第197回臨時国会を終えて(談話)

声明・談話

2018年12月10日

第197回臨時国会を終えて(談話)

社会民主党幹事長 吉川はじめ

1.本日、第197回臨時国会が48日間の会期を終え閉会した。安倍首相が自民党総裁に三選され、第4次安倍改造内閣が発足して初の国会となったが、安倍政権の傲慢かつ強権的な姿勢が一層如実になった国会となった。これまでの国会のルールや与野党で積み上げてきた慣例を度外視した運営が随所で行われ、十分な答弁もできない「生煮え」の法案が、日程ありきで次々と強行された。入管法、漁業法、日欧EPAの最終局面では、参院法務委員長解任決議案、参院農水委員長解任決議案、山下法相問責決議案、安倍首相問責決議案を次々に提出するなど、社民党は、立憲野党の結束を大事に全力で抵抗した。国民生活に大きく関わる重要法案を数の力で強権的に押し通し、国会の最高機関である国会を「内閣の下請け機関」に貶める、政府・与党の民主主義破壊の暴挙を強く糾弾する。

2.入管法改悪案の審議では、失踪した技能実習生に関する法務省のずさんな調査の実態やデータの改ざんの疑いも発覚した。2015~17年に実習生69人が死亡していたことも明らかになった。そもそも法案自体、重要事項や具体的制度設計は全て先送りし、成立後に全体像を提示する前代未聞のスカスカの中身となっており、衆院法務委員会の平沢与党筆頭理事が「議論したらきりが無い。いくらでも問題点が出てくる」というほど、急ごしらえで審議に耐えられない、生煮えの法案である。わずか38時間余で議論が打ち切られたが、欠陥法案の粗さを隠すためではないか。数の力で議論を封じとにかく押し切ればいいというのは、それこそ国民のために熟議を尽くすべき国会としての「職場放棄」であり、立法府の自殺行為である。財務省の森友問題を巡る決裁文書改ざんや厚生労働省による裁量労働制に関する不適切データの提示などについて、今年7月、異例の所感で厳しく指摘した大島衆院議長が、入管法についても「政省令事項が多岐にわたると指摘されている」などとして、再質疑を求める異例の裁定を行った。政府が政省令で勝手に決めればいいと考えているのなら、唯一の立法機関である国会を冒涜するものである。与党は大島議長の裁定を重く受け止め、真摯に国会運営を反省すべきである。社民党は、今後具体化する外国人労働者の制度設計を厳しく監視し、追及を継続するとともに、改悪法の廃止、全ての外国人労働者の権利保護と生活支援、差別禁止、劣悪な雇用環境の一掃に力を入れる。

3.第4次安倍改造内閣では、発足当初から新閣僚による「政治とカネ」の疑惑や問題が相次いで発覚した。片山地方創生相は、100万円国税庁口利き疑惑をはじめ、企業・団体献金の収支報告書未記載や事務所費の架空計上疑惑など、政治資金のずさんな管理が明らかになった。さらには、カレンダーの無償配布や顔写真入りの特大看板設置など、公選法違反の疑いも追及された。他にも、柴山文科相の後援会バスツアー収入未記載による利益供与疑惑、宮越沖縄北方担当相の後援会の約3300万円の使途不明金や談合で処分された企業からの献金疑惑、平井科学技術担当相や渡辺復興相、桜田五輪相らの企業献金をめぐる問題など、閣僚の政治とカネの疑惑が噴出し、資質が問われる事態となった。また、自民党役員人事でも、加計学園からの200万円闇献金疑惑の下村博文氏や100万円UR口利き疑惑の甘利明元氏を復権させるなど、安倍政権の「驕り」が如実に示された。引き続きこれらの疑惑や不祥事を徹底的に追及していく。

4.すべての人が生きていく上で欠かせない水道事業の運営を民間企業に売り渡す「コンセッション方式」を柱とする水道法改悪案、漁業者と漁村が守り通してきた里海の環境を悪化させ、国土保全の機能も損ないかねない漁業法改悪案、日本の農林水産業をさらに窮地に追い込み、地域に打撃を与える日欧EPA承認案などが、次々と強行された。法案を許したのは残念であるが、歯止めをしっかりかけていけるよう、引き続き監視・追及を強めていく。

5.与野党の真摯な協議に基づき、ユニバーサル社会の実現に向けた諸施策を総合的かつ一体的に推進するユニバーサル社会実現推進法案、母親の妊娠期から切れ目のない医療、福祉の提供を目指す成育医療等推進法案、チケットを高値で転売することを禁じるネット・ダフ屋規制法案、脳卒中、心臓病その他の循環器病に係る対策に関する基本法案、白血病等の治療である造血管細胞移植に用いる骨髄・末梢血幹細胞・臍帯血の提供を適切にする法案、トラック運転手の労働条件改善、貨物運送事業の健全化、担い手の確保に資する貨物自動車運送事業法一部改正案などの議員立法が成立した。貨物自動車運送事業法改正は、社民党が2000年4月の「物流政策」で提起した社会的な規制の確立・強化を求めてきたことの一環でもある。一方、社民党は、LGBT差別解消法案(性的指向又は性自認を理由とする差別の解消等の推進に関する法律案)を共同提出したが、継続審議となった。通常国会に共同提出した原発ゼロ法案などとあわせて、次期国会での成立に向けて努力する。

6.総裁三選後、「改憲シフト」人事を行い、憲法改正は「国会議員の責任」(所信表明演説)と言い放つなど、憲法99条の憲法尊重擁護義務をかなぐり捨てる姿勢をあらわにした安倍首相は、憲法審査会で自民党改憲案を提示し説明することを坦々と狙っていた。しかし、下村自民党憲法改正推進本部長の「高い歳費をもらっているのに議論しなかったら、国会議員として職場放棄だ」発言や、職権による一方的な憲法審査会の開会などの与党の対応によって、与野党合意の運営が踏みにじられ、「静かに論議する」という環境も壊され、結果として自民党案の説明を阻止することができた。とはいえ、安倍政権は、「常に民意の存するところを考察すべし」といいながら、改憲に消極的な世論に背を向け、政略的な憲法審査会の始動をあきらめてはいない。次期国会冒頭から緊迫する局面が想定される。自民党改憲案の説明を絶対に許さないよう、立憲野党の連携を強化して対応する。

7.民意を顧みず、踏みにじるアベ政治の暴走を止め、改憲発議を阻止し、民主主義・立憲主義を取り戻すためには、立憲野党の共闘を強化し、市民とともに、来る参議院議員選挙で与党とその補完勢力を3分の2割れに追い込むしかない。社民党は、「2019政治決戦」の準備を急ぐとともに、「野党共闘の要石」として、野党共闘の先頭に立つ決意である。

以上