水道法の一部を改正する法律案の参議院通過に当たって(談話)

声明・談話

2018年12月5日

水道法の一部を改正する法律案の参議院通過に当たって(談話)

社会民主党幹事長 吉川はじめ

1.本日の参議院本会議で、水道施設に関する公共施設等運営権(コンセッション方式)を民間事業者に設定できる仕組みを導入することを盛り込んだ「水道法の一部を改正する法律案(水道法改正案)」が可決され、衆議院へ回付された。社民党は、すべての人が生きていく上で欠かせない水の運営権を、外資を含む企業に売り渡す本案によって、水道法の目的である公共の福祉を脅かす事態となりかねないことから、反対した。国民生活に関わる重要法案を十分な審議もないまま、一瀉千里に押し通そうという政府・与党に強く抗議する。

2.コンセッション方式は、完全民営化ではないものの、経営方針や予算立案や執行、人事、メンテナンスの規模等運営に関わるすべての権限を民間事業者が持つことになる。民間企業の本質は利潤追求であり、料金の値上げや、現場の労働者の人件費カット、メンテナンス投資の抑制につながることが懸念される。株主への配当や役員報酬、法人税なども料金に含まれ、水道事業への十分な投資が行われない可能性もある。また、利潤が出なければ撤退をするリスクや、倒産のリスクもある。必要な情報が「企業秘密」として開示されなくなることも危惧される。事業運営をモニタリングする人材や技術力の確保も心配である。さらに、運営権は投資の対象となり、抵当権も設定することができるが、金融機関や投資ファンドが抵当権を行使した場合、混乱に陥ることも危惧される。

3.災害発生時などの応急体制や、他の自治体への応援態勢なども、民間事業者に可能かどうかも疑問がある。災害など不測のリスク発生時には、自治体が責任を負うから問題がないとするが、儲けられるだけ儲けておいて、災害時には責任を負わないようなビジネスモデルは、あまりにもご都合主義であり、メンテナンスも放置されかねない。

4.麻生副総理は2013年4月、米シンクタンクのCSIS(米戦略国際問題研究所)における講演で、「日本の水道はすべて民営化する」と発言し、水道事業のコンセッション方式導入の動きが加速した。民間企業でPFI事業の参入支援を行ってきた福田隆之氏が「PFI・PPPの推進役」として、内閣府大臣補佐官に起用されていた。また、水メジャー最大のフランス・ヴェオリア社の日本支社でPPPを担当していた社員が、現在、内閣府民間資金等活用事業推進室で職員として働いていることが福島副党首によって明らかになった。下水道のコンセッション契約を始めた浜松市の特別目的会社・浜松ウォーターシンフォニー株式会社には、未来投資会議の竹中平蔵氏が社外取締役を務めるオリックス株式会社も参画している。政策立案をする政府や行政の内部にその政策で利益を得る側の人間が入ることで、国民全体のためであるはずの公共政策が、一部の企業や人間の利益のために歪められていることは断じて許されない。

5.水道を管轄する厚生労働省も、PPPを進める内閣府もまともな調査をしていないことも明らかとなったが、水道が民営化されたフィリピン・マニラ市は水道料金が4~5倍に跳ね上がり、ボリビア・コチャバンバ市では雨水まで有料化され暴動が起きており、フランス・パリ市では料金高騰に加え不透明な赤字経営が問題となった。世界の多くの自治体で再公営化が相次いでおり、日本のコンセッション導入は周回遅れである。

6.生命の基本は水であり、国民の生命と生活に欠かせない水道事業は、企業ビジネスにはなじまない。大都市の水道は水メジャーや大企業に売り飛ばされ、過疎地は放置され切り捨てられるようなことがあってはならない。すべての人が安全、低廉で安定的に水を使用し、衛生的な生活を営めるよう、衆議院での回付案についてしっかり審議するとの野党国対の確認に基づき、最後まで法案成立阻止に全力を挙げる。

以上