2018年度2次補正予算案及び2019年度予算案の決定について(談話)

声明・談話

2018年12月21日

2018年度2次補正予算案及び2019年度予算案の決定について(談話)

社会民主党幹事長 吉川はじめ

1.政府は本日の閣議で、2018年度第2次補正予算案ならびに2019年度予算案を決定した。補正予算案と次年度当初予算案をあわせて編成する、事実上7年連続の「15か月予算」となった。安倍政権下における「15か月予算」は、「防衛費は青天井、社会保障は削減ありき」という姿勢が露骨である。防衛費は、18年度2次補正予算案では0.4兆円、19年度当初予算案では過去最大の5.3兆円を計上しているが、「聖域」化され膨張に歯止めがかからない状況である。このままのペースで行けば18日に決定した中期防の今後5年間で27兆4700億円程度という限度を上回る勢いとなった。一方、高齢化に伴う社会保障の自然増は、1200億円も削減された。さらに、社会保障の充実のために消費税増税が必要だ等といいながら、いわゆる軽減税率による1.1兆円の減収分を補うため、なんと低所得者の総合合算制度の見送りなど、社会保障費を削減してまで財源を捻出した。まさに、消費税を増税しても社会保障は拡充されないことがものの見事に露呈した。

2.第二次補正予算は、本来、大阪北部地震や西日本豪雨、台風21号、北海道胆振東部地震等の累次の災害からの復旧・復興に対応するはずのものである。しかし、安倍政権の「15か月予算」では、補正予算が「第2の財布」と化し、次年度予算の事業を「前倒し計上」するなど粉飾的手法が常態化している。今回も、米国の「有償軍事販売」というべきFMSに基づき安倍政権が「リボ払い」で購入してきた高額兵器の返済分のうち、来年度の当初予算の枠内に収まりきらない分を「前倒し計上」した。補正予算は財政法29条で、突発的な災害対応など、予算作成後に生じた特に緊要となった経費の支出のためと規定している。しかしながら、兵器ローンの返済分を、査定が甘い直近の補正予算に「飛ばす」ことは、粉飾的な手法といわざるをえない。

3.2019年度当初予算案の一般会計の総額は、101兆4564億円と、7年連続で過去最大を更新し、初めて100兆円の大台を超えた。消費税増税に伴う経済対策の費用を除いても、一般会計総額は99.4兆円前後と18年度当初より約1.7兆円増となる。消費税増税対策の「臨時・特別の措置」として、ポイント還元やプレミアム付き商品券、マイナンバー制度を活用したプレミアムポイント、住宅購入者へのすまい給付金や次世代住宅ポイント制度、「防災・減災、国土強靱化対策」など約2兆円を計上したが、消費税増税に便乗した「選挙対策のバラマキ」に他ならない。カードを持てる層やたくさん購入する層、高額な消費をする富裕層ほど恩恵が大きくなる公平性の問題は手つかずのままであり、逆進性対策にはならない。大きな混乱も予想される。「平準化」対策は、需要を先食いするだけで対策が切れた後の落ち込みをどうするのか。

4.税収は62.5兆円で29年ぶりの過去最大を見込んでいるというが、その内実は、消費税増税による増収分が大半である。消費税増税分を除けば、所得税・法人税の増収分はリーマンショックから回復している程度にすぎない。消費増税自体を取りやめ、不公平税制の是正こそ行うべきであり、消費税に依存する「不公平税制」からの抜本改革を強く求めていく。

5.年金や医療などの社会保障費は、34兆587億円と最大を更新した。しかし、高齢化に伴う自然増は約1200億円圧縮し4768億円とし、その分は、総報酬割制度の導入による介護保険料の段階的引き上げや実勢価格の動向を反映した薬価の引き下げなどにより抑制した。第2次安倍政権以降一貫して、社会保障費の自然増圧縮を続け、今回が7回目の予算案となる。高齢者の暮らしを無視したやり方は言語道断である。

6.幼児教育・保育の無償化を2019年10月から実施するとして3882億円が盛り込まれた。すべての3~5歳児と住民税非課税世帯の0~2歳児を対象に無償化するとしているが、無償化が進むほど、待機児童が増加するのは容易に想定される。重要なのは待機児童解消と保育の質の確保であり、保育士や幼稚園教諭などの待遇改善や配置基準の拡充、施設整備などが緊急の課題である。

