声明・談話

2017年6月16日

第193回通常国会の閉幕に当たって(談話)

社会民主党幹事長 又市征治

1.本日、衆・参両院は、閉会中審査の手続きを行い、第193回通常国会は事実上閉幕した。
 文科省の天下り斡旋問題に始まり、南スーダンPKO日報の隠蔽問題と稲田防衛相のシビリアンコントロールへの疑惑、共謀罪をめぐる金田法相の答弁不能問題、安倍首相が関わったとされる森友学園と加計学園の疑惑、そして介護保険法案や「共謀罪」法案の強行採決など、平和と福祉、国民生活と人権にかかわる問題が、数の暴力によってこれでもかという勢いで押し切られた。まさに、安倍政権の暴走がきわまった国会であり、「権力の腐敗」を見せつけた国会であった。自公とその補完勢力による、常軌を逸した国会運営に加え、数々の疑惑や閣僚の問題発言などにけじめをつけられない、これほどひどい国会は見たことはない。社民党は、衆参4人の国会議員を先頭に、安倍政権の危険な性格を浮き彫りにし、国民生活や平和を破壊する悪法を阻止すべく全力で闘うとともに、4野党の共闘を強めるよう働きかけ、政府・与党の横暴を厳しく追及した。

2.今国会を象徴するのが、衆院で30時間25分、参院で17時間50分の審議しか行わず、強行採決された「共謀罪」法案である。「共謀罪」法案は、テロ対策を口実に捜査・摘発の網を広く市民社会全体に広げ、実行行為と犯罪結果があって初めて処罰する刑法の基本原則を根本から覆し、277の犯罪に当たる行為を「計画」し「準備」していると見なされれば、誰もが捜索・逮捕され処罰される可能性を有しており、思想・良心の自由(19条)、表現の自由と通信の秘密(21条)を侵す違憲立法である。結果して”一億総監視・萎縮社会”を招来すると言わねばならない。安倍政権は、多くの市民の反対や国際世論の懸念を無視し、衆院での強行採決に続いて、参院においても、委員会中心主義を踏みにじって審議を打ち切り、突然、本会議に「中間報告」を行って採決するという、究極の強行採決を行った。これは、良識の府・熟議の府としての参院の権威をおとしめる自殺行為に他ならