日本国憲法の改正手続に関する法律(国民投票法)一部改正案について

2018年5月22日

社会民主党憲法部会

5月17日、衆議院憲法審査会幹事会において、公明党から、投票環境を向上させるための、日本国憲法の改正手続に関する法律(国民投票法)の改正案が提示された。商業施設などに設ける共通投票所の設置や期日前投票所の投票時間の弾力化、投票所への18歳未満の同伴、洋上投票の拡大など7項目は、2016年の公職選挙法の改正内容であり、また、郵便投票の要介護3への対象拡大は今後公選法改正案が提出され措置される内容である。投票環境を向上させ、有権者の権利の保障・拡大の観点から、こうした8項目を国民投票法に盛り込むこと自体は、否定しない。しかし以下の点で今回の法改正には賛同しがたい。

1.衆議院憲法審査会は、今国会で一度も実質的議論をしていないが、国民投票法改正案を呼び水・誘い水として憲法審の開催を軌道に乗せようとする狙いがあり、自民党改憲重点4項目の議論を進め、改正原案作りを促す環境作りとなりかねないこと。

2.安倍首相の関与を裏付ける愛媛県文書が明らかになり、国会を愚弄し国民をないがしろにしてきたアベ政治自体が問われている今、憲法問題を論じる静かな環境にないこと。

3.今回の改正案は、国民投票法の抱える本質的な問題点を解決するものとなっておらず、都合の良い部分だけをつまみ食いした極めて不十分なものであること。また、参議院の附帯決議(18項目)についても十分な検討がなされていないこと。少なくとも最低投票率の導入やテレビ・ラジオ有料広告の規制、国民投票広報協議会の構成の見直し、発議から投票までの期間の拡大、濫用のおそれがあり自由な議論を萎縮させることから公務員等及び教育者の地位利用による運動規制や組織的多数人買収・利害誘導罪の設置についての見直しを行い、是正すべきであること。

以上

 

資料:国民投票法の主な課題

・最低投票率の定めがなく、一定の投票率を超えない場合、改正の正当性に疑義が生じることから、最低投票率制度を導入すべきである。

・テレビ・ラジオ有料広告の規制が投票前14日間だけであり、投票を呼びかける「テレビCMの総量、回数」に関して、何の制限も設けておらず、費用の上限も決められていないことから、資金力に勝る側が国民投票運動を有利に進めることになりかねない。また、投票2週間前から禁止されるのは、憲法改正案に対して賛成・反対を「勧誘する」テレビCMで、賛成・反対を「勧誘しない」自らの意見を表明するだけのテレビCMは期間を問わず、放送可能となる。不正確な情報や虚偽の内容を含むCMの禁止規定もない。テレビ・ラジオ有料広告の規制を検討すべきである。

・改正案の内容や賛否の意見を国民に知らせる「国民投票広報協議会」の構成員を、衆参両院の各会派の議員数の比率に応じて割り当てる規定のため、改正賛成派が圧倒的多数を占めることになる。中立性を担保するために、協議会の構成は、賛成派委員と反対派委員を同数とすべきである。

・国民の発議から国民投票までの期間が60日ないし180日では短すぎる。

・過半数の賛成の対象は有効投票総数ではなく投票総数とすべきである。

・公務員・教育者の地位利用規制や組織的多数人買収・利害誘導罪について規制対象が明確でなく広範に過ぎ、濫用のおそれがあって自由な議論を萎縮させる危険性がある。

 



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