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社民党の政策

社民党の農林水産政策

社民党の農林水産政策

2007年選挙政策集より

1、農家経営の所得安定対策の拡充をめざし、
地域農業・農村の振興を図ります。

(1)政府が推進する「戦後農政の大転換」としての新たな「品目横断的経営所得安定対策」は、支援対象を約3割の担い手だけに限定し(約40万経営体、規模要件は認定農業者4ha、集落営農は20ha)、大規模化をさらに促進するものであり、家族農業や集落の機能を弱体化させるものです。

それは、意欲あるすべての農家を支援することにはならず、家族農業や中小農家を切り捨て、担い手と非担い手の2極分化(効率化のもとでの選別農政)を進めるものでしかありません。その先には、農家所得のさらなる減少(販売農家の所得は00年606万円→04年351万円)、農産物の価格下落(農業総算出額96年10.3兆円→05年8.5兆円)、離農の増加(総農家戸数は00年312万戸→05年285万戸)、耕作放棄地の増加(95年25万ha→05年38万ha)、農産物の生産低下、中山間地農業の没落、食料自給率の低下と優良農地の喪失、多面的機能の低下が迫っています。

このような政策を見直し、家族経営農業の充実のための直接支払とし、食料自給率の向上、地域農業の発展をめざします。集落営農の面積要件などは柔軟化し、対象品目の拡大とともに地域で自主決定ができる制度をめざします。

(2)政府は、「農地・水・環境保全向上対策」(予算額303億円)を品目横断的な経営所得安定対策との車の両輪と言いますが、内容は、交付金の支給を地域共同体とその地域内農家に狭く限定し、国の支援も少額(基礎支援:水田10アールあたり2200円、プラス県・市で2200円)であり、環境保全に貢献してきた減農薬や有機農業は対象外としているなど不十分な面があります。

社民党は、日本の国土(7割が森林)や中山間地域、多様な生態系を生かし、

1)地方が取り組みやすいよう国の財政支出を拡大(予算の倍増など)し、自治体負担を軽減、
2)平地・都市・中山間地の役割を明確化、
3)豊かな田園、田んぼ(生物)、農業水路づくりなど自然環境保全に貢献する「環境支払い」として充実・拡大を図り、豊かな地域農業、集落機能を築きます。

2、自然環境保全・地域農業再生を農政の基本とします

(1)人間の健康と食の安全、環境にやさしい有機農業など環境保全を基本とした農業を推進します。有機農業は、農薬使用の制限、適切な物質・栄養循環、土壌保護、生物多様性・自然保護、動物福祉の向上などの利点があり、公共性を備えています。日本の気候風土や家族農業に適した、自給と環境を重視する有機農業・環境保全農業の推進・拡大をめざすため「有機農業の推進法」の制定に取り組み、有機農産物の生産振興・市場育成を図ります。さらに、有機農産物認証制度の見直しなど、国内総生産量に占める有機農産物の格付割合(04年0.16%)の拡大、国内有機農産物の自給率(04年9.6%)を増やします。

(2)農地・農村、景観、環境保全対策として「環境支払い」を導入します。

環境支払いは、
1)生産段階、
2)農家への直接支払いとし、
3)消費者・環境・動物保護、 食料・飼料の安全、生産面でのリスク管理・記録(GAPなど)、良好な農地の保全など基準を定め、
4)地域の実情に配慮し、条件不利地には支払いを手厚くします。

(3)自治体ごとに「アグリミニマム」(地域に最低限確保したい農的環境=農地、緑地、生き物、大気・水、水源、山林、河川・池などいのちと暮らしのための持続可能な環境)などの保全目標値を定め、街づくりに生かします。

(4)耕作放棄地の増加や優良農地の喪失も懸念されることから、スリム化や合併により弱体化・形骸化されてきた農業委員会の独立性を高めるとともに、農地の保全などその役割、権限を高め、自給率の向上をめざします。市町村の農林担当者を増員し、農村との連携、地域・観光の活性化、情報公開、事業の継承、専門者の育成、雇用創出、自然環境保全を図ります。

