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「洞爺湖サミット」への社会民主党からの提言 〜平和・人権・環境のためのG8の社会的公正責任を

「洞爺湖サミット」への社会民主党からの提言
〜平和・人権・環境のためのG8の社会的公正責任を〜

2008年7月4日
社会民主党党首 福島みずほ

はじめに

G8の社会的公正責任

洞爺湖サミットへ社民党からの提言 いま世界は、拡大するグローバル市場経済のもと、原油などの価格高騰や食糧不足が現実化しています。国家間でも各国内でも、経済的・社会的な格差が広がり、貧困が増加し、社会不安や軍事紛争の危機を招いています。

 そして、「対テロ戦争」によって歯止めがなくなった暴力と監視・軍事化が連鎖反応を引き起こしています。

 温暖化、平和、人権、貧困、開発、食料など、地球規模の人類的課題がクローズアップされています。これらに対しては、国家の利害を乗り越えて解決を図っていかなければ、人類の未来はないといっても過言ではないでしょう。

 もちろん、世界の各国が参加・加盟をしている国連がありながら、それとは別に一部の先進国だけで世界の未来を議論しきめていこうとする「G8サミット」の存在意義や、サミットの必要性などへの疑問の声があることも承知しています。

 しかし、地球規模の様々な問題が生じ、拡大する中で、世界の不安を取り除くには、民主的で公正な国際関係と市民社会の積極的な関与が不可欠です。G8をはじめとする先進工業国は、その歴史的経緯と政治・経済的影響力から、深刻化する世界の貧困問題、気候変動などの環境問題、平和・人権問題について大きな責任を有していることも否定できません。

 したがって、今回の洞爺湖サミットにおいて、G8首脳が平和・人権・環境のためのG8の社会的公正責任を自覚し、問題の根幹を捉えた的確な決定を下すようにすること、そして議長国である日本が、サミットを人類のより良き未来を拓く契機とするために積極的に汗をかくことが求められていると考えます。

市民に開かれ、環境と人権に配慮したサミットへ

 1995年にまとめられた報告書「地球リーダーシップ:新しい世界秩序をめざして」(グローバル・ガバナンス委員会)は、平和・安全保障、開発・貧困、環境、国連改革、国際法の強化などの地球的な問題に対する包括的な処方箋といった性格を持つものといえるものでした。そこでは、「最も力の強い国や人々だけでなく、世界全体とすべての人々を代表するもの」であり、「国家からと同様に社会から、権威よりも連帯から、力を引き出し、説得と総意によって機能する」ということを強調しています。

 私たち社民党は、世界を指導する限られた特権的な支配層が談合する会議としてではなく、民主的で透明性のある国際協力、社会的に公正な多国間主義が再生され、市民に開かれ、環境と人権に配慮したサミットとなることを求めます。そして、G8が先進工業国の責任を自覚し、今回の協議において、地球環境の保護、国際金融の規制、国際的な人権の擁護、核兵器の禁止などについて、あくまで地球上のすべての弱者の立場から、積極的な議論と決定をする場となすべきであると考えています。

 政府間だけではなく、民間や自治体間の交流、NGOの活動などは、21世紀の国際社会の主要な構成要素として位置づけることができます。幅の広い重層的な国際関係を構築していくことが重要です。そういう意味で、洞爺湖サミットと前後して、先住民族サミットや農民たちの国際集会、女性の人権を考えるフォーラム、ピース・ウォーク、国際民衆連帯DAYSのイベント、オルタナティブ・サミットなどをはじめ、多くの催しや会議が市民、NGO、NPOの手で開催されます。社民党はこうした市民の発意を歓迎するとともに、地球社会のよりよき将来のために誤りなき議論が行われるためにも、G8首脳及び日本政府が積極的に市民・民衆の声に耳を傾け、市民の声が洞爺湖サミットの論議に届き反映されることを願っています。

市民・民衆の立場に立った、もうひとつのオルタナティブとしての提言

 私たち社民党は、この間、洞爺湖サミットに向け活動を進めているNGO、NPO、市民運動などからヒアリングを行なうとともに、意見交換を重ねてきました。ヒロシマ・ナガサキ、オキナワの悲惨な体験を持ち、世界に誇る平和憲法を持つ日本こそが、新しい平和な21世紀を築くためのリーダーシップを発揮するべきです。私たち社民党は、あくまで非軍事にこだわりながら、国家間の力関係や軍事力の均衡によって実現される「戦争のない状態」としての「平和」にとどまるのでなく、差別や抑圧、貧困のない、地球に生きるひとり一人の人間が安全に暮らせる真に平和な世界を目指しています。軍事力の均衡を中心に考える旧来の安全保障の発想を転換し、社会開発、人権、女性支援、環境保全などに軸足を置いた「人間の安全保障」の理念を重視していくべきと考えています。そして、今回、洞爺湖サミットに対して、「平和・人権・環境のためのG8の社会的公正責任を求める」という観点で、各国の国益や各国政府の枠を超え、市民・民衆の立場に立った、もうひとつのオルタナティブとしての提言をまとめることにいたしました。NGO、NPOはじめ多くの市民・民衆と共に、その内容の実現を目指して頑張っていく決意です。

