中央省庁の障がい者雇用水増し問題の報告書の公表について(談話)

声明・談話

2018年10月22日

中央省庁の障がい者雇用水増し問題の報告書の公表について(談話)

社会民主党幹事長 吉川はじめ

1.中央省庁の障がい者雇用水増し問題について、政府は本日、第三者の検証委員会の報告書を公表するとともに、中央省庁での障がい者の雇用確保策や再発防止策を盛り込んだ基本方針をまとめた。昨年6月時点で28機関が3700人を不適切に計上し、全国の自治体でも、3809・5人分の水増しがあったことが明らかになった。率先して障がい者の働く場を広げることが責務のはずの中央省庁や自治体が、形だけの数値目標達成にこだわり、恒常的に雇用する障がい者の数を水増ししていたことは、障がい者雇用に対する意識の低さを浮き彫りにするだけではなく、障がい者の働く権利を奪い、国民の信頼を裏切る本当に許されない重大かつ深刻な問題である。再発防止を期すというのであれば、水増し問題を単なる「数合わせ」で幕引きにしてはならず、障がい者の社会参加と共生社会作りのきっかけとしていかなければならない。

2.検証の結果、「ずさんな対応」、「極めて由々しき事態」と指摘されるように、死亡した職員も含まれていたり、退職者や視力の弱い人を多数算入したりしているなどのひどい実態が明らかになった。しかし、原因については、「決して弁明が許されるものではない」(松井巌・検証委員長)とする一方、「障がい者の対象範囲や確認方法の恣意的解釈が不適切な計上の原因」とするにとどまり、意図的な水増しがあったかどうかについてまでは踏み込めなかった。各省庁も、意図的に不適切な対応をした例は把握していないとの認識で、厚生労働省の指導や説明の不足などへの責任転嫁もうかがえる。検証委員会の委員に障がい当事者が入らなかったことや、調査対象を各省庁の人事担当者に限り、障がい者と水増しされた人たちからの聞き取りはなされなかったことなどから、十分な究明がなされたとはいえないのではないか。検証委員会に障がい者や支援団体の関係者を加え、当事者の声に基づいて引き続き究明を進め、雇用政策の抜本的な見直しにつなげていくべきである。

3.今後は、障がい者を対象にした統一筆記試験を新設するほか、非常勤も含め省庁ごとに人員を募り、2019年中に4000人を採用し、法定雇用率を満たすとしている。しかし、障がい者の雇用は、単に人数の問題ではない。「障害者雇用促進法」は、障がい者の社会参加を促すために制定されたという経緯を重く受け止めなければならない。法定雇用率を満たす努力や雇用拡大は当然必要だが、雇用しても定着しなければ意味はないし、働く環境が不十分なままでは障がい者に負担を押しつけることになりかねない。障がいの特性に応じて、それぞれの力が発揮できるよう、障がいの程度に応じた業務の仕分けが必要であり、障がい者雇用の拡大の点から、民間委託や事務作業の効率化、業務のアウトソーシングのあり方を見直す必要がある。そもそも採用試験の受験資格に差別があってはならないし、受験時の合理的配慮の提供がなされなければならない。障がい者の視点で職場のあり方を見直し、さまざまな環境整備を行い、障がい者をはじめ誰もがが安心して働くことができる職場環境と労働条件の整備を進めていくことが求められる。

4.社民党は、社会のあらゆる場面で障がいの種別や程度に関わりなく、障がいのある人もない人も共に生きることができるインクルーシブな社会(共生社会)の実現をめざし、障がい者雇用水増し問題の原因究明と再発防止について、臨時国会でも徹底的に追及する決意である。

以上