(5)消費者とのつながりや農産物とのふれあいを深め、地域が元気になる直売所やファーマーズマーケットなど地産地消を広げます。

(6)耕蓄連携を促進し、林間放牧や里山放牧、飼料作物による水田維持など農山村の景観保全を図ります。

3、国民の主食である米(水田農業)を守り、米政策を拡充します。

(1)米価下落を阻止し、米政策を改革します。
改正食糧法(03年)や米政策改革(04年)など流通の自由化、競争原理の導入などにより米価は下がり続けています。米の総産出額も1.97兆円(05年)と2年連続で野菜を下回っています。07年産から米の生産調整が導入され、国主導から農業者・農業団体が主体となった生産調整に移行されますが、不参加農家の拡大や過剰生産、さらなる米価下落など多くの不安が生じています。米価低迷の長期化など米政策改革・地域水田農業ビジョンの徹底した検証を行なうとともに、条件不利地域への配慮など公平性の維持、助成制度の充実を図ります。米を作って農家が生活できるよう、一定の米価水準を下回った場合には全額補填するなど新たな下支え価格(最低保障価格など)を創設します。

(2)米の作付面積170万ha(収穫量872万t 04年)は低下の一途であり、作付面積を拡大します。低下し続けている米の消費量(1人1月あたり消費量4.9kg(05年)、年61.5kg04年)の増加をめざします。

(3)政策政府備蓄は300万トンとし棚上げ方式を採用します
米価引き下げの要因となる政府備蓄米については、危機管理機能と需要調整機能を付与し、モミ米として保管します。放出時には主食用とはせず、加工用、援助用、バイオマス資源等に活用します。このため現行の回転備蓄方式ではなく棚上げ備蓄方式に転換します。

(4)WTO協定のミニマムアクセス(MA)米の輸入数量(年77万トン、在庫は203万トン)を削減します。EUでは、米国産の輸入米からGM米(遺伝子組み換え)が検出されたことから、輸入禁止を決めました。日本でも、輸入米や米粉、加工品に対する検査・監視体制の見直しなどGM米の混入・流通を防ぐ体制を強化します。

(5)耕作放棄水田を活用したエネルギー(菜の花プロジェクトによるバイオディーゼル、えさ米アルコール化)の自給に取り組みます。

4、水田の多面的利用を進めます

社民党は政府の米抑制政策に対して、生産抑制ではなく、水田の多面的利用を図る中で、わが国食糧の構造改革を図っていくべきだと主張してきました。多面的利用の具体的な提案が、飼料稲( ホールクロップサイレージ) や飼料米( グレーンサイレージ) の栽培です。これは米が豊作で過剰となるような時には、米や稲を飼料として活用し、逆に凶作時や輸入が困難な時には、飼料に回していた米を主食に振り替えるというものです。飼料作物の自給率向上や食糧安全保障の確立にもつながるものです。同時に大豆や小麦など主要農産物の生産拡大を図り、米と同様の所得補償を行います。

5、食の安全、持続可能な食料を基本とする農業施策を確立します。

世界が食料過剰から不足の時代を迎えている中で、食のグルーバル化による大量生産・大量消費とともに土壌劣化や水不足など生活・環境破壊が食糧危機を進行させています。大規模化・効率化・市場化の方向ではなく、食の安全、自給率の向上、国土・環境保全型農業の拡大、有機農業の振興、地域農業の再生を基本とする農業政策を推進します。

(1)有機農業の推進を国の基本として確立するとともに、有機・減農薬生産を振興するための奨励金や助成制度を確立します。また有機・減農薬生産によって生じる所得の減少分を補填する制度を確立します。

(2)国土・環境保全型農業を拡大していくために、とりわけ中山間地域を対象とした直接支払制度を拡充します。これまでの支払制度は、平地と中山間地の生産力格差を是正するためのものでしたが、それだけでは中山間地の水田や集落機能は維持できません。中山間地の農業は環境保全に果たす役割が大きいことから、制度を「環境支払い」(所得補償)とし水田農業・集落が維持できるようにします。

