声明・談話

2019年5月31日

地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案(第9次地方分権一括法案)の成立について(談話)

社会民主党幹事長 吉川はじめ

1.本日の参議院本会議で、地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案(第9次地方分権一括法案)が与党などの賛成多数で可決・成立した。社民党は、安倍政権による「分権改革」が住民のためというよりも、自治体に対し「稼ぐ力」を期待し、地域の公共サービスを資本の儲け先として開放するべく企業のための規制緩和を進める側面が強くなっていることや、住民や現場からの積み上げ型というよりも首長主導の提案が色濃くなっていることから、慎重に審議に臨んだ。今回の法案は、①子どもの安全や学童保育の質の確保のため、放課後児童クラブ(学童保育)の基準緩和は認められないこと、②首長部局への移管によって社会教育機関の自立性や政治的中立性を損なうとの懸念が払拭できないことから、反対した。

2.学童保育に従事する者及びその員数の基準について、現在、「1か所(約40人)につき(指導員)2人以上」の配置基準が定められ、うち1人の指導員は保育士などの資格者などで、かつ都道府県の研修を受けた「放課後児童支援員」であることが義務化されている。今回、条例で基準を定めるに当たり「従うべき基準」から、地域の実情に応じ市町村が条例を定めることが可能な「参酌すべき基準」に緩和される。子どもの発達に重要な役割を果たす学童保育の質を担保するために設けられた基準を安易に緩和することは、子どもの健全な成長・発達や安全を犠牲にしかねない。土曜日や夜間を職員1人体制にしてもよくなり、保護者らの間で「子どもの安全が守られない」との不安が広がっている。社民党を肇とする野党は、子どものいのちと安全、保護者の安心の担保の観点から、現行の全国最低基準の資格や員数を堅持すべきであるとして、昨年12月、共同で基準緩和の中止の申し入れを行うとともに、厚生労働省令で定める基準について、「従うべき基準」から「参酌するもの」と変更する規定を削除するなどの修正案を提出したが、受け入れられなかった。学童保育の質の低下につながらないよう、現場でしっかりチェックしていくとともに、学童保育指導員の待遇改善を求めていく。

3.社会教育施設を観光やまちづくりとして活用することや施設の戦略的整備を可能とするため、首長の提案に基づき、公民館、図書館、博物館等の社会教育施設を首長部局に移管できるようになる。これらは教育委員会でも十分対処できる事柄であり、これまでも関係行政機関と連携した運営が行われてきた。社会教育施設の首長部局への移管は、戦前のような教育の統制を排除するために政治的な首長のもとから離し合議制の行政委員会である教育委員会制度を設けたことの意義を没却させ、社会教育機関の自立性、中立性を損ないかねない。占領下の日本で、地域で住民が学んだり、活動したりできる場として公民館が生まれ、憲法の精神と民主化の普及に重要な役割を果たしてきた。また、公立図書館が住民の基本的人権としての知る自由を保障するには、資料収集の自由、資料提供の自由を確保することが重要であるし、「図書館の自由に関する宣言」を実践するためにも、「政治的中立性確保」が不可欠である。今でも、憲法9条について詠んだ俳句の公民館だよりへの掲載拒否や、憲法に関する集会の利用拒否、護憲の団体の登録排除などの事例も生じている。図書館の所蔵資料の排除要求や受け入れの強要、閲覧制限など資料提供を規制する動きも少なくない。社会教育施設の首長部局へ移管が可能になれば、首長や議員による政治的な干渉に拍車をかけるのではないか。

4.社民党は、地域の自主性や独自性の反映、市民の意見の反映等の住民自治の視点、事務事業に携わる職員による現場の視点、各省庁の縦割りではない総合性の視点を活かし、真の分権・自治の推進に全力をあげる。

以上