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社民党は訴える

連立の中で全力投球

昨年8月、国民の皆さんの審判で自公政権が退場し、政権交代が実現しました。社民党は、「生活再建」と「いのちを大切にする政治」の実現に向けて、民主党、国民新党とともに連立政権を発足させました。そして8か月の間、連立政権の一翼を担い、憲法の三原則の遵守を含む10テーマ33項目の三党合意に基づき、子ども手当や高校無償化、生活保護の母子加算の復活、父子家庭への児童扶養手当の支給、雇用対策の充実、医療の拡充、地方交付税増額、労働者派遣法改正案の提案など、一歩ずつ「生活再建」をすすめてきました。また、社民党ならではの積極的な政策提起を行い、インド洋からの自衛隊の撤退や海上保安庁のしきしま級巡視船の整備、JR不採用問題の解決、障がい当事者の参加する改革推進会議の設置、待機児童対策、交通基本法の立法化の推進などの成果もあげてきました。景気対策や予算編成、税制改革や雇用対策などに際して、社会的弱者の視点からの問題提起を行い、雇用や福祉を守るために努力してきました。原発や安保関係では、民主党の暴走を抑えてきました。

沖縄との約束を大切に

普天間飛行場の問題について、社民党は、主体的な日米関係と沖縄県民の負担軽減の立場で、訪米団、サイパン・テニアン調査団の派遣、官邸の沖縄基地問題検討委員会での意見反映など、「県外・国外」を求めて全力で取り組んできました。しかし、鳩山首相(当時)は迷走のあげく、地元や連立与党の合意のないまま、普天間飛行場の移設先を辺野古周辺とすることでアメリカと合意し、それを政権として確認する閣議決定を行おうとしました。社民党党首の福島大臣は、「辺野古に新基地はいらない」という沖縄県民の思いを裏切ることなく、閣議の署名を拒否して罷免され、社民党は、鳩山政権から離脱をしました。今後、菅新内閣としては、沖縄県民の願いを真摯に受け止め、日米合意と閣議決定を見直し、もう一度真正面からアメリカと交渉し合う決意を示すべきです。社民党としても、沖縄県民の声を第一に、日米の相互理解を深め、外交の中長期的戦略を提起していきます。

政治の「品質保証役」として

長く続く不況、リストラの中で、いきいきと安心して生活できる社会が根源からおびやかされています。「生活再建」はまだ道半ばです。もっと、もっと「生活再建」をすすめていかなければなりません。また口てい疫拡大という生産基盤の国家的危機に総力をあげて取り組みます。社民党は、政治の「品質保証役」として、困っている人や苦しんでいる人々の立場で、憲法、平和、政治倫理、人権といった社民党の重要課題を実現すべく、厳しくしっかりチェックしていきます。私たちは、日本国憲法を基本にすえて、一人も切り捨てられない、平和と希望の社会をめざして、皆さんと手をとりあって再出発する決意です。一緒に21世紀の日本をつくっていくために、立ち上がってくださることを心からお願いします。

社民党の成長戦略

「いのちとみどりのニューディール」

「雇用」、「環境」、「医療」、「福祉」、「地方」、「教育・科学技術」、「平和」の7つの柱に力を入れ、個人消費の活性化、安心・安全の確保、雇用創出、地域振興、低炭素社会への転換を「一石五鳥」的にすすめます。「構造改革」で切り捨てられてきた人間社会の基盤維持にかかわる領域や、だれもが人間らしく生活していくために必要なサービス・産業を中心とした内需主導経済は、「地球にやさしい」エコ経済となるとともに、中長期の成長力強化につながる需要刺激として、雇用創出を始めとする裾野の広い波及効果をもたらし、また将来不安の解消にもつながり、健全な消費も活性化させることができます。「いのち」(介護、医療、子育て、福祉、教育)と「みどり」(農林水産業、環境・自然エネルギー)へ重点的に投資し、働きがいのある人間らしい仕事をつくります。働き方の改善と雇用の創出で賃金下落と物価下落の負のスパイラルを解消します。女性の就業率を高め購買力を向上させます。地球温暖化対策は、低炭素社会、循環型の持続可能な社会システム構築のための社会制度の改革だけではなく、新技術の開発、新産業の育成、地域に根ざした新たな雇用の創出につながります。「環境・エネルギー革命」は、外需依存経済から内需型経済への転換の大きな起爆剤であり、今後の日本経済と雇用を支えていく大きな柱の一つとなることが期待されます。積極的に自然エネルギーへの政策的な投資を拡大し、雇用拡大と産業振興をはかります。また、成長著しいアジア経済との一体化をすすめ、アジア諸国のインフラ整備やグリーン化に貢献するとともに、日本経済の活性化に結びつけます。医療崩壊の背景にある医療費抑制政策を転換し、医療を安心と新成長に資する戦略分野として位置づけます。医療は安心を生むとともに、地域に根ざしているし、研究開発もすすむことにもつながります。福祉は安心をつくるだけでなく、新たな雇用も生み出し、地域にも根ざしています。福祉関連の産業を成長産業として重点を置き、実需のある分野へ労働力を振り向けるためにも、社会保障制度の充実に取り組みます。分権・自治の推進、地方間格差の是正、地域の疲弊の解消のため、地域が独自策を実施・展開するうえで不可欠の権限・財源を保障します。地域に身近な住宅や生活関連事業、バリアフリー化、省エネ・太陽光化・耐震化・脱アスベスト対応、危険なストックの改修・延命は、雇用対策や地域振興、社会の転換につながることから、引き続き「環境配慮型住宅社会資本」の整備や「安全・安心の公共事業」に積極的に取り組みます。観光を少子高齢化対策、地域活性化、国民生活の質の向上、新成長戦略の柱と位置づけます。人間が自然に働きかける農林水産業は社会の経済活動の基本であり、雇用を生み出す力も秘めており、積極的に支援します。資源の乏しい日本にとって、人と技術こそが最大の資源であり、教育・科学技術に力を入れます。日本国憲法の「平和主義」の理念にもとづき、「専守防衛」を厳守し、「軍縮のための予算」とします。いわゆる「思いやり予算」についても段階的に削減をめざします。

もっと生活再建 10の約束

再建1 もっと 平和・人権

米軍への「思いやり」より沖縄との連帯を

1.日米軍事同盟依存を弱め多国間の集団安全保障システムの構築をめざします

○国土面積の0.6%に過ぎない沖縄県に、在日米軍専用施設・区域の74%(約233平方キロメートル)強が集中し、特に人口が密集する沖縄県中部地域の土地の約24%が米軍施設に占められるという異常な状態が続いています。沖縄の基地負担の軽減、基地の整理・縮小を最優先の課題として取り組みます。

○普天間飛行場については、「県外・国外」への移設をめざします。日米安保条約が必要であるなら、そのための基地の負担を沖縄一県のみにおしつけつづけることは許されません。辺野古への新基地建設など在沖米軍の基地機能の強化には強く反対します。

○日米地位協定の全面改正を求め、本来負担する必要がない「思いやり予算」を段階的に削減します。在日米軍の駐留経費の追加的な負担について定めた在日米軍駐留経費負担にかかわる「特別協定」については2011年3月の期限後は更新しない方向で米国と交渉します。5月の日米安全保障協議委員会共同発表で「緑の同盟」などと称して米軍基地に再生可能エネルギー技術を導入する経費を日本側が負担することが新たに合意されていますが、「思いやり予算」の対象の拡大には強く反対します。

○日米安保条約の軍事同盟の側面を弱めながら、将来的に経済や文化面での協力を中心にした平和友好条約への転換をめざします。

○アジア・太平洋の多国間安全保障対話を推進させます。6ヵ国協議の枠組みを発展させ、北東アジア非核地帯と地域安全保障機構の創設をめざします。

2.北朝鮮に核保有を断念させ、戦後処理問題の解決に取り組みます

○非軍事面のあらゆる手段を用いて、北朝鮮に核開発・保有の断念を迫ります。

○北朝鮮との国交正常化交渉を再開し、粘り強い外交交渉によって拉致問題と戦後処理問題の解決をめざします。

○国会図書館に戦争の事実調査を行う恒久平和調査局を設置するための「国立国会図書館法改正案」の早期成立をめざします。

○「慰安婦」問題の最終的な解決をはかるために「戦時性的強制被害者問題解決促進法案」の成立をはかります。

○原爆症認定基準を全面的に見直し、ただちに原告の全員を救済します。被爆二世・三世を含めた包括的な被爆者救済のため被爆者援護法の改正を検討します。

○強制連行問題について政治解決をはかるため、ドイツの「記憶・責任・未来財団」にならった国と企業の負担による基金を創設することを検討し、被害者・遺族への補償を行います。

○旧日本軍兵士の遺骨収集をすすめます。「慰安婦」問題、強制連行問題、中国残留孤児問題など、残された戦後処理問題の早期解決に取り組みます。

○アジアの人々と共有できる歴史認識をつくるため、共同の歴史研究を積み重ねます。

○戦争犠牲者を慰霊するため無宗教で対象を軍人軍属に限らない新たな慰霊施設の建設を検討します。靖国神社への政府首脳の公式参拝は行いません。

3.平和憲法の理念の実現をめざし、自衛隊を縮小・改編します

○平和憲法の理念にもとづく安全保障政策を実現するために「平和基本法」を制定し、肥大化した自衛隊の規模や装備を必要最小限の水準に改編・縮小します。

○新規の正面装備の契約を控え、防衛費に占める歳出化経費の割合を抑制します。防衛調達をめぐる不祥事の再発防止をはかるため、防衛予算の透明化をはかります。

○「専守防衛」の理念の厳守を求め、攻撃的な装備の保有を抑制します。非現実的で膨大なコストを要するミサイル防衛のための装備の整備は凍結します。

○自衛隊の海外派遣のための恒久法の制定には反対します。

○海賊問題への対処については、海上保安庁の機能を強化したうえで海上保安庁を主体とするものに組み換えます。

○「シビリアン・コントロール」の理念を実質化し、情報公開をすすめます。「武器輸出三原則」を厳格に守り、法制化を検討します。

○イラク戦争開戦の経緯と戦争への日本の協力の過程の是非について、公式に検証するための委員会を設置します。

○自衛隊内部での人権侵害を防ぎ、自衛官の労働条件等を守るために外部の目で検証・監督する「自衛官オンブズマン」制度の創設を検討します。

○日本国憲法の「平和主義」をはじめ「国民主権」、「基本的人権の尊重」の三原則を遵守し、憲法の保障する諸権利の実現を第一として、国民の生活再建に全力をあげます。憲法審査会における憲法改正案の作成に反対します。

4.国連中心の外交政策をすすめ、非軍事面の国際協力をすすめます

○安全保障理事会のあり方を見直すなど、国連の民主的改革を推進し、大国主義ではない民主的な国連をめざして努力します。

○海外の大規模災害への緊急援助や、途上国の開発支援のための協力などに積極的に取り組みます。国連平和維持活動(PKO)への参加は、憲法の枠内の人道的な活動に徹します。

○アフガニスタン復興支援については、非軍事・文民・民生を原則として人道面の支援に積極的に取り組みます。

○ODAを社会開発、人権、女性支援、環境保全など「人間の安全保障」重視に転換します。「ODA基本法」を制定し、長期的な視点で信頼をえられる援助外交をめざします。

○政府開発援助(ODA)予算を国民総所得の0.7%という目標(国連のミレニアム開発目標)の実現に向けて増額します。開発援助資金の財源として「国際連帯税(航空券への課税)」の導入を検討します。

○投機的な短期資金の移動を抑制し、途上国の債務や貧困、環境破壊などの解決をはかる資金源とするために、「トービン税(国際通貨取引税)」の導入を支持します。

5.北東アジアを非核化し、核も戦争もない21世紀をめざします

○外交・安全保障関係の情報公開のあり方を検討してルール化をはかり、情報公開をすすめます。

○国是である非核三原則(持たず、つくらず、持ち込ませず)を厳守し、法制化をめざします。

○核兵器の役割を縮小させるために拡大抑止(核の傘)の役割を対核兵器に限定し、核兵器国による消極的安全保証を再確認します。核兵器国に核の先制不使用宣言を呼びかけ、条約化をめざします。

○CTBT(包括的核実験禁止条約)発効やカットオフ条約の具体化を目標に、関係国への働きかけを強め、NPT体制の強化をめざします。NPTの厳格運用をはかり、NPT非加盟国への原子力協力は一切行いません。

○核拡散につながるプルトニウム利用政策を転換し、国際的にも批判が強い六ヶ所村の核燃料再処理施設の運用を凍結します。

○対人地雷、クラスター弾に続いて劣化ウラン弾を禁止する条約の実現をめざします。

6.あらゆる差別に反対し、表現の自由を守ります

○「人権教育・啓発推進法」の所管を内閣府に移し、政府全体として取り組む体制を整備します。部落差別意識の解消に向けた同和教育、啓発活動を強化します。隣保館を地域社会における人権センターとして位置づけ、機能を充実します。

○政府から独立した国内人権救済機関を設けるための「人権侵害救済法」を制定します。

○アイヌ民族を先住民族と認めた国会決議(2008年6月)を受け、「アイヌ文化振興法」を北海道外で生活するアイヌ民族にまで拡大するよう改正します。

○外国人労働者の労働条件、就業環境、居住環境の改善に取り組みます。人身売買を禁止するための対策を講じます。外国人研修制度を見直します。在日外国人に地方選挙権を付与します。外国人学校への支援を強化します。

○ゲイ・レズビアンなどの性的マイノリティへの偏見の解消に取り組みます。性的指向や性自認を理由とした職業・雇用に関する差別、公営住宅や高齢者施設の入所などについての差別的取り扱いを禁止します。

○性的マイノリティの子どもたちが安心して就学できるよう、教育現場での啓発や当事者へのサポートをNPOなどと連携しながらすすめます。性的指向や性自認を理由としたいじめについて実態を調査し、必要な対策を講じます。

○性別にかかわらず多様な形態の家族に対して民法上の権利を保障する、仏PACS法(連帯の市民協約)にならった新しい制度の創設をめざします。

○「性同一性障がい者特例法」(04年施行、08年改正)をさらに改正して適用の範囲を広げると同時に、性同一性障がいや性別適合手術への保険適用を行います。

○思想・良心・表現の自由、居住・移転・出国の自由、少数民族の権利などを定めた国際人権規約B規約の第一選択議定書等を批准し、国際機関への個人通報制度を設けます。

○子どもの人権を守る観点から子ども買春の根絶と児童ポルノの規制強化に取り組みます。規制については、表現の自由を侵したり、表現者に過度の萎縮をもたらすことがないようにします。

○死刑廃止に向けた議論をすすめ、刑罰制度の見直しに着手します。それまでの間、死刑の執行を停止します。

○犯罪の実行前の共謀それ自体を処罰の対象とする「共謀罪」の新設に反対します。通信傍受法(盗聴法)やサイバー犯罪対策に関する刑法・刑訴法を見直し、適用対象や犯罪の構成要件、処罰の範囲等を見直します。

○国家による監視社会の強化に反対するとともに、医療情報、教育情報、金融情報などのセンシティブ(取り扱いに注意すべき)情報について、プライバシーを守るための個別法の整備をすすめます。

○住民基本台帳ネットワークシステムの凍結・廃止を念頭にシステムの監視と問題点の追及に取り組みます。

○年金・医療・介護に関する個人情報を一元的に管理する「社会保障カード」について、個人情報とプライバシー保護の観点から反対します。行政の都合やIT産業の利権のためではなく、住民の利便性向上につながるのかの視点で見直していきます。

7.「市民の司法」を実現する立場で司法制度改革に取り組みます

○裁判員制度を見直します。裁判員のための条件整備、被告人の防御権の担保、裁判員の守秘義務のあり方と罰則の問題等について検証し、裁判員法等の改正を行います。市民が参加しやすい環境の整備をすすめます。

○司法制度改革の主旨に沿って、法曹養成制度を見直します。法曹三者のバランスや、法曹の「質」の確保、法曹需要の拡大状況等を踏まえながら法曹人口の拡大のペースを調整します。意欲ある者への門戸を開くため法科大学院における奨学金制度の強化、司法修習生への給費制の復活を検討します。

○長期にわたる拘留や強要によるウソの「自白」が冤罪の温床となっていることを踏まえ、取り調べの全過程の可視化(ビデオ録画等による)をはかります。事後的な検証を可能とするため、捜査時の試料等の保管を義務付けます。また誤判原因を調査するための機関の創設を検討します。

○いわゆる代用監獄制度の廃止など、被疑者・受刑者の人権確立に取り組みます。拷問禁止条約が遵守されるよう政府を監視します。

○行刑施設を出所した者の社会への定着を促進するため更生保護のための施設や制度を大幅に強化します。

○犯罪被害者の救済制度を充実・強化します。警察による相談機能の強化をはかり、犯罪のおそれがある場合の予防的な対処についてルール化します。

○国民の裁判を受ける権利を実質的に保障するために裁判官を増員し、裁判官・検察官の非常駐裁判所・検察庁支部の解消をはかります。法律扶助事業に対する国の予算を増額し、制度の充実・強化します。

○難民及び難民申請者の増加と出身国の多様化がすすめむ中で、人道的観点から医療、公的扶助、就労許可等の支援措置を講じます。難民条約が遵守されるよう政府を監視します。

○少年法を見直し、少年の特質を踏まえた教育・福祉的な対応を強める体制を整備します。

○多様な市民活動を促進するため、特定非営利活動促進法(NPO法)を改正し、法人の認証にかかわる期間を短縮し、運営に関する手続の簡素化・迅速化をはかれるようにします。

再建2 もっと しごと

働く者の使い捨てを許さない

1.ヒューマン・ニューディール(いのちとみどりの公共投資)で雇用を創出します

○社会のニーズにもとづいて、「いのち」(介護、医療、福祉、教育)と「みどり」(農林水産業、環境や自然エネルギー)分野へ重点的に投資し、働きがいのある人間らしい仕事をつくります。このことによって、サービスの向上、雇用の創出、地域経済の振興、将来不安の解消といった一石三鳥・四鳥もの投資効果が生まれます。

○高齢者や若者向けの公共賃貸住宅の整備、保育所や介護施設の建設・増床、学校や公共施設のエコ改修・太陽光化・耐震化、社会資本のバリアフリー化、自転車道の整備や歩道の拡幅、道路の段差解消、電線の地中化、開かずの踏切対策の推進、再生可能エネルギーによる発電推進のための送電線網のスマート・グリッドの構築、路面電車の整備、間伐や森林整備、河川や海浜の自然再生、藻場・干潟の整備など、将来につながる事業や、いずれ必要になる事業を前倒しで実施します。

