「出入国管理法改正案」等の閣議決定について(談話)

声明・談話

2018年11月2日

「出入国管理法改正案」等の閣議決定について(談話)

社会民主党幹事長 吉川はじめ

1.安倍政権は本日、外国人に新たな在留資格を設けることが柱の「出入国管理法(出入国管理及び難民認定法)」と出入国在留管理庁を新設する「法務省設置法」の改正案を閣議決定した。外国人がいわゆる「単純労働」に就けるようにし長期就労にも道を開く今回の法案は、事実上の「移民」受け入れにつながる政策の大転換であり、在留資格の性格を根底から変えるものである。国として外国人の積極的受け入れに舵を切るのであれば、人権を十分に尊重し労働条件はもちろん生活支援や文化の共生まで、きめ細かい環境整備が不可欠である。しかし、自らのイデオロギーや政治的保身のために「移民政策は採らない」と詭弁を弄し続ける安倍政権には、その準備も決意も感じられない。

2.政府・与党は、安倍首相が審議に出席する「重要広範議案」にすることさえ後ろ向きだが、今後の外国人との共生のあり方という大きな論点を含む法案が「重要」でないというなら見識を疑う。法務・入管だけでなく、人権、社会保障、雇用・労働、地方自治、教育、経済産業、外交など様々な観点からの議論や、業種ごとの検討も必要である。あらゆる省庁・分野にまたがり、「広範」であるのも論を待たない。拙速に進めれば混乱や摩擦、さらには労働者の人権侵害も起こしかねない。社民党は法案成立ありきでなく、「重要広範議案」とするとともに、あらゆる課題を詳細に検証するため、徹底審議を強く求める。

3.安倍政権は来年4月の導入を掲げているが、法案は中身が全く詰まっておらず、新在留資格の対象業種を法成立後に省令で定めるとするなど、極めて生煮えな内容である。具体的な受け入れ対象分野や新制度導入後の外国人労働者数の試算、新資格審査の際の技能・日本語能力試験の合格基準すら明らかにしないまま国会審議を求めるのは、あまりに乱暴で無責任である。新たに設ける在留資格の「特定技能1号、2号」も、1号資格者が最長10年間も家族を呼び寄せられないなど多くの問題点をはらむ。外国人は「安価な労働力」や「雇用の調整弁」ではなく、一度受け入れれば日本側の都合だけで帰国を強いることはできない。目先の労働力を充足させるためだけに急ごしらえで受け入れ拡大を進めても、将来に大きな禍根を残しかねず、拙速な導入は断じて認められない。

4.法案では、給与不払いや長時間労働など違法行為が横行する外国人技能実習制度の問題点は放置されたままである。現在の問題が解決できないのに、新在留資格が適切に機能するのか大いに疑問であり、国際社会での日本の人権感覚が厳しく問われている。急速に少子高齢化が進行する日本は、恒常的に外国人を必要とする時代の入口に立っていることは間違いないが、そうであるからこそ見切り発車をすることなく、安倍政権がどのような未来図を描き、その中に外国人をどう位置付けようとしているのか、2国会、3国会をまたいででも慎重に議論すべきであるし、時間をかけた国民的な議論が不可欠である。社民党は技能実習制度の抜本改革を含め、外国人の人権を尊重し真の共生に道を開く制度の実現に全力を尽くす。

以上