声明・談話

2019年9月26日

日米貿易交渉の首脳署名に抗議する(談話)

社会民主党幹事長

吉川はじめ

1.安倍首相とトランプ米大統領は日本時間の26日未明、日米貿易交渉の最終合意に達したことを確認し、共同声明に署名した。日本は、農産物の関税撤廃・削減を「TPP水準」に引き下げる反面、TPPで合意していた日本車や自動車部品の関税撤廃は軒並み先送りされた。米国が望んでいた農業の先行決着にほかならず、来年の大統領選に向け成果を急ぐトランプ氏に押し切られたも同然である。事前に一切の情報公開もなく、正式な条文すら整わないまま署名するのは、最初から合意ありきの「出来レース」と言うほかない。社民党は、厳しく抗議するとともに、「合意」を直ちに破棄し、交渉を打ち切るよう安倍政権に強く要求する。

2.合意内容は、明らかに農業を犠牲にした日本側の一方的な譲歩である。特にトランプ政権が最重要品目にあげる牛肉は、低関税輸入枠を設定し、最終的に関税を9%まで引き下げる。しかもTPPでは段階的に実施した関税削減を米国に対しては一挙に行い、かりに日米協定が年内に発効した場合、米国産牛肉の関税は先行するTPPの2年目水準にいきなり追いつき、現在、日本が米国から輸入する牛肉の9割超が初年度から低関税扱いになる。また現行のTPPの低関税枠には離脱前の米国分が含まれており、このまま新たな日米貿易協定が発効すれば、米国分が二重に計上される恐れがある。日本はTPP参加国に修正協議を求める方針とされるが、受け入れられなければTPPでの想定を大幅に上回る低関税牛肉が流入する。同様に関税が大幅削減・撤廃される豚肉も、豚コレラが猛威を振るう中で、これ以上の市場開放に踏み切れば国内の養豚農家に与える打撃ははかりしれない。

3.安倍政権は日米貿易交渉とは「別問題」と言い張るが、8月25日の日米首脳会談では、米国産の飼料用トウモロコシについて、275万トンを上限に購入することも受け入れている。TPPには一切含まれておらず、明らかに「TPP超え」である。日本の年間輸入量の3か月分に相当する異常な量で、安倍政権が掲げる国内の飼料用米の生産倍増目標とも全く相容れない。安倍政権は国内の害虫被害を持ち出したが、大きな被害は報告されていないうえ、275万トンの量的根拠もはっきりせず、米国産穀物の中国への輸出が滞っていることの尻ぬぐいにほかならない。今後も米中協議や大統領選の展開次第で、様々な農産物について際限のない要求を突きつけてくる恐れが拭えない。

4.TPPで米国は普通自動車関税を25年後、大型車は30年後に撤廃し、自動車部品は8割以上の品目で関税の即時撤廃で合意していたが、今回すべて先送りされた。いずれも米国が一方的に有利になるという意味ではこれも「TPP超え」にほかならず、屈辱的な隷従外交である。農産物の大幅市場開放に比べ、この全く釣り合わない結果を受け入れた安倍政権の交渉戦略の責任は極めて重大である。日本車への追加関税や日本車の輸出数量規制について発動されないことを確認したとしているが、トランプ氏は「私がもしやりたいと思えば後になってやるかもしれない」と発言したこともあり、懸念は残る。

5.今後、貿易促進に向けた関税や他の貿易上の制約、サービス貿易、投資への障壁などについての交渉を開始することが盛り込まれた。事実上の日米FTAであり、物品貿易に限定され、投資・サービスのルールを含むFTAとは異なる「TAG交渉」との強弁がフェイクだったことが明らかになった。情報公開も影響試算も対策も何も国民に知らせないまま、批准を押し切ることは許されない。社民党は、日米貿易協定・日米FTA反対の取り組みを一層強化し、協定案が国会に提出されれば承認阻止へ全力をあげてたたかい抜く。

以上