「2018年度人事院勧告・報告」及び「定年の段階的な引上げのための意見の申出」について(談話)

声明・談話

2018年8月10日

「2018年度人事院勧告・報告」及び
「定年の段階的な引上げのための意見の申出」について(談話)

社会民主党幹事長
吉川はじめ

1.人事院は本日、国会及び内閣に対して、「国家公務員給与に関する勧告・報告」及び「公務員人事管理に関する報告」を行うとともに、「国家公務員の定年を段階的に65歳に引き上げるための国家公務員法等の改正についての意見の申出」を行った。国家公務員給与は、官民較差に基づき、月例給は平均0.16%(655円)、一時金は0.05月分引き上げるものとなった。基本給・一時金とも5年連続の引き上げ勧告となった。質の高い公務・公共サービスを確実に提供していくとともに、公務員賃金が中小・地場組合に与える影響も大きく、賃上げが社会全体に波及し、格差是正や経済の好循環実現につなげていくことが期待される。課題は残るものの、政府に対し、勧告通りの実施を強く求める。

2.住居手当については、公務員宿舎の削減や宿舎使用料の段階的な引き上げ等により受給者の増加が続いており、平均給与月額に占める住居手当額も増加している。とりわけ若年層にとって住居費負担が重くなっており、総合的改善が求められていた。今回、「受給者の増加の状況を注視しつつ、職員の家賃負担の状況、民間の支給状況等を踏まえ、公務員宿舎使用料の引上げも考慮して、必要な検討を行っていくこととする」とされたことから、改善のための真摯な検討を求める。

3.財務省の事務方トップのセクハラなど、公務員のハラスメントが大きな問題となっている。パワー・ハラスメント、セクシュアル・ハラスメント、妊娠、出産、育児又は介護に関するハラスメントなどの各種ハラスメント対策については、公務が先行して対策を一層強化すべきである。また、森友学園や家計学園問題等を受け、「公文書を偽造等した場合や毀棄した場合、あるいは決裁文書を改ざんした場合の標準的な処分量定を免職又は停職とすることを明確にする」として、公文書の不適正な取扱いに対する懲戒処分の明確化について明記された。公文書の偽造等や毀棄に加え、虚偽答弁も含め、公務員倫理の面からの抑止策についても検討すべきである。

4.国家公務員の長時間労働や過密労働、メンタル問題の是正、過労死の防止は、喫緊の課題である。従来の指針を基に超過勤務命令の上限時間として、今回、1月45時間、1年360時間(他律的業務の比重の高い部署は1月100時間、1年720時間)を数字で明示し、人事院規則に盛り込むことになった。上限規制設定は一歩前進と受け止めるが、民間と異なり罰則が設けられていない。超過勤務の一層の減少、超過勤務縮減目標の設定、超過勤務に対する割増率の引き上げや超過勤務手当の全額支給などの超勤縮減のインセンティブの強化など、超過勤務縮減策の実効性確保が必要である。勤務間インターバルについてもきちんと確保すべきである。また、大規模災害への対応はもちろんのこと、良質な公共サービスを提供するとともに、人間らしい良好な働き方を取り戻すためにも、政府の定員管理政策を改めさせ、必要な要員の確保をはかることも重要である。

5.臨時・非常勤職員の均等待遇の実現などについて、公務部門の対応は遅れており、臨時・常勤職員の給与の引き上げや一時金の改善等一層の待遇改善を求める。今回、慶弔休暇について、新たに結婚休暇を設けることや、忌引休暇の取得要件を緩和する方針が示された。さらに改善を図るよう求めていく。公務における働く者のための働き方の改革と労働諸条件の改善に向け、公務員の労働基本権制約の代償機関たる人事院は、より積極的に取り組むべきである。

6.今回の「定年の段階的な引上げのための意見の申出」は、2月16日の「公務員の定年の引上げに関する検討会」の「論点整理」に基づき、政府が人事院に「分限及び給与に関する事項」について検討要請を行ったことを受けたものである。人事院が2011年9月に、公的年金の支給開始年齢の引き上げに合わせて、2013年度から25年度に向けて、定年を段階的に65歳まで引き上げることが適当とする意見を出してから7年近くが経過した。公務においても、雇用と年金の連携を図り、職員が高齢期の生活に不安を覚えることなく、職務に専念できる環境を整備することが重要な課題であり、遅すぎた感は否めないが、一刻も早く公務における定年延長を実現していかなければならない。

7.60歳を超える職員の年間給与は、当分の間、60歳前の7割水準に設定するとされている。民間の60歳超の給与水準が60歳前の7割程度であるというのが理由とされているが、民間の場合、再雇用など雇用形態の変更による年収の落ち込みの影響も考慮すべきである。定年延長に当たっては、65歳まで生きがいを持って働き続けることが保障される仕組みを目指すべきであり、職務給(同一価値労働同一賃金)原則の貫徹や、ゆとりある生活が確保できる給与水準の確保が求められている。職員の生涯設計にも関わる重大な労働条件であり、早期に定年延長を実現するため、労働組合と十分な交渉・協議を行い、合意に基づいて対応することを求める。

8.引き上げ後の定年が年金支給開始年齢に接続するまでの間は、再任用による対応が必要であり、公的年金が支給されないもとで、職員の希望どおりの再任用を保障させていく必要がある。あわせて、高齢者の経験と能力の活用、新規採用者の確保が重要であり、定員の確保とその弾力的・経過的運用などが必要である。

9.公務員の労働基本権は長年にわたり制約され続けており、累次のILO勧告を顧みない日本政府の姿勢は極めて問題である。社民党は、公務員の労働基本権問題は、すべての働く者の尊厳に関わる問題であるとして、国家公務員制度改革基本法第12条に基づく自律的労使関係制度の創設を目指すなど、労働基本権回復の取り組みを一層強化していく。

以上