 思い起こせば、今から60年前の1948年12月10日の第3回国連総会で、世界人権宣言(人権に関する世界宣言)が採択されました。世界人権宣言は、多くの尊い人命が奪われ、悲劇と破壊をもたらした第二次世界大戦の反省から、「差別を撤廃し、人権を確立することが恒久平和に通じる」との確信のもとに、人権および自由を尊重し確保するために、「すべての人民とすべての国とが達成すべき共通の基準」を宣言したものです。しかし、残念ながら人権の侵害は今も絶え間なく続いています。

 洞爺湖サミットの行われる2008年は、世界人権宣言から60年であり、京都議定書の第1約束期間が始まる年であり、国際社会が2015年までに世界の貧困や飢餓、乳幼児死亡率、保健医療や教育の保障などで達成すべきとした「ミレニアム開発目標」(MDGs)の中間年に当たるなど、いろいろな意味で節目の年です。そうした2008年に、この日本で、それもアイヌモシリ(人間の住む静かな大地)である北海道の洞爺湖畔で開かれるサミットが、世界の多くの市民・民衆にとって実り多きものとなることを期待してやみません。

主要項目

1.環 境

■地球温暖化防止、気候変動への対応に議長国としてのリーダーシップを:温室効果ガス削減の目標値として、2020年に90年比30%以上削減、50年目標に80%以上削減を目指すべき
■脱原子力と自然エネルギー促進
■プルサーマル計画の放棄を、北海道を核(プルサーマル)の実験場にするな
■生物多様性への積極的貢献を
■森林対策の充実強化
■新たな3Rイニシアティブを

2.平和・人権

■先住民族の権利
■植民地支配と戦後責任
■軍縮でリーダーシップを
■軍事基地の縮小と武器取引の禁止
■核廃絶の道筋を
■紛争予防・平和構築の先頭に:戦争は最大の環境破壊であり、資源の浪費
■「テロ」対策に名を借りた戦争や人権の抑圧に反対
■ジェンダー

3.貧困・開発

■ミレニアム開発目標達成に向けた政治意思と行動を
■軍事力を中心とする「国家安全保障」から「人間の安全保障」へ
■軍事費を環境や貧困、社会保障に
■グローバル経済への対応、投機マネーの規制と新自由主義からの転換を
■ODAを増額し、効果的な活用を
■すべての人に保健・医療サービスを
■すべての子どもが学校に行けるように

4.食 料

■G8は、世界の農業基盤の強化と自給食料の増産を支援し、食料危機の打開を
■日本など輸入国は、農業の強化と食料の生産を高め、輸入依存からの脱却を
■世界の農業の発展と自給食料の増産にむけた農業支援の強化を
■WFPなど国連への財政支援拡大を
■WTO自由貿易体制を根本的に見直し、公平な食料分配を
■バイオ燃料の導入促進を見直し、農業や生態系への影響調査を
■穀物など先物市場への投機マネーの抑制を
■原油高騰対策と燃料高騰による国民生活を守るための緊急対策を

1.環 境

■地球温暖化防止、気候変動への対応に議長国としてのリーダーシップを

 洞爺湖サミットは、気候変動問題の解決に向けて大きな前進を図るサミットと位置づけられている。くしくも2008年は、京都議定書の第1約束期間が始まる年である。温室効果ガスの大幅削減、気候変動が途上国にもたらす悪影響の軽減に向け、G8が強いメッセージを打ち出すことが求められている。具体的な解決策を導き出す役割を日本が議長国として積極的に果たすことが期待されている。

 日本が低炭素型社会の構築を率先して行い、自らの排出削減を軌道に乗せていくべきことは言うまでもない。日本政府は、経団連「自主行動計画」と京都メカニズムに依存しつつ、将来の「未知の革新的技術」に期待するような先送り策をとるのではなく、既存のあらゆる政策を動員して、自前の国内対策による京都議定書の目標を達成すべきである。そのことを通して、日本の努力に対する信頼を醸成し、洞爺湖サミットにおける、さらに大きな取組みへの合意に結び付けなければならない。

 社民党は、温室効果ガス削減の目標値として、2020年に90年比30%以上削減、50年目標に80%以上削減を目指すべきであると考えている。日本は議長国として、自らの90年比の2020年の削減数量を中期目標として明らかにし、それに向けた具体的かつ実効性のある政策をパッケージとして打ち出すべきである。

 そして、今後10年以内に世界のCO2排出量がピークを迎えるようにし、世界では2050年までに90年比で50%以上の削減を、先進国は20年までに少なくとも90年比25〜40%削減を実現するようリーダーシップをとるべきである。

 気候変動の進行によって多くの環境難民が発生し、厳しい状況に置かれることは避けられない。とりわけ、適応策を講じることが資金的にも技術的にも難しい後発開発途上国(最貧国)や小島嶼国に、より大きな影響や深刻な被害を与える。G8は、気候変動がもたらす悪影響への適応策の充実強化や途上国への技術移転のために十分な資金を供与すべきである。そのため、効果的な資金メカニズムとして、グローバル炭素税や国際航空連帯税などを検討すべきである。

