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今こそ平和のために、内需主導経済に転換を

3.日本も加担し、住宅バブル引き伸ばしたブッシュ政権

 カジノ資本主義の基地は疑いもなくアメリカだ。投機を促進・奨励する金融自由化と「強いドル」を標榜した相対的高金利のもとで、アメリカの慢性的貿易赤字によって世界に垂れ流されたドルが米金融市場に還流し、拡大する金融市場がドル危機・ドル暴落を防ぐ防波堤となったばかりか、1990年代の10年間、株価は上昇をつづけ、アメリカ史上最長の景気拡大が持続した。株価の上昇が行き詰ると投機資金はIT部門に流れ、ITバブル崩壊を経て、さらに住宅・不動産開発にラッシュした。住宅・不動産開発では、資金調達を容易にするためにRMBS(住宅ローン担保証券)やCDSなど貸し倒れリスクを分散・回避する証券化の手法が多用された。その食いものにされたのはサブプライムローンを誘い水にして、住宅購入を押しつけられた低所得者層といわれる人々だ。

 もともと高金利のローンを支払い能力の乏しい層に負わせるという無理矛盾は、それでも資金流入の拡大で住宅価格が上昇をつづける間は、価格の値上がり分を担保に融資を受け取ることができるホーム・エクィティローンなどの金融テクニックにも支えられて直ちに表面化することはなかった。しかし、住宅・不動産バブル拡大とともに金利が上昇、資金流入にブレーキがかかると、06年をピークに住宅価格は下落に転じ、そこからローン支払いの焦げつき、差し押さえなど問題が噴出し始める。

 この状況にアメリカ政府は、どう対応したのか。ブッシュ政権とFRBなど金融当局がやったことは、バブル収束を試みて崩壊の衝撃を少しでも和らげることではなく、さらなるバブルの維持・拡大、したがって崩壊の先送りだった。とくに07年年央にサブプライムローンの問題が顕在化し、手広く住宅金融を展開していた民間金融機関の経営が悪化し、市場からの撤退が相次ぐなか、その穴を埋めようと、米政府が「暗黙の保証」を与える二つの住宅公社――ファニーメイとフレディマックを使って民間のローン債権を買いまくり、RMBSに仕立てて内外に売りさばいた。また自ら発行・保証するのみならず、市場からのRMBSの購入・保有を拡大して証券化商品を買い支えた。その結果、住宅価格の下落に連動した住宅ローン関連証券の下落から両社の経営不安が表面化した08年5月には、住宅ローン証券化商品の発行額に占める両公社のシェアは98.9%、保証・保有するRMBSは、米国債の市場発行残高およそ4兆7000億ドルを上回る5兆2000億ドルに達した。両公社のうち、ファニーメイは1938年、ニュー・ディール政策の一環として、政府主導による住宅投資促進の目的で設立され、そこから派生したのがフレディマックだ。大恐慌―世界不況から脱却するための需要創出を担って誕生した米住宅公社が、こんどは大恐慌以来最悪の金融危機を爆発させる、いわば火薬庫と化してしまったのだから皮肉なめぐりあわせだ。

 バブルの政策的引き伸ばしによって崩壊を先送りするという無謀な方策に責任があるのは、アメリカ政府とFRBだけではない。ポールソン米財務長官が、「住宅公社はすべての世界の金融機関ともっとも密接に結びついている機関」と表現したように、世界中の金融機関、そして国・公的機関が、米住宅公社によって保証・発行される債券の買い手となって、その住宅金融を後押しした。住宅公社の債券が米国債に準じた信用力を持つということもあるが、それよりもなによりも、住宅バブル、あるいは住宅バブルのかたちをとった金融バブルに主導されたアメリカの持続的景気拡大が、資本主義の世界経済維持にとり死活的であるからだ。

 なかでも日本では、住宅バブルとバブルがもたらした個人消費の拡大を柱とするアメリカの景気過熱に支えられて、産業・企業の対外競争力強化の犠牲とされた大衆の生活実感、勤労所得の低下・伸び悩みとは別に、輸出産業を中心とした法人大企業が空前の利益を謳歌し、長期不況からの回復が喧伝された。

 先頭を走るトヨタは、GMを抜く自動車世界ナンバー1に王手をかけた。日本を超えて世界最大の対米黒字国となった中国は、対米輸出拡大をエンジンにGDP年率二ケタの高度成長に拍車をかけ、GDP総額で世界3位の経済大国に躍進した。その日本と中国が、米住宅公社への投資を中心とするGSE債(米政府支援機関債)の外国人投資家保有分1兆3050億ドルのうち、それぞれ2281億ドル(日本)、3763億ドル(中国)を持ち、外国人投資中の3位と2位、合わせて5割近くのシェアを占めているのは偶然ではない。この数字は、アメリカ市場への依存度の高さを示すものとみるべきである。アメリカ市場の拡大が、自国の経済成長、とくに支配的な輸出産業の利益獲得に不可欠だからこそ、バブル延命に進んで加担したのである。

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