水道法の一部を改正する法律案の成立に当たって(談話)

声明・談話

2018年12月6日

水道法の一部を改正する法律案の成立に当たって(談話)

社会民主党幹事長 吉川はじめ

1.本日の衆議院本会議で、すべての人が生きていく上で欠かせない水道事業の運営を民間企業に売り渡す「コンセッション方式」を柱とする水道法改悪案(水道法の一部を改正する法律案)が可決され、成立した。「コンセッション方式」の問題点について、国民の関心が高まっていたにもかかわらず、参議院本会議で可決するやいなや、衆議院厚生労働委員会で十分な審議もないまま採決を強行し、衆議院本会議に上程した政府・与党に対し、強く抗議する。

2.水道法改悪案は、法の目的を記す第1条を「事業基盤の強化」に改定するが、「コンセッション方式」の導入によって、逆に「事業基盤の強化」を損う危険がある。利潤を上げるために、料金の高騰や、現場の人件費カット、メンテナンス投資の抑制につながることが懸念され、水道料金から、株主への配当や役員報酬、法人税なども捻出しないといけなくなれば、水道事業への十分な投資が行われなくなる可能性もあり、水質の低下も危惧される。災害のリスクや撤退のリスク、倒産のリスクも払拭されない。企業が災害に備えた投資をする動機がなくなり、災害時の被害がより大きくなってしまう恐れもある。自治体の側の人材や技術力の維持・確保にも大きな不安が残る。

3.麻生副総理は2013年4月、米シンクタンクのCSIS(米戦略国際問題研究所)における講演で、「日本の水道はすべて民営化する」と発言し、同年の「日本再興戦略」で、「民間企業に大きな市場と国際競争力強化のチャンスをもたらす」として、上下水道や空港などへの「コンセッション方式」の導入推進が打ち出された。安倍政権は、「世界で一番企業が活躍しやすい国」を目指し、成長戦略の一つとして、現在ある多くの公の領域を市場に開放し、「公的サービスの産業化」を進めているが、生活に不可欠で生命にも関わる水道事業までも利益を追求する企業に委ね、金儲けの対象にしようとしている。しかも「水メジャー」始め、そうした政策で利益を得る側の企業や人間が入って政策を立案し推進している。「生命(いのち)の水」を利権のために売り渡すことは、断じて許されない。

4.水道が民営化されたフィリピン・マニラ市は水道料金が4~5倍に跳ね上がり、ボリビア・コチャバンバ市では雨水まで有料化され暴動が起きており、フランス・パリ市では料金高騰に加え不透明な赤字経営が問題となった。オランダの政策研究NGO「トランスナショナル研究所」によると、2000~16年で、少なくとも世界33か国の267都市で、再公営化されている。民営化で料金が高騰したり、水質が悪化したりしたという、「民営化の失敗」にこそ学ぶべきであり、日本の「コンセッション方式」導入は周回遅れである。

5.新潟県議会では、水道民営化を推し進める水道法改正案に反対する意見書が自民党も含んで可決している。民間参入による弊害から住民を守り、すべての人が安全、低廉で安定的に水を使用し、衛生的な生活を営めるようにすることは、党派を超えた責任である。浜松市が下水道事業で「コンセッション方式」を導入しているが、上水道での導入例はない。法案は成立したが、各地域で水道の事実上の民営化につながる「コンセッション方式」の導入を許さない取り組みを強め、すべての人の「生命(いのち)の水」の水」を守るため、全力を挙げる。

以上

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