■脱原子力と自然エネルギー促進

 温暖化対策の切り札は原子力ではなく、自然エネルギーである。私たちは、温暖化対策と並行して、脱原子力への転換を求める。原子力をCDM(クリーン開発メカニズム)の対象としてはならない。温暖化防止は地球規模の取り組みである以上、途上国に対する支援、技術移転は不可避である。途上国に対する資金援助については、二国間ではなく、気候変動枠組み条約と京都議定書に基づく多国間基金を推進すべきと考える。また、先進国主導ではなく、国連の民主的なルールに基づき、途上国の意思を反映した運用を提唱する。

 「第三次石油危機」、「ピークオイル」が叫ばれる今こそ、脱化石燃料・脱原子力によるエネルギー政策の大転換を、大胆かつスピーディーに実現することを強く訴えるべきである。日本政府は、原子力偏重で軽視され続けてきた自然エネルギーを大幅に拡充させるため、エネルギー対策特別会計、原子力関係予算を全面的に見直し、自然エネルギー関係予算を大幅に増やすべきであり、枯渇する地下資源・化石燃料の使用を抑え、地域分散型の再生可能な自然エネルギーに切り替えるべきである。EUは、2020年までに自然エネルギーの導入率を20%にする目標を掲げているが、日本の目標はわずか3%にすぎない。環境問題でリーダーシップを発揮するというのであるならば、自然エネルギー(太陽光、風力、バイオマス)をエネルギー政策の本流と位置づけ、導入促進に全力をあげ、一次エネルギー、電力供給に対する自然エネルギーの導入割合を、2020年に20%、2050年に50%以上を目指すべきである。地方地域の資源を活かした自然エネルギーの導入を促進することにより、エネルギーの多様化、地域経済と雇用の拡大、農林水産業の活性化など、地域社会の再生にも資すると考える。

■プルサーマル計画の放棄を、北海道を核(プルサーマル)の実験場にするな

 北海道電力では、泊3号機にプルサーマルを導入することを決め、4月18日に、道と地元4町村(泊村、共和町、岩内町、神恵内村)に事前協議を要請し、道は有識者検討会議を発足させ、すでに2回公開で行っている。そして道民の声を聞くために200人規模の会議を開催し、7月11日までに第2次の意見募集をしているところである。

 北海道電力は、「原発が温暖化を救う」というキャンペーンをしているが、私たち社民党は、温暖化(CO2)も止めなければならないけれど、原発の放射能も危険だと考えている。プルトニウムとウランを混合したMOX燃料を原発の燃料として使うことは、コストが高いだけでなく、危険である。チェルノブイリの事故では14万5000平方キロまで放射能が飛び散ったと言われており、一旦事故があれば、北海道全土が被害にあうことになる。北海道を核・プルサーマルの実験場にすることには反対であり、プルサーマル計画の放棄を求める。

 原発は、「トイレなきマンション」と言われている。北海道は食糧の基地でもあり、幌延は、酪農の地でもある。「食の北海道」で放射能との共存はできない。私たちは、プルサーマル導入が、北海道(幌延)を最終処分場にすることにつながることに危機感を持っている。最終処分場もないままで、これ以上、新たなプルトニウムの導入(プルサーマル)はするべきではない。原発に頼らない暮らしにむけて、老朽化した原発を徐々に廃棄していく一方で、持続可能なエネルギーに切り替えていくべきである。

 日本政府は、G8参加各国に対して、こうした開催地・北海道の抱える事情に理解がなされるよう努めるべきである。

■生物多様性への積極的貢献を

 気候変動問題は、生物多様性にも大きな影響を与える。一方、生物多様性豊かな自然生態系は、そうでない生態系に比べて気候変動への耐性が期待される。生物多様性条約などでは、「2010年までに生物多様性の損失速度を顕著に抑える」という国際目標が立てられている。また、国連ミレニアム開発目標のゴール7では、「環境の持続可能性を確保する」という目標が立てられており、自然資源の過剰消費国でもあるG8諸国の責任とリーダーシップは大きい。第2期ミレニアム生態系評価、ポツダムイニシアティブの生物多様性の経済的価値を評価する研究を推進するべきである。ラムサール条約やボン条約、ワシントン条約をはじめとする世界レベルでの取り組みについても、積極的な貢献を約束すべきである。

 特に、日本は、世界最大の資源消費国であるといわれており、さらに大きく発展させる責任を有している。名古屋市が2010年に開催予定の生物多様性条約第10回締約国会議と同条約のカルタヘナ議定書第5回締約国会議の誘致を表明しており、生物多様性を保全する世界のリーダーシップを取るべきである。

 また、遺伝子組み換え作物を推進しているG8諸国は、汚染責任について厳しい枠組みを推進するべきである。遺伝子組み換え作物の最大の輸入国である日本政府としても、よりいっそう厳しい規制を求めていかなければならない。

■森林対策の充実強化

 森林は多様な公益的価値を有している。現状7割程度と遅れている森林吸収源(上限毎年1300万炭素トン、3.8%)を確保するため、間伐など森林整備を強化するとともに、国産材の利用促進、森林のバイオマス資源の利活用、山村の活性化にむけて人材や予算の拡充を図るべきである。

