今こそ平和のために、内需主導経済に転換を

1.火を噴く金融パニック

 9月15日、米証券4位のリーマン・ブラザーズが米連邦破産法11条の適用を申請、総額6130億ドルの負債を残して経営破たんした。米国史上最大の倒産劇だ。同じ日、米証券3位のメリルリンチは、サブプライムローン問題に端を発した住宅ローン資産の値下がりがもたらした120億ドルの損失に耐え切れず、米銀大手のバンク・オブ・アメリカに500億ドルで身売りした。翌16日には、株価が1ドル台に急落した資産規模1兆円の巨大保険会社AIGにたいし、FRB(米連邦準備理事会)が最大850億ドルのつなぎ融資を行い、そのこととひきかえに米政府の事実上の管理下に置くという措置が発表された。

いわゆる「構造改革」とこの間の金融・経済の仕組み
[→PDFファイル:いわゆる「構造改革」とこの間の金融・経済の仕組み](別ウィンドウが開きます)

 火を噴く金融パニックに震撼するFRB、ECB(欧州中央銀行)、イングランド銀行、日銀など主要国の金融当局が、事態の鎮静化のために市場に緊急供給した資金は、15・16日の2日間だけで日本円にして36兆円を超えた。だが、それでも米金融機関の破たんの連鎖と、それが引き起こす信用収縮に歯止めはかからない。銀行間でドルを融通し合う短期金融市場が機能しなくなる金融システム・ダウンに直面した日米欧の主要6カ国中央銀行は、協調して1800億ドルのドル資金を、それぞれの国内市場に供給することを急きょ取り決める。日銀もFRBと600億ドルの通貨をスワップする協定を結び、初めて円以外の資金を自国市場に供給する措置にふみきった。この通貨スワップを通じたドル資金の供給枠は、29日までに、参加中央銀行10カ国、総額6200億ドルにまで膨れ上がった。

 21日、米大手証券5社のうち生き残る1位のゴールドマン・サックスと2位のモルガン・スタンレー(5位のベアー・スターンズは3月に破たんし、JPモルガン・チェースが買収)が、ともにFRBの融資が受けやすいなどのメリットから銀行持ち株会社に移行することになった。25日には、大量の資金流出がつづいていた米貯蓄金融機関(S&L)最大、預金量全米6位のワシントン・ミューチュアルが経営破たんした。総資産3070億ドルの同行は、わずか19億ドルでJPモルガン銀に買収される。29日、やはり破たんの危機にあった大手銀行のワコビアも、29日、銀行部門が預金量全米トップのシティグループに買収されることになった。ワコビア買収によってシティが被る損失について、その一定額以上を米連邦預金保険機構(FDIC)が補てんするという、異例の政府支援が付いた買収である(注1)。

 そして30日、米下院が、7000億ドル、約75兆円の公的資金―税金を不良資産買い取りに投入することを柱とした金融安定化法案を否決し、そのショックからニューヨーク株式市場は、ダウ平均で777ドル超となる史上最大の大暴落にみまわれた。株価の暴落は瞬時に世界に波及、東京市場・日経平均が一時580円下落し今年の最安値を記録するなど、世界同時株安が金融市場を席捲した。

(注1)
その後、10月9日、シティグループは買収交渉を打ち切り。FRBは米西海岸最大手銀のウェルズ・ファーゴによるワコビアの買収申請について認可する方向。

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