声明・談話

2019年11月19日

日米貿易協定及びデジタル貿易協定の承認案の衆議院採決に抗議する(談話)

社会民主党幹事長
吉川はじめ

1.安倍政権は本日、日米貿易協定及びデジタル貿易協定の承認案の採決を衆院本会議で強行した。衆院外務委員会の審議時間は、わずか11時間余りにすぎない。審議に必須の資料提出に応じない政府・与党を批判して野党が退席後も時計を進めた「空回し」を除けば、10時間にも満たない。TPPの70時間以上、米国を除くTPP11の20時間以上に比べても圧倒的に不足している。議論は全く深まっていない上、交渉経過が一切情報公開されていないことも大問題である。こうした状況での本会議採決など論外であり、社民党は満身の憤りをもって反対した。

2.わずかな衆院審議では、多くの疑念が積み残されたままである。農産物に限っても、牛肉のセーフガード(SG=緊急輸入制限)の発動数量が発効済みのTPPと合わせて米国分が二重計上となっている問題で、TPP参加国に求めるという修正実現の保証があるのか、ひとたび牛肉SGが発動されれば発動水準引き上げ協議が規定されているのは事実上のSG無効化ではないか、安倍政権は「コメは関税削減枠から完全に除外された」と強調するが、協定の付属文書には「米国は将来の交渉で農産品に関する特恵的な待遇を追求する」と明記され今後の再協議の可能性は全く消えていないのではないか、政府の農業影響試算で「国内の生産量も農家所得も影響はゼロ」とする根拠は何かなど、数々の疑問について、安倍政権は何ら明確な説明をしておらず、国会軽視と説明責任放棄は甚だしい。

3.先送りとなった日本車と部品の関税撤廃・削減分に関しても、協定文に「さらなる交渉による関税撤廃」の文言があるとの安倍政権の説明は虚偽ではないか、自動車削減分も含めて「米国側の関税撤廃率は92%」との見解は偽りで実際はWTO違反ではないか、首脳会談で追加関税の回避を口頭で確認したのであればなぜ議事録を出さないのかなど、説明のつかない問題ばかりで到底容認できない。

4.昨年12月に公表された米国通商代表部(USTR)の「日米貿易協定交渉の目的の要約」では、今回合意した物品貿易やデジタル貿易に加え、サービス貿易(通信・金融を含む)や投資、国有企業、競争政策、政府調達、中小企業、紛争解決、為替など、計22項目の要求が盛り込まれている。今回の日米共同声明でも、「関税や他の貿易上の制約、サービス貿易や投資に係る障壁、その他の課題についての交渉を開始する意図である」と宣言され、文字通り日米FTA(自由貿易協定)につながるものである。新NAFTA(米国・メキシコ・カナダ協定:USMCA)や韓米FTA再交渉のように、米国が日米協議において、TPPには存在しなかった条項やTPP水準以上の内容を獲得しようとしていることは間違いない。しかしこれらに関する議論も深まっていない。

5.今回のデジタル貿易協定案は、22項目の要求の先取りであることに加え、TPPにもなく、EUが反対しているものの、USMCAに盛り込まれた「コンピューターを利用した双方向サービス」条項が盛り込まれるなど、個人情報の保護や日本企業の利益よりアメリカのIT関連企業を守るものとなっていることから認めることはできない。

6.日米貿易協定案及びデジタル貿易協定案をこのまま承認すれば、将来に必ず大きな禍根を残す。社民党は、両協定案に懸念を持つ国会内外の個人・団体と一層連携を強め、承認阻止へ最後まで闘い抜く決意である。

以上