 途上国の森林減少・劣化によるCO2の排出を抑制するための対策が緊急に求められている。世界のCO2排出の4分の1を占める森林減少の防止に積極的に取り組み、現地コミュニティのニーズを最優先して技術供与と資金拠出を行うべきである。G8は、違法伐採された林産物の主要消費国としての責任があり、違法伐採問題へのアクションをより一層強化・推進するべきである。

■新たな3Rイニシアティブを

 G8は、環境及び人権への配慮を最優先させ、自国で発生した廃棄物は途上国に肩代わりさせず、自国で処理するという「国内処理原則」を実現できる新たな廃棄物政策を構築すべきである。安全で高度な処理技術をもって有害廃棄物を自国内でクリーンな資源にした後に、その資源を必要とする国に供給すべきである。また、途上国が国内で発生する廃棄物を人の健康と環境を脅かさない方法で処理できるよう、リサイクル技術及びリサイクル・システムを向上させるための人的、資金的及び技術的支援を強化すべきである。

2.平和・人権

■先住民族の権利

 北海道は、先住民族アイヌが「アイヌモシリ」(人間の住む静かな大地)と呼び、独自の生活や言語、歴史を培ってきた土地である。1869年に日本政府に北海道と名付けられ日本の領土に組み込まれた後、独自の信仰や風俗、言語、生活手段を奪われ同化政策を押し付けられてきた。このようなアイヌモシリの歴史は、世界の先住民族の歴史と通じるものであり、G8諸国を中心とする先進国の富が、こうした先住民族の犠牲の上に成り立っていることを忘れることはできない。また、地球温暖化が原因とされる北極圏の氷の減少や熱帯林の伐採などで、先住民族の生活環境が脅かされている実態もある。

 先般、国会でアイヌの方々が民族衣装で傍聴されるなか、全会一致でアイヌ民族を先住民族と認めるよう日本政府に求める決議が採択された。国会決議は、アイヌ民族が「差別され、貧窮を余儀なくされたという歴史的事実を、私たちは厳粛に受け止めなければならない」としている。日本政府は、従来のアイヌ政策を深く反省し、政策を抜本的に是正する必要がある。また、国会決議は「全ての先住民族が、名誉と尊厳を保持し、その文化と誇りを次世代に継承していくことは国際社会の潮流」としており、日本が国際社会をリードしていくことを求めている。

 G8諸国は07年9月に国連総会で採択された「先住民族の権利に関する国連宣言」の理念に則って、各々の国の自治、経済、教育など様々な領域にわたる立法・施策を当事者である先住民族と協議のうえで具体化するべきである。ミレニアム開発目標(MDGs)、地球温暖化、生物多様性の問題を先住民族の権利保障という視点から見直すべきである。

 社民党は、サミットに先だって北海道平取町で開催された「先住民族サミット」の「ウコチャランケ(アイヌ語で「話し合い」の意)」の結果に期待し、G8諸国が真摯に耳を傾けるべきと考える。そして、日本の社会が真の多文化共生になるためにも、先住民族の文化・歴史を共有することが大切である。

■植民地支配と戦後責任

 日本は先のアジア太平洋戦争に際して多くの国々を侵略し、植民地支配を行なった。2000万人とも言われる人を殺し、土地・財産を奪いながら、日本政府は戦争被害に対する十分な謝罪や補償を未だ果たしていないのである。北海道にも15万人の朝鮮人、2万人もの中国人が強制連行され、多くの死者が出ているとされている。日本政府は真相究明と謝罪、補償という和解へ至る取組みをすすめ、被害を与えた人々、国々との信頼回復をはかるべきである。

 またG8諸国の多くも同様の侵略、植民地支配を行なった歴史を持ち、現在にまで続く軍事的抑圧、経済的搾取、貧困、環境破壊を生みだしている。G8諸国は過去の侵略行為、植民地支配について検証し、真相解明、謝罪、補償などの被害回復措置を行なうべきである。

■軍縮でリーダーシップを

 今日、G8諸国は巨額の国家予算を軍事目的に支出し、国内外に多数の軍事基地を維持している。そしてこれらの国の多くは、紛争の火種を抱える地域に武器を輸出し、新たな軍事技術の開発・強化を進めている。テロ対策を名目に市民的自由を制限し、他国への軍事介入を正当化する傾向も強まっている。こうしたG8諸国の振る舞いは、世界をいっそう不安定にしているのであり、私たちは強く反対してきた。

 G8諸国は、多国間の交渉と非軍事的手段による紛争解決を追求すると同時に、紛争の背景にある貧困や人権侵害の解消に努める必要がある。とりわけ日本政府には、日本国憲法の平和主義の理念に基づく平和政策を率先して立案して、外交政策に反映させるべきである。とくに、武器貿易条約(ATT)の早期締結、クラスター爆弾の全面禁止、対人地雷禁止条約の強化、劣化ウラン兵器の使用禁止などでリーダーシップを発揮すべきである。