(3)自給可能な基礎的食料の自給力を高め、食料主権を確保します。日本の食料自給率は40%(8年連続横ばい)と先進国の中で最低であり、6割を外国産に依存しています。また、政府による自給率低下の検証結果もはっきりしないままでは、行動計画の実効性も期待できません。食料供給の海外依存からの脱却にむけて、当面の食料自給率達成目標を50%(基本計画では2015年度までに45%に先延ばし)とし、この目標を達成するため、470万fの優良田畑の確保、直接支払いの拡充、国内生産の拡大、地産地消の推進、多様な担い手の確保、消費者との連携強化、日本型食生活の普及等に取り組みます。とりわけ小麦(14%)、大豆(4%)、穀物(27%)などの自給力を高めるとともに、飼料自給率(現在24%)を増加します。特に豊潤な水田と豊かな食文化を次世代に残すため、田畑輪換が可能な農地、棚田の保全などによって水田機能を維持します。

(4)大規模経営のための急速な農地の集積化や転用規制の緩和は、耕作者主義に反し、農業の工業化を一層進めるものです。株式会社による安易な農地取得は認めません。

(5)米を中心とした日本型食生活の普及に力を入れ、米粉パンなど米消費の拡大に積極的に取り組みます。同時に地域の食文化を維持・活性化し、地域生活の自立・自給力拡大につながる地産地消の促進、いのちをいただく食育、スローフード運動等に取り組みます。学校給食を充実するため、自校方式への促進と国の助成拡大、栄養教諭の定着をはじめ、その土地の農産物を奨励(優先)し、食べる喜びを充実させるとともに子どもの健康を守ります。
豊かな食生活を実現するため、子どもたちの農場参観や耕作・収穫への参加、味覚を育てる授業、調理、伝統料理の評価、食品成分の知識など学校での食農教育を充実します。

(6)食の安全性を確保するための総合的な政策を進めます。

1)生産から流通、加工、販売、消費に至る全プロセス(フードチェーン)での、トレーサビリティ(流通経路情報把握)制度の導入、モニタリング強化など具体的かつ厳密な安全対策を講じます。すべての輸入農蓄産物・食品に対するトレーサビリティの確立、原産地・成分表示の義務づけ、監視強化を進めるとともに、農薬や添加物など国産品と同等の安全基準を設けます。また、検疫所や地域の保健所による検査の徹底を図ります。農産物・生産現場に対し、リスク管理対策・記録(農薬の使用状況や水源、廃棄物の管理、洗浄や衛生管理など)を行い、食の安全性を証明する日本版GAP(適正農業規範)を導入します。

2)食品による健康被害防止、欠陥商品の排除等を進めるため、政府が食品の情報収集・調査・リスク評価・情報公開・警告・回収等を行なうことができる「食品リコール制度」の導入を検討します。

3)食品衛生法に基づく「食品・添加物の規格基準」を厳格化し、健康影響評価の実施、抗生物質や食品添加物の情報公開、削減に取り組みます。人体や環境に影響を及ぼすおそれのある「食品への放射線照射」の推進については、安全性が確認されておらず、毒性など試験研究も不十分なまま、照射食品の流通( 輸入) に対する検知方法がなく行政監視も不可能であり、照射放射能漏れ・被曝・廃棄物処理の問題など消費者に何のメリットもなく、不安を及ぼすだけであり反対します。

4)農薬の残留リスクを減少させるため、農薬の使用削減・適正使用、飛散防止・汚染防止に取り組みます。「農薬ポジティブリスト制度」については、今後、行政・生産者や加工業者による監視強化とともに、農薬が目的の作物以外( 隣の作物等) に飛散( ドリフト) することを防止するための対策強化、環境保全、農薬全体の縮小、食の安全に資するよう取り組みます。

5)予防原則や市民参加などリスクの削減管理体制を確立します。食品安全委員会の権限・機能の拡充、勧告制度などその独立性・権限を高めます。

6)食と農の関係・構造を、世界、地域、人間、動物、環境、価格、暮らしの視点から大胆に見直し、国産農産物の価値を高め、安全・安心な食料供給と農業の再生を図ります。

7)生産者と消費者の相互理解を進め、生産・流通・加工・販売業も組み入れた健全な食と農を追及します。消費者による農(生産者)への認識を深めるとともに、持続可能な食と農を担う市民活動を支援します。