○介護、農業など慢性的な人手不足が続く分野について、賃金・所得などの待遇改善、人材育成と人材確保など、根本的な問題解決のためにメスを入れ、就業者を増やします。

2.労働者派遣法を派遣労働者の保護法に抜本改正します

○3党連立政権(民主・社民・国新)が公約し、継続審議となっている労働者派遣法改正案(政府案)を確実に成立させます。

〔政府案〕 @「派遣切り」の多発や雇用の安定性に欠ける派遣形態の横行を止めるための事業規制 ・登録型派遣の原則禁止(専門26業務は例外) ・製造業務派遣の原則禁止 ・日雇い派遣の原則禁止 ・グループ企業内派遣の8割規制 A派遣労働者の無期雇用化や待遇の改善 ・派遣元事業主に、一定の有期雇用の派遣労働者について、無期雇用への転換推進措置を努力義務化 ・派遣料金と派遣労働者の賃金の差額の派遣料金に占める(いわゆるマージン率)などの情報公開を義務化 ・雇い入れ等の際に、派遣労働者に対して、一人当たっての派遣料金の額を明示 B違法派遣に対する迅速・的確な対処 ・派遣先が一定の違法行為を行った場合に、派遣先と派遣労働者との間に雇用関係を成立させる「直接雇用みなし規定」の創設 ・処分逃れを防止するため労働者派遣事業の許可等の欠格事由を整備 C法律の名称に「派遣労働者の保護」を明記し、「派遣労働者の保護・雇用の安定」を目的規定に明記

○政府案で例外規定となっている登録派遣の専門26業務や、製造業派遣の常時雇用が、法の抜け穴とならないよう、厳格な運用とさらなる法改正を求めていきます。

3.無限定に拡大しつづける有期契約労働(非正規労働)に歯止めをかけます

○雇用契約は、直接雇用、期限の定めのない雇用であることを原則とします。労働契約法、パート労働法、労働者派遣法等を改正して、パート・契約社員・非常勤・嘱託・派遣など無限定に拡大しつづける有期契約(非正規)労働に歯止めをかけます。

○同時に、EU諸国にならい「有期契約労働者であることを理由とした合理的な理由のない差別の禁止」を規定して、有期契約労働と正規労働者との均等待遇をすすめます。

○有期労働契約は、一時的・臨時的業務等、合理的な理由がある場合に限定します(雇用の入口の規制)。また、有期契約を繰り返す場合は、正規雇用を申し入れる義務を課します。雇い止めには、予告期間を規定する等の規制を導入します(雇用の出口の規制)。

○労働の価値評価を正当に行うために、客観的な職務評価システムを確立し、同一価値労働同一賃金の原則で均等待遇をすすめます。

4.解雇の制限ルールを徹底します

○整理解雇に関する4要件(整理解雇の必要性、整理解雇を回避するための努力、整理解雇の対象労働者の選定基準の合理性、対象労働者・労働組合への説明・協議)を雇用者に厳守させます。

○4要件に、雇用創出型のワークシェアリング(時間外労働・休日労働を削減し雇用を生み出して分け合う)を新要件として追加します。

○「内定取り消し」、いわゆる「産休切り」、「育休切り」をなくすために、監督指導、規制を強化します。

5.男女差別、雇用形態の差別をなくし、雇用の平等を実現します

○同一価値労働同一賃金原則を確立し、雇用の男女差別、雇用形態による差別をなくします。

○男女雇用機会均等法における間接差別の対象事項を拡充し法の実効性を高めます。「間接差別」の実態を明らかにして形態を変えて存続する女性差別に歯止めをかけます。差別的慣行への罰則を強化します。

○パート労働法における差別的取り扱いの禁止の対象を、すべてのパート労働者に拡大し、労働者の保護を強化します。実効性ある正社員転換制度を組み入れます。

○男女がともに仕事と家族的責任の両立がはかるよう必要な支援を推進します。

○セクシャルハラスメント(性的いやがらせ)、パワーハラスメント(権力や地位を利用したいやがらせ)を禁止します。

6.長時間労働・不払い残業の規制を強化します

○長時間労働、サービス残業(時間外割増賃金を支払わない違法労働)を規制します。時間外勤務手当の割増率を現行の25%から50%に引き上げ、残業の「特別条項付き協定」制度を廃止します。

○勤務終了後、次の勤務開始までに最低11時間の休息を労働者に保障する「勤務間インターバル制度」を法制化し、無制限に延びる労働時間を規制します。

○増加する精神疾患や過労死・過労自殺を防止するために、「過労死防止法」の制定に取り組みます。

○労働時間規制の適用から労働者を外し、残業代を不払いとする日本版ホワイトカラー・エグゼンプション(自律的労働時間制度)の導入は阻止します。

7.職業訓練と生活支援費を支給する「求職者支援制度」を法制化します

○緊急人材育成支援事業(雇用保険を受給できない人等に職業訓練と生活支援費を支給)の実施を踏まえ、求職者支援制度を法制化します。雇用保険と生活保護の間に位置する新たなセーフティネットとして機能強化をはかります。

○昨秋、ハローワークで実践された、職や住まいを失った人たちに対する総合的な相談と支援(就労・生活・住宅・緊急貸付・多重債務、職業訓練など)をワンストップで行うしくみを改善し、さらなる拡充、定着をめざします。

○企業の社会保険・雇用保険逃れを許しません。非正規労働者について社会保険・雇用保険の適用を拡大します。

8.最低賃金を引き上げ、生活できる賃金水準を確保します

○最低賃金が生活保護水準を下回る都道府県の最低賃金を早急に引き上げます。

○中小企業に十分に配慮をしつつ、最低賃金(現在、全国加重平均で時給713円)を段階的に時給1000円以上へ引き上げ、ワーキングプアをなくします。

9.若者への職業教育訓練や、就労支援を強化します

○「高卒就職ジョブサポーター」「大卒就職ジョブサポーター」を公共職業安定所に配置するとともに、各学校へも派遣し、適職選択のための情報提供、職業相談、職業紹介などの支援を強化します。

○30歳未満で新規開業5年以内の若者起業家に対して、設備投資や運転資金の低利融資を実施するなど、若者の企業を支援します。

○若年雇用奨励金制度を創設し、新規採用人数の一定割合を既卒の若年層から採用する制度の導入、トライアル雇用からの正規採用、ジョブ・カードによる正規採用などを推進します。

○地域若者ステーションや公共職業安定所において、フリーター等を中心に、職業教育訓練制度、職業相談・職業紹介から職業定着に至るまでの一貫した支援を行い、トライアル雇用制度の積極的な活用をはかるとともに、地域の実情に応じたさまざまな就職支援を行います。

○若者就労支援を充実させるとともに、住宅手当の支給期間の延長と収入要件の緩和、雇用促進住宅の活用などをはかります。

10.日本版TUPE法を制定します

○会社分割や産業再編、公的部門の民営化や民間委託などがすすんできたことによって、関係する労働者の雇用のあり方が従来よりも大きく不安定になっています。イギリスのTUPE(事業譲渡と雇用保護規則)やEUの企業譲渡指令にならった雇用対策を強化する必要があります。日本版TUPE法を制定し、事業譲渡や経営形態の変更、委託化、民営化による事業移転変更の際に、同じ雇用条件で継続して雇用されるようにします。

再建3 もっと 社会保障

セーフティネットを充実

1.介護保険・高齢者福祉

介護施設の増設、在宅生活の支援強化で、介護施設待機者をゼロに!

○介護保険制度のスタートから10年、日本の高齢化率は世界最速です。高齢社会のピークを迎える2015年に向けて、国・自治体で緊急の介護基盤整備5カ年計画をつくります。

○いま、特別養護老人ホームに入所している高齢者は約42万人に対して、入所待機者が42万人を上回っています。特別養護老人ホーム、介護保険施設、介護療養型医療施設などを、現在の2倍に増やします。

○住み慣れた地域で暮らしつづけられるように、小規模多機能施設、グループホーム、ケアハウス、有料老人ホームなど多様な施設を大幅に増やします。

○訪問介護サービスの大幅な拡充と訪問看護の充実で、高齢者の在宅生活を365日24時間、支える体制をつくります。

○在宅生活が無理なく継続できるように、利用限度額を引き上げます。

○介護療養病床を全廃する計画を中止し、地域に必要な病床数を確保します。

保険料・利用料金を見直し、だれもが利用できる制度へ

○介護保険料の段階区分をより細かく設定し、低年金、低所得の高齢者の保険料負担を軽減します。公費負担割合の引き上げ、各都道府県に設けられた「財政安定化基金」の活用で保険料の引き上げを緩和します。

○介護保険の利用料負担が重荷となって、必要なサービスを利用できない低年金、低所得の高齢者が生じないよう、利用料の減免制度を徹底します。

○介護施設の食費・居住費が全額自己負担になったことにより、施設利用を困難にしています。補足給付を拡充し利用者負担を軽減します。

脱「保険あって介護なし」

○軽度の認定者であっても、訪問介護、通所介護、福祉用具など、本人の生活に必要なサービスは利用できるようにします。同居家族がいることを理由に、一律的に行われている生活援助制限を是正します。

○要介護者の生活実態やニーズと介護認定結果との乖離により、在宅生活に困難が生じています。事務手続、時間がかかわりすぎる介護認定を見直し、現行の7段階から3段階程度に簡素化します。ケアマネジャーなど現場の専門家の裁量を大きくするしくみを検討します。

介護報酬本体の引き上げ・労働条件の改善と人材育成に取り組みます

○介護労働者の低賃金の改善と、良質な介護サービスを確保するために、介護報酬の本体部分を引き上げます。

○施設の人員基準の改善、事務負担の軽減、専門性を高める研修制度の充実などに取り組みます。介護を働きがいがあり、継続できる仕事に改善し、就労者を増やします。

総合的な高齢者福祉政策を充実します

○認知症の予防・早期治療・介護の質的向上、家族への支援態勢などを行います。

○地域包括支援センターの機能を強化するとともに、老々介護や独居、虐待、低所得など、高齢者のさまざまな問題について自治体が責任を持って解決ができるよう態勢を整えます。

介護費用の国庫負担を引き上げます

○介護基盤の整備、介護報酬の引き上げなどに伴って上昇する介護保険料・介護利用料を抑制するために、国負担割合を30%に引き上げ、さらなる引き上げを検討します。

2.医療医師や看護師など医療従事者の数を増員します

○計画的に医師を養成し、少なくともOECD平均並みに医師数を増やします(日本の人口千人当たっての医師は2.1人、OECD平均の3.1人をはるかに下回っています)。特に、地域医療を担う総合医師、小児科・産婦人科・麻酔科の医師を増やすために、医師研修制度のあり方、地域の採用枠と診療科の採用枠の設定、診療報酬などについて改善を行います。

○看護師やコメディカルスタッフ(薬剤師・歯科衛生士・理学療法士・作業療法士など)の増員と労働条件の改善を行います。また、短時間正規雇用の導入、院内保育所など職場環境を整備し、女性医師や医療従事者の仕事と家庭の両立支援を行います。

医療空白地域の拡大を止めます

○地域の生命と健康の砦である公的病院(国立・公立・日赤・社会保険病院・厚生年金など)の統廃合に歯止めをかけ地域の病院を守ります。がんや脳卒中の治療、救急医療・産科・小児科などを確保します。

○地域における医療施設の機能分化を明確にし、院内・病院間・地域の医療の連携を強化して、情報の共有を行うシステムをつくります。各都道府県が、救急搬送システム、受け入れ医療機関の確保に責任を持てるよう国が援助を行います。

療養病床の削減計画の見直し、リハビリ日数制限の撤廃

○療養病床に関する改定を是正し、“医療難民”“介護難民”を生み出している療養病床の削減計画を早急に見直します。

○機械的に日数のみでリハビリを打ち切るリハビリ日数制限を撤廃します。個々の患者の病状や障がいの程度を考慮し、継続したリハビリを保障します。

○2010年度の診療報酬は10年ぶりのプラス改定となりましたが、非常に小幅の引き上げにとどまりました。人的配置や技術などについて診療報酬の引き上げが必要です。救急医療、小児科・産科・麻酔科について診療報酬上の評価を行います。

世界に誇る国民皆保険を堅持します

○すべての国民が各公的医療保険に加入し、いつでもどこでも安心して医療を受けられる国民皆保険を堅持します。

○安全性、有効性、普遍性が確認され、国民にとって必要な医療は速やかに保険適用をはかり、所得の格差が医療内容を左右する混合診療は導入しません。

○公費を投入して市町村国民健康保険の強化に取り組みます。保険料の減免制度を充実し、保険証の取り上げをやめ、無保険者をなくします。

○市町村国民健康保険の保険料の算定方法を見直し、18歳未満の子どもは被保険者人数から外し、子育て世帯の保険料軽減を検討します。

後期高齢者医療制度を廃止します

○「後期高齢者医療制度」は病気になるリスクの高い層だけを切り離し、高齢者の医療費削減を目的に設計されています。将来、医療内容が制限されかねないうえに、保険料負担は上昇率が非常に高く、持続可能な制度とはいえません。同制度を廃止し、一旦、老人保健制度に戻します。

○保険者機能の強化、財政の安定化、医療供給体制などの面から、市町村国民健康保険の適正規模を検討します。

○在宅医療を中心にすえ、切れ目のない医療と保健、福祉を結ぶ「地域ケア」の実践を広めます。

○超高齢社会へ対応するために、リハビリ医師の育成、緩和ケアの充実に取り組みます。

○患者や家族の要望を踏まえた実践を通じ、患者の尊厳を大切にした終末期医療や看取りのあり方を探求します。

がん対策、肝炎対策、難病対策に取り組みます

○がんの予防と早期発見の推進、がん検診の質の向上、がん医療の均てん化の促進に取り組みます。専門的な知識や技能を有する医師等の育成、医療機関の整備を推進します。

○がん対策基本法にもとづいて制定された「がん対策推進基本計画」を着実に実行します。

○3党連立政権によって、薬害肝炎感染の拡大が国の責任であることを明記し、「肝炎対策基本法」が成立しました。さらに全国的な肝炎治療体制の整備と医療費助成や治療中の生活支援を拡充します。B型肝炎訴訟原告団と国との和解協議を促し、早期の救済をはかります。血友病の薬害肝炎被害者の救済をはかります。

○難病の調査研究費を増やし、特定疾患の対象を拡大します。難病患者の治療の確保、負担軽減、療養環境の向上の観点から難病対策基本法をつくります。

患者の権利を確立します

○患者本位の医療を実現するために、インフォームド・コンセント(十分な説明と理解、納得したうえでの合意)を徹底します。「患者の権利基本法」を制定します。

○カルテ開示の法制化やレセプト(医療費明細書)の開示を早急にすすめ、患者や家族が医療記録を知る権利を保障します。

医療事故の再発を防止します

○「医療基準監督局」(仮称)を設置し、医療事故の原因調査、再発防止のために、医師の事故報告の義務化や安全指導を行います。また、被害者救済のための公的医療賠償責任制度をつくります。

新型インフルエンザ対策を強化します

○現在行われている定点観測(全国5000か所)を充実し、インフルエンザの種類、感染の状況、重症度などを継続的にチェックします。2次、3次流行、症状変化の把握を的確に行い迅速に対応します。

○感染症患者の受け皿となる地域の医療機関の基盤を強化します。

予防接種

○予防接種の副反応についてモニタリング体制を抜本的に拡充し、迅速な被害救済をすすめます。

○ヒブワクチンと小児用肺炎球菌ワクチンの接種費用を軽減し、無菌性髄膜炎を予防します。

○子宮頸がんワクチンの接種費用の軽減と婦人科検診の充実で、20歳代、30歳代で急増している子宮頸がんを防止します。

エイズ対策

○エイズに対する正しい知識の普及、検査や相談が受けられる体制など予防対策を徹底します。特に、若者への性教育、在日外国人、海外滞在者などに対して重点的な啓発活動を行います。

○国公立病院における患者・感染者の受け入れ体制の強化、医療従事者の養成、患者・感染者に対するカウンセリング体制など、エイズ患者への医療体制を整備、充実します。

○アジア地域における患者・感染者の急増しています。日本は、ワクチンや根治薬の開発など研究分野をはじめ、国際協力に積極的な役割を果たします。

3.年金

年金記録問題を解決し年金制度の信頼回復をはかります

○いわゆる「宙に浮いた年金」「消えた年金」「改ざんされた年金」など年金記録の正確な回復作業を促進します。年金記録がまちがっている可能性が高い人について、一定基準による早期の救済策を検討します。

○事務局体制を強化し、記録が回復した年金の支給を迅速に行います。

年金に関する情報提供と情報共有をすすめます

○年金記録を政府と国民が共有し、毎年双方向でチェックするしくみをつくります。毎年送付する「ねんきん定期便」には、前年の加入記録や所得、年金見込額、過去の加入記録、積立金の運用成績、年金制度運営のための行政コスト・間接コストなどを掲載します。

○保険料の履歴や将来の受け取り見込額を自分で確認できる「マイ年金手帳」をつくります。

○公的年金の老年者控除等を復活するとともに、年金からの税・保険料天引きをやめさせます。

年金保険料の流用を禁止します

○年金保険料の使途を年金給付に限定します。

○運営管理業務における公平性、効率性、透明性を確立します。

○年金積立金管理運用独立行政法人に対する国のチェックを厳しくします。

最低保障機能を備えたわかりやすい年金制度をつくります

○年金制度を一元化し、転職や結婚などで移動する必要のない、公平でわかりやすくい制度にします。新しい年金制度は、自分の賃金が年金受給に反映される「所得比例年金」(財源は保険料)と、社会が支え合う「基礎的暮らし年金」(財源は税金)の組み合わせです。

○「所得比例年金」は、だれもが無理なく支払える所得比例の保険料(給与所得者は労使折半、自営業者らは全額負担)で、納付した保険料に見合った年金額になります。

○「基礎的暮らし年金」は無年金や低年金を防止する最低所得保障の機能を果たします。全額税財源による社会連帯のセーフティネットです。「所得比例年金」の受給額によって額は異なり、所得比例年金がゼロの単身で月8万円を保障します。

○国民の合意形成を早急に行うべく国会で議論を開始し、高齢者が生活できる年金額が手元に残るように、医療・介護の自己負担(保険料と利用料)や税制のあり方を総合的に見直します。