■軍事基地の縮小と武器取引の禁止

 北海道には自衛隊の基地・演習場の42%が集中しており、沖縄には巨大な米軍(在日米軍専用施設の約75%が集中)が存在している。軍事基地の周辺では基地自体の騒音、事故、兵士による事件等によって住民の生活が脅かされている。これらの基地はしばしば先住民族・少数民族や立場の弱い地域にあり、そうした住民に負担が押し付けられている。また、日米軍事再編で、千歳はF15、F18の日米軍事演習を引き受けるなど、軍事強化の方向が進んでいる。

 G8諸国は自国内外の軍事基地を縮小し、訓練を縮小するなど、住民への負担を軽減する努力を強めなくてはならない。日本を含む世界各地に存在する外国軍事基地の削減と撤収は、軍縮と信頼醸成に重要な効果を持つ。社民党は、日本政府を含むG8諸国に対し、環境の回復、住民への経済的影響を考慮しつつ、軍事基地の整理、縮小、撤廃の道筋をつけることを強く求めたい。

■核廃絶の道筋を

 被爆国・日本で開催されるサミットであり、核廃絶の道筋を付けることが求められている。いかなる理由であれ、もし核兵器が使用されれば、人類史上最大の環境破壊になることに疑いの余地はない。その意味でも、今回、核兵器の拡散防止が協議されることを全面的に支持したい。しかし、日本政府は北朝鮮やイランの「核拡散」問題を取り上げたいとしているが、アメリカをはじめとする核保有国の削減義務については一向に進展していない。核保有国に「核軍縮」を主導する特別の責任があることについても強調すべきである。

 北朝鮮が核計画の申告書を中国に提出したのを受け、アメリカ政府はテロ支援国の指定解除を議会通告した。これは、6カ国協議の合意に基づいた行動であり、その内容に不十分で不完全な部分があるとしても、朝鮮半島非核化への一つのプロセスとして、評価しうるものである。米朝協議の進展は、朝鮮戦争が休戦協定に留まっている現状を解決していくためにも重要である。アメリカがテロ支援国の指定解除に踏み切ることも、その一環である。日本政府は、6カ国協議の進展を確認しつつ、日朝協議を粘り強く進めるべきである。

 南半球は既に全域が非核化されている。北半球でも中米、ASEAN、モンゴル、中央アジア5か国その他が非核地域となっている。東北アジア非核地帯の構築に日本政府は努力すべきである。

 サミットの全参加国がただちに明確な具体的計画を策定し、速やかに実施に移すべきである。オーストラリアのラッド首相が京都で発表した核不拡散・軍縮国際委員会の設立提案についてもG8として積極的に受け止め、協力すべきである。

■紛争予防・平和構築の先頭に

 日本は、時代を先取りしたすぐれた平和憲法を持ち、いかなる戦争にも参加せず、非核三原則、武器輸出三原則など平和路線を曲がりなりにも維持してきた。そして、国連での軍縮や平和構築への努力も評価されてきた。平和国家日本として、平和主義を大きく積極的に進展させるべきである。

 平和は、各国政府だけではなく、市民社会と政府、国際機関のパートナーシップなどの役割も重要である。人々の目線に立って人間の安全保障(人々の保護と能力強化)に現地で尽力する国際NGOや地域社会の代表が、安保理の政策プロセスにも参加する機会を与えられる必要がある。

 戦争は最大の環境破壊であり、資源の浪費である。気候変動のもたらす脅威に対処するためにも、軍縮への合意を早急にまとめ上げ、温暖化対策への追加投資を得る可能性を模索すべきである。そのためにも、平和憲法の下、軍事的には極めて抑制的な道を歩んできた日本は、経済力、技術力に支えられた平和育成の先頭に立つべきである。

■「テロ」対策に名を借りた戦争や人権の抑圧に反対

 今年は、すべての人の人権保障を宣言した「世界人権宣言」から60年にあたるが、世界中で重大な人権侵害が繰り返されている。人権が蹂躙されるのを放置したままでは、安全保障、環境保全も到底実現しない。人権侵害の根絶のためのG8の明確なイニシアティブを求めたい。

 「テロ対策」や「反テロ」 戦争が、テロを生み出す文化社会的・政治経済的な根本原因の除去よりも、処罰と排除、監視と抑圧といった対症療法的な軍事的・警察的対策を重視していることが強く憂慮される。一面で、開発途上国の貧困層の不安と絶望を増大させるこうした対策は、先進工業国内の格差拡大とともに社会不安を助長し、テロと犯罪の温床となっている可能性も否定できない。

 いかなる名目であっても国際的に確立された人権基準および国際人道法を遵守することを確認するとともに、「テロ対策」の名のもとに発生した民間人への攻撃・無差別攻撃、拷問などのジュネーブ諸条約に違反する重大人権侵害行為についての真相究明、責任追及、正義の実現、公式な謝罪とを図っていくことを確認すべきである。

 過剰な警備や入国管理でなく、世界の市民の声を聞くことこそ議長国の責任である。日本政府は、「テロ対策」や「反テロ」の名の下での、貧困層の弾圧や入管法「改正」などによる移住者の取り締まり強化、差別的扱い、難民受け入れ拒否、排外主義などを止めるべきである。

