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2008年06月2日┃医療

医療現場からヒアリング
メタボ健診と後期高齢者医療制度の問題点

メタボ健診の問題点。長時間労働といった働き方の問題を無視し、自己責任化。
福島みずほ党首 保坂展人副幹事長 あべともこ政審会長

 後期高齢者医療制度廃止本部(福島みずほ本部長)は5月29日、都内で東京保険医協会(塩安佳樹会長)からヒヤリングを行い、混乱する医療現場と同制度の問題点などについて、医療関係者らと意見交換した。党からは福島党首、阿部知子政審会長、保坂展人副幹事長、そして河野達男・新宿区議、羽田圭二・世田谷区議らが参加した。

 塩安会長は、75歳以上の高齢者を年齢で別制度に切り離したことについて「高齢者『いじめ』など生易しいものではなく、高齢者を『見捨てた』制度だ」と批判。かかりつけ医が月額6000円で医療を管理する「後期高齢者診療料」や、1回2000円で終末期医療の方針を決める「後期高齢者終末期相談支援料」の新設など、すべてが医療費削減を目的になされており、「この制度は一旦廃止した上で、時間をかけて国民的議論を行ない、日本の医療を再検討すべきだ」と強調した。

 出席した他の医師からは、政策が先行し学問的に確立していないメタボ健診(特定健診・特定保健指導)や、来年度改定が行なわれる介護報酬、病名で一律に打ち切られるリハビリ診療の問題などについても指摘がなされた。

【阿部知子政審会長に聞く】メタボ健診の問題点
長時間労働といった働き方の問題を無視し、自己責任化。

あべともこ政審会長この4月から後期高齢者医療制度と同時に始まった、いわゆる「メタボ健診」(特定健診・特定保健指導)。保険者ごとに設定された糖尿病などの生活習慣病につながるとされる「メタボリックシンドローム」(内臓脂肪症候群)該当者・予備軍の減少率などの数値目標達成を掲げ、40〜74歳の全国民に義務化された。

しかし、医療費抑制効果やメタボ基準そのものの根拠などに関して多くの疑問の声が上がっている。後期高齢者医療制度と併せ、メタボ健診についても国会で政府と論戦してきた阿部知子政審会長に、問題点を指摘してもらった。

基準の根拠あいまいなのに 医療費の抑制へペナルティ

【阿部政審会長の話】 メタボ健診の問題性は、一言で言えば労働から切り離された個人にだけ着目し、ペナルティーを手段としていること。

 導入の目的は医療費抑制に尽きるが、実は、予防的医療をやったら医療費が抑制されるというエビデンス(証拠)はない。いい予防医療をやるには、それ自体に手間暇と、おカネがかかるからだ。

働き方の問題無視しつつ自己責任化

これまでの「健康日本21」など、健診と成人病予防を連動させるプランがなぜうまくいかなかったのかと言えば、労働環境や働き方の問題とリンクしていなかったから。本来は労災・職業病の範ちゅうでとらえられるべき疾病が自己責任に帰せられてきたし、この傾向は成人病が「生活習慣病」と言い換えられることによってますます強まった。

 そもそもメタボ体型ならば成人病リスクがこれだけ上がるという確たるエビデンスもない。ところが、メタボ健診では受診率や保健指導率、減少率の目標が設定され、この達成度によって後期高齢者医療制度に対する各保険者の支援金が10%の範囲で増減されるというペナルティーが科せられる。国の健康管理政策に懲罰的手法が導入されるのは初めてのことだ。世代間の連帯を、懲罰を背景に調達する制度なんてありえない。

 今年度の後期高齢者支援金は、前の老人保健制度の時の拠出金と比較して国民健康保険が約24%減る一方、組合健保は8%強増えることになった。なぜかと言えば、この支援金は、ゼロ歳から74歳までの加入者数掛ける1人頭4万2000円で算出するのだが、後期高齢者医療制度に移った75歳以上の人の数が組合健保は少なかったから。

後期高齢者医療制度と強引にリンク

 しかし、今後のメタボ健診目標達成では、職場の現役男性中心で、健診を民間委託できる財政的余裕もある組合健保が有利なのに比べ、地域型で女性が多く、そもそも受診率が低い国民健保は苦しい。

 本当はメタボが後期高齢者の病気を増やすという根拠が存在しないにもかかわらず、7割を女性が占め、またメタボ健診の対象から外されている後期高齢者の医療費の問題と、現役世代の男性が中心のメタボ問題とを、医療費抑制の観点から無理やり結び付けた無理が、ここに表れている。ただ、唯一の例外は糖尿病で、高齢者の脳血管障害の原因疾患になるおそれが高い。

 これからの健診体制充実に向けては、経過観察が必要な糖尿病、地域によって健診実施や対策計画立案状況のバラツキがあるがん、職場環境に起因することが多い精神疾患にフォーカスを当てた改善が重要。また、職場健診を受けていない、特に中高年フリーター層を地域の保健所がフォローすることが必要だ。

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