7.防衛関係費は、前年比663億円増の5兆2574億円で過去最高を更新し、第2次安倍政権で7年連続の増額となった。18年第2次補正予算案では、兵器ローン返済である後年度負担などとして3998億円を計上しており、1次補正を加えると18年度予算は5兆6000億円を超える規模となる。防衛大綱に基づき、宇宙領域やサイバー領域、電磁波領域における能力の獲得・強化が進められる。さらに、戦闘機「F-35A」や早期警戒機「E-2D」、対空型無人機の取得、「いずも」の攻撃型空母への改修に向けた調査研究、無人水中航走体の研究、スタンドオフミサイルの取得、島嶼防衛用高速滑空弾の研究、陸上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」の整備、弾道ミサイル防衛用誘導弾の取得など、何の議論もないまま、米国製の高額兵器を増大させることや、「専守防衛」の枠を越えた敵基地攻撃能力の整備に踏み出すことは、到底許されない。

8.辺野古新基地建設などに使われる米軍再編等関連経費は、1935億円が計上されている。辺野古の新基地建設の総事業費は少なくとも3500億円と防衛省は説明しているが、沖縄県は軟弱地盤の改良工事で最大2兆5500億円かかると試算している。県民の反対の民意を無視し問答無用に工事を進める意思を示すものであり、厳しく非難する。一方、沖縄振興予算は3010億円と前年度と同額となったものの、概算要求より80億円の減額となり、仲井眞知事時代の14年度予算から、5年連続で下回る水準となった。安倍政権の露骨な基地と予算のリンク論は、沖縄振興制度を否定するものであり到底認められない。

9.農林水産関連予算は2兆4315億円で3年ぶりの増額となった。しかし12月30日に発効する「TPP11」に続き、来年2月には日欧EPAも発効するなど、前例のない規模の農産物市場開放が目前に迫る中、日本の第1次産業を守る決意も、安倍政権が掲げる「食料自給率45%」目標達成への道筋も見えない予算案となった。2019年度はコメの生産調整見直しから2年目で需給安定へ十分な財源措置が必須だが、飼料用米などへの転作を促す水田活用の直接支払い交付金は3215億円となり、18年度の執行見込額は上回るものの前年比89億円減で、廃止された「コメの直接支払い交付金」に代わって導入された収入保険制度が206億円と前年から50億円以上減額されたことと合わせ、米価安定への不安を解消する予算とはなっていない。

10.国連では2019年から10年間を「家族農業の10年」と位置付け、12月18日には国連総会で「小農の権利宣言」が採択(日本は棄権)されるなど、家族農業の価値と権利を見直す動きが世界的に広がる中で、「強い農業」「グローバル産地」などの言葉が躍る来年度予算案はそうした潮流に逆行し相変わらず新自由主義的な「競争力強化」と大規模農家支援に偏重したままである。農地集積を農地中間管理機構(農地バンク)に一元化する方針で248億円、農地の大区画化推進に18年度2次補正と合わせて1600億円超を盛り込んだが、中山間地域など条件不利地が置き去りにされ8割の集約目標が約55%(17年度)に低迷している原因を直視していない。

11.安倍首相が「70年ぶりの抜本改革」を掲げ先の臨時国会で漁業法が改悪されたことを受け水産関連予算は大幅増。しかし今回の改悪は地元の漁協や漁業者に与えてきた沿岸水域の漁業権の優先割り当てを廃止し企業参入に道を開くもので、急増した予算額が地域の漁業者の共同によって長年営まれてきた沿岸漁業を荒廃させることにつながりかねないと強く危ぐする。

12.復興庁所管の19年度予算案は1兆4781億円で過去最少を更新した。初めて2兆円を割り込んだ17年度、それより1800億円も減額された18年度に続く右肩下がりで「復興創生期間」とは名ばかりの安倍政権の被災地軽視は、もはや隠しようもない。被災地では災害公営住宅の家賃減免のための国の補助が段階的に縮小され、仮設商店街の撤去や移設のための助成も18年度末で打ち切られるなど公的支援縮小の動きが相次いでおり、さらなる予算減額は被災者の復興への意欲を阻害しかねず看過できない。社民党は柔軟かつ的確で息の長い国の支援継続・拡充を強く求めるとともに、復興庁の後継組織の在り方も早急に決定し切れ目のない復興政策を着実に進めるよう安倍政権に訴えていく。

13.福島第1原発事故による帰還困難区域のうち6町村で始まった「特定復興再生拠点整備事業」に869億円、「福島再生加速化交付金」に890億円を計上した。帰還困難区域を含む被災地の一刻も早い復興の重要性は言うまでも無いが、原発事故収束が未だ見通せない中で帰還の強制につながってはならない。避難を継続するか帰還するかは原発事故被害者の意思が最大限尊重されるべきで、居住・避難・帰還のいずれの選択においても国の十分な支援を定めた「子ども・被災者支援法」の理念を踏まえた対応を安倍政権に重ねて強く求める。