○「所得比例年金」の保険料は税と一体徴収します。総合課税化を推進する「公平番号制度」を早期に導入し、所得を正確に捕捉して不正を防止します。

4.障がい者福祉

○民主・社民・国新の3党連立政権は、首相を本部長とする「障がい者制度改革推進本部」を内閣府に設置しました。そのもとにある「障がい者制度改革推進会議」は、障がい者制度全般の見直しを積極的に行い、6月7日に第1次意見書を取りまとめました。25人の委員のうち半数以上が障がい者や家族で、当事者を主体としたこれまで政府にはなかったスタイルで運営されています。また、本年1月7日、3党連立政権は、障がい者自立支援法違憲訴訟原告団・弁護団と国との基本合意を成立させ訴訟は終結しました。現在、基本合意にもとづく検証会議が開かれています。

○「障がい者制度改革推進会議」、基本合意にもとづく検証会議の提言を反映して、基本的な生活、働く場に応益負担を課す「障害者自立支援法」を廃止し、新たに、総合的な障がい者福祉法をつくります。

○本年度予算で、障がい福祉サービスの利用料と補装具の購入等について、所得の低い方(市町村民税非課税世帯)は無料化にしました。この措置を、障害者自立支援法を廃止し新法を整備されるまで継続します。また、収入認定は、世帯単位の収入ではなく、障害児者本人だけで認定するしくみに改めます。自立支援医療についても減免を行います。

○介護支援が必要であるにもかかわらず、制度の谷間に置かれている、難病者・慢性疾患者等について、居宅介護が利用できる制度をつくり、総合的な障がい者福祉法の制定につなぎます。

○国際的な水準による「障がいの定義」を確立します。「国連障がい者の権利条約」にもとづいて障がい者の所得保障、働く場や生活の場など基幹的な社会資源の拡充、就労支援策の強化などを行います。

○「国連障がい者の権利条約」の批准と国内法の整備をすすめます。「障がい者基本法」の改正とともに、実効性ある「障がい者差別禁止法」、「障がい者虐待防止法」を制定します。

○障がいを持つ人が「参加しやすい選挙」は、お年寄りや体の不自由な人などすべての国民にとって「参加しやすい選挙」です。選挙のバリアフリー化、ユニバーサル化を推進します。

○地上デジタル放送への移行に際しては、「視覚障がい者にも使えるリモコンを」、「障がい者にもチューナーを」という要求への対応を強化します。

○障がい者が放送を通じて情報を入手するうえで必要な手段である字幕放送ならびに手話放送の増加を求めます。

○移動困難な障がい者が住み慣れた地域の中で自立し、社会参加の機会を増やすには、公共交通を整備することが第一ですが、運転免許の取得がネックとなっていることも否定できません。障がい者の運転免許取得を支援するためのバリアフリー化をすすめます。教習所や各種の講習、免許行政窓口で、手話通訳、文字通訳、字幕などの情報保障の整備をすすめます。指定教習所において手動・足動運転補助装置を普及させます。交通の安全と障がい者等の社会参加が両立するよう、障がい者団体を含め、広く各界の意見を聴取しつつ、運転免許の適性試験・検査についても科学技術の進歩、社会環境の変化等に応じて見直しを行います。障がい者の運転免許取得を支援するため、取得費用に対する助成制度をつくります。

○著作者の音訳を制限する著作権法を改正するとともに、「EYEマーク」運動をすすめます。

5.貧困をなくす!

○政権交代後、厚労省は、日本の相対的貧困率を15.7%(約6人に1人が貧困)であると公表しました。子どもの相対的貧困率は14.2%(約7人に1人が貧困)。ひとり親世帯の相対的貧困率は54.3%(約2人に1人が貧困)。自公政権が目を背けている間に広がっていた貧困問題の解決に取り組みます。

○継続的に政府の貧困率測定調査を実施し、数値目標を定めて貧困の削減に取り組みます。

○生活保護基準を健康で文化的な最低限度の生活が保障できる水準へ引き上げます。生活保護の国庫負担分を引き上げ、生活保護申請が集中している自治体への財政負担を軽減します。

○生活保護の老人加算を復活します。

○財政措置を強化し、生活保護のケースワーカーの増員と専門性の確保をはかります。

○生活保護の住宅扶助と医療扶助について、単給支給を認めるように制度を改善します。ホームレスやネット・カフェ難民などに対応し、生活保護を受ける手前の支援策として機動的に運用します。

6.自殺対策

○国・自治体・民間の実態調査、情報提供を踏まえ、地域の特性や原因に即した戦略的な自殺総合対策を推進します。

○自殺は、その多くが防ぐことのできる社会的な問題であり、早い段階で経路の連鎖を断ち切ることが重要です。ハローワークなどを拠点に、就労と生活支援、心の悩み相談、多重債務者支援等のワンストップ窓口の開設に取り組みます。

○自殺未遂者の自殺再発を防ぐために、救命救急センターに精神科医師を配置するなど、精神科医による診療体制の充実、福祉との連携強化等をはかります。家族など身近な人の見守りを支援します。NPO団体の知恵と熱意を最大限にいかします。

7.社会保障としての住宅政策

○住宅こそ生活の基礎であり、「住まいは人権」です。「住宅先進国」をめざし、住生活の向上と居住の権利を保障するため、「住宅基本法」を制定します。

○離職者・低所得者の「居住の権利」を支え、就労を促進するため、居住セーフティネットの実現に向けて、「社会住宅政策」の充実をはかります。住宅弱者に対する安全網を充実させるため、公的賃貸住宅・民間賃貸住宅の借り上げなどの現物給付、家賃補助、住宅手当の拡充・制度化など、「住まいの貧困」に対するセーフティネットを強化します。優良な公共賃貸住宅を増やすとともに、入居資格を緩和して、低所得の若者や高中年の単身者などの入居を可能にします。

○貧困者を食い物にするいわゆるゼロゼロ物件に対する規制を強化するとともに、貧困に関連する住宅問題解決のため、「公的家賃債権保証制度」の創設を検討します。その際、一般個人家主の正当な権利行使の障害とならないよう配慮するようにします。

○いままで福祉、雇用(就労支援)、住宅などの縦割り行政や、国と自治体の谷間、自治体間の谷間、たらい回し、後手後手の対策などを反省し、早期支援、早期立ち直りのセーフティネット・システムをめざします。非正規就業や長期失業などで生活に困窮する人々を個別的・継続的に支える「パーソナル・サポート(個別支援)」のあり方を検討し、相談者の立場に立ってマンツーマンで専門的なアドバイスを行い、横断的に行政や地域資源とのコーディネートを行う寄り添い型の人的サービスを確立します。

○居住者の不安を煽る旧公団住宅(UR住宅)の民営化や売却・削減、定期借家権の導入に反対し、「安心して住みつづけられる公団住宅」、「みんなの心通い合う地域コミュニティづくり」をめざします。

○UR及び関連公益法人のあり方を抜本的に見直し、居住者の負担軽減をはかります。

○旧公団住宅や公営住宅を団地居住者にとってのみならず、オープンスペースや緑地、子どもの遊び場、地域の防災拠点など地域社会の貴重な環境資源としても活用します。集合住宅における世代間交流を促進します。

○公営・旧公団住宅については、居住者の居住の安定と社会不安の進展、空家対策等の観点から、高齢者が安心して住みつづけられる家賃や若者も住める家賃へと見直します。また民間借家についても多様な家賃補助制度を導入すべきです。民間賃貸住宅の入居差別を許しません。

○雇用促進住宅の廃止をやめて、若者の雇用と住まいのために積極的に活用します。

○子どもを育てる世代、バリアフリーの住宅を望む高齢者世代など、人生の節目にあわせた住み替えを柔軟に行えるようにしていきます。

○新築や増改築に際し、省エネや環境配慮型建築資材を使用した場合の助成制度の充実、適用基準の緩和を行います。

再建4 もっと 子ども・若者・女性

人生まるごと応援

子どもの権利条約の視点から、従来の子育て支援、少子化対策、健全育成対策を、大きく転換し、本格的な子ども・子育て支援、若者支援に取り組みます。子ども手当などの現金給付と、保育所・幼稚園、学童保育所などの現物給付は、子ども・子育て支援の車の両輪です。両者をバランス良く拡充するとともに、親子が大切な家族の時間を確保できるよう、ワーク・ライフ・バランスを推進します。

1.子ども・子育て支援子どもの貧困の解消に全力で取り組みます

○3党連立政権は、生活保護の母子加算の復活、児童扶養手当の父子家庭への拡大、子どもの健康保険の確保など、子どもの貧困問題の解消に向けて一歩を踏み出しました。さらに、国、自治体の子どもの貧困率の削減目標を設定し、具体的な対策を実現していきます。

○無料もしくは低料金で利用できる良質な保育施設を十分に確保し、親の就労と子どもの育ちを支えます。

○自立の前提になる子どもの学びを積極的に支援します。学校を軸に、子ども一人ひとりに対して教育のみならず、生活、福祉などを行政が連携して行うしくみをつくります。

子ども一人ひとりの育ちを応援するために「子ども手当」を支給します

○「子ども手当」は、子ども一人ひとりに着目し、その成長と発達に役立てるために支給します。諸課題を改善し、早急に本格的な実施をめざします。

〔対象〕0歳〜15歳(中学卒業まで) ※児童養護施設に入所している子どもたち等について貯金が可能となるようにします。 〔金額〕子ども1人当たって、月13,000円 〔財源〕全額国庫負担 ※児童手当の地方負担分は地域の保育所整備等子育て支援費として確保し、事業主負担分については仕事と家庭の両立支援にあてるしくみを工夫します。 ※住民税の扶養控除の廃止を凍結するとともに、配偶者控除の廃止は当面行いません。

待機児童の解消へ緊急対策を実施します

○認可保育園の待機児童は全国で2万5千人、潜在的待機児童は10年後に100万人ともいわれています。保育所の質を確保しながら、保育所の拡大整備をすすめます。

○潜在的な待機児童の問題に対応するために、保育需要の実態調査を行い計画的な整備計画をつくります。当面、「子ども・子育てビジョン」の数値目標を実現するために、1年で10万人分に対応する認可保育園、認定こども園などの新設、増設に取り組みます。

○一刻も早く保育園の待機児童を解消するために、既存の社会資源を最大限に有効活用します(小中学校の空き教室・公民館・公有地などを利用して公立保育園を分園化、バスを使って定員の空いている保育園を活用、幼稚園の預かり保育の拡充、保育ママ制度の充実、認可外保育への支援強化など)。

○国の保育所最低基準(職員の配置基準、面積基準)を欧米諸国並みの水準に引き上げ、保育所の質を改善します。

○保育士が安定的に働き続けられるよう労働環境の改善に取り組みます。専門性向上のしくみをつくります。

○延長保育、休日・夜間保育、病児・病後時保育、事業所内保育など、多様な保育の充実に取り組みます。

○どの子どもにも必要な養護と幼児教育を保障するために、認定こども園や人口減少地域での実践を土台として、幼保一元化をすすめます。

○育児休業の拡充、育児休業と保育の連動性を高め、ワークシェアと保育シェアをすすめます。

○共働き、ひとり親家庭等が急増する中で、放課後児童クラブ(学童保育)の需要が拡大しています。学童保育の公的責任を明確にし、質量ともに拡充します。

○育児の孤立化を防ぐために、保育園の一時預かり事業の拡大、地域子育て支援拠点の設置、ファミリー・サポート・センターの普及など、地域の子育て支援を充実します。

身近な地域で安心して妊娠、出産、育児できるようにします

○助産師の力を活用し、助産院、母子健康センター、産院など、妊婦健診と正常分娩の受け皿となる分娩施設を身近な地域に増やします。

○妊婦健診や分娩を健康保険の適用にして、医療やケアの透明性を高め、バラツキの大きい費用を是正します。自己負担分は国庫負担とし、基本的な妊婦健診と出産を無料化します。

○子どもが病気になっても安心して医療にかかれるように、小児医療体制を整備します。子どもの医療費を中学校卒業まで無料にします。

○不妊専門相談センター、不妊治療に関する経済的負担を軽減し、不妊治療への支援に取り組みます。

「子ども省」、「子どもの権利基本法」に取り組みます

○子どもに関する総合的な政策を一元的に行う「子ども省」をつくります。

○子どもが権利の主体であることを確認し、子どもの最善の利益を求める「子どもの権利基本法」をつくります。

○「子どもオンブズパーソン」など、子どもと若者の相談体制を地域に普及します。子どもの人権侵害の相談を受け、必要に応じて調査・調整・勧告などを行い、子どもを救済するためのしくみづくりに取り組みます。

2.若者支援

○18歳選挙権を実現し、若者自身の政治参加の意識を高めます。

○中学生や高校生が放課後を、安全に楽しく過ごせる居場所をつくります。集まった中高生が地域コミュニティに参加することを支援します。

○地域若者サポートステーションやハローワーク等に若者向けの正規専門職を配置・増員し、生活保障、進路・就労相談、職業教育訓練制度の利用方法などのアドバイスを充実します。メンタル面での支援の場となる「居場所」機能も充実し、ユニオンやNPOとの連携を強化します。

○ニートや引きこもっている若者の社会参加や就労をサポートするために、自治体やNPOと連携して相談窓口など支援システムを整えます。

○高校、大学、専門学校などにおける職業教育の推進、公的な職業教育訓練機関の拡充で、若者の就労支援を強化します。

3.男女共同参画

女性の人権を守ります

○選択的夫婦別姓制度、婚外子差別の禁止、離婚後300日問題(子どもの父親がだれであるかを推定する嫡出推定)、婚姻年齢の男女同一化、女性だけに定められた再婚禁止期間の見直しなど、民法改正を実現します。

○個人通報制度(個人が直接、国際機関に人権侵害の救済を求める制度)など含めた「国際人権規約B規約(自由規約)選択議定書」や「女性差別撤廃条約選択議定書」の早期批准をめざします。

女性の社会参画を推進します

○政策決定の場における男女平等を推進するため、女性が立候補しやすい選挙制度に変えます。クオータ制の導入、選挙制度の見直し、在職立候補制度の導入、供託金の引き下げなどを検討します。

○アファーマティブ・アクション(積極的差別是正措置)を通じて、あらゆる分野(公務員・企業・農山漁村など)で意思決定レベルの地位における女性の公平な参画をすすめます。

女性への暴力をなくします

○DV(パートナーの間の暴力や支配)を根絶するために、保護命令の改善や加害者教育など含めた施策を強化した「DV防止法」の改正を行います。

○各都道府県の「配偶者暴力相談支援センター」、市町村の相談窓口の認知度を高め、支援機関のネットワーク機能を強めるよう働きかけます。

○DV防止教育と情報提供を、民間機関と連携して充実させます。民間の被害者支援団体への資金的基盤づくりを促進します。

○あらゆる性暴力を禁止し、被害者の人権とケアを保障する「性暴力禁止法」をつくります。人身売買を根絶します。「人身取引被害者保護法」をつくります。

リプロダクティブヘルス/ライツ(性と生殖に関する健康と権利)の確立

○母体保護法・堕胎罪を撤廃し、出産・避妊・中絶など、女性のからだの自己決定権を保障する「女性のからだと健康に関する基本法」をつくります。

○学校などの性教育を通して、HIVや性感染症に関する知識や予防について、正しい情報を提供します。

○医療保健機関の「女性外来」や「思春期外来」、性とからだに関する相談所などをサポートします。

再建5 もっと 教育

貧困の連鎖を断つ

1.ともに学び、ともに生きる、ゆとりある学校をつくります

○親の経済力や幼少期の生育環境によって、人生のスタートライン以前の段階で大きな格差が生じています。教育の場を通じた格差の再生産・固定化を許さず、すべての子どもたちに公平な学習の機会を保障するために、教育基本法や教育3法を抜本的に改正して、教育の改革をめざします。

○学習指導要領は大綱的基準(基本的に教えなければならない最低限の内容)ととらえ、自治体・学校・保護者・地域住民などの創意工夫で運営できる学校をめざします。

○国旗・国歌の取り扱い方は個人の思想・信条にかかわる問題であり、教育現場で教職員や子どもたちに強制することはさせません。

○行革推進法を改正して教職員数の純減を止め、定数を増やします。学級生徒数は20人をめざし、当面は30人以下学級の早期完全達成をはかります。

○事務職員、養護教諭、栄養教職員、専任司書教諭、実習教諭、部活動の指導員、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー、特別支援教育支援員などの配置を拡充します。

○教材費・図書費等の増額、パソコン整備やネットワークなどICT環境の充実をはかります。学校施設の耐震補強とアスベスト対策を早期にすすめます。

○教職員の負担をますだけの教職員免許更新制を廃止します。教職員の養成、採用、研修等の改革を総合的にすすめ、教職員の適格性、専門性、信頼性を確保します。

○インクルーシブ教育を実現し、障がいを持つ子どもと、持たない子どもがともに学び育つ総合教育と総合保育に取り組みます。

2.教育予算GDP(国内総生産)5%水準の実現をめざします

○対GDP比3%半ばという他の先進国と比べて低い水準の教育予算を、「世界標準」といえるGDP5%水準(OECD平均)に引き上げるため着実な教育予算の拡充をはかります。

○教育に地域格差をもたらさないよう義務教育費国庫負担制度を堅持し、2006年に3分の1に引き下げられた国庫の負担率を2分の1に引き上げます。

○外国人学校・民族学校、定時制高校なども含め中等教育(高校まで)にかかわる入学金・授業料を原則無償とします。高校へ進学しない者の教育機会を確保するための助成制度を検討します。

○高等教育(大学、短期大学、大学院等)の無償化に向けた、漸進的な努力を定めている国際人権規約(社会権13条)の留保を撤回し、無償化をめざす姿勢を明確にします。

○いわゆる「骨太方針」にもとづく国立大学・高専運営交付金、私学助成費のシーリング・マイナスの方針を転換し、義務的経費の減額は行いません。

○教育の機会均等を保障するため奨学金・育英制度を充実させます。無利子奨学金の拡充をはかるとともに、選考基準については経済的条件のみとする改善も行います。返還義務のない給費奨学金制度を創設します。

○就学援助の対象を高校学校までに拡大し、保護者負担の軽減をはかります。

3.学校を「きずな」として、地域社会の教育力を再生します

○教科書採択に当たっては、教員の意向が反映されるための条件整備をはかり、保護者・住民参加の制度的保障などを確立します。この前提の下に、教科書検定制度の廃止を検討します。

