IWC(国際捕鯨委員会)からの脱退表明について(談話)

声明・談話

2018年12月26日

IWC(国際捕鯨委員会)からの脱退表明について(談話)

社会民主党幹事長
吉川はじめ

1.本日、政府は、IWC(国際捕鯨委員会)からの脱退を正式に表明した。今なぜIWCという国際組織から脱退しなければならないのか、十分な説明もないし、国内議論も不十分である。今後の確たる展望のないままの脱退は、大きな禍根を残す。政府は短慮を戒め、IWCの残留に努めるべきであり、強く再考を求める。衆参の農林水産委員会及び外務委員会での閉会中審査を行うべきである。

2.戦前の反省から、憲法は前文で、「いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであつて、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従ふことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立たうとする各国の責務であると信ずる」として、日本は国際協調主義を基本的方針とした。自分の意見が通らないなら国際的な枠組みから抜けるというのは、アメリカのトランプ政権の手法と変わらず、「一国主義」との批判を招くことになる。1933年の国際連盟からの脱退が、結局は国際社会からの孤立化を深め、悲惨な戦争への道に至るきっかけとなったことを想起すべきである。

3.IWC協定加入時の国会では、従来の日本は、航海自由を理由として、無統制に漁場を荒しまわろうとする機会を失いたくないという自国専念の利己心があったが、漁業に関する国際条約を忠実に守るということをはっきり示すことによって、日本に対する諸外国の信用も高まる、といった議論が展開されていた。IWCからの脱退は、日本の対外的な信用を大きく損なうのではないか。

4.IWC脱退後の展望もはっきりとはしない。IWCを脱退すれば、日本は南極海や北西太平洋でこれまで行ってきた調査捕鯨はできなくなるし、IWCに残るノルウェーやアイスランドからの輸入もできなくなる。また政府は、来年7月から日本近海や排他的経済水域(EEZ)内での商業捕鯨を再開する方針だが、国連海洋法条約は捕鯨について「保存、管理および研究のために適当な国際機関を通じて活動する」ことを規定しており、同条約違反などで国際司法裁判所(ICJ)に訴えられる可能性もある。独自の国際機関の設立や、北大西洋海産哺乳動物委員会(NAMMCO)などへ加盟も取りざたされているが、可能性と現実性には疑問が残る。

5.地域に根付くクジラ類の伝統と食文化を残すことは、きわめて重要である。IWCの中で、日本の主張をしっかりと粘り強く訴え続けるべきである。急がば回れであり、十分な議論のないままの短慮は、日本にとって大きな損失と後悔をもたらすことを懸念する。

以上