14.先の臨時国会で入管難民法が改悪され19年4月から新在留資格がスタートする事態を受け、全国約100か所への「多文化共生総合相談ワンストップセンター」設置など外国人との「共生社会」実現の環境整備として2次補正予算案と合わせて224億円を盛り込んだが、5年間で34万人余の受け入れを想定し、様々な言語に対応して実効性のある支援策を行おうとすれば窓口となる自治体や医療機関など現場の負担が過重になる恐れが強く、実現への具体的な道筋も満足に示さないまま4月スタートありきの予算措置は無責任である。

15.概算要求では、「地方の一般財源総額は、新経済・財政再生計画等を踏まえ、2018年度地方財政計画の水準を下回らないよう実質的に同水準を確保する」とされていた地方財政は、0.9兆円増となる地方税収の伸びに支えられ、自治体が自由に使える一般財源総額について前年度を0.6兆円上回る62.7兆円を確保し過去最高となった。また、8月の概算要求段階で約0.1兆円の減少を見込んでいた地方交付税総額は、7年ぶりに増額となり、0.2兆円増の16.2兆円となった。地方財源不足も6.2兆円から4.2兆円に大幅に縮小するとともに、折半対象財源不足が解消し、臨時財政対策債も0.7兆円抑制され3.3兆円となった。地方財政の健全化が進んでいるようだが、臨時財政対策債は30年度に残高が54兆円に達し、元利返済金の償還も交付税で手当てするところ、臨時財政対策債に依存するという事態になっており、臨時財政対策債に頼らず、安定的に交付税総額の確保を図るべきである。臨時財政対策債を廃止するとともに、交付税法の趣旨に基づき、交付税率の引き上げなど抜本的な改革が求められる。また、幼児教育無償化に係る初年度の経費全額を国が負担するというが、安倍政権の都合で十分な調整もないまま打ち上げた施策であり、今後とも国の責任において地方負担分も含めて所要の財源をしっかり確保すべきである。また、地方分権の趣旨に基づき、制度の詳細を検討するに当たっては、十分に地方の意見を尊重し、合意形成のうえで施策を遂行するよう求める。

16.公共事業関係費は、18年度当初から807億円増の6兆596億円(臨時・特別の措置を含むと6兆9099億円)となり、第2次安倍政権発足後の13年度から7年連続の増加となった。防災・減災対策や老朽社会資本対策は進めていかなければならないが、バラマキや選挙対策になっていないか、精査が必要である。政府が掲げる「生産性革命」を後押しする名目で、三大都市圏の環状道路等と一体となって、空港・港湾等の物流拠点へのアクセスを強化するとして生産性の向上に資する道路ネットワークの整備が強化されている。また、財政投融資1兆1500億円を活用し、関西国際空港の防災対策や高速道路の暫定2車線区間の4車線化、新名神高速道の6車線化整備を加速する。11月末になって巨額の要求を追加したものであり、かつて無駄な道路整備を生んだと批判された財投を「打ち出の小づち」と化する手法は疑問が残る。国及び地方の債務とみなされない財投債の活用は、財政再建に取り組んでいる姿勢を演出するための帳尻合わせとも言われかねない。自治体への交付金による支援から個別補助による支援への切り替えが行われるが、地域の自主性や分権の趣旨に反しないようにすべきである。

17.整備新幹線の建設費は、JR各社と国、沿線自治体が出し合い、国は例年755億円となっているが、2022年度末の開業を目指す北陸新幹線金沢~敦賀間、2022年度中の開業を目指す九州新幹線西九州ルート武雄温泉~長崎間において建設費が高騰しているための追加事業費が焦点となっていた。JR各社に追加負担を求めることを見送ったため、国の予算は4年ぶりの増額で37億円増の792億円となった。しかし、2019~22年度に必要な追加事業費約3451億円のうち、残る688億円の財源のめどは立っていない。くらしに身近な生活交通への支援をもっと充実すべきである。

18.厳しい財政事情を口実に、社会保障費のカットばかりを強調する一方で、防衛費を「聖域扱い」し、「軍事化する予算」は許されない。社民党は、国民生活最優先の視点で、2018年度第2次補正予算案ならびに2019年度予算案の問題点を徹底追及し、アベノミクスの生み出す正社員と非正規社員の格差、大企業と中小企業の格差、都市と地方の格差拡大などを食い止める「ボトムアップの予算」を目指し、次期通常国会での論戦に挑んでいく。

以上