○ILO(国際労働機関)140号条約を批准し、職業上必要な技能の修得、地域社会活動への参加等を目的とする長期の有給教育休暇制度を創設します。

○自然と環境について親も子も学ぶことのできる体験の機会を設け、農漁村の子どもと都市の子どもが交流するプログラムの推進をはかります。

○地方教育委員会に予算権を付与し、地域の実態を反映した教育計画の立案・推進を可能とするなど、教育の民主化をすすめます。

○先進諸国の中でも低い文化予算を増額し、市民の文化活動への取り組みを応援し、舞台芸術、映画、音楽などへの助成を改善・充実させます。

○劣悪な状態の芸術・文化活動従事者、アニメなどの「コンテンツ」制作関係者等の労働条件を改善し、労災補償や雇用保険の適用を検討します。

再建6 もっと 地方分権

元気でゆたかな地域へ

1.真の分権・自治の推進

○それぞれの地域の特色をいかし、「生きる営み場」としての元気な地域の再生をめざします。地域のことは地域で決められるようにし、住民が主役のゆたかな分権・自治の日本をつくります。

○地方自治法を抜本的に改正し、市民自治を基本にすえた「地方自治基本法」を制定します。自治体の重要事項について直接住民の意思を確認するための住民投票を制度化します。

○道州制には、住民不在であること、域内格差の拡大につながりかねないこと、身近な行政が後退すること、憲法の規定する直接請求や、地方特別法に対する住民投票の意義が損なわれることなどの疑問があります。まず現行の二層制の下での分権をすすめるとともに、都道府県を広域的な「自治体」としてもっと住民との関係を充実させていきます。広域の行政課題に対しては、広域連合を活用します。

○沖縄については、これまでのさまざまな経緯に鑑み、「一国二制度」的な特例的自治制度を検討し、沖縄県民の意思を尊重しながら実現をめざします。

○権限や財源の移譲、地方にかかわる制度改正などについて、政府と地方の代表者等が協議を行う場である、「国と地方の協議の場」の法制化を急ぎます。

○「補完性の原理」を徹底し、住民ニーズにかなった、「現場からの積み上げ型」の改革案の策定など、地域に根ざした分権・自治の取り組みをすすめます。

○政府がすすめる「地域主権」の検討に当たっては、社会経済情勢の変化に対応したかたちで国と地方自治体の行政の役割分担を見直し、そのうえで、より地域に密着した基礎的自治体が国民生活に不可欠な公共サービスを住民のニーズに沿って遂行するとの観点ですすめるように求めます。「地域主権戦略大綱」策定に際しては、公共サービス基本法の基本理念に則り、「安全かつ良質な公共サービスが、確実、効率的かつ適正に実施されること」を前提として対応するようにします。

○自治立法権・自治行政権を確立する分権の観点から、自治体への権限移譲をすすめるとともに、自治体の事務に対する国の義務付け、枠付けを縮小・廃止します。但し、保育や介護、児童擁護、障がい者福祉、男女共同参画、義務教育など、生存権や安全の確保、人間の尊厳や子どもの成長に深くかかわるサービスについては、国民へ同レベルの公共サービスを提供するため、国際的な人権基準に則って国が最低基準を設けます。また、当事者や社会的弱者の声が反映されるようにします。地方分権改革推進委員会に対する厚生労働省の対応方針で「従うべき基準」とされた保育・介護・福祉における施設についての最低基準の改善をはかるようにします。

○国の地方出先機関の見直しについては、国と自治体の役割分担と事務・権限、財源などのあり方を十分に検討したうえですすめるようにします。人員移管等のしくみの検討に当たっては、政府の責任において国家公務員の雇用と生活を確保することを前提とするとともに、事務の地方移管の実施に必要な財源は人件費相当額も含め地方に移管します。

○住民の共同意思にもとづいて自己決定できる自治体財政を確立するため、現在6対4となっている国税と地方税の割合を当面5対5にします。将来的には、国と地方の新たな役割分担に応じた税の配分となるよう、地方税の配分割合をさらに高めていきます。

○地方消費税の配分を1%から2.5%へと変え、地域の医療・介護・福祉・教育等の財源を充実し、住民生活に必須の行政サービスを安定的に提供していくようにします。

○地球温暖化対策にかかわる地方の役割を踏まえ、地球温暖化対策のための税とあわせて、化石燃料や自動車に対する地方税の創設など地方の財源を確保するしくみとして地方環境税を導入することを検討します。

○地方税を真に自主財源化するため、標準税率を超える税率設定を自治体に任せるなど自治体の課税自主権に対する制約を縮小・廃止します。

○地方財政計画の策定については自治体との協議のもとに、少子・高齢化や雇用創出、地域の再生・活性化、環境保全など、地域住民が将来にわたって安心できるための施策に要する新たな行政需要を的確に反映させ、地域公共サービスの実態に見合った財源保障を行います。地方税財政にかかわる諸制度の見直しに当たっては、特に財政基盤の脆弱な市町村に対し、特段の配慮を行うようにします。

○地方財政計画に適切に歳出を計上することにより、地方の財源不足や格差を補う役割を持つ地方交付税を復元・増額し、財源調整・保障機能を強化します。地域間の財政力格差は、偏在性の低い地方消費税の充実・強化、地方交付税の財政調整機能の強化を基本に是正をはかります。

○巨額の地方財源不足への対応については、地方交付税原資となっている国税5税の法定率の引き上げなど、交付税法第6条3第2項に従って地方税財政制度の抜本的改革を行うことを基本とします。

○地方交付税は地方固有の財源であり、その改革に当たっては、地方の役割や行政サービスの水準について、地方と十分な議論を行ったうえですすめるようにします。国の一般会計を通さずに特別会計に直接繰り入れ、地方の共有財源であることを明確にした「地方共有税」に改革することをめざします。

○危険な橋梁の補修や電線の地中化、都市部の緑化、森林における路網整備など、自治体によるきめこまやかなインフラ整備等を支援するための交付金を充実します。

○地方財政の健全化に当たっては、国家による管理・統制の強化や市場競争原理の徹底ではなく、情報公開、住民や議会による監視の強化を通して、住民主導による自主的・主体的な財政再建と地域の再生に取り組んでいきます。財政指標を絶対的基準として病院、福祉、交通、環境などの不可欠なサービスの切り捨てにつながることがないよう、十分な財政措置を講じるように求めます。

○国庫補助負担金改革の第一歩として、「ひも付き補助金」を縮小・廃止します。一括交付金化については、国と地方の役割分担を踏まえたうえで、交付総額の確保、配分基準、財政力の弱い自治体への配慮、年度により偏在性の大きな事業への対応、段階実施の工程などをあらかじめ明らかにするとともに、制度設計に当たっては、「国と地方の協議の場」等で十分協議し、地方との合意形成をはかりながら行うようにします。国の財政負担の地方への転嫁や公共サービス水準の低下につながることのないよう配慮し、地方の自由度が拡大しない単なる補助率カットや補助金削減は行いません。地方の自由裁量拡大に寄与しない補助金等や国が真に直接的な財政責任を負う部門については、ナショナルミニマム維持の観点から、きちんと財源保障する必要があり、災害復旧や社会保障、義務教育部分については、一括交付金化からの除外を求めていきます。

○国の直轄事業に対する自治体の負担金については、社会資本整備にかかわる国と地方の役割分担を明確化し、早期に廃止するようにします。

○大都市が地域特性や実情にあわせ、創意工夫と責任にもとづく自立的な都市経営を行うため、大都市特例税制の創設を検討します。また、50年以上前に創設された政令指定都市制度の見直しを行い、あるべき大都市制度のあり方を検討します。

2.ゆたかな公共サービスを実現

○公共サービスは憲法上で国民に保障された社会的基本権を具体化したものであり、暮らしを支え、バックアップする、市民ニーズに合った公共サービスの質・水準の確保をはかり、必要とするだれもが利用できるよう、「公共サービス基本法」をいかした取り組みをすすめます。

○地方自治の本旨にもとづくとともに、多くの公共サービスが自治体の事務・事業であることから、各自治体において公共サービス基本条例の制定をめざします。指定管理者、市場化テスト、民間への業務委託についての基準とチェック体制を整備します。

○住民のいのちや暮らしを守る公的病院の役割をきちんと評価し、国として公的病院を守り地域医療の確保をはかるために必要な支援を行うよう求めます。「公立病院改革のガイドライン」を自治体におしつけるのではなく、地域医療サービス確保の観点から、地域事情を考慮し、あくまでも現場の声をしっかり踏まえ、地域の医療を守り充実させていく立場から、各自治体、住民の要望を尊重するように求めます。病院事業については、住民が安心・安全に暮らせるよう、不採算地区病院、小児医療、救急医療、へき地医療、周産期医療等について、所要財源額の確保に一層努めるとともに、今後とも、地域医療の確保のための対策や財政支援策等の充実をはかります。

○第一線の地方消費者行政や相談機能を強化していくため、消費者センターの人員の増員、相談員の処遇改善、消費者生活相談窓口の機能強化や消費者行政の総合的な拡大をすすめます。これらの地方の消費者施策の実施に対する国の支援措置を強化します。

○消費者団体訴訟を担う適格消費者団体や、消費者相談を行っている消費者団体への国による財政支援や税制上の優遇措置を講じます。少額多数被害の救済を実効化するために、適格消費者団体によるオプトアウト型の損害賠償等請求制度の導入等、不当収益剥奪制度に関する検討を行います。消費者教育を体系的に実施します。

○悪質事業者の監視・取り締まりを強化するとともに、被害者救済策を早急に整備します。

3.地方再生をバックアップ

○それぞれの地域特性に根ざして経済再生をはかろうとする「地産地消」、「地域通貨」、「福祉事業とワーカーズコレクティブ」、「コミュニティビジネス」「リビング・ウェッジ(生活保障給)」、都市と農村をつなぐ施策などの自主的努力をバックアップします。

○地域住宅産業は環境にやさしく地域の雇用や経済など裾野が広い効果を持っています。循環型社会にふさわしい木造住宅建設の振興に努力します。建設技能者の育成をはかるため、職業関連助成金の確保、業界全体で建設技能者養成に取り組むための「建設技能者養成基金」(仮称)を創設します。

○元請け建設業者の倒産に伴う下請け労働再建の優先確保、公共工事の設計労務単価の改善、建設労働者の違法派遣の実態調査の実施、監督強化等を通じて建設労働者の労働環境の改善をはかります。

○公共投資や社会資本投資によって得られる開発利益を自治体に還元する制度を創設します。

○観光を少子高齢化対策、地域活性化、国民生活の質の向上、新成長戦略の柱と位置づけます。観光立国の推進のためには、魅力的な観光地や宿泊施設の整備が不可欠であり、そのための財政投融資や税制特例措置の拡充、予算確保をはかります。

○新成長戦略(2013年までに1500万人、2016年までに2000万人、2019年までに250万人、将来的には3000万人とする)及び訪日外国人3000万人プログラム実現をめざし、訪日外国人旅行者の増加をはかるため、国内の受け入れ体制を整備します。

○地域社会全体の財産としての「歴史的環境」(すぐれた「町並み」や「景観」など)を守り、再生します。産業遺産やSLを観光資源として活用します。民謡・民話・生活技術など民衆文化の担い手に対する助成・育成策を強化します。

○改正建築基準法について、徹底的に検証し、建築確認申請のあり方を実務にあわせて見直します。適正マンパワーの確保、一級建築士の専門化(意匠、構造、設備)及び地位向上と責任の明確化をはかるようにします。また、伝統構法や大工技術の継承、木の文化の発展に配慮するものとなるようにします。

○建築の質を高め、社会をゆたかにするため、建築物を社会資産とみなし、建築主・所有者の財産権と周辺の環境権との調整の原則を示すような「建築基本法」の制定をめざします。

○地域の合意を重要視して街づくりをすすめようとする自治体や市民の努力を大切にします。この間の規制緩和が地下室マンションや超高層建築物等を可能にし、住環境破壊を招いています。まちづくりにかかわる法制度を分権・自治の観点で見直すとともに、条例で的確な規制ができるようにします。

○過疎地域の振興をはかるとともに、限界集落(住民の減少と高齢化がすすみ、65歳以上が半数以上になり、冠婚葬祭など社会的共同生活の維持が困難になっている集落)をはじめとする集落対策等を総合的に推進するため、新たな過疎対策法をいかした取り組みをすすめます。山間地域の自然環境や国土保全、水源涵養など多面的な機能を評価するとともに、農林業や地場産業の振興、生活交通の確保、医療の確保、雇用の確保、教育環境や道路・上下水道・情報通信基盤の整備、生活環境の改善など、地域に応じたきめこまやかな定住対策に取り組みます。

○まちづくりにおいて、環境負荷が小さくすべての人が快適に暮らすことができる、「エコ・コンパクトシティ」づくりを推進します。

○国土の保全等において重要な役割を有しているものの、産業基盤及び生活環境の整備等が他の地域に比較して低位にある離島について地理的及び自然的特性をいかした振興をはかります。特にヨーロッパでは離島でのガソリン税や消費税が減免されていることから、日本でもまずガソリン税の減免を行うようにします。

4.市民活動支援の促進

○地域や社会の担い手としてのNPO活動を推進するため、NPO法・NPO税制を抜本改革し、NPOを支援します。認定NPO法人の要件緩和や寄付金控除などの税制改革を実態に即して行います。

○安上がりの行政のための手段としてではなく、NPOをはじめとする市民の自主的・自発的な活動と、公共サービスの担い手である「公」との連帯と協働をすすめます。

○「働くこと」を通じて、人と人とのつながりを取り戻し、コミュニティの再生をめざすため、「協同労働の協同組合」の法制化をすすめます。「新しい公共」の推進に当たっては、非営利・協同セクターとの対等なパートナーシップを大事にするようにし、単なるコスト削減や行政の下請け化、営利企業への開放とならないようにします。

5.ゆたかな言論・情報環境の実現

○図書館を、「知の広場」と位置づけ、従来の予算を倍増し、多種多様な資料を取りそろえ、専門職員による支援が可能な環境をつくり上げます。

○電波や放送にかかわる事業体の選定に関し、権力の介入を許さないためにも、先進諸国と同様に、現在の行政官庁ではなく、独立した第三者機関に委ねる制度づくりに着手します。

○利用者保護、青少年対策が国家管理と混用されることのないよう、インターネットの環境整備に取り組みます。「有害」や「不正」な情報の扱いについて、直接的な法規制ではないメディアの自律的な対応システムをいかすかたちでの対応を強化していきます。青少年への啓発・啓蒙を充実させ、被害の未然防止と速やかな救済を可能にします。

○インターネットの発達とともに、放送との「融合」が進行している現在、「情報通信インフラは国民の資産」という認識に立ち、新たな法整備に臨みます。「表現の自由」は民主主義の基盤です。市場性や効率性に惑わされることなく、国民全体の利益の基礎を見据えて改革を行うべきです。自由な表現活動が実現する社会をめざし、ビジネス優先での情報分野の規制緩和や公的介入の強化には反対します。

○地上デジタル放送移行に際しては、低所得者への受信機や、チューナー貸与や電波障がい地域の解消など引き続き求めていくとともに、ビル陰などの新たな難視聴問題、マンションなどの共同視聴設備の対策、デジタル波が届かないテレビ難民や経済弱者への支援を強化します。また、障がい者の要求への対応を強化します。バスやタクシーの無線改修などについても必要な対策を講じます。地デジ対応テレビの普及率や低価格チューナーの対応、諸対策の状況などを踏まえ、場合によっては、延期することも含めて検討します。

○地上デジタル放送移行では、電波に空きが出るため、適正な審査により、幅広く電波利用を認め、市民にも空き電波を使う道を開きます。一般市民のメディアへのアクセス権を保障するため、既存放送局に市民作成による番組放送枠を設けるよう働きかけるとともに、パブリック・アクセスチャンネルを整備し、諸外国では一般的な市民による放送事業(コミュニティメディア)にも道を開きます。

○インターネットを利用できない人々に対して、自治体などを通じての支援事業を推進します。また、通信条件の悪い地域への対策も行います。

○NHKに対する信頼性の回復、良質な番組の製作・提供こそ受信料に対する理解を得る唯一の道であり、国営放送化も安易な民営化もとりません。NHKが市民の負託に応える公共放送の担い手として真に再生するよう強く求めていきます。視聴率主義に走ることなく、国民の闊達な議論を呼び起こすような番組や、視野の広い報道ができるよう、組織改革を支援します。地域スタッフの雇用を守ります。また、女性職員が全体の10%と、ジェンダーバランスを欠く状況にも改善を求めます。会長、経営委員候補の市民推薦制度を検討します。

○携帯電話の基地局建設等に対する基準を整備します。電磁波暴露を減らすための法律を整備します。

6.人・まち・環境にやさしい交通

○少子高齢社会や環境問題に対応する交通システムが求められており、公共交通を基盤に置いた人と地球にやさしい総合交通体系の確立をめざします。交通は、福祉と環境と平和の産業であり、人々の人生を運んでいる産業です。「衣・食・住・交通」と位置づけ、「だれもが、いつでも、どこからでも、どこへでも」安心・安全・快適に移動できる権利を保障する交通基本法を「交通分野の憲法」として制定し、総合交通政策を確立します。

○これまでの運輸・交通行政や補助制度、各種事業法の見直しなど、運輸・交通行政の抜本的な棚卸しを行います。地方の生活バス路線や地方ローカル鉄道に対する財政支援を強化します。一般財源化された道路特定財源を、「クルマ社会」の負の側面を軽減する政策に充当することとし、環境対策・森林整備や鉄道整備、生活交通の維持、交通事故被害者対策等に振り向けます。

○フェリーや離島航路、離島への航空路線への支援策を強化します。

○民営化された高速道路各社に料金割引分を税投入し、効率化や営業努力と関係なく料金保証をする政策は、交通モード間の不公正な競争をもたらすものであり、受益者負担原則や地球温暖化対策、環境問題、財源問題、モーダルシフトや総合交通政策との整合性、地域生活交通への影響、地域雇用等の観点から問題があります。社会実験による地域経済への効果や他の交通機関への影響、環境への負荷などの結果を検証し、無料化対策の抜本的な見直しを行うよう求めます。公共交通や物流などのすべての交通モードに対して必要な支援・対策を優先すべきです。

○道路・鉄道・空港・港湾といった社会資本を総合的に整備するため、特定財源、特別会計をはじめ、すべての交通関係予算を総合化した「総合交通特別会計」を設けることを検討します。

