声明・談話

2020年12月21日

2021年度政府予算案の決定について

社会民主党政策審議会

1.政府は本日の閣議で、2021年度政府予算案を決定した。予算案の一般会計の総額は、およそ106兆6100億円で、9年連続で過去最大を更新し、3年連続で当初段階で100兆円の大台を超えた。歳入は、税収が当初の見通しより6兆700億円程度減って、57兆4500億円程度となり、11年ぶりに減少した。一方、当初予算での新規国債発行額は11年ぶりに増加し、およそ43兆6000億円の国債を発行するが、国の歳入の4割を、借金に頼る厳しい状況となった。また、基礎的財政収支(プライマリーバランス)は20兆3617億円の赤字となった。借金の元利払いに充てる国債費は、1・7%増の23兆7588億円となった。菅内閣発足後、初の当初予算となるが、安倍政権を踏襲し、「社会保障は削減ありき、防衛費は青天井」という姿勢に変わりはなく、規模は水ぶくれし、ツケは回すものの、安心にはほど遠い予算案となった。

2.12月8日に決定した「追加経済対策」をもとに、2020年度第3次補正予算案と一体的に編成した事実上、9年連続となる「15か月予算」となった。安倍政権以降続く「15か月予算」では、補正予算を利用し、次年度予算の事業を「前倒し計上」する手法が常態化している。「国土強靭化」など、「緊急性」のない中長期の施策まで補正予算案に盛り込むことは、財政法の趣旨を逸脱していると言わざるを得ない。

3.第3次補正予算に続いて本予算でも、新型コロナ対策として、追加対策が必要になった場合の財源として、コロナ予備費5兆円を計上した。しかし、状況の変化に応じて臨機応変に対応できるようにするためとして第2次補正予算に盛り込んだ予備費約7兆円は、いまだに執行されていない。補正予算案の成立後、経済対策が執行されるのは早くとも来年2月以降であり、今、必要なことは、第3次補正予算案の編成ではなく、予備費の早急な執行である。医療提供体制の確立も自治体支援も遅すぎる。年末年始を乗り切るための生活支援・医療支援を早急に講じるよう、強く求める。

4.社会保障費は、過去最高を更新し、35兆8421億円となった。少子高齢化を背景にした医療、介護費用の増加や、前年度当初より1507億円増えた。高齢化に伴う社会保障費の増加幅、いわゆる自然増は、4800億円程度としていたが、この伸びを3500億円程度に抑えた。介護報酬は0.7%のプラス改定となったが、毎年薬価改定による薬価の引き下げや後期高齢者医療制度の保険料特例の見直しなどにより、約1300億円分を抑制した形となっている。機械的な抑制は、社会保障の質の低下につながり、問題である。安倍政権に引き続き、菅政権でも進める全世代型社会保障改革は、消費税増税を押し付けた上、全世代に社会保障の負担増と給付抑制を強いるもので、許されない。憲法25条と13条を基盤として、持続的な社会保障の改革を進めなければならない。

5.防衛関係費は5兆3422億円となり、前年度比289億円増、7年連続で過去最大を更新した。航空自衛隊F2戦闘機の後継で35年の配備をめざす次期戦闘機の開発費が576億円計上され、12式地対艦誘導弾(SSM)は、長射程化する開発に335億円とし、敵の攻撃の圏外から対処できるスタンド・オフ・ミサイルとする予定だ。また、陸上配備型迎撃ミサイルシステムイージス・アショアの代替策として、イージス・システム搭載艦建造に向けた調査費17億円が盛り込まれた。事実上の敵基地攻撃能力を保有するなど、専守防衛の枠を越える防衛力整備には、断固反対する。在日米軍駐留費の日本側負担、いわゆる思いやり予算は2017億円を計上した。日米両政府が来年度以降の額を定める特別協定に合意しておらず、今年度と同水準としたが、毅然と対応すべきである。