 今回のサミットのために、防衛省・自衛隊がテロ対策を目的に創設した陸上自衛隊・中央即応集団が初めて投入される。また、北朝鮮からの弾道ミサイル攻撃などに備えるため、迎撃能力を備えた海上自衛隊のイージス艦も、北海道周辺の日本海側に訓練名目で派遣される。これらサミット警備を名目に陸自テロ部隊を初投入することは、事実上の有事体制、国民総動員体制の一環であり、「テロ」を口実にした過剰警備を見直すべきである。

 人権侵害行為について、その多くの責任がG8参加国にも存在することを忘れてはならない。G8参加国により「テロ対策」の名の下に行われている人権侵害行為、ビルマにおける軍事政権による人権侵害行為、スーダン・ダルフール地方におけるスーダン政府による人権侵害行為に対して、深刻な懸念を有している。これらの極めて深刻な人権問題について、G8が責任ある姿勢を示すべきであり、事態の打開のために行動をすべきである。

■ジェンダー

 地球温暖化や貧困、戦争の犠牲が女性にしわ寄せされている。女性の社会参画を増やすとともに、ジェンダー格差に基づく社会の暴力や差別をなくすよう、各国の取り組みを求めていく。また、紛争予防・平和構築・軍縮を含む平和プロセスの全過程で、社会的性差から解放された平等な参画が保障されることが必要である。

3.貧困・開発

■ミレニアム開発目標達成に向けた政治意思と行動を

 「対テロ」戦争の遂行、資本の利益拡大を最優先とする新自由主義がグローバル化する中、あらゆる面での格差や人権の侵害、暴力、軍事化が広がっている。

 一方、2008年は、世界人権宣言60周年であるし、国際社会が2015年までに世界の貧困や飢餓、乳幼児死亡率、保健医療や教育の保障などで達成すべきとした「ミレニアム開発目標」(MDGs)の中間年に当たる。多くの途上国が貧困をなくす取り組みを強化しているが、先進国による支援強化の約束が守られていない。G8として、すべての人が平和に生きる権利をもつ世界を目指してMDGsの目標達成に向け、十分に資金を供給するなど、具体的なメッセージを打ち出すことを強く求める。特に、保健、水、教育の分野で日本がリーダーシップを発揮し、各国の支援・協力を促進すべきである。

■軍事力を中心とする「国家安全保障」から「人間の安全保障」へ

 日本国憲法は、「全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有する」という平和的生存権を確認している。平和とは単に軍事問題ではなく、貧困・飢餓・疾病・教育格差・情報格差などが無い状態を平和の要件であるとしているといえる。これは、94年に国連開発計画が「人間開発報告」で初めて打ち出した安全保障の考え方である「人間の安全保障」と通じるものであり、日本は、「人間の安全保障」が追求する政策目標をすでに権利として掲げている。しかも平和のうちに生存する権利を、全世界の普遍的な人権として位置づけている。9条によって戦争と軍事力の放棄、交戦権の否認を規定したのは、その当然の帰結である。

 いま人々にとっての安全は、飢餓、病気、暴力、犯罪、政治的弾圧、環境災害などの脅威から守られることを意味しており、「国家安全保障」から「人間の安全保障」への価値観の転換に共感が広がっている。日本は、平和的生存権を国際的に唱導することによって、「人間の安全保障」の確立に寄与すべきである。「平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占め」るためにも、環境破壊、人口、食糧、エネルギー、エイズ等感染症、人権、難民、貧困などの人間の生存、生活、尊厳を脅かすあらゆる種類の脅威について、およそ人間の生存・生活・尊厳が脅かされ、かつ国家の安全保障ではカバーされず、白由市場経済に任せておいたのでは解決されない問題と位置づけ、積極的に取り組みを強化すべきである。そのため、「人間の安全保障」という観点から総合的に問題を取り扱う国際機関の設置を提唱したい。

■軍事費を環境や貧困、社会保障に

 世界の軍事費のうち、G8諸国が7割を占めている。しかし、再び世界が軍備拡張へ明らかに向かいつつある傾向に歯止めをかけ、軍備と戦争に費やされている貴重な資源を、環境対策と開発、貧困対策、人類の福利に振り向けるべきである。

 日本国内においても、この間の小泉・安倍・福田と続いた改革で、私たちの生活は破壊され、格差が広がっている。農業・漁業・林業の第1次産業の宝庫である北海道を過疎化し、道民の生活を壊し、医療・年金の行方も見えない。「思いやり予算」と「社会保障費の削減額」がほとんど同じ額であり、防衛予算を削減することで、社会保障を充実させること、国民生活を豊かにすることは可能である。

■グローバル経済への対応、投機マネーの規制と新自由主義からの転換を

 21世紀に入り、競争原理と企業利益優先のいわゆるグローバル経済の拡大のもとで、原油や食料品の価格高騰や食糧不足が現実化し、国家間でも各国内でも経済的社会的格差が広がり、社会不安や軍事紛争の危機を招いている。サブプライムローンの破綻をきっかけに儲け先を見失った全世界の過剰な投機マネーは、金融商品やドルを離れ、石油や小麦などの戦略的投機商品にシフトし、世界中に物価高騰と景気後退が同時進行するスタグフレーションの新たな波を巻き起こしている。