○「運輸安全基本法」を制定し、運輸事業者・行政の安全責任の強化、被害者ケア等を充実するとともに、運輸安全委員会をアメリカのNTSB(国家運輸安全委員会)にならい、国土交通省から独立させ、体制・権限を強化し、独立した調査活動ができるようにします。安全投資に対する支援措置を充実します。安全面を監視・指導する部門を国土交通省に設けます。

○貨物鉄道のあり方や地域の重要な足である並行在来線の維持・確保に努力します。整備新幹線着工が並行在来線のJRからの経営分離への沿線自治体の同意を条件としていることに関し、並行在来線のJR経営分離という旧来スキームの見直しを求めます。並行在来線に対する国・JR・関係自治体の協力体制確立し、経営難で存続が苦しい在来線への国の財政支援とJRの支援を含む抜本的な支援制度の早期確立をはかります。

○通勤ラッシュを緩和するため、新線建設、車両増備、ホーム延長、信号の高度化、時差通勤、職住近接をすすめるとともに、都市鉄道・地下鉄整備等への公的助成の拡充を引き続き求めていきます。また、「開かずの踏切」を解消していくため、高架化・地下化を推進します。

○国鉄から公共交通としての鉄道を引き継いだJRが「社会的責任」を果たすよう、安全性やローカル線対策をはじめとする公共の福祉の増進の観点からチェックします。JR不採用問題について、引き続き雇用の要請などに努力し全面解決をめざします。

○エレベーターをはじめとする生活空間事故を対象とする調査機関をつくります。

○建設コストがかなり抑えられ、人と環境にやさしい生活交通体系である超低床車両を使用した新しい路面電車(LRT)への支援を強化します。

○歩行者専用のショッピングモールに公共交通を運行させたトランジットモールなど、公共交通をまちづくりにいかし、街ににぎわいと魅力を取り戻します。「ショップ・モビリティ」(電動スクーターや車椅子などを無料で貸し出し、必要に応じてボランティア等の付添いも行うことによって、移動が困難な人が自由に商店街の中をみて回ったり買い物をしたりできるサービス)を推進します。都市の構造自体をクルマ依存でないものに変えていきます。

○マイカーに依存せず公共交通を活用した、エコ通勤を導入する企業への支援策を講じます。

○「人にやさしい」視点で歩行者安全策を追求し、楽しく歩ける歩道整備をすすめます。横断歩道のエスコート・ゾーンや音響型信号機の整備を推進します。踏切の歩道設置や、踏切への点字ブロック設置をすすめるなど、人にやさしい踏切にします。

○パリの公共の貸し出し自転車「ベリブ」などの試みも踏まえて、公共の自転車貸し出しを支援します。自転車道の整備、自転車通行帯の設置を推進します。

○歩車道の完全分離を推進するとともに通行区分の明確化を徹底し、またスクールゾーンの増設やコミュニティ道路の充実をはかっていきます。ドライブレコーダーの義務化をすすめていくとともに、飲酒した時に自動車を発進させないインターロック装置を普及させます。交通事故被害者のケアを充実するとともに、事故調書の早期開示を検討します。

○すべての人が利用しやすい交通をつくるため、鉄道駅やバス、旅客船、空港のターミナルのユニバーサルデザイン化をすすめます。バリアフリー車両開発の財政支援、可動式ホーム柵やホームドアの設置、エスカレーターへの点字誘導ブロックの敷設を推進します。音声や接触・発光ダイオード方式による情報提供装置の普及、見やすくわかりやすい案内表示の整備、ホームや改札等における人的サポートを強化します。シルバーパスの充実、障がい者割引に対する公費負担制度の創設等をすすめます。利用者や当事者の声を交通政策に反映できるようにします。

○規制緩和の検証を踏まえ、弊害是正をめざし、交通に関する社会的規制を強化します。ツアーバス問題に対する運行管理の強化や監査の徹底を求めます。

○交通・運輸産業に従事する労働者の安全・健康・労働条件を確保するため、自動車運転者の労働時間等の改善のための基準(告示)を法制化するなど、実効あるものにします。

○タクシーも公共交通と位置づけ、運転者の資質の向上のためのタクシーの運転者資格制度の創設、タクシー適正化事業実施のための機関の設置を行います。タクシー運賃の抜本的な制度の見直しを行います。

○自動車乗入制限、パーク&ライド、公共交通の利用拡大、貨物輸送のモーダルシフトの推進、自家用車での移動削減などで環境にやさしい交通システムをつくります。

○輸出入貨物を詰め替えずに船舶や自動車を利用して一貫輸送されるコンテナによる、自動車運送の安全を確保するため、国際コンテナ法(国際海陸一貫輸送コンテナの自動車運送の安全確保に関する法律)案の早期成立をはかります。

○航空法が適用されない航空持株会社に対する適切な規制を講じるとともに、空の安全確保に万全策を求めます。

○船内における旅客の迷惑行為等防止のための法整備をはかるとともに、海運を中心とした総合的な施策を推進するため、「海運基本法」を制定します。

○船員のいのちと安全の問題であり、万が一の命綱である手動式救命造水器の救命艇、救命いかだへの義務付けを検討します。

○購入燃料に課金し、その資金を国際基金としてCO2削減に活用するしくみなど、海事にかかわる環境施策について日本が積極的にリーダーシップを発揮します。

○日本海に面する北東アジアの諸国の都市間の政治・経済・技術・文化交流や、住民同士の相互交流を促進することを通じて、「環境共生」型の環日本海構想を推進し、日本海が「平和と繁栄の海」になるように努力します。

7.郵政民営化の抜本的見直し

○「郵政改革法案」の早期成立をはかり、郵便、郵貯、かんぽのユニバーサルサービスの確保と、郵便局ネットワークの維持に全力をあげます。

○郵便局ネットワークを高齢化社会や地域コミュニティの再生のための生活拠点、地域のワンストップ行政の拠点、地域防災や災害時の拠点として活用します。

○郵貯・簡保資金の運用のルールは、安全確実な運用を旨とするとともに、地域に由来する資金については、一定割合を域内還流させ、地域経済の均衡ある発展に資する政策をとるべきです。「地域いきいき・みどりの郵貯改善プラン」を策定し、@地方への郵貯資金の供給、A地域の住民ニーズにあう「小さな公共事業」の推進、B中小ビジネス、ベンチャー企業、再生可能エネルギー産業、女性の起業、NPO、ワーカーズコープなどへの社会的責任投融資、C地域福祉寄付推進の積み立て貯金サークルの創設、D民間保険に入れない人への保険サービスの提供などをすすめていきます。既存の地域金融機関との連携をはかり、融資はこれら金融機関に対して行うなど、共存共栄をはかるようにします。

○郵政非正規職員10万人の正規化を着実にすすめます。安易な雇い止めは認めません。

○第3種、第4種郵便制度を維持し、社会政策・福祉的サービスの現行水準を維持します。さらに、NPOなど非営利・市民活動団体の差し出し郵便物への低額料金制度を検討します。

8.警察改革の推進、海上保安の強化

○警察が真に市民生活の安全の守り手として、国民からの信頼を回復するためにも、住民代表や有識者など外部の第三者による監視機構を設置します。

○警備公安警察のあり方や機動隊の大胆な見直しを行い、防犯や交通安全など市民生活に密着した刑事部門、生活部門、交通部門の現場を重視するなどによって、「空き交番」をなくしていきます。警察署や交番の再編に当たっては、関係自治体や地域住民の声を尊重するようにします。

○過去に集中整備され老朽・旧式化した巡視船艇(約120隻)・航空機(約30機)の緊急代替整備を推進します。また、緊急整備対象以外にも、長期使用しているもの、及び順次耐用年数を超過するものがあり、着実な代替整備に努力します。これら官公需船の整備による造船産業支援、地域活性化をはかります。

○遠方事案に最低11隻を継続的に派遣でき、我が国周辺海域で重大事案が同時発生した場合にも対処できる体制とするため、緊急代替整備と並行して、被害制御・長期行動能力等を備えたヘリ2機搭載型「しきしま級巡視船」の3隻体制(現有1隻)をめざします。

○「空き巡視艇ゼロ」をめざして、巡視艇の複数クルー制を拡充します。

○白熱電球のLED化や電源を太陽電池等のクリーンエネルギーに変更し、航路標識の省エネ・エコロジー化をすすめます。

9.中小企業支援の充実・強化

予算、税制、中小企業憲章

○景気悪化と仕事の減少に苦しむ中小・小規模企業、個人事業者に対する経営や資金繰り、仕事づくり、人材育成・後継者確保などへの支援を強め、日本経済の原動力である中小企業の発展をはかるとともに景気回復、地域経済の活性化、雇用・内需拡大につなげます。

○一般歳出の300分の1規模しかない中小企業対策予算(10年度当初1911億円)を4000億円規模に増やし、中小企業の育成や基盤づくり(経営、技術、開発など)に活用、従業員の研修・育成、円滑な事業継承などを支援します。

○中小企業基本法は、定義や規模を細分化し、きめこまやかな予算配分を行います。

○中小企業に対する法人税(所得800万円以下は18%)は、税率を11%に引き下げるとともに適用所得を1600万円に引き上げます。人材投資促進税制の対象を社内研修やOJTにも拡大します。

○「スモール・ファースト」(小企業を第一に考えよ)や中小企業の役割を明確にし、持続可能な成長、多くの雇用創出と社会的連帯を柱とした「中小企業憲章」を制定(国会で決議)し、中小企業政策の基本方針とします。憲章の内容を推進する省庁横断的な「中小企業支援会議」などを設置するとともに、医療・福祉・環境分野での中小企業の活動の場を増やし、活力ある地域経済社会を実現します。

○大企業優先の産業振興から独立し、中小企業の地位向上と政策の充実をはかるため「中小企業担当大臣」を設置します。

仕事、雇用を増やします

○地域の暮らし・防災・みどり・環境・教育・農商工連携・公共交通を重視した身近な公共事業を増やし、中小企業の仕事づくりや雇用創出につなげます。特に自然エネルギーや省エネ技術の普及など環境経済産業への投資を増やし、中小企業の技術や人材を活用します。

○産官学連携や大学を拠点とした知的クラスター形成は、環境や農林水産、医療や福祉などの分野において新たな試みとして、研究開発による起業、人材育成をもたらす地域経済活性化の効果的な方法であり、これらを推進します。社会的企業の創出、起業コストの低減などをすすめ、若者や女性の起業を高めます。

○地場産業や伝統産業への支援策を拡充し、産地振興、需要開拓、生産額の向上、人材育成に取り組みます。

○付加価値額が高い産地中小企業の独創性・機能・技術の紹介するとともに、日本が持つファッションセンスや人材、匠の技術、高品質製品、製造者や販売者の感性などの強みをいかした情報発信、繊維産業を展開します。大学の繊維関係学部の増加、産業界と学生との連携、産地間連携の強化、縫製やものづくりなど学校での産地教育を実施します。

○官公需法にもとづく中小企業向け発注枠の維持・増大と目標額の増額(6兆円規模)で、中小零細企業の受注機会の増大をはかります。

○公正な下請取引を実現するため、大企業による一方的な下請け単価の決定や不当廉売・優先的地位の濫用などの横暴を許さず、運用基準の監視・監督機能などを強化し、不当な利益を吐き出させる課徴金の導入を盛り込んだ下請法改正に取り組みます。

○将来の日本を担う中小企業の経営者や後継・技術者、ものづくりなど人材を育成するため、公的な職業訓練施設・職業能力開発大学校(ポリテクカレッジ)などを充実、大学や教育研究機関との連携を強めるなど職業能力開発を促進し、若年層の就業を促進します。

○中小企業向けの雇用調整助成金や地域雇用開発助成金を拡充し、支給額の増額、納付時期を早め、助成率を引き上げます。人材対策基金の拡充、中小企業雇用創出人材確保助成金の復活、事業承継円滑化予算を上積みします。

○キャリア形成助成金など教育訓練への助成制度の活用を柔軟化し、高専等活用中小企業人材育成事業は高校にも拡充、若年者安定雇用促進奨励金(トライアル雇用制度)の対象年齢と支給額の拡大をはかります。

中小企業への金融支援

○中小企業金融円滑化法(09.12施行)や改定金融検査マニュアルにもとづき、金融機関による返済猶予など条件変更の取組みを進展させるとともに、新規融資が滞らないよう監督・指導を強化します。(3月末時点の実績は、661金融機関の中小企業からの申請は46万6千件・貸出総額12.8兆円、条件変更に応じた実行率は98%)

○日本版「地域再投資法」(金融アセスメント法)を創設し、民間金融機関に中小企業、NPO、ベンチャー企業、中低所得者層などへの公正な融資を義務付けるとともに、金融機関の活動を評価し、地域雇用の創出、地場産業の育成、地域経済の活性化につなげます。

○民間金融機関による貸し渋り・貸し剥がしを厳しく監視、防止します。担保や個人保証主義から脱却し、将来性や地域性、環境重視による融資の促進など資金調達の多様化をはかります。

○日本政策金融公庫や商工中金など政府系金融の民営化を見直し、中小企業の拠りどころとなる公的な融資機能を強化します。セーフティネット貸付(日本政策公庫)の融資・返済条件を緩和、緊急保証制度(信用保証協会)は全業種に拡大、無担保・無保証枠を拡大、返済期間を緩和します。「信用補完制度」は保証料率を引き下げ、責任共有制度は、小口零細企業保証制度の上限引き上げなど見直します。

○地域の信用金庫・信用組合の健全な育成・発展をはかります。

○大企業の子会社による事業協同組合への加入が、地域の中小企業活動に悪影響を及ぼすおそれがあることから加入の制限などを検討します。

○コンビニでの見切り販売など不公正な取引方法を規制し、公正かつ希望あるフランチャイズビジネスの振興、オーナーや労働者の生活を守る「フランチャイズ振興法」(仮称)を制定します。

10.防災先進国めざす

○「災害列島日本」から「防災先進国日本」への転換をめざし、災害に強い国土をつくります。

○中心市街地の再開発、住宅密集地の再開発でも虫喰い状態の土地を積極的に買い上げ、都市公園整備、緑の空間の確保を優先課題として取り組みます。電気・電話等の系統の多重化、避難場所や消防水利の整備、オープンスペースの活用等による災害に強いまちづくりを計画的に推進します。災害時の情報システムの整備、食料・医薬品の備蓄、地震観測・研究の強化をすすめます。

○老朽化した道路や橋梁、公共施設の耐震性を強化します。特に、公立の小中学校、高校、病院の耐震化・太陽光発電化・脱アスベスト化を急ぎます。

○市街地での「無電柱化」率は一割強にとどまっていますが、景観を改善するだけでなく、歩行者や自転車が通行しやすくなり、交通事故を防ぐ効果もあることから、電線の地中化、共同溝の整備をさらに加速します。

○洪水ハザードマップなどの防災マップの普及と住民参加の防災・救援計画の策定を促進します。「ゲリラ豪雨」災害に対応できるよう、都市水害対策を強化します。「雨水浸透ます」を各住宅の敷地に埋め込み、水害対策とともに、都市化で枯れた地下水の再生にもつなげ、池や川をきれいにします。

○高齢者や障がい者、外国人をはじめとする災害弱者への対策を日頃から講じるとともに、大地震の際の帰宅難民対策や高層マンション住民向け対策を強化します。福祉避難所の設置をすすめます。

○被災者生活再建支援法について、支援金の支給限度額や住宅の被害認定のあり方、半壊世帯に対する支援等の点での改善をはかっていきます。

○ダム中心の治水対策から脱却し、河川改修や森林保全の治水対策への支援策を強化するようにします。川底の整理・清掃をすすめます。「雨水浸透ます」を活用し、水害対策とともに、地下水再生で池・川浄化をすすめます。アメリカのハリケーン被害も踏まえ、国内の高潮・洪水対策が十分かどうか再点検します。

○鉄道の災害復旧支援制度の見直し、災害予防のための施設強化にかかわる費用を助成する補助制度の拡充を検討します。

○消防機関を地域に暮らす住民の安心の拠りどころとして、災害の未然防止から、発生した場合の即時対応、被災者の社会復帰や救済まで、総合的に情報やサービスを提供する「地域安全安心センター」をめざして改革していきます。

○「消防力の整備指針」を目標として、地域の実情に即した各自治体における消防職員・消防資機材の整備をすすめます。消防用ヘリコプターの配置の増強や緊急消防援助隊の装備資機材の充実をすすめます。消防車と救急車の機能を併せ持った「消救車」の導入をすすめます。

○桜島噴火対策に全力で取り組みます。周辺住民生活への影響やいつ噴火するかもしれないという不安に応え、火山活動・噴火ポテンシャル評価のための移動観測装置の設置、プールクリーナーの設置、学校における空調設備の普及促進、降灰による身体への影響調査のための特別健康診断予算の確保、降灰除去事業の採択基準の見直しと事業量の確保、道路降灰除去車両の買い替え推進、防災営農対策事業の推進等、火山対策の充実強化に努めます。

再建7 もっと 農林水産業

食料自給率アップと食の安全

世界的な食料不足と穀物価格の上昇、WTOやFTA・EPAによる農産物の自由貿易化の拡大、米価下落と食料自給率の低下、担い手の高齢化と減少、農山村の疲弊、食料品への不信など農業・農村・食料をめぐる危機的な状況を打開し、地域社会と環境保全を一体化した持続可能な農林水産業、ゆたかな農山漁村をめざします。

1.農業・農村、食料の再生直接支払制度の本格導入・環境直接支払の導入

○戸別所得補償モデル事業(10年度予算3371億円)については、所得補償の基準や算出方法、飼料用米など新規需要米の拡大、米の需給安定、農家の所得や地域農業の状況などを検証しながら、多面的機能の補償、食料自給率の向上、農山村地域の再生の観点から、本格実施な直接支払制度を追求します。

○所得補償の対象とする農産物(農地)については、米粉や飼料米、麦、大豆、そば、なたね、畜産・酪農、果樹・野菜など幅広く検討し、生産拡大と農家所得の向上をめざします。

○水田利活用自給率向上事業(10年度予算2167億円)は、飼料米や米粉を戦略的作物と位置づけ、生産調整とのリンクを外した画期的な事業であり、推進し、法制化を検討します。当面は、地域の多様な農業を重視し、激変緩和措置を継続、交付金水準や統一単価のあり方を見直し、営農や産地など地域性を重視したしくみに変えます。飼料米や新規需要米は、需要情報の提供、保管、販路拡大など需要面での支援を強めます。また主食用への横流しを監視・防止します。

