党首あいさつ(吉田忠智)

声明・談話

2018年2月24日
社会民主党第16回定期全国大会

党 首 あ い さ つ

何かとご多用の中、社会民主党第16回定期全国大会に出席していただいた代議員の皆様に敬意を表します。お忙しい中お越しいただきましたご来賓の皆様におかれましては、ご出席ありがとうございます。厳しい情勢の中、地域や職場で奮闘されている全国の党員同志の皆様に社民党全国連合を代表して心から感謝申し上げます。

東日本大震災、そして東京電力福島第一原子力発電所事故から7年が経とうとしています。一昨年4月には、熊本・大分で大地震、昨年には、私の地元九州で豪雨災害が発生し、今年になって北陸で豪雪災害が発生するなど、全国各地で災害が発生しています。お亡くなりになった方々のご冥福をお祈り申し上げますとともに、今なお、避難生活など困難な生活をされている方々にお見舞い申し上げます。社民党は、迅速な人間の復興に全力を上げる決意です。
昨年10月に行われた衆議院選挙では、残念ながら、またもや自民・公明に3分の2以上の議席を与えることになりました。安倍政権を退陣に追い込む絶好のチャンスだっただけに、大変残念でした。希望の党の結成、民進党の分裂によって、それまで努力を重ねてきた小選挙区でのすみ分け・一本化の取り組みは後退を余儀なくされました。小選挙区制度において、野党が分裂すれば、与党を利することになるのは自明の理です。今回の一連の経験を糧として、野党共闘の再構築と来年の参議院選挙での最大限の一本化・選挙協力を追求しなければなりません。本日出席していただいている、野党各党の皆さん、連合、平和フォーラム、市民連合の皆さんとともに、一致結束して戦い、アベ政治を終わらせようではありませんか。
社民党は、残念ながら、現有2議席を獲得したものの、目標とした5議席には及ばず、比例の総得票は史上最低の94万票、1.69%に留まりました。本定期全国大会において、これまで全党的な議論を重ねて作り上げた衆議院選挙総括案を提案し、議論していただくこととしています。衆議院選挙総括の上に立って、今後の自治体選挙、来年の統一自治体選挙、参議院選挙をどのように戦うか、真摯な議論をお願いします。

当面する課題について、何点か申し上げます。
第一は、憲法9条改悪阻止と、憲法を活かす「活憲運動」の推進についてです。現在挙げられている憲法課題は、憲法9条、高等教育無償化、緊急事態条項、参議院選挙合区解消の4つですが、憲法9条が当面最大の課題です。昨年5月3日に、安倍首相が憲法9条の1項と2項を変えずに、自衛隊を明記することを提案して、議論の中心になっています。私は、通常国会における安倍首相の答弁を聞き、強い疑念を持ちました。安倍首相は、9条に自衛隊を明記しても、何も変わらないと答弁しました。立法事実がないと言っているのと同じです。本来、2項も変えて、自民党憲法改正草案のように、自衛隊を国防軍にして、集団的自衛権をフルスペックで行使できるようにしたいが、自民党高村副総裁が公言しているように、2項改定案では、公明党や国民の理解が得られない、だから、1項、2項をそのままにして、自衛隊を追加する案で出すということです。もとより、自民党の最終的な狙いは2項改悪にあることは言うまでもありません。9条に自衛隊を書き込むことは、災害救援で頑張っている自衛隊を書き込むことに留まりません。2項を空文化させ、2015年9月19日に強行された「戦争法」、安保関連法にお墨付きを与えることになるということを国民世論に訴える必要があります。平和創造基本法を制定し、自衛隊の活動を個別自衛権、専守防衛の枠内に留めるようにしなければなりません。憲法9条を持つ日本こそ、戦争や紛争の火種を根絶するための外交努力が求められています。すでに提起されている3000万人署名運動など、行動を強化して、いわゆる憲法改正原案を発議させないよう全力をあげようではありませんか。
今必要なことは、憲法を変えることではなく、憲法の理念や条文を活かす政治に転換することではないでしょうか。憲法9条違反の「戦争法」の施行と自衛隊の現状、貧困層の増大、格差拡大、民間・公務職場の労働者の実態、公務員の労働基本権、大地震・原発事故の被災者の現状、沖縄における新基地建設強行、特定秘密保護法や共謀罪の強行に見られる言論弾圧・思想信条への侵害などの解決・前進を図ることこそ、憲法を活かす政治であり、アベ政治への対案であります。憲法を活かす「活憲運動」を強力に進めようではありませんか。