 問題は、宴のツケは、弱い人々にしわ寄せされているということである。借金で住宅を購入した低所得者は、夢から覚めると家は取り上げられる一方で、ローンは残り、一層の生活難に陥っている。原油高・食料高が、生活費の値上げラッシュと、実体経済の悪化、さらなる失業として貧困層をおそうなど、世界中の貧しい人々が踏み台にされている。人間の自由や生存より、資本の自由、市場の自由、儲ける自由を優先するグローバリズムの進展が、貧富の格差や南北格差を拡大させている。過度の商品経済化、市場競争万能主義の徹底、多国籍大企業の進出が、弱い人々の生活や雇用に大きな影響を及ぼしている。

 また、地球温暖化対策にしても、CO2削減などの技術的な施策に力点が置かれる一方、環境問題の根底に「わが亡き後に洪水来たれ」といわんばかりのグローバル経済の影響があることへの認識が乏しい。災害や温暖化の被害をもっとも受けやすいのは、開発途上国の貧困層や先住民の人々、中でも女性や子ども、高齢者である。水さえも「商品化」され、先進工業国の私的利潤追求のために、弱い人々の生きる権利が損なわれている。原油や穀物価格の高騰を招いている投機マネーや、貧困層の食糧を奪うことになるバイオ燃料の問題から目をそらすことがあってはならない。

 G8には、経済のグローバル化と格差社会の進展の犠牲になった人々の声を受け止める責任がある。人権と平和の観点から、先進工業国の責任の自覚を求めるとともに、社会的公正の確立、セーフティーネットの再構築に尽力するよう強く求めたい。

 日本政府も、超低金利政策と米国債購入による円マネーの供給拡大がアメリカのドル体制を下支えし、世界的マネー過剰と投機を促したことを反省すべきである。擬制資本から現実経済へ、対米依存からアジア重視へ、輸出依存構造から内需重視へ、そして、地域経済や農林水産業、福祉・環境を重視した内需それも国内個人消費の活性化が必要であり、金融政策、経済財政政策を転換すべきである。

 社民党は、人々の犠牲と収奪によって資本の競争力強化を遂行していく新自由主義の暴走に反発し対抗するあらゆる人間的な闘い、トービン税の導入やフェアトレードの拡大など新しい経済秩序を目指す運動との連帯を強めていく。

■ODAを増額し、効果的な活用を

 2000年以降、G8諸国は政府開発援助(ODA)を増額しているが、日本だけは削減を続けている。国益追求や日本企業の紐付き援助のためではなく、途上国の弱者の他のODAを洞爺湖サミットを機会に増額させるべきであるし、国民総所得(GNI)の0.7%まで増額するという国際公約を着実に履行し、貧困を削減し、保健や教育など必須社会サービスを皆が享受できるように最も効果的な形で活用するようにすべきである。

■すべての人に保健・医療サービスを

 必要な保健・医療へのアクセスは「世界人権宣言」にも定められた基本的人権の一つであり、すべての人が十分な保健・医療サービスを享受でき、感染症の脅威から逃れられ、妊産婦や子どもが防ぎうる死を迎えずにすむ世界を、協力してつくる必要がある。G8は、保健・医療に関する援助を増やすとともに、途上国における保健・医療システムの強化、医療従事者の増加に向けて支援策を強化すべきである。乳幼児の死亡の削減、妊産婦の健康改善、エイズ・結核・マラリアの制圧に向けた最大限の資金拠出と技術協力を行うべきである。

 日本、米国、EU等22か国が世界の医薬品貿易量の9割を占めている。国際貿易ルールの下では、医薬品は他の工業品と同様に扱われているが、製薬会社は往々にして世界中同一の価格で医薬品を販売しているため、経済的に恵まれない途上国の人々には、命を救うために必要な医薬品は高すぎて手に入れることができない。また、途上国の人々には十分な購買力がなく、彼らのために医薬品を製造販売したとしても十分な利益を生む市場が存在しないという理由で、製薬企業が製造を中止しているケースも多い。必須医薬品の入手問題は政治的問題であり、解決には政府の取り組みが必要であることから、途上国での高品質な医薬品製造や低価格な必須医薬品輸入の支援を強化すべきである。

■すべての子どもが学校に行けるように

 2015年までにすべての子どもが初等教育を修了するミレニアム開発目標を達成するためには、09年にすべての子どもが小学校に入学する必要がある。目標の達成のための資金不足分について、G8諸国は基礎教育援助額を増額すべきである。児童労働の廃絶への取り組みへのコミットメントを表明すべきである。

4.食 料

■G8は、世界の農業基盤の強化と自給食料の増産を支援し、食料危機の打開を

 穀物価格が軒並み史上最高値をつけ、静かな津波といわれる「食料危機」が広がっている。とりわけ食品支出割合が高いアフリカなど途上国では暴動が発生し、貧困や飢餓に拍車をかけている。世界では、8億人以上が栄養不足に苦しみ、毎日に2万5000人以上が飢餓で死亡、12億人が1日1ドル以下で暮らし、飢餓人口は1年に400万人ペースで増加している。