○生物多様性や景観、食料生産など農業の多面的価値を明らかにし、有機・減農薬農業を支援し、自然環境を支えるための「環境直接支払」(10a当たって1〜2万円)を導入します。減農薬・減化学肥料の取組面積(現状7万ha)やエコファーマー(現在20万件)の拡大、有機農産物の生産量(53,000トン・0.18%)、有機農法耕地を拡大します。

○農林水産予算は、2.45兆円と10年連続マイナスとなり、一般会計の2.7%(約40分の1)規模に落ち込んでいます。食料安定供給・環境保全・エネルギー自給の面からも、予算を3兆円規模に増やします。

多様な担い手の育成、確保

○青年の新規就農をすすめるため、フランス並みに青年就農者への運転資金や生活安定のための資金を助成する「青年農業者助成金制度」(一人当たって年間200万円以上)を創設し、後継者や毎年の39歳以下の新規就農者を大幅に増やします。

○家族農業や兼業農家、集落営農、新規就農者、地域密着型の生産法人やNPOなど意欲ある多様な農業経営の育成・確保をめざします。農業スタッフ育成制度をつくり、米の営農受託組織に派遣します。

○農業大学校など研修施設の充実をはかり、ゆたかな起業精神を持つ人材を幅広く育成します。

米の需給安定、備蓄制度、消費拡大

○40年間続いてきた生産調整(減反)は、約100万ha(水田面積の4割)に及び、農業者間の不公平感を生み出し、麦や大豆への転換もすすみませんでした。戸別所得補償制度モデル対策では、生産数量目標(813万トン・154万ha)が加入要件となり、ペナルティは廃止されました。本格的な直接支払制度の創設とともに、生産調整の廃止をめざすともに、当面適地適作や地域の営農体系を尊重し、生産者の理解と自発性にもとづき、自給率目標にかなうものとします。

○米の需給安定をはかるため、まず戸別所得補償の加入を推進します。米価の下落を阻止し、経営不安を解消する観点から、09年産米の持ち越し在庫の買い入れを実施します。所得補償制度の導入に乗じた米の買い叩きを厳しく監視し、指導を行います。政府米民間委託制度は反対します。

○政府備蓄米は、現行の主食用に供給する回転備蓄方式(在庫100万トン)から、主食用ではなく、貧困国への援助、加工用、飼料用、燃料用に回す棚上げ備蓄方式(300万トン)に転換します。また、東アジアにおける食糧安保に向けて、米などの共同備蓄を追求します。備蓄予算は、安全保障、外交、エネルギーの観点から手当を検討します。

○消費面からは、日本型食生活の普及、学校給食や社員食堂における米飯や米粉パン普及拡大など需要を増やします。

食料自給率の向上、水田の再生、優良農地の確保

○世界的な食料不足・高騰の中で、日本は6割を海外に依存し、世界最大の食料輸入国となっていることから、自国の食料生産を強化し、食料自給率は基本計画のとおり2020年に50%をめざします。特に自給率の低い畜産物の飼料は26%→40%、大豆は6%→20%、小麦は14%→35%、油脂類3%→10%、果樹41%→50%を実現します。

○種子の自給を高めるため、政府は全体的なデータを把握するとともに、農業生産と食料供給を支える種苗産業を育成し、種子の開発・保全・利用・管理をすすめます。多国籍企業がすすめるバイオテクノロジーによる種子や種苗の特許支配に対し、多様な小規模農業や多様な作物・品種による生物多様性を確保し、農家の自家採取権を守ります。

○飼料稲・米、米粉の生産、水田放牧による耕畜連携、大豆トラスト、菜の花プロジェクト、えさ米のアルコール化など水田の多面的利用を推進します。水田農業を再生するため、小麦や飼料の20%以上を米粉や飼料米・稲でまかなう「田んぼの底力をいかす農業改革法」をつくります。

○米とともに大豆や飼料などの備蓄を増やし、米や乳製品などスーパー・小売サイドの市場支配力を見直し、生産者の所得向上につなげます。

○学校給食、食農教育を充実し、食と農の結びつき、米を中心とした日本型食生活を普及します。学校給食においては、週4回以上は米飯とし、地場産(現在の利用率23%)や有機農産物の利用を促進、自校方式の促進と国の助成を拡大します。栄養教育の定着、伝統料理の評価と味覚・調理授業の実施、学校での食育菜園づくり、弁当の日などを推進します。子ども農山漁村プロジェクトは、継続的に、全小学校や中学校にも広げます。

○優良農地は470万ha(基本計画は461万ha)を確保するとともに、耕作放棄地39万haの再生・活用を急ぎます。一般株式会社による農地取得や長期貸借は厳しく制限するとともに、所得や設備など、雇用者の労働環境を改善します。

○優良農地の確保と有効利用の促進に向け、自治体や農業委員会の人員・体制を拡充し、優良農地の転用・改廃は原則禁止とし、規制を強めます。農業委員の選出は、女性委員の拡大、青年や地域住民、消費者など多彩な人材選出に向けた環境整備をすすめます。

○農業農村整備事業・土地改良事業は、国土・環境の保全、耕作放棄地の増加の防止、有効利用できる農地の整備、中山間地域農業の基盤整備をはかる観点から、農家の同意を得ながら公的な事業として継続します。

○窒素過剰(窒素肥料の投入や輸入農産物からの環境放出→土壌や地下水への蓄積→農産物に残留→健康や大気に影響)を改善し、健全な国土環境や国民の健康を維持するため、輸入食料への依存を抑え、ふん尿や生ごみなど未利用資源の肥・飼料化を高め、化学肥料を減らし、資源循環型の農業をすすめます。

○都市農業(農業産出額と耕地面積の3割を占める)の保全・振興を強め、新鮮・安全な農産物の提供、市民や子どもの農業体験の場、みどりや景観の形成、生物多様性の保全、災害防止、温暖化防止などの機能を高めます。生産緑地制度に伴う税負担を軽減します。農地取得には、先買い権や価格決定など公的機関の影響力を高めます。

○バーチャル・ウォーター(輸入農産物が国内でつくられた場合の仮想的な水の必要量)やフード・マイレージ(輸入食料の総重量と輸入相手国から日本までの輸送距離を掛け合わせた環境負荷の指標)を減少します。

○食品廃棄・ロスを削減し、食品を有効に活用する観点から、フードバンク活動を支援します。

○国産農産物の消費拡大に向け、働く人々の雇用条件を改善、所得向上をはかります。

○食料価格の高騰を防ぐため、穀物など先物市場への投機マネーの監視を強化し、短期的な資金の移動に課税するなど投機マネーを抑制します。

中山間地域・農村社会の再生、6次産業化の推進

○中山間地域直接支払制度は、平地との格差是正、農地・牧草地の保全、農村地域・人口の維持、多面的価値を守る観点から柔軟化し、法制化します。同時に、中山間地の営農や地域資源管理、農村振興を担うため、地方自治行政の強化、住民主導の地域主体(経営法人、社会的企業、NPOなど)、コミュニティを創出します。

○農業・食料関連産業の国内生産額98兆円のうち農業生産額は9.6兆円、純生産額は3.2兆円規模で、消費者が支払う最終食料消費段階は約74兆円、生産者にはその8分の1(9.4兆円)しか入っていません。第一次産業の付加価値と雇用を地域に取り戻すため、農林漁業の6次産業化をすすめ、直売所など日本の食文化の発信を通して、農業の価値を消費者や都市とつなぎ、利益は地域内で循環させます。自然エネルギーの宝庫である農山漁村をいかし、エネルギー事業の普及や産業化をはかり、農家の所得向上、農産漁村の活性化につなげます。6次産業化の基本方針や認定計画は、自治体の意見反映や関与など地域性を高めるとともに、支援措置は、民間事業者への支援拡大、企業型農業の推進ではなく、農林漁業者の所得向上につながるものとします。

○直売所、市民・体験農園、農家民泊、有機農業マーケット、グリーンツーリズムなどを広げ、都市と農山漁村との共存をはかります。

○生消連携、地域住民や消費者が農業生産を支えるCSA(地域支援型農業)を広げ、有機農産物などの共同購入、農産物の年間購入、農場運営への参加・ボランティア、資源循環などにより生産者の経営を支え、エコロジー型社会をめざします。

○野生鳥獣害対策は、多様な森林の造成、里山の整備や農耕地の放牧利用など農林業の再生と農山村の活性化をはじめ、生物多様性の保全と動物との共生、鳥獣行政の人材育成などに取り組みます。

食の安全・安心

○食の安全・安心に向けて、すべての飲食料品に流通経路を明確にするトレーサビリティ制度を導入し、外食・中食産業など原料原産地の表示を義務化します。複雑な食品表示制度・関連法を見直し、消費者の選択権確保のための「食品表示法」を制定します。

○農薬や食品添加物を削減し、遺伝子組換食品の表示義務対象を拡大、受精卵クローン牛の表示を義務化します。生産者や消費者の立場に立った米穀検査・表示制度をつくります。人体や環境に影響を及ぼすおそれがある「食品への放射線照射」は認めません。

○汚染米流通の再発防止や国による予防原則の基準の明確化など政府の責任を強めた総合的な食品安全行政をつくります。

○食品安全委員会については、消費者代表の参加促進、リスク管理機関からの独立性を高め、評価や勧告機能の強化、消費者意見の反映、予防原則にたった情報提供の促進など消費者の立場からその組織体制を見直します。

○輸入農畜産物・食品に対する監視・規制を強化し、食品衛生監視員を増員、罰則を強化します。

○米国産牛肉の輸入条件緩和については、特定危険部位の混入など輸出条件違反を繰り返している現状から反対します。再リスク評価の実施など安全性を追及しBSE対策を強化します。消費者の信頼が高く、データ取得のためにも全頭検査を当面継続します。

持続可能な畜産・酪農業、口てい疫対策の強化

○口てい疫など家畜伝染病予防対策は、診断・検疫体制の迅速化、防疫・蔓延防止対策の徹底、被害農家への家畜処分に伴う補償と生活補償・経営再建支援、地域経済の回復、感染経路の解明などに万全をつくします。家畜伝染病予防法を抜本改正し、国の責任を強化、農家への補償を拡充します。

○畜産業の大規模化がすすむ中で、従業員の労働条件や待遇の改善をはかるとともに、家畜の防疫処分などによる仕事量の減少に対しても雇用調整助成金を適用して働く人々の生活を守ります。

○持続可能な畜酪経営と安定供給が可能となるよう、牛乳や乳製品、食肉生産に対し、直接所得補償制度を導入し、多面的機能、動物福祉、安全な食品の供給、農地利用を重視した資源循環型の畜産酪農経営をめざします。

○安全・安心な牛乳・乳製品を提供するため、生産が維持できる価格体制を築くとともに、酪農や畜産の経営安定対策を拡充します。

○食肉の国内自給体制を確保するため、耕蓄連携(水田による飼料イネや飼料米の増産)をすすめ、需要・流通対策を確立し、放牧の推進など国内自給飼料基盤に立脚した酪農畜産体制をはかります。

○酪農ヘルパー、コントラクター(飼料生産の請負組織)制度など営農集団組織への人件費を補助し、労働条件を改善します。

果樹・野菜、茶など工芸作物、地域作物の振興

○果樹・野菜を振興し、国内消費を拡大するとともに、多種多様な品目の実態を把握し、経営安定対策、共済制度の充実などセーフティネットを強化します。当面、野菜価格安定対策の充実・強化、果樹の経営安定対策を創設し、需給と価格の安定、冷害対策をすすめ、生産農家の所得安定と安心・安全な国産野菜の供給をめざします。

○地域性が大きく、中山間地域の重要な特産物である「茶」や花きなどの生産を振興するため、需要拡大、生産・加工の基盤整備、優良品種の開発、経営安定対策などを確立します。

○北海道のビートや沖縄のサトウキビなど基幹作物である甘味資源を振興するため、所得安定対策を充実・強化します。

WTO、EPA・FTA

○WTO農業交渉では、重要品目の関税削減や低関税輸入枠の拡大は認めません。国境措置や国内支持の柔軟性の確保、途上国の発展、環境保全、食の安全など農業の価値を高め、各国の食料主権を守り、一次産業を活性化する公正な貿易ルールを求め、WTOを改革します。日本を含めた輸入国の団結を強め、輸出補助金の削減、多様な農業の共存、不平等な慣行の是正に向け、国際交渉力を発揮します。MA米の輸入拡大は認めず、毎年約77万トンに及ぶMA米は削減・廃止をめざします。

○小麦や乳製品、砂糖など重要品目の関税撤廃をめざす日豪EPA交渉は、日本農業・農村や地域経済に壊滅的打撃を与えるおそれがあり反対します。農産物の輸入拡大、国内農業や地域経済の縮小につながるEPAやFTAは認めません。

○自給率の向上や農的環境整備、小規模農業や中山間地農業の維持、公正な農産物価格や生産者所得の補償などを「アグリ・ミニマム」(すべての国・地域による必要最小限の農業保持政策)として、世界に提起し、食・農・環境の安全保障政策とします。

諫早干拓への対応

○諫早干拓事業については、環境破壊の原因解明と水産資源の回復に向けて、開門にかかわる環境アセスメントをすすめ、必要な防災・営農対策を講じたうえで、開門調査を実施します。

農協改革

○農協三事業の分離は、企業型農業への再編をはかろうとするものであり、農村は資本主義市場へと組み込まれ、農業・農村の相互扶助の精神が破壊されてしまうおそれがあります。農協については、地域の人々と連携し、先進的かつ環境保全型の営農活動の展開、農村環境の保全など民主的な農協活動を基礎とした取組みをすすめます。

○地域を主体とし、相互扶助を基礎とした協同組合や非営利組織に対しては、統一的な育成・支援策をはかります。協同組合に対し、会計基準や業法による規制を強めたり、独禁法の適用除外を見直すことは、市場主義を一層すすめ、国際的な協同組合の育成・支援にも反するおそれがあり、反対します。

○農業委員会のあり方について、機能を第三者委員会へ移管することや組織・構成員の見直しを行うことなどは、地域における農地の確保と有効活用に混乱をきたすおそれがあり、反対します。

2.森林、林業の再生

森林整備、森林吸収源・温暖化対策の推進

○国土の7割を占め、水を育み、国土を守り、自然環境との共生、生物多様性、資源の循環利用など多くの宝を持つ森林を再生し、持続可能な森林をつくります。天然生林や種の多様性をいかした適切な除間伐により里山を活性化し、空気や水などの環境保全、木材生産の増加につなげます。森林・林業再生プランを実行し、2020年に木材自給率50%などを実現します。

○森林整備の加速化と緑の担い手育成、森林吸収源3.8%の確保、地域材の利用拡大により、林業振興、山村の活性化をはかり、林業産出額4500億円、林業所得10万円を増額、林業就業者数4700人を増員します。

○地球温暖化防止・京都議定書で約束した森林吸収源▲3.8%(1300万炭素トン)の目標を達成するため、森林吸収源10カ年対策をはじめ、毎年20万haを追加した年55万ha(2012までの6年間で330万ha)の間伐など森林整備を加速化します。必要予算額である毎年度1330億円の追加的森林整備費を当初予算で確保します。

○森林整備の促進に向け、国が主導して地域の林業事業体の育成整備、不安定な林業労働者の賃金や安全・定住などの処遇改善、事業計画の前倒しをはかります。不在村の森林(約330万ha)は国が責任を持って買い上げ管理するなど適切な森林整備、所有者対策をすすめます。

○山村政策を強化します。中山間地域の多様な資源(水田、林野、自然環境など)を活用し、地域社会の活性化、農林複合の推進、上流と下流の連携を強め、第一次産業の振興をはかります。

○森林行政の独立法人化はやめ、国有林事業(764万haを所有)は、その公益的機能からも一般会計で事業を行い、林野庁による一元的・一体的管理を基本とした実施体制をめざします。

○50年先を見た国有林や民有林の長期展望をつくります。森林路網をきちんと整備し、高性能の機械による木材収穫、地域のフォレスター(森林官)による森林管理、森林学校による林業の担い手育成・実習、木材バイオマス利用など持続可能な森林をつくります。これらにより、木材産業及び山村・中山間地域経済を活性化し、財政、雇用、脱化石燃料に貢献します。

緑の雇用、林業の担い手の育成・確保

○長期的な林業専門家の育成に向けて、緑の雇用制度の拡充で1万人、緊急雇用対策で4万人の労働者を確保します。高校や大学での林学教育を充実し、技術者を養成、技術を持った林業就業者10万人(現在5万人)を確保します。不安定な林業労働者の賃金や安全・定住などの処遇改善をすすめます。

○森林の持つ多面的機能を維持し、持続可能な森林管理・木材生産を行う所有者や事業体に、直接支払制度を導入します。

木材利用の推進

○地域材や山に置かれた間伐材などを製品やエネルギーに有効活用し、木材自給率(08年は24%)を50%に向上させ、国内生産量(1873万)、木材産出額(4450億円)の拡大をはかります。

○学校など木材校舎を増やし、公共施設での地域材利用を義務付け、木質バイオマスの利用を推進します。林業・林産業への投資を拡大します。木材の内装商品を増やし、地域での販売窓口をつくります。

○木材資源の利用促進に向けて、10年先の間伐作業団地の設定、林分など森林資源情報の正確な把握、路網インフラを整備します。

○ボイラーや暖房用の木質バイオマス(ペレット、チップ、薪)を普及するため、需要の開拓、原料の安定供給と管理、間伐材など森林バイオマスの収集・供給体制の確立など持続可能なバイオマス利用をすすめ、地域エネルギーの供給を通じた山林経営の安定、山村社会の再生をめざします。

○木材輸入大国である日本は、世界的な違法伐採や乱伐、農地開拓などによる森林減少と環境破壊を防止するため、違法な外国産材の流入規制・監視を強化し、国産材の利用を拡大します。

3.持続可能な水産・漁業

○藻場・干潟の復元など浅海の生態系を守り、沿岸漁場やゆたかな里海を再生し、漁業・漁村を再生します。

○漁業者への直接所得補償制度を導入し、魚の安定供給、生態系や水産資源の回復、漁労所得(256万円)の向上と後継者確保など持続可能な水産・漁業をめざします。当面は、漁業共済や漁業経営安定対策、漁業経営セーフティネット事業の充実・強化をはかります。