8)食品衛生監視員の増員、農薬散布や農業用水利用による検出数値・データ・情報の提示等、輸入食料の残留農薬検査・検疫など安全対策の強化、食品衛生法の違反企業(輸入業者)への罰則強化(罰金額引き上げ、販売停止)などに取り組みます。

6、BSE(牛海綿状脳症)対策、鳥インフルエンザ対策を強化します。

(1)国内では、現在30頭(06.11現在)のBSE感染牛が確認されています。国民の健康を守るため、食の安全・安心を基本としたBSE対策を進めます。

1)政府は、食の安全と国民の健康を置き去りにしたままの危険な米国産牛肉の輸入再開を 強行しました。米国のBSE対策は、日本と比べて検査頭数も少なく、甘い飼料規制やずさんな検査体制、肉質による月齢判別方法、食肉処理場での特定危険部位の除去が不徹底など安全性は担保されていません。
米国に対しては、日本と同等の検査体制(全頭検査、特定危険部位の完全除去、肉骨粉の投与禁止、トレーサビリティ制度)を強く求めるとともに、サーベイランスの強化、食肉処理工場の検査徹底などBSE対策の拡大を要求します。食品安全委員会は、米国産などの牛肉のリスク評価をしっかり実施すべきであり、政府が国民への情報公開など説明責任を果たすよう強く求めます。

2)牛肉消費への不安解消と安定供給にむけて、輸入牛肉に対するリスク評価やトレーサビリティ制度等の確立をめざします。スーパーや小売店、外食・中食産業などすべての牛肉等加工品の原産地・原材料名の表示を義務づけます。

3)消費者や生産者などから信頼が高い全頭検査を維持します。特定危険部位の除去を徹底し、屠場でのピッシングは中止します。

4)科学者・行政・市民・生産者の連携による科学的なリスク評価とリスク管理システムをめざします

5)病原体の特定、感染牛30頭の感染経路・実態把握などBSEの科学的解明を進め、根絶をめざします。

6)有機農場や安全な飼料・放牧、耕蓄連携など動物と自然環境にやさしい畜産業の振興を図ります。

(2)高病原性鳥インフルエンザ対策を進めます。
日本では、04年に西日本で発生以降、いまだ発生原因や伝播経路の解明には至っていません。世各地でも、鳥インフルエンザ(H5N1型)が流行し、鳥から人への感染による死亡とともに人から人への感染も確認されており、国内対策の強化とともに被害拡大の防止にむけて感染国との協調・支援などに取り組みます。

1)発生原因や伝播経路の調査・早期解明
2)監視体制の強化、発生した農家・養鶏場からの迅速な連絡体制の確立
3)汚染の除去
4)自治体間の連携、自治体と養鶏業者の連携の徹底
5)消費者・流通・小売業者、地域住民との連携の徹底、情報公開
6)日常の健康調査、養鶏場の事前調査、野鳥の調査など早期発見の努力
7)処分した鶏で周辺の土壌や水質が汚染されることのないよう消費者や地域住民が納得する処分方法の確立
8)風評被害対策、発生養鶏農家および周辺養鶏農家に対する補償
9)養鶏場に働く人々や周辺住民の健康対策等。

7、株式会社の農地取得、規制改革による農協の分割は認めません。

(1)株式会社の目的は生産ではなく利益追求・採算です。採算が合わなければ生産は放棄され、農地も農業以外の目的で使用されることになります。生産に不可欠な農地が消失すれば自給率の向上も多面的機能の発揮も不可能になります。株式会社は農業生産にとって決して安定した経営体とはいえません。しかも株式会社による生産の効率化や市場化、大規模化の追及は、結局合成化学農薬の使用拡大や遺伝子組み換え作物の生産に道を開くおそれがあります。さらに、大きな問題は株 式会社による農家の再編が進めば地域が分断され、日本農業が営々と培ってきた伝統的集落営農機能が破壊されるということです。社民党は家族農業を基盤とした集落営農機能を活性化していくことこそ日本農業を再生していく道だと考えています。

