声明・談話

2019年11月1日

大学共通テストへの英語民間試験導入の延期について(談話)

社会民主党幹事長 吉川はじめ

1.本日、萩生田光一文科相は、2020年度からの大学入学共通テストで英語民間試験の成績を利用する制度の導入を延期することを発表した。民間試験の受験料が新たな負担となり、試験の公平性に疑問が残るほか、所得格差や地方格差を広げるなど、様々な問題が指摘されていた。高校生や保護者、教員からも不安や懸念が出され、全国高等学校長協会も9月、文科省に対して導入延期を申し入れる事態となっていた。社民党は、制度自体の導入を中止すべきであり、最低限、混乱を避けるべく延期することを求めてきた。延期の理由について、「文科相として自信を持って受験生におすすめできるシステムになっていない」と文科相は説明したが、そういうものを無理矢理強行しようとしていたのか。本日から受験に必要な共通IDの申し込み受付が始まる予定となっており、多くの不安や懸念の声に耳を傾け、もっと早く決断すべきだった。

2.現在の高校2年生は、来年4月の進級直後の4月から、英検などの民間試験を受けなければ、大学の受験資格すら得られないというものだった。しかし、試験開始の半年前に当たる現段階でも、試験会場の詳細は不明で、実施時期が決まっていない試験すら存在していたなど、準備状況がきわめて杜撰なものであった。大学側の英語民間試験利用予定の全体像もようやく文科省から公表されたのは10月初めであり、文科省自らが定めた、入試方法が大きく変わる際には2年程度前に予告・公表すべきという「大学入学者選抜実施要領」にさえ反している状況にあった。

3.加えて、家計や学校現場への負担についても、ほぼ考慮されていないものであった。離島やへき地などに住む受験生は、試験会場への交通費などが大きな負担になり、都市部と地方との格差が生じる。受験料負担に加え、何回も受験する、塾に通う、問題集・教材をそろえることができるなど、親の経済力で受験の機会に不公平が生じ、所得の格差がこれまで以上に合否に影響を与えかねない。教員には3年生の進路指導とあわせて、受験の前倒しによって2年生の英語民間試験の対応・対策が迫られるなど負荷がかかるのに、対策が打たれていなかった。

4.社民党はじめ立憲民主、国民民主、共産の4党は24日、「英語民間試験導入延期法案」を衆議院に提出した。今回の延期は、共同会派として初めての議員立法となった野党案の内容が受け入れられたものである。受験生や高校生、保護者、教職員をはじめとする多くの皆さんの声が野党と協力して政治を動かしたことは、大きな成果であり、意義がある。今後の制度の再検討に当たっては、皆さんの不安や懸念に答えられるものになるよう、社民党としても注視し働きかけていく。

5.大学入学共通テストについては、国語記述式問題をめぐる不安も解消されていない。記述式問題は採点基準に幅ができやすい上に、学生アルバイトが採点するという。また、50万人を超える答案を短期間でどうやって採点するのか。自己採点にも課題が残り、合否判定への使用の仕方にも幅がある。「受験生ファースト」で、大学入試共通テストのあり方を見直していく必要がある。

6.「私たちを実験台にしないでください」と、10月1日に国会内で開かれた「第2回英語民間試験導入問題・野党合同ヒアリング」で高校2年の女子生徒が文科省に強く訴えたことが耳に残っている。にもかかわらず、萩生田文科相は、来年の英語民間試験は「精度向上期間」にあると述べ、受験生の人生を実験台にするような入試制度であることを自己暴露し、教育の機会均等に努力する責務を放棄し、「自分の身の丈に合わせて頑張ってもらえれば」と突き放した。こうした萩生田氏の姿勢は断じて許されず、今後も徹底的に追及していく。

以上