○食用魚介類の自給率(08年62%)を向上します。水産エコラベル制度(生態系や水産資源など環境に配慮した水産物)を推進し、消費面から持続可能な漁業を支えます。

○魚価の低迷や高齢化がすすめむ漁村の再生に向けて、漁業の6次産業化(観光、民泊、漁業体験、加工など)の推進、産地ブランドの確立、産直や直売をすすめます。量販店による価格支配体制を見直し、漁業者の経営安定、所得向上につなげます。

○原油・燃料高騰に当たっては、国の責任で燃料代の直接補てん、休業補償、燃料高騰緊急対策基金の改善などを行い、漁業者・漁村を守ります。

○漁業者の労働環境を改善し、暮らしや人権を守ります。沈没事故による人命の救出体制を確立します。漁船漁業を守るために漁船員の福利厚生、特に社会保障制度の充実をはかります。

○漁獲の合理的な管理、漁業資源の保存、鉱物資源・海洋微生物資源等の開発に当たっては、科学的知見にもとづき、海洋生態系に配慮した資源管理を行います。水産資源の回復と持続可能な漁業のため、ABC(生物学的漁獲許容量)、TAC(総漁獲可能量)、IQ(個別漁獲割当)を、魚種に応じて組み合わせた資源管理をすすめます。

○漁獲量が減少している魚種や魚体選別機が使用されている漁種については、資源状態をより正確に把握できる調査研究体制を整備するとともに、資源保護策が的確に運用できるように取り組みます。沿岸や閉鎖的水域の海水汚染を調査し、対策を講じます。

○漁獲制限や輸入制限を行う場合には生活補償措置を講じます。また密漁や違反船を取り締まり、資源の枯渇防止に取り組みます。国際的資源乱獲に歯止めをかかわる新たなルールづくりに努力するとともに、国際的な資源保護措置を損なうすべての違法・無法漁船の廃絶とその漁獲物の日本市場への輸入を禁止します。

○漁業の持続的な発展、魚が主菜になる日本型食生活の普及のため、魚文化の復権、学校給食への魚の安定供給を支援します。

再建8 もっと グリーン

地球温暖化ストップ 低炭素社会へ

1.地球温暖化防止対策をすすめ、低炭素経済・社会を

○成長や雇用など将来展望を切り開く、日本版グリーンニューディール・横断的な環境経済セクターの産業領域をつくるため、「新たな産業政策や低炭素経済移行計画」などを早期に策定し、産業の育成・環境整備をすすめるとともに、官民あわせての環境分野での投資を増やし、成長と雇用の拡大、所得の増加につなげます。

○温室効果ガスを2020年までに90年比30%、2050年までに80%削減を実行するための地球温暖化対策基本法をつくります。国際合意に縛られずただちに取り組み、削減は真水(国内対策)で行い、世界の気温上昇を2℃未満に抑制し、低炭素社会の方向性を示します。

○京都議定書の目標達成(2008−2012年に6%削減)に全力をあげるとともに、2013年〜2050年までの直線的なロードマップ(削減目標・工程表)をつくるとともに、化石燃料の削減目標も盛り込みます。

○自然エネルギーの導入目標は、「一次エネルギー供給量に占める割合を20年に20%」とします。導入目量の低いRPS法は廃止。「自然エネルギー促進法」を制定します。

○「再生可能エネルギーにかかわる全量固定価格買取制度の創設等」については、すべての自然エネルギー(太陽光・熱、風力、小水力、地熱、バイオマス)を可能な限り対象とし、非住宅や事業目的、自家消費も含めて発電全量を買い取ります。初期費用の回収が可能となる買取期間や価格の設定、制度の導入時期、電気事業者の買取義務、国民負担のあり方、地域間格差の平等化などを明確化し、速やかに制度を創設します。

○自然エネルギーの大量導入や省エネを推進するため、電力の供給・管理を調節・最適化するスマートグリッド(次世代・賢い送電網)の開発・普及を急ぎ、電力インフラを造りかえ、地産地消型のエネルギーの安定供給体制をつくります。バイオマスなど、地域循環型の自然エネルギーを大幅に普及させ、雇用の創出、地域振興をはかります。

○電力会社による地域(全国で10)や垂直的(送電・発電・売電)な独占体制を見直します。公共財である送電部門は開放し、発・送・配電の事業会社に分離するなど自然エネルギー由来の電力を優先し、市民参加のもとで新たなルールづくりをすすめます。

○農山漁村での自然エネルギーの導入と産業化をすすめます。既存住宅・団地や学校、病院での断熱・冷房の省エネ診断・改修の促進支援、太陽光パネル設置など創エネを促進します。特に、公営住宅や学校、病院を先行し、公共施設のエコロジー化をすすめます。

○国内排出量取引制度については、排出量の増加を容認する原単位方式ではなく、費用効率的かつ有効な総量削減となるよう、政府が総排出量の上限を決め、日本の温室効果ガス排出量の約7割をしめる大規模な事業所(発電所含む)などに排出枠を配分する「キャップ&トレード型」の国内排出量取引制度を導入します。

○環境税・炭素税(CO2排出量に比例)の導入により、化石燃料の消費を抑制、新たな環境産業の育成を促すとともに、福祉・社会保障分野での財源にも活用します。揮発油税や自動車諸税など既存エネルギー諸税は、環境負荷の面からグリーン化をすすめ、社会保障や森林整備、産業育成、温暖化対策などにあてます。制度設計では、逆進性に配慮し、税収中立を原則とし、一次産業や中小企業に配慮します。エネルギー特別会計は、原子力重視をやめ、自然エネルギーに大幅シフトします。

○都市のみどりを増進するため、都市公園の造成やビオトープの創出、農地や緑地の保全と市民農園の拡大、屋上緑化や市街地の植樹、公立学校の芝生化、工場内の緑地面積の拡大、近郊の里山保全などグリーン化をすすめます。

○小学生からの環境教育を推進し、環境意識の高揚と将来の環境政策の形成を担う人材を育てます。

○地域循環型のエネルギーシステムを構築するため、地域環境エネルギー事務所を市町村に創設し、自然エネルギーアドバイザーを配置します。

2.脱原発・脱プルトニウム

○脱原発をめざし、核燃料サイクル計画を凍結し、使用済燃料の再処理、プルサーマル計画を中止します。原子力発電からは段階的に撤退します(ドイツのロードマップでは2022年までに原子力から段階的に撤退)。特に耐震性に問題のある原子炉は速やかに廃炉にします。

○原子力発電については、地震などによる事故、放射能による災害リスクなど恒常的な問題を抱え、核廃棄物を排出し、処理方法も未確定であり、環境面から望ましいものではありません。また、大規模電源の出力調整のためにCO2を多く排出する火力発電所の利用とが一体となっていることや、原子力の開発・運転には長期間、膨大な資金を投入せざるを得ません。さらに、中央集権的な原子力発電が増えれば、地域循環型で持続可能な再生可能エネルギーの利用促進が阻まれることにもなり、生物多様性とも矛盾します。運転中にCO2を出さない点だけを強調して、膨大なコストや放射能廃棄物のリスクを軽視し、国民の理解や支持も不十分なまま、温暖化対策として推進するのは危険です。

3.水俣病の全面解決、公害対策

○水俣病特措法の新たな救済措置方針にもとづきながら、幅広く申請を受けつけ、被害者が望む救済・補償をすすめます。胎児性や小児性患者の病像・実態を解明し、医療や介護など福祉対策を拡充します。

○国が中心となって、不知火海一帯と阿賀野川流域の住民健康調査を実施し、被害実態を明らかにするとともに、被害者の救済・補償、地域の再生にいかします。国は加害者として、チッソを加害者責任から逃す分社化は認めず、最後まで、水俣病患者・被害の補償救済に責任を負い、地域住民の不安解消と健康管理、環境保全に全力をつくすようにします。

○「石綿健康被害救済法」を見直し、迅速で隙間のない救済を実現します。補償の請求権の確保、給付水準・内容の引き上げ、長期的な健康管理制度の確立など、救済を拡大します。アスベスト全面禁止を実現するとともに、アスベスト対策を一元的に推進するために「アスベスト対策基本法」を制定し、ノンアスベスト社会をめざします。被害者と家族、労働者、市民等の代表を含めた「アスベスト対策委員会」を設置し、アスベストに関する総合的な政策に当事者の声を反映させます。

○各種環境基準を弱い存在である子どもの立場から見直し、健康や環境調査を実施します。住宅地や学校、公園での農薬使用・散布の規制を強化します。殺虫剤の規制法を制定します。

○「PM2.5」の監視・規制強化、自動車NOx・PM法の対策地域の拡大など大気汚染対策を強化します。

○土壌汚染対策は、汚染の未然防止(予防拡大)の観点から、汚染者負担原則を確立(汚染調査と除去等の措置など)し、統一的な汚染実態調査の実施と義務化、対象となる土地・工場・物質(基準)の拡大、調査結果の情報公開など対策を強化します。

4.廃棄物対策

○拡大生産者責任(EPR=生産者に製品の設計、生産から消費、廃棄にいたるライフサイクルにおける責任を課すことで、環境負荷を低減するもの)の徹底・強化をはかるとともに、3R(リデュース、リユース、リサイクル)の優先順位を明確化し、生産段階での抑制、再利用の促進など循環型社会を形成します。

○排出事業者の処理責任・費用負担の強化、産廃の排出先は公共的施設に限定する、産廃市場は公共が管理するなど民間まかせの産廃行政から自治体の関与を強めた廃棄物対策をすすめます。不法投棄への監視を徹底し、産廃特措法の適用期限を延長します(2013年3月末で失効)。

○個別法で規制している各種リサイクル対策(容器包装、家電製品、食品、建設資材、自動車など)は、LCA(総合的な環境影響評価)や循環型社会形成推進基本法のもとで見直します。

5.生物多様性の保全、化学物質対策の強化、環境アセスメント

○2010年は「国連生物多様性年」で、名古屋で生物多様性条約締結国会議(COP10)が開催されます。生物種は1千万〜5千万種とされ、1日に約200種が滅亡しているといわれ、国連報告書でも開発行為や外来種・化学物質、温暖化、農業や森林業の衰退などから多様性の損失が続き、地球全体で年4万種の生物が絶滅しているとされています。国内でも森林、農地、都市、陸水、沿岸・海洋、島しょにおいて多様性が悪化しており、生物多様性の損失を防ぐため、全力をあげます。

○も場や干潟の再生に取り組み、生物多様性を維持・再生します。

○生物多様性(種、生態系、遺伝子)の存在価値を明確に定め、予防原則に立って、「2020年までに生物多様性の喪失をくい止める、2050年までに生物多様性の状況を2010年と同等以上に維持すること」を目標とします。すべての開発に生物多様性の保全を義務付けるとともに、環境影響評価に生物多様性の確保を明記し、政策決定段階で市民参加を担保するなど取り組みを強化します。

○里山、里海を整備し、生物の多様性や水産資源を回復し、森林や漁業を守ります。

○ABS(遺伝資源から生じる利益の公正な配分)については、先進国による途上国の資源持ち出しや知的所有権の権利独占など生物学的な海賊行為を許さず、資源開発による利益を、途上国や国際社会に大きく還元します。

○カルタヘナ議定書締約国会議(MOP5)における「責任と修復条項」(LMO〔遺伝子組換生物細胞融合生物〕の国際移動により、生物多様性などの損害が出た場合、その責任の中味や修復・賠償の方法についての取り決めを定めるもの)については、日本はMOP5の開催国としてリーダーシップを発揮し、法的拘束力を持った損害賠償制度の合意に努めます。製造者に過失がなくても損害賠償責任を課すことができる製造物責任の原則をGMOやLMOに適用させ、国際的な民事責任制度を確立します。カルタヘナ国内法を改正し、GM作物・生物を世界的に規制し、遺伝子組換作物による農作物や昆虫・鳥、野生生物に対する影響評価を行うとともに、その持続的利用や人の健康も法の対象とします。

○総合的な化学物質対策をすすめるため、予防原則の徹底、総量削減、情報公開、ライフサイクル管理、市民参加、国際的協調を柱とした総合的な「化学物質管理基本法」を制定します。WSSDの目標である「2020年までに化学物質によるリスクを最小化する」(ヨハネスブルグサミット)を実現するため、早期にSAICM(国際的な化学物質管理のための戦略的アプローチ)の国内実施体制をつくります。

○事業の意思決定段階(枠組みを決める政策・立案・構想など上位計画)で影響評価を行う戦略的環境アセスメント(SEA)を導入します。事業種や規模(事業の細切れ)によるアセス逃れをさせず、生物多様性の観点からアセスの実施を決め、土地利用と照合できる生物多様性情報や評価図の蓄積をすすめます。

○対象事業(13)や規模の拡大など環境アセスメントの強化により、現在のニーズに適合しない大規模プロジェクトの見直しを積極的に行い、地域発信・環境重視の生活優先型公共事業へ転換し、地域経済の自立的基盤の確保に役立つとともに、地元の中小業者に直接仕事が回るようにします。

○主な産業施設や公共施設の設置許可についての「環境団体訴訟制度」、野生生物の生息可能な環境を維持・保全・回復していくための「野生生物保護法」を制定します。種の保存法は、生物多様性の確保を明記し、絶滅のおそれのある動植物の生息地リストの作成、海洋哺乳類など希少野生動物の保護などを盛り込み、改正します。

○海岸侵食による砂浜の減少を防ぎ、海の生態系を回復し、海水浴などレジャーを振興するため、の侵食状況を調査し、保全・回復策を早期に行うとともに、侵食に影響を及ぼすダムなど不要な公共事業をストップします。

○アクティブレンジャー、国立公園自然保護官、自然公園指導員、国指定鳥獣保護管理員の増員とともに研修制度の導入、賃金・報酬を拡充します。

6.水基本法の制定、公共事業の見直し

○水基本法を制定し、地球的規模での水環境保全と水に関する法律との一本化をはかります。いのちの源泉である「水」の民営化に反対し、公共財である水を守り、安全な水行政の推進、途上国での水行政やアクセス権を守ります。

○公共事業の各種長期計画を見直し、国会での審議を強化して不要不急な事業を計画から排除します。硬直した公共事業の配分を改めるため、縦割りの特別会計・特定財源制度を抜本的に見直すとともに、同種・同一目的の事業については、統合、一本化を大胆にすすめます。

○環境アセスメントの強化により、現在のニーズに適合しない大規模プロジェクトの見直しを積極的に行い、地域発信・環境重視の生活優先型公共事業へ転換し、地域経済の自立的基盤の確保に役立つとともに、地元の中小業者に直接仕事が回るようにします。

○「公共事業基本法」を制定し、公共事業の決定過程の透明性を確保するとともに、一度着手された事業であっても、事業の中止、変更を可能とするため、補償や地域の再生、生活再建に対する支援などのルールを整備します。

○環境保全や歳出の削減、費用対効果の視点から、情報公開や住民参加の徹底で、現在のニーズに適合しない無駄な公共事業を徹底的に見直すため、公共事業チェック機構を設けます。見直し中の工事については凍結します。

○河川法にもとづく河川整備計画の策定中は事業をすすめず、流域住民の合意と自治体の意見を尊重するようにします。

○川辺川ダム、八ッ場ダムなど問題の多い大規模公共事業については、建設を中止します。直轄ダムだけでなく補助ダムも見直しをすすめます。

○道路の中期計画を白紙から見直すとともに、道路関連予算の使い方や公益法人、コストなどについて抜本的にメスを入れます。必要性・緊急性・優先度・費用対効果を精査し、真に必要な道路整備に重点化していきます。

再建9 もっと 公平な税制

大企業・金持ち優遇の不公平税制をただす

1.不公平税制の改革を

総合課税主義、国民合意、公正と公平、自治税制の強化と地方財政確立、財源調達機能の強化、福祉社会への再分配など基本的な考え方に立って、グローバル化の中での不公平税制の是正及び税の調達機能や所得再分配機能を再生します。応能負担原則による累進性の強化に取り組み、フラット化や高所得者優遇税制の転換、格差の是正をはかります。

所得税

○所得税は、基幹税として、資産課税とあわせて再構築します。

○低所得者、子育て世帯に対する給付つき税額控除制度(所得税の減額と給付金の支給を組み合わせて生活を支援するしくみ)を検討します。導入の際は、所得税の応能負担や累進性、再分配機能、最低生活費免税の重要性を踏まえ、各種控除の統合・廃止による負担増は避け、所得向上と内需拡大につなげます。

○高額所得者層の最高税率を50%に戻し、税率きざみの段階を拡大など累進性の強化により、再分配機能や財源調達機能を回復します。最低生活費を大きく下回る基礎控除は、現行38万円から76万円(ドイツは2009年から106万円に引き上げ)に倍増します。

○廃止された老年者控除(65歳以上所得1000万円以下、所得税50万円・住民税48万円を控除)や縮小された公的年金等控除(最低保障額120万円)を140万円に戻すなど公的年金税制を見直し、年金生活者の負担を軽減します。

○格差拡大や金持ち優遇税制を是正するため、証券税制での株式の配当・譲渡益にかかわる税率の優遇措置(税率10%)は即廃止(2011年に廃止予定)し、本則20%に戻します。短期取引や高額の配当・譲渡益に対しては累進性などで課税を強化します。

○金融所得一体課税については、資産家優遇、租税回避、少額投資の非課税措置などの課税ベース縮小や複雑化はやめ、総合課税をめざします。二元的所得税化の場合は、資本所得は法人税と同様に30%とします。

○財形住宅貯蓄非課税制度の限度額(550万円)の拡大、生命保険料控除額を拡大します。

法人税

○法人税については、まず減収要因となっている租税特別措置の縮小をはじめ、欠損金の繰越制度(7年間)の期間短縮、減価償却制度や連結納税制度の見直し、国際課税の強化など課税ベースを広げます。基本税率(参考:英は21.28%、独は15%、仏は33%、スウェーデン26.3%、韓国10.22%)は、今後の環境税の導入や社会保険料負担も勘案しつつ検討します。また、法人の課税所得に応じた累進税率の導入(米国は5万ドルで15%〜1千万ドルで35%までの4段階)を検討します。

○OECDも指摘しているように、税収減少につながる国際的な法人課税の引き下げ競争をやめるよう求めます。

○NPO法人への寄付金の税額控除の導入など寄付金税制を拡充するととともに、公益法人税制を見直します。

消費税

○消費税の増税は、低所得者層や中小企業への負担増、逆進性の拡大、個人消費の縮小に伴う景気悪化と財政赤字の拡大につながるものであり、厳しい国民生活の現状から消費税率の引き上げはしません。