第二は、市民の命と暮らしを守る取り組みです。安倍晋三さんが総理大臣に返り咲いて進めてきた経済政策によって、市民の生活は良くなったでしょうか。厚生労働省が2月7日に発表した2017年毎月勤労統計調査(速報)によると、物価変動の影響を除いた賃金の動きを示す実質賃金指数が前年を0.2%下回り、2年ぶりに低下しました。電気料金や生鮮品の値上がりなど生活関連の物価上昇に賃金が追い付いていません。年金は引き下げられ、医療や介護の負担は確実に増加するなど、高齢者の生活も一層厳しくなっています。エンゲル係数がこの4年間上昇を続け、昨年の平均は25.8%と、1987年以来、30年ぶりの高い水準になりました。安倍首相は、有効求人倍率や株価など都合の良い数字を上げていますが、一部富裕層は別にして、ほとんどの市民の生活は一層厳しくなっています。日本銀行が400兆円を超える国債を買い入れ、市民の預金金利を奪うゼロ金利政策などの異次元の金融緩和、6年連続補正予算を含めた100兆円規模の財政規律を無視した財政投入、岩盤を打ち破るなどと公言して進められている労働や農業、ライドシェアなどの規制改革、大企業優遇税制強化など将来に禍根を残す経済政策の転換をしなければなりません。社民党は衆議院選挙において、年金や医療、介護、子育てなどの社会保障財源確保のため、応能負担原則に立った税制抜本改革を訴えてきました。これ以上消費税に頼ることなく、400兆円を超えた企業の内部留保の現状を踏まえ、引き下げられた法人税率をもとに戻すことや、大企業優遇税制の見直し、所得税の最高税率を現行45%から60%程度に戻し、金融や資産に対する課税強化を提案しました。OECD34か国の中でも群を抜いて低い、所得再配分機能の強化を図るために、抜本的な税制改革を求めます。
働く人の命と生活と権利を守る取り組みも待ったなしの課題です。民間企業、国や地方自治体などの行政職場、学校現場で長時間労働・過労死が深刻な課題です。また、ワーキングプアと言われる非正規労働者の増加も深刻になっています。安倍政権は、今通常国会に「働き方改革関連法案」を提出する予定ですが、長時間労働の規制も不充分であり、規制に逆行する「裁量労働制の拡大」「残業代ゼロ」法案も盛り込むなど、多くの問題があります。裁量労働制の拡大の元となった厚生労働省の「労働時間等実態調査」に誤りがあったことやデータねつ造の疑いなど、法案提出の前提が崩れました。「働き方改革関連法案」提出を見送るよう強く求めるとともに、働く者のためになる法案を他の野党とともに提出するよう全力をあげます。

第三は、米軍基地の縮小撤去の取り組みです。先の名護市長選挙では、稲嶺進市長の三選勝利を勝ち取ることができませんでした。痛恨の極みであります。現地では、国家権力を背景に、自民党と公明党、維新の会ががっちりスクラムを組み、徹底した組織選挙を展開し、業界団体を締め上げる選挙が行われ、予想外の大差となりました。今回の戦いを厳しく総括し、9月の沖縄自治体選挙、11月の県知事選挙に備えなければなりません。当選した渡具知新市長は、辺野古新基地建設については、全く賛否を明らかにしませんでした。従って、今回の選挙で、新基地建設が信任されたものではないということを皆さんと確認したいと思います。社民党は、沖縄における新基地建設阻止、海兵隊撤去、米軍基地の縮小・撤去、日米地位協定の抜本改定に向けて、「オール沖縄」の闘いを「オール日本」の闘いにするために全力をあげる決意です。

第四は、脱原発・核廃絶の取り組みです。一度放射能に汚染されたら、ふるさとを元通りにすることが、どれほど大変か、身に染みて実感しました。核・原子力と人類・生物は共存できない。原子力発電がなくても、電力を賄うことができる。原子力発電ほど高いものはない。原子力発電を進める一寸の道理もないことが明らかになったのではないでしょうか。広島高裁の伊方原発停止決定は、私たちに勇気と元気を与えました。小泉元首相や細川元首相を中心とする「原発ゼロ・自然エネルギー推進連盟」が、原発ゼロ・自然エネルギー推進法案を提案し、国会内でも法案提出の準備が進められています。社民党は、これまで、衆議院と参議院において1回ずつ「脱原発基本法案」を他党の方々とともに国会に提出しました。今回、野党で協力して法案を提出し、国会における真摯な議論を通じて、脱原発社会の実現に向けた機運の醸成に努めていこうではありませんか。122か国の賛成で採択された核兵器禁止条約への日本の参加・批准と核廃絶にむけた努力を日本政府に強く求めます。

第五は、人権政策の推進についてです。日本国憲法に盛り込まれている人権条項は世界に誇るすばらしいものです。アメリカの学者グループの皆さんからも高い評価をいただきました。残念ながら日本ではそれらの条項が活かされていません。「障害者基本法」、「障害者差別解消法」を具現化する障がい者施策を強力に進めなければなりません。部落差別解消法が成立しましたが、今なお差別事案が後を絶ちません。日本は、社会進出における男女格差を示すジェンダーギャップ指数が世界で114位と恥ずかしい順位です。男女平等政策の充実・強化が必要です。LGBTなど性的マイノリティの方々の人権を守る制度づくりも重要な課題です。

私は、2013年11月1日に、福島みずほ前党首の後を引き継ぎ、4年4か月、今日まで、皆さんに支えられながら能力の限りを尽くして党首を務めてきました。しかし、残念ながら昨年の衆議院選挙において議席を増やすことができず、比例の総得票も政党要件の一つである2%を割り込む深刻な結果になりました。ここで、責任をとり、けじめをつけなければならないと思いました。一昨年落選して以来1年7か月、国会の議席を持たない党首としての多くの制約を感じ、このまま党首を続けることは、社民党のためにならないと痛感しました。今回、又市幹事長が決意していただき、円満に引く継ぐことができ、安堵しています。又市幹事長は、これまで文字通り野党共闘の要石の役割を果たしてきた経験豊富な練達の政治家であり、与党・野党の方々も一目置く存在です。どうか皆さん、又市次期党首を力強く支えていただきますよう、お願いします。私の最大の使命は、国会の議席を奪還することです。来年7月のゴールに向けて全力疾走する決意です。引き続きのご支援ご指導をお願いします。
この定期全国大会は、今後の社民党の命運を決する大変重要な大会です。代議員の皆さんの地域や職場での実践を踏まえた真摯な議論をお願い申し上げまして、党首あいさつとさせていただきます。