー)を配置し、適職選択のための情報提供、職業相談、職業紹介、カウンセリング機能を充実。
・若年雇用奨励金制度を創設し、若年者を積極的に雇用する事業主に対し助成金を支給し就業の場を提供。
・社会参加、職業訓練、仕事起こしの場としてNPOや社会的企業、コミュニティビジネス、協同組合などの非営利組織を支援。

緊急提言3=「貧困の解消」

@貧困率削減の数値目標設定
・継続的に政府の貧困率測定調査を実施し、数値目標を盛り込んだアジェンダ(行動計画)定めて貧困の削減に全力〔日本の相対的貧困率は15.7%(約6人に1人が貧困)、子どもの相対的貧困率は14.2%(約7人に1人が貧困)〕。
・生活保護基準を健康で文化的な最低限度の生活が保障できる水準へ引き上げるとともに、生活保護の国庫負担分を引き上げる。

A医療、介護の自己負担軽減
・公費を投入して市町村国民健康保険を強化。保険料の減免制度を充実し、保険証の取り上げをやめ、無保険者をなくす。18歳未満の子どもは被保険者人数から外し、子育て世帯の保険料軽減を。
・介護基盤の整備、介護報酬の引き上げなどに伴って上昇する介護保険料・介護利用料を抑制するために、国負担割合を30%に引き上げ。

B教育の格差是正
・就学援助を高校まで拡大、給食費(15歳まで)の無償化
・利子付き奨学金の利子分の補填。給付型奨学金の拡充。

C住宅セーフティネットの張り直し
・優良な公共賃貸住宅を増やすとともに、入居資格を緩和して、低所得の若者や高中年の単身者などの入居を可能に。
・公的賃貸住宅・民間賃貸住宅の借り上げなどの現物給付、家賃補助、住宅手当の拡充・制度化。
・貧困者を食い物にするいわゆるゼロゼロ物件に対する規制を強化。

以上



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