(2)日本の相互扶助的地域社会は、戦後、社会党が推進した農地改革と農協法の制定によって築かれました。自民党は、郵政に次いで、農地法と農協法を解体することで、競争型社会体制づくりの総仕上げを図ろうとしています。
農地制度の改革は、株式会社に農地取得の道を開き、企業型農業への一大再編を図ろうとするもので、農協改革は、一体的な経済事業と信用事業・共済事業の分離・分割を進めることを基本に、農協事業への独禁法適用除外の取り消しなどを主な柱としています。農協三事業の一体化は、農産物の販売活動を支える営農指導をはじめ、農家むけサービス事業など不採算部門を支えるために行われていますが、これが分離されると、肝心の経済事業も成り立たなくなり、JA体制は崩壊し、農村は生産から金融、保険など全般にわたる資本支配市場へと再編されてしまいます。その結果、農村社会の持続も不可能な事態に陥ることから、社民党は地域の人々による農業再建と、民主的な農協活動強化を基礎とした取り組みを進めます。

8、多様な農業の担い手を確保します

専業、兼業、後継者、新規就農者、U・Iターン就農者、定年退職就農者を問わず、地域の実情にあった家族農業、集落営農、農業生産法人など、多様な地域農業の担い手を支援します。また多様な担い手を確保するために、就農に必要な経営・技術研修を行うとともに、農地の取得、生活のための就農資金の助成、無利子資金の融資を行い、一定期間就農した場合は償還を免除します。また、農機具への助成や機械の共同利用を進めます。何よりも大切なことは農業で生活ができる、農業に夢と希望が持てる政策を進めることであり、社民党は直接所得補償の創設などそのための施策を実現します。

9、WTO農業交渉
−国内第一次産業の活性化につながるルールを確立します

現行WTO農業協定は食料輸出国に有利で、輸入国には不利という不平等な協定です。アメリカやオーストラリアなどの輸出国は、自国に有利なルール(輸出補助金・信用、国家貿易、輸出義務等輸出規律)は何ら是正しようとせず、輸入国に対してのみ、より不利な条件を押しつけようとしています。

それが
1) 関税の上限設定(関税率の大幅引き下げ)であり、
2) 最低義務輸入数量の大幅拡大、
3) 特別セーフガードの廃止、
4) 国内支持政策の大幅縮小等です。

食料輸出国のこのような理不尽極まりない要求がまかり通るなら、日本をはじめとする食料輸入国は農業経営を放棄する以外にありません。
多角的貿易交渉(ドーハ・ラウンド)におけるジュネーブでの主要閣僚会合(06年7月)では、アメリカの農業国内補助金を譲歩しない身勝手な姿勢などから決裂、凍結に至りました。政府は、引き続きWTO交渉の合意をめざすとともにEPAやFTAの二国間交渉を重視する姿勢を強めており、農産物の関税削減には反対しつつも、農業の構造改革による国際競 争力を高めようとしています。しかし、FTAやEPAについては、WTO協定との整合性や輸出国(先進国)優位の貿易体制、食糧主権の低下、世界的な農業の衰退、2国間による排他的な貿易問題なども指摘されています。

農業協定の合意を図るためには、何よりも
1) 輸出補助金・信用の完全撤廃、
2) 輸出国家貿易に関する情報開示(貿易を歪曲する輸出促進支援が含まれている時は即時撤廃)
3) 輸出国が不作になった場合でも従前の輸出量の7割を輸出する義務を負う等、輸出国にだけ有利なルールを根本的に是正することが先決です。

そのうえで「食料の安全保障」、「農業の持つ多面的機能」、「多様な農業の共存」を世界の共通認識としつつ、「各国の第一次産業が活性化する公平・公正なルール」、「途上国支援」を確立すべきです。輸出国の要求である関税上限枠の設定や関税割り当て拡大は認められません。ミニマムアクセス米は廃止か削減を実現すべきあり、食料輸入国の唯一の対抗手段である特別セーフガードも維持・拡大すべきです。

