声明・談話

2019年12月27日

自衛隊の中東派遣の閣議決定に強く抗議する(談話)

社会民主党幹事長
吉川はじめ

1.本日、安倍政権は、中東地域における日本関係船舶の安全確保等を理由に、自衛隊を中東に派遣する方針を閣議決定した。明確な必要性も緊急性もなく、法的根拠にも問題の残るまま、なし崩し的に海上自衛隊を海外派遣することは、武力行使の範囲をひろげ、自衛隊員を危険にさらすことにもなりかねない。日本は仲介役として、対話による平和解決に全力をあげるべきである。社民党は、今回の閣議決定に強く抗議する。閣議決定を撤回するとともに、河野太郎防衛相による派遣準備命令を許さず、中東への自衛隊派遣を断念するよう強く求める。

2.派遣する根拠は、防衛省設置法の「所掌事務の遂行に必要な調査および研究を行う」との規定に基づくされるが、何を調査し研究しようというのか。調査・研究を部隊運用にあたる海外派遣にまで適用するのは、法の拡大解釈そのものである。国民を代表する国権の最高機関たる国会の意思によって自衛隊を運用するのが文民統制であり、自衛隊の海外派遣には本来、国会の承認が求められる。閣議決定および活動が終了した時は結果を国会に報告するとはしてはいるものの、閉会中の「追認」では、歯止め効果もない。参議院の「自衛隊の海外出動を為さざることに関する決議」違反である。文民統制がなし崩しにされ、自衛隊の海外派遣が拡大しないか懸念される。

3.派遣目的について、日本関係船舶の航行の安全を確保することをあげるが、その場しのぎの場当たり的派遣といわざるをえない。6月のホルムズ海峡での事件以降、日本関係の船舶が狙われたケースはなく、派遣を決めなければならない緊急性もない。また、日本が輸入する原油のおおむね8割が通過し、エネルギー供給の生命線とも言えるホルムズ海峡を活動地域としていない。しかも調査・研究による派遣では、民間船舶の防護はできない。不測の事態には海上警備行動に切り替えるとするが、海上警備行動発令に伴う武器使用で保護できるのは日本籍船に限られる。日本の海運会社が関わる船舶の大半の外国籍船は対象外であり、「看板に偽りあり」である。

4.自衛隊の活動中に不測の事態が生じた際の部隊行動基準を策定するものの、公表しないことから、派遣や行動の妥当性も検証できない。事前に派遣の必要性の論議に加え、緊急時の武器使用の判断基準など計画の詳細を示さなければならない。

5.自衛隊が展開する海域も対立の最前線となる可能性があり、一触即発の状況に直面することも想定される。重武装した「国または国に準ずる組織」との戦闘に自衛隊が巻き込まれれば、憲法が禁止する海外における武力行使に発展するおそれも否定できない。

6.今回は、アメリカ主導の「有志連合」には加わらないとはいえ、日本が収集した情報をアメリカや「有志連合」に提供する形で「貢献」することになれば、イランを刺激することになる。アメリカとイランの軍事的対立に巻き込まれる事態も考えられ、将来的な「有志連合」への参加や集団的自衛権行使につながる地ならしとなる危険性もある。

7.中東での緊張を招いたのは、2018年5月にイラン核合意から離脱を一方的に表明し、イラン制裁を始めた米トランプ政権である。平和憲法を有する日本は、中東諸国との関係を大事にし、独自外交で各国との友好関係を維持してきた。イランと首脳会談や外相会談を重ねてきた日本が仲介役となり、外交による緊張緩和に力を尽くすのが平和国家としての道である。米国とイランの対立解消を促すよう、トランプ大統領に姿勢の転換を迫るべきである。このことが日本船舶の航行の安全にも資する。

以上