声明・談話

2019年7月12日

ハンセン病家族国家賠償請求訴訟に関する内閣総理大臣談話と政府声明について(コメント)

社会民主党幹事長 吉川はじめ

 先月28日のハンセン病家族国家賠償請求訴訟の熊本地裁の判決を受け入れ、控訴を断念するとしていた政府は、本日、内閣総理大臣談話と政府声明を発表しました。また、ハンセン病家族訴訟の原告・弁護団も、控訴せず訴訟を終結させる方針を明らかにし、熊本地裁判決が確定することになります。

政府が控訴を断念し、首相談話で、国の隔離政策によって「患者、元患者のみならず、家族に対しても、社会において極めて厳しい偏見、差別が存在した」とした上で「深く反省し、心からおわび申し上げる」としたことや、確定判決に基づく賠償を速やかに履行すること、訴訟への参加・不参加を問わず、家族を対象とした新たな補償の措置を講ずるとしたこと、元患者や家族が置かれていた境遇を踏まえた人権啓発活動の強化をはかることなどは、評価することができます。家族の思いをくみ取り、速やかかつ誠実に約束したことを実行するよう強く求めます。

一方、家族の筆舌に耐えがたい苦しみを思えば、控訴断念は当然のことであり、もっと早く救済に向けて対応できたはずであり、遅すぎたともいえます。首相談話の「極めて異例」の判断であるとか、「敢えて」控訴を行わないという部分は、首相のリーダーシップを演出するかのようであり、もったいをつけている感じがします。また、関係閣僚や国会議員の責任、消滅時効について、国家賠償法、民法の解釈の根幹にかかわる法律上の問題点を指摘している政府声明も、いいわけがましい気がします。あえて同時に出す必要があったのかどうかも疑問です。

今回の熊本地裁判決確定は、ハンセン病患者・回復者の家族にとって、全員救済に向けたスタートラインにすぎません。「訴訟への参加・不参加を問わず」とはいっても、新たな補償の枠組み作りには、裁判に参加しなかった人、請求が棄却された人、減額された沖縄の人も含めたさまざまなケースがあり、種々の課題を解決していかなければなりません。社民党は、ハンセン病患者・回復者の家族の一日も早い救済の実現と尊厳の回復に向け、首相談話の内容が実現されるよう、原告・弁護団と政府の協議を見守るとともに、必要な働きかけや協力を行っていくなど、あらゆる努力を傾注していきます。

以上