○消費税の逆進性緩和策として、「飲食料品にかかわる消費税額戻し金制度」(収入400万円以下の世帯は4万円、400万円超1000万円以下の世帯は2万円を年1回支給)もしくは所得税からの消費税額控除・還付制度を導入し、生きていくための飲食料にかかわる消費税負担をゼロないし大幅に軽減します。

○地方消費税の税率を拡大します。益税を解消するインボイス方式を導入、輸出免税など公正・公平の観点から見直します。

相続税など

○資産課税(相続税、贈与税)の最高税率(現在50%)を70%に引き上げるととともに、基礎控除の引き下げなど課税ベースを広げ、富の社会への還元と所得再分配を強化します。

○不合理な連帯納付制度を見直し、遺産取得課税方式への移行を検討します。

租税特別措置の透明化、縮減

○実態が不透明な租税特別措置(国分310項目、減収見込みは約5兆円)については、毎年の適用実績・件数、減収見込額を早期に示すとともに、公平性、合理性、有効性、相当性の観点から厳しく追及し、縮小・廃止をめざします。

○租特透明化法による実態調査をすすめ、租特の恩恵を受けている企業名を公表します。

暫定税率の廃止、環境税(炭素税)の早期導入

○温暖化をすすめるCO2の排出など環境負荷を減らし、持続可能な社会に向けて、排出量に比例して課税する環境税(炭素税)を導入、既存エネルギー諸税のグリーン化に取り組みます。環境省が昨年示した地球温暖化対策税案(税率:原油・石油・石炭は3900〜4300円/炭素トン、ガソリン27380円/炭素トン、税収額約2兆円、一般財源化など)をもとに、制度を具体化し、導入を急ぎます。

○ガソリン税の暫定税率は廃止し、自動車の社会的費用や温暖化対策など環境面から抜本的に見直します。消費税との二重課税や複雑な自動車諸税の整理・見直しをすすめていきます。あわせて自治体財政運営に支障が生じないよう国の責任で補てんします。

○環境保全に役立つ自然エネルギーの促進、省エネは課税を軽減し、歳出を増やします。石油や原発に偏ったエネルギー対策特会(総額8900億円)、電源開発促進勘定(3700億円)を自然エネルギーの促進に活用します。

国際課税

○不透明なヘッジファンドやタックスヘイブンなどの動向や実態など調査・監視を強めるとともに、国際課税の申告漏れ所得(6300億円・07年)を把握し、租税回避防止対策を強化します。

○移転価格税制については、取引内容の正確な把握と税の賦課・徴収システムを確保し、国際取引に対する課税を強化します。

納税環境の整備、公平番号の導入

○総合課税の実現や給付つき税額控除の導入に向けて、的確な所得把握のための「公平番号制度」を導入します。導入に当たっては、国民に対して制度の意義や行政コストについて十分な説明を行い、理解を求めるとともに、個人情報保護制度を構築、本人による情報アクセスと情報訂正請求を認め、税務目的外使用は禁止します。

○税制の歳入と歳出、税制改正に関する情報公開をすすめるとともに、納税者の権利を確立する「納税者権利憲章」を制定します。国税通則法は、税務行政は納税者の権利利益を保護し公正で透明なものとすること、情報の公開、プライバシーの尊重などを盛り込み、国税納税者の立場から改正します。自主申告制度(年末調整は被雇用者本人が行うなど)を追求します。

○「適正・公平な課税の実現と歳入の確保」のために国税職員の定員確保と処遇改善をすすめ、経済取引の国際化等に対応するための機構を充実し、低下している実調率(5%、追徴税額約3300億円)を高めます。

○農業や中小企業分野における居住用や事業用、農業用などの土地・家屋にはその態様や生業権の面から、農業や事業経営の継承や農村環境を維持できるよう負担を軽減します。

○省庁縦割り、予算の囲い込みを是正します。米軍への思いやり予算廃止や不要不急の公共事業費の削減など、無駄遣いをなくします。

2.財政改革

○一般会計・特別会計・財投計画など予算全体に対する議会統制を強化し、歳出歳入改革、応能負担原則にもとづいた公平な税制による再分配機能の強化、債務管理・残高の対GDP比割合の減少、金融資産の活用などに取り組むための中期的な財政健全化プログラムを早期に策定し、国民が求める社会保障の回復や生活再建、環境保全型の財政をめざします。

○財政再建に当たっては、まず不公平税制の是正と財源(税収)の安定的確保が重要であり、所得税や法人税、資産課税などの税収調達機能の強化及び所得再分配機能の回復を急ぎ、消費税も含めた税制全体の改革をすすめ、国民生活・福祉の向上をはかります。

○財政政策(資源配分、所得再分配、経済安定化機能)の有効性を発揮し、格差や貧困など社会問題の解決とともに、持続可能な財政の方向性を明示します。

○特別会計や独立行政法人の不要な積立金・剰余金(財投や外為特会などの積立金約21兆円〔10年度末〕、毎年発生する剰余金5兆円、純剰余金1兆円)などを社会保障や公共サービスの充実など国民生活向上のために活用します。特会における不要額は、平均7.3兆円(98年から07年の10年間)もあり、過大見積もりとなっていることから、浮いた分を福祉などに活用します。

○特別会計(勘定)の削減・統廃合(06年度は31会計→08年度は21会計)をさらにすすめ、不要な積立金・剰余金の一般財源への繰入を明確化するとともに、会計単一原則や財政民主主義の観点などから歳出削減の徹底、財務状況の情報公開・透明化、隠れ借金をなくします。

○国民生活の向上、社会的規制の確立、公共性の確保、良好な雇用・労働環境の維持等の観点から、独立行政法人・特殊法人の真の改革に取り組みます。

3.金融改革

○金融不安の解消と金融危機の再発防止に向け、金融市場・金融機関・証券化商品・金融資産への監視・規制を強化し、ヘッジファンド規制への強化、国際的な金融規制の導入など金融システムの安定化をめざします。

○中小企業や農林漁業、低所得者層や失業者、高齢者や障がい者のセーフティネットとなる公的金融制度の再構築に取り組みます。

○改正貸金業法等の完全施行(出資法の上限金利を20%に引き下げる、過剰融資の禁止・収入の3分の1を超える貸付は禁止)を踏まえつつ、借り手の目線にたった方策の推進、多重債務者対策など低所得者層のセーフティネット対策を強化します。

○多重債務者の救済に向け、自治体の相談談窓口の全国展開と体制強化、低所得者層向けの生活福祉貸付金制度の条件や運用・規模の改善します。民間非営利組織(労金や生協、NPOなど)の活用による低利融資をすすめます。

○改正割賦販売法をいかし、クレジット被害の実態調査や情報公開、規制強化など被害防止対策をすすめ、被害者への救済措置の拡大をはじめ、安心・安全な消費者信用制度を築きます。

○地域社会や福祉、環境保全に貢献しているNPOバンクの活動を支え、社会に貢献する金融NPOを育成・支援します。

○自主的で健全な相互扶助の共済は、保険業法の適用除外とします。構造的な生損保の不払いを厳しく監視し、販売・支払い体制の見直し、相談・苦情の迅速な解決、罰則の強化など法的規制を検討します。

○「地域再投資法」(金融アセスメント法)を制定し、金融機関に中低所得者、女性、中小事業者・ベンチャービジネスなどに対する一定割合の融資を義務付け、市民の監視と需要の創造などにより地域経済・社会の発展につなげます。

○消費者の権利尊重を第一義とし、透明・公正な金融商品取引、被害者救済などを担う金融行政の基本法として「金融サービス法」の制定に取り組みます。

○外国為替証拠金取引(FX)においては、保証金は厳格に管理するよう金商法の規制や証券取引等監視委員会による監視・指導を強めるとともに、脱税対策を強化します。

○公正な証券市場を構築するとともに、証券取引等監視委員会を強化します。

再建10 もっと クリーン

透明で信頼できる政治を

1.透明で信頼できる政治を実現

○政党や政治資金団体への企業・団体献金をただちに禁止します。「抜け道」に使われている側面がある政治団体の機関紙誌への広告料の規制、迂回献金の禁止、政治団体の献金規制などを実現します。年間5万円超の党費または会費は寄附とみなすことを検討します。

○税額控除の拡大やネット献金の推進などで個人献金を広げます。

○自治体首長・議員の私設秘書の追加、構成要件の明確化、第三者供賄規定など、あっせん利得処罰法の強化改正に引き続き取り組みます。

○選挙の公正性の確保や有権者の選択の拡大、多様で活力ある政治を実現するため、同一選挙区からの世襲立候補や政治団体の継承を制限します。会社などを退職しなくても立候補できる立候補休職制度の導入や供託金引き下げを行い、だれもが立候補しやすくします。

○選挙制度や議員の定数については、行革や効率性の観点で取り扱うべきではなく、議員活動や国会の機能強化の観点を踏まえて対応します。死票をなくし多様な民意を反映する公正な制度とするため、比例代表中心の選挙制度への改革をめざします。特に、小選挙区部分の欠陥を拡大し、民意の反映を弱めることになる比例区の定数削減には反対します。選挙制度の改正に当たっては、各党派の合意を尊重するとともに、少数会派切り捨てにならないようにすることを求めます。

○「1票の格差」の合憲性が争われた昨年9月の最高裁判決で「格差縮小には選挙制度のしくみ自体の見直しが必要だ」と指摘されたことから、選挙後、ただちに参議院の選挙制度の抜本改革についての協議を開始するよう、各党に呼びかけていきます。

○衆議院及び内閣に対するチェックアンドバランスを発揮し、異なる制度、異なる時期による選挙によって、国民の多元的な意思をよりよく反映するという参議院の役割を踏まえて、参議院改革をさらにすすめます。

○政治資金の透明性を向上する観点から、国会議員ごとに政治資金収支報告書の中央・地方の一元的把握、政治家の資金管理団体、政治団体、後援会の連結決算の実現を求めます。○政治倫理審査会を改組・拡充し、政治倫理委員会を常任委員会として設置します。国会議員の資産公開に対する実効性の確保などの面から政治倫理法を改正します。

○国会議員の政治資金をめぐる事件が相次いでいることを受けて、秘書などの会計責任者が政治資金規正法に違反した場合、議員本人も失職するなど、監督責任を強化するようにします。

○インターネットは、候補者情報の充実、速報性、多様な情報の発信、有権者への直接の情報提供、時間的・場所的制約のなさ、有権者と候補者の直接対話や双方向の政治の実現、金のかかわらない選挙の実現に資することから、早急に問題点を整理したうえでインターネットを使った選挙運動について原則解禁するようにします。各選挙管理委員会のウェブサイトに、政見放送と選挙公報を掲載するように検討をすすめていきます。

○政党や政治家の情報を入手する機会の拡大や有権者との対話を重視する観点から、戸別訪問の解禁、立会演説会の開催、FAXなどを利用した選挙活動の解禁など、選挙運動に対する規制のあり方を原則自由化の方向で見直します。そのため、公選法見直しのための各党協議会の開催を求めます。

2.透明で民主的な公務員制度改革を推進

○国民本位の行政を行うため、官僚主導・縦割り・中央集権型から政治主導・分権型行政へ転換します。

○公務員の人件費を財政再建・消費税率アップのスケープゴートとして取り扱うことに反対します。国・地方の公共サービスの質をどう確保していくのかの観点から、民主的で透明性の高い公務員制度への改革をこそすすめるべきです。ILO勧告を踏まえ、公務における労働基本権を確立します。公務労働における評価のあり方を公共サービスの質の観点から見直します。

○在職期間の長期化をはかり、早期勧奨退職慣行による天下りを廃止します。特殊法人、独立行政法人等も含め徹底した規制を行います。公務員の採用試験区分を見直し、閉鎖的で特権的なキャリア制度を廃止するとともに、原則試験制度にもとづく昇格制度を採用し任用時における昇任差別をなくします。

○短時間公務員制度を導入します。身分が不安定な臨時公務員・期間公務員の処遇改善など、非正規職員の権利向上・待遇改善に取り組み、「官製ワーキングプア」をなくしていきます。

○国や自治体が民間会社に公共サービスを委託したり、公共事業を請け負わせたりするにあたって、その地域の平均的な労働条件を切り下げるような契約をしてはならないと定めている、ILO94号条約の趣旨を踏まえ、「公契約基本法」、「公契約条例」を制定します。国・自治体は、政策を通じて公正労働(人間らしい賃金・労働条件)、福祉、環境、人権、男女平等参画などの社会的価値を実現する役割と責任を担っていることから、これらの社会的価値を落札基準に加える「政策入札」への転換をはかります。

○「事業仕分け」については、公開・透明性の長所をいかしながら、事業の選択、判定の基準のあり方などの問題点をできるだけ解消するなど、改善をはかっていきます。国会の行政監視、政府内部の査定機能の強化に向けた制度見直しにも取り組みます。

○独立行政法人や公益法人の事務・事業について、国民的視点で、実態を十分把握し、無駄なものには思い切ってメスを入れつつ聖域なく厳格な見直しを行います。その際、効率化のみを追求することなく、利用者及び現場の声を尊重しつつ、廃止・民営化等を前提とした数合わせや国民サービスの切り捨てにならないように十分留意します。高級官僚の特権と化している「天下り」、子会社・ファミリー企業などの関連企業のあり方を徹底的に見直します。印刷、造幣など、本来国で行うべき事務・事業については国営にします。改革を円滑にすすめるためにも、横断的雇用保障制度の確立をめざし独立行政法人で働く労働者の雇用問題に万全を期します。

3.行政権へのコントロールを強化

○国権の最高機関である国会が行政府に対する監視・統制機能を強化することによって、官僚優位の「官僚内閣制」から国民本位の「国会内閣制」への改革をすすめます。

○国会の政策立案機能が十分発揮されるようにするため、両院の調査室、議院法制局、国会図書館の機能、各会派の政策スタッフなどの補佐機関を質量両面ともに充実します。また、質問主意書制度や一般質疑、フリートーキング方式、常時の公聴会の開催等を活用するようにします。

○少数会派の国会運営に対する発言権や質疑権を保障するようにします。議員発議に必要な賛成者の員数要件や理事会への参加要件の緩和、党首討論の要件緩和に引き続き取り組みます。

○国民主権の政治、住民参加の大前提として、徹底した情報公開をすすめることが必要です。国民の知る権利を保障し透明な政府を実現する観点から、情報公開法を抜本的に改正するとともに、国会及び裁判所を対象とする情報公開法をつくります。

○「公職コミッショナー制度」を導入し、審議会や公的法人の役員人事の公募をすすめます。

○会計検査院の機能を強化するとともに、住民訴訟の国版である国民訴訟制度の導入を検討します。国民が会計検査院に対して直接、公金検査の請求を行い、会計検査院で国の財政上の違法・是正策の審査を先行し、その後、国民が財政上の違法を是正するための訴訟を提起できる国民訴訟を可能にするようにします。

○公務員の憲法尊重擁護義務や、公務員の選定・罷免権を実質化させるための法整備を検討します。

社民党の財政論【概要】

無駄遣いをやめて、使い道を変える ・不要不急の大規模公共事業の中止 ・天下りの禁止 ・随意契約の見直し ・防衛予算の見直し、米軍への思いやり予算の廃止 ・原子力関係予算の精査等 特別会計の総点検 ・特別会計(「霞ヶ関の埋蔵金」、特に財投・外為特会)の積立金・剰余金の活用 ・独立行政法人、公益法人の見直し 不公平をただす ・高額所得者の税率引き上げ ・租税特別措置の見直し等法人税の課税ベース拡大 ・証券優遇税制の廃止 ・相続税や資産課税の強化 経済や金融のあり方を変える ・景気をよくして税収増・環境税の導入 ・国際連帯税の検討 政府資産の活用

連立政権 8ヵ月の成果

社民党は昨年夏の総選挙の民意を踏まえ、連立政権に参画し、生活再建の前進、いのちを大切にする政治の実現に全力で取り組んできました。旧政権のツケが多く残されているうえに、社民・民主・国新三党政策協議の場がないことなどのハンディキャップはありましたが、努力を積み重ねてきました。以下はほんの一例です。

○労働者保護のための労働者派遣法改正案を提出。○雇用保険の適用範囲の拡大。○求職者支援制度の2011年創設に向けた検討。○年末ワンストップサービスの実現。○社会保障費の自然増を年2200億円抑制する従来の閣議決定は廃止。○後期高齢者医療制度は12年度末に廃止の予定。○肝炎対策基本法の制定。肝炎医療費助成を拡充(自己負担限度額、原則1万円)。○障がい当事者の参画による「障がい者制度改革推進会議」を設置。○自殺対策の推進として、「自殺対策緊急戦略チーム」を設置。○これまで公式に出してこなかった貧困率を調査し公表。○従来の少子化対策から子どもが主役の施策へ転換し、「子ども・子育てビジョン」を発表。待機児童解消のための保育所整備の促進(認可保育所等の定員を現状の215万人から14年に241万人へ増やす)。○保育所にかかわる国の最低基準を緩和する流れに歯止め。○子ども・若者を大人と共に生きるパートナーとして尊重し、一人ひとりの状況に応じた総合的支援を講じる「子ども・若者ビジョン」の策定に取り組む。○民法改正、雇用の平等、女性に対する暴力の根絶など、国連・女性差別撤廃委員会の最終勧告に対する日本の取り組みの強化。同勧告を反映する「第三次男女共同参画基本計画」の策定作業に取り組む。○新しい「消費者基本計画」を策定。○地方交付税の1兆700億円増を実現。○KDDI「国際オペレーター通話」の廃止を撤回させる。○郵政非正規10万人を正規化へ。○「交通基本法」の検討を開始(3月に「中間整理」)。○JR不採用問題の解決。○地域活性化・きめこまやかな臨時交付金(2009年度補正)の交付。○原子力保安院の経産省からの分離を検討させる。○配偶者控除や成年扶養控除の一方的廃止をストップ。○審議会委員の人選のルールの検討へ。○「米戸別所得補償制度モデル事業」、「水田利活用自給力向上事業」を導入。基本計画で、対象品目の拡大、環境保全による加算、畜産・酪農での所得補償制度の検討を明記。○チリ大地震で激甚災害指定。公共建築物等の木材利用促進法の制定。○「中小企業金融円滑化法」を制定。中小企業予算を増加。特殊支配同族会社における役員給与の損金不算入制度を廃止。

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