10、合成化学農薬の使用を削減し、
遺伝子組換え作物の生産を禁止します。

(1)国民に安全な食物を供給するため、国の基本方針として合成化学農薬、食品添加物、遺伝子組み換え作物の使用を削減していくことを明確にします。農薬、化学物質、遺伝子組み換えの安全性に係る情報(農薬の場合には登録や登録の失効にあたっての理由や基礎データ)はすべて開示を義務づけます。また、有機農業や地産池消に取り組む生産者・消費者の不安を解消するため農薬取締法の定義を改正します。特に新設された「特定農薬」という規定は、日常の食べ物を「農薬」と位置づけるものであり、「有機農業つぶしだ」という批判も高まっていますので早急な改正が必要です。

(2)現在、遺伝子組み換え食品の表示は、遺伝子組み換え作物の含有率が5%以下であれば「遺伝子組み換え」と表示をしなくてもいいことになっていますが、これをEUの基準と同様、含有率が0.9%以上であれば「遺伝子組み換え」と表示するよう義務づけます。また、一般作物との交雑・混入防止対策の強化、遺伝子組み換えの研究・実験・開発・栽培についての詳細な情報開示を義務づけるとともに、遺伝子組み換え作物は安全性が確認されるまで国内での生産を禁止します。有機食品、無農薬、減農薬農産物については、国際基準よりも厳しい基準を設定し、国・公的機関による認証・表示制度を確立します。

11、森林の機能保全・整備の拡充、
木材の積極利用で地球温暖化対策、林業再生を図ります。

(1)わが国は、「温室効果ガスを1990年比6%削減(達成年2008〜2012)する」という京都議定書の目標を達成するにあたって、森林による二酸化炭素吸収量を3.9%とする目標を掲げています。
しかし、現状では2.6%という見込みであり、この目標を達成するためには「森林・林業基本計画」および「地球温暖化防止森林吸収源10カ年対策」に基づく森林の育成・整備等の着実な推進と財源の確保、林業の担い手拡大をしなければなりません。政府も、森林整備の事業量が現状規模で推移するなら達成は困難だということを認めており、森林の育成・整備の事業量を現行の1.3倍以上、10万人規模以上の労働力を投入するなど循環型林業を構 築することが必要です。現在実施されている緑の雇用担い手対策事業(03年開始)を充実するとともに、労働条件の大幅改善など雇用対策の充実、地域とのふれあいなど受け皿となる山村の整備を進めると同時に継続的な財政措置を図ります。
この目標を達成するために環境税(炭素税、森林環境税等を検討)を導入するとともに公共事業の見直しや自動車関係諸税の転用を図り、その財源を森林の育成・整備に投入するなど、毎年度の必要予算を確実に確保します。

(2)森林の持続的維持や林業の活性化のためには、地域材・国産材の積極的利用が不可欠です。グリーン購入の拡大、学校をはじめ公共施設への国産材使用を義務づけるとともに、国産材住宅を建設する場合の助成の拡充や、国産材を使用する伝統工芸への助成、化石燃料の代替として注目されるバイオマスの本格利用に向けた公共施設の発電・熱利用の設備構築の推進など、国産材利用を促進する対策を進めます。わが国の国土の7割が森林(約2512万ha)であるにもかかわらず、木材自給率は20%ギリギリの状況です。熱帯雨林やタイガの違法伐採や乱伐が憂慮され、世界第3位の輸入国として国際的批判が強まっており、このような中で日本の現状がいつまでも世界から容認されるとは考えられません。輸出入両国の計画的・持続的な森林整備を阻害し、輸出国の環境被害を起こしている違法な外国産材の流入を厳しく規制(民間流通木材の実態把握と監視強化、履歴管理システムの導入など)するとともに、外国産依存の構造から国内産利用への構造へと転換を図ります。
21世紀に対応する資源循環型社会を構築するため、森林整備の推進や国産材の利用拡大(政府の供給目標04年利用料1700万?→2300万?・2015年))とともに林業の担い手確保に向けて直接所得補償制度を創設するなど、林業が持続的かつ安定した経営が可能となる施策を進めます。