 G8は、石油など資源を大量消費し続け、市場経済のもとで食料を工業品と同様に自由貿易化し、各安の輸入食品を奪い取ってきた。その結果、輸入国や途上国などの農業基盤を破壊し、深刻な食料危機を起こしている。この責任を強く自覚し、ただちに輸入国や途上国の農業生産基盤の確保と自給食料の増産、WTO自由貿易体制の見直し、輸入途上国などへの食料援助、農業・財政支援など行動を開始すべきである。

■日本など輸入国は、農業の強化と食料の生産を高め、輸入依存からの脱却を

 世界が食料不足の事態に陥れば、まず自国内の供給を優先し、輸出分は後回しになることは否定できない。日本は、経済力にまかせ食料の6割を輸入に頼る食料供給体制に安住し、国内生産を抑制してきた。その結果、経済的に弱い輸入途上国の食料調達を困難にさせ、自らも食料高騰のあおりを受け、まさしく「国際的圧力と危険にさらされている国」となっている。

 議長国である日本及び先進国は、当面食料価格が高止まりする状況をふまえ、途上国や輸入国が安心して農業経営や農産物の生産増加に取り組めるよう支援していくとともに、輸入国は食料の増産に努め、日本も率先してコメなど主要農作物の増産に踏み切ることが食料安保の道である。

■世界の農業の発展と自給食料の増産にむけた農業支援の強化を

 先進国は、この食料危機をとらえ、世界全体の農業発展と自給食料の増産、途上国における農業の生産基盤を支えるため、食料援助・農業技術・財政支援を強化するとともに、あわせて大量の食料廃棄を改善すべきである。

 アフリカなど途上国への農業支援については、各国の風土や伝統、家族農業経営、自給作物など自然環境、食料主権を尊重する方法で進めるべきである。

■WFPなど国連への財政支援拡大を

 国連は、2030年までに世界の食料生産を50%引き上げることを目標を揚げ、毎年150〜200億ドルの資金が必要とし、またFAOは貧困対策として300億ドルの支援を求めている。福田首相は、ローマでの食料サミットにおいて、輸入米30万トンと緊急食料援助などで合計2.45億ドル(約268億円)の支援を表明したがGDP第2位の経済大国としては不十分である。

 日本は、弾道ミサイル防衛1132億円や護衛艦690億、戦闘機20機600億などのムダな軍事支出を減らし、ODA(農林水産分野)やWFP(国連世界食糧計画)への拠出金を増やすとともに、先進国が協調して途上国への食料援助や財政支援を行うよう提案すべきである。

■WTO自由貿易体制を根本的に見直し、公平な食料分配を

 先進国・輸出国が主導するWTOのもとでは、輸出規制による供給不安など食料不足の状況に対しては全く無力である。さらに輸入国・途上国の一次産業の衰退を招いている。また途上国からは先進国による手厚い農業保護主義が食料価格高騰の原因だとする意見も出ている。

 G8は、WTO交渉が関税引下げ・関税割当の拡大だけでなく、FAOが提案しているように食料増産や農業基盤の強化など農業の価値を高めるための新たな交渉を追求すべきである。特に日本が提案している多様な農業の共存をはじめ、水田など多面的機能の維持、環境保全型農業の推進、途上国の発展、国内生産の増加などを世界の共通認識とし、輸出補助金の削減、輸出規制のあり方と輸入国のセーフガードの拡大を含めて、公正な農産物貿易を確立し、食料を公平に分配すべきである。

■バイオ燃料の導入促進を見直し、農業や生態系への影響調査を

 米国などが推進しているバイオ燃料の導入は、穀物・食料価格の高騰、森林喪失、現地住民の生存権侵害、遺伝子組換(GM)作物の拡大など多くの問題を抱えている。

 G8は、バイオ燃料が食料危機を加速させ、経済、環境、社会に及ぼしている深刻な影響を深く見極め、その生産規模、人体や環境・農業への影響を十分調査するとともに、食料を原料とせず、生態系の保全を基本に、各国の地域の資源・自然環境に見合った地域自給型・循環型のバイオマスエネルギーの生産・利用に限定すべきである。また、当面はエネルギーよりも食料確保を優先し、食料と競合するバイオ燃料の生産停止を検討すべきである。

■穀物など先物市場への投機マネーの抑制を

 先進国は、食料価格を高騰させている投機的な先物市場を抑制するため、投機マネーの監視強化、情報公開を進めるとともに、国際的な資金の移動に課税し、世界的な富の再分配機能(収入は、途上国への農業援助や温暖化防止基金などにまわす)を発揮する「国際連帯税」の導入を検討すべきである。

■原油高騰対策と燃料高騰による国民生活を守るための緊急対策を

 石油製品の安定供給と適正価格を確保するため、国際原油市場の安定化に向け、政府は国際機関や産油国を含む各国と連携し、実効ある国際的な原油管理を図るなど、抜本的な対策を講じるべきである。原油価格の高騰を煽る投機マネーを規制するよう、合意すべきである。

 原油高騰を理由に、車のガソリン代や船の燃油代が留まることなく値上がりし続けている。日本政府として、弱い立場の人々へのしわ寄せを許さず、国民生活を守るため、税の軽減や値上がり分の還元をはじめとする緊急対策をとるべきである。また、漁業や農家、中小企業に対する対策を講じるべきである。

以上

温暖化対策

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