トランプ米大統領によるINF全廃条約破棄の方針表明に抗議する(談話)

声明・談話

2018年10月22日

トランプ米大統領によるINF全廃条約破棄の方針表明に抗議する(談話)

社会民主党幹事長 吉川はじめ

1.トランプ米大統領は20日、冷戦時代の1987年に旧ソ連と締結し、ロシアが引き継いでいる中距離核戦力(INF)全廃条約を破棄する方針を表明し、「核戦力を増強しなければならない」と強調した。アメリカが主要軍縮条約から離脱するのは、2002年、当時のジョージ・W・ブッシュ米大統領が、核弾道ミサイルの迎撃兵器を禁止する対弾道ミサイル(ABM)条約を失効させて以来である。INF全廃条約の破棄は、被爆者の願いを踏みにじり、国際的な核兵器禁止の流れに逆行するものである。30年来の核軍縮の歩みを否定し、さらに後退させる今回の方針表明は断じて許せるものではなく、社民党は強く抗議する。

2.アメリカは昨年12月、西部ネバダ州で臨界前核実験を実施し、2月に公表した新たな核戦略指針「核態勢の見直し(NPR)」でも、通常兵器に対する反撃にも核兵器の使用を排除しない方針を追加し、爆発力を抑えた小型核や海洋発射型の核巡航ミサイルなど新たな核兵器の開発にも道を開くなどの方針を盛り込んだ。強大な軍事力に基づく「力による平和」を追求する超大国の身勝手な姿勢に強い憤りを感じる。

3.8月9日に長崎市の平和祈念式典に国連トップとして初めて参加したグテーレス事務総長は、「全加盟国が核軍縮に責任を負っている」と訴え、米国とロシアに対し、新戦略兵器削減条約(新START)を延長し、INF全廃条約をめぐる対立に終止符を打つよう促した。INF全廃条約が破棄される事態に陥れば、2021年に期限を迎える新STARTの延長交渉も一層困難になりかねない。

4.INF全廃条約の破棄によって、ロシアや中国との関係緊迫化や新たな核軍拡競争の激化を招くことが憂慮される。また、北朝鮮には核兵器の廃棄を求めながら、自らは新たな核兵器を開発しようというのは矛盾しており、朝鮮半島の非核化にも悪影響を与えかねない。「ロシアが条約に違反している」というのであれば、一方的な条約破棄ではなく、ロシアに条約履行を求める交渉を続けるべきである。

5.昨年、画期的な「核兵器禁止条約」条約が採択され、「核兵器廃絶国際キャンペーン」ICANがノーベル平和賞を受賞し、非人道的な核兵器の廃絶に向け、国際社会が大きな一歩を踏み出している。日本政府は唯一の戦争被爆国として、アメリカ政府に対し、今回のINF全廃条約の破棄の方針表明に厳しく抗議するとともに、NPRの撤回と新たな核実験を行わないよう強く求めるべきである。

以上