(3)森林の多面的機能を発揮するため、森林整備、林業の再生・活性化に取り組みます。日本の森林面積の6割は天然林、4割が人工林です。森林所有者の高齢化、木材価格の低迷、山の荒廃が長期化しており、不在村森林所有者の保有する割合も、日本の私有林の4分の1(24.4% 05年)にまで拡大しています。また、平成16年度の林業経営統計調査によると、山林を20ha以上保有し施行を行っている林家1戸当たりの林業粗収益は250万円、林業経営費は208万円であり、林業における所得は年間42万円でしかありません。森林のもつ多面的機能(土砂災害防止・土壌保全、水源涵養、保健・レクリエーション、生物多様性保全、地球環境保全、快適環境形成、文化、物質生産)と公的な役割を重視し、これらの資源を次世代に継承していくためにも、国の責任を明確化した森林管理、国土保全、木材の安定供給、林業の活性化に取り組むことが重要です。同時に、林野庁が民有林、国有林を一元的に管理・運営し、国民生活の安全と安心確保、持続可能な森林経営ができるよう取り組みます。

(4)森林行政の独立法人化に反対し、国の責任による森林管理体制を維持します。政府の行政改革減量・有識者会議が決定(06.6.30)した森林行政の一般会計・独立行政法人化(2010年)は、「国有林野事業の抜本的改革」(98年合意)を反故にし、職員等を二分化させ、森林管理を弱体化させるものです。森林調査を実施する「森林レンジャー」(基幹作業員)の育成、不在村の森林の買い上げ、国・自治体による一体化した取り組みの強化、後継者育成・技術の継承を進め、予算配分の拡充に取り組みます。

(5)造林施業(新植・下刈り・間伐等)支援の拡充、保安林内における治山事業の充実、「森林地域活動支援交付金事業」の継続・拡充などに取り組みます。

12、水産資源を回復し、水産業の振興を図ります。

日本の漁業者は総じて、水産資源状態の悪化や水産物価格の低迷・暴落の下で苦しい生活を強いられており、水産資源の回復と漁業で生活ができる魚価を切望しています。とりわけ零細な漁船漁業においては、漁船購入や維持にかかる費用が多額であり、漁業者は漁船購入資金の償還に追われています。生活を維持するためには、漁獲量をさらに増やさなければならず、それが資源の枯渇に拍車をかけ、結果として漁業者はいっそうの生活苦に陥るという悪循環が繰り返されています。この悪循環を断ち切るには、徹底した資源保護政策と野放しの輸入を規制する以外にありません。わが国の周囲は豊富な海洋資源に恵まれているにもかかわらず、魚介類の国内自給率は50%であり、日本人の食べる魚の半分は外国産という実態です。

乱獲をあらため資源の状況に適合した漁獲を調整・維持するためには、漁業者への国による補償が不可欠です。さらに資源の減少と魚価の低迷は、漁船員にいっそうの労働強化、労働環境悪化、労働条件悪化となって跳ね返っており、これが若い就労(後継)者を確保できないまま高齢化を招く原因となっています。日本の漁業を存続するためには、これらを改善することが求められています。社民党は、沿岸漁業を守るために浅海の生態系を守り資源の再生に努めるとともに沿岸漁業が維持存続できる直接所得補償制度を導入します。漁獲制限や輸入制限を行う場合には補償措置を講じます。また密漁や違反船を取り締まり、資源の枯渇防止に取り組みます。漁船漁業を守るために漁船員の福利厚生、特に社会保障制度の充実を図ります。また、漁獲量が減少している魚種や魚体選別機が使用されている漁種については、資源状態をより正確に把握できる調査研究体制を整備するとともに、資源保護策が的確に運用できるように取り組みます。国際的資源乱獲に歯止めをかける新たなルールづくりに努力するとともに、国際的な資源保護措置を損なうすべての違法・無法漁船の廃絶とその漁獲物の日本市場への輸入を禁止します。

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