6.沖縄振興予算は、4年連続で3010億円となった。そのうち沖縄県が使途を決められる一括交付金は、7年連続の減額で、初めて1000億円を下回り、過去最低の981億円となった。その一方で、米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設事業を含む米軍再編関係経費は、2187億円が計上された。菅政権の姿勢は、辺野古新基地建設に反対する県民の民意を無視するものであり、厳しく非難する。

7.義務教育費国庫負担金は1兆5164億円で、公立小学校の学級編制基準を一律35人に引き下げた。来年度から5年にかけて段階的に35人学級を拡大し、教職員定数の改善総数は1万4000人と見込まれている。40年ぶりとなる一律引き下げの実現は一定評価できるものの、小学校のみでは不十分である。教育現場における働き方改革などもあわせて進めなければならない。

8.農林水産関連予算は、2兆3050億円だが、20年度第3次補正予算案で8年ぶりに1兆円超を計上し、「15か月予算」としては合計3兆3569億円となった。しかし相も変わらず、大規模農家や菅政権肝入りの2030年の農産物輸出額5兆円目標に偏重する一方、「食料自給率45%」目標達成への道筋も決意も見えないものとなっている。農水省が示した2021年産のコメの適正生産量は、20年産米に比べ36万トンの減産が求められるなど、主食用米からの過去最大規模の作付け転換が必至だが、21年度予算案の水田活用の直接支払交付金は前年同額の3050億円にとどまる。「15か月予算」でも3400億円規模だが、それで容易ならざる目標達成をどのように図るのか、依然はっきりせずコメの需給安定への不安を解消する予算案とはなっていない。輸出増には前のめりだが、主な仕事が農業の「基幹的農業従事者」は5年前から約40万人減少、農地面積も下げ止まらない現状への危機感が伝わってこない予算案である。

9.復興庁所管の20年度予算案は、1兆4024億円で過去最少を更新した。5年連続で減少している。国の「復興・創生期間」が震災10年となる来春で終わることとあわせ、菅政権の被災地軽視が際立つ予算である。復興のまちづくりを支えてきた「東日本大震災復興交付金」が前年比で8割以上の大幅減となり、被災した漁港や農業用施設などの「災害復旧事業費」も3割以上減るなど、被災地への「自助」強要が透けて見える。一方で被災者の心のケアや災害公営住宅の自治会などコミュニティー形成などに充てる予算は、前年比4割超増やしたが、それでもわずか42億円にすぎない。東京電力福島第一原発事故の避難世帯への国民健康保険料の減免措置の期限が来年3月となっているなど、依然として続いている生活再建への不安にほとんど応えていない予算案であると断じざるを得ない。

10.公共事業関係費は、20年度当初比11・5%減の6兆695億円となったが、防災、インフラ老朽化に対応する国土強靱化の特別措置にかかる費用を3次補正予算案に前倒し計上したためであり、特別措置を除いた比較では26億円の増加となっている。大規模水害への対策に重点を置いているのが特徴であるが、多発する災害対策にはやむを得ない面もあるが、無駄な公共事業が潜り込んでいないのか精査が必要である。

11.地方財政の一般財源総額は、20年度当初を3000億円下回り、63兆1000億円となったものの、不交付団体を除いた自治体ベースの総額では、2000億円増の62兆円を確保した。地方税(地方譲与税含む)は、東京都など「不交付団体」の税収が大幅に減る見通しとなり、3兆6000億円減の39兆9000億円と、大幅減収となった。地方交付税は、自治体配分額ベースで3年連続増の17兆4000億円をなんとか確保した。しかし、本来、地方交付税法6条の3第2項に基づく交付税率の引き上げ等の措置が必要である。自治体の借金である赤字地方債(臨時財政対策債)を2兆3000億円増の5兆5000億円として国の責任をつけ回ししたことは問題である。地方財政の危機的状況は深まっている。

12.社民党は、消費税に依存する「不公平税制」からの抜本改革を求めるとともに、「軍事化する予算」を許さず、新型コロナ対策に万全を期し、正社員と非正規社員の格差、大企業と中小企業の格差、都市と地方の格差拡大などを食い止める、「社会を底上げする予算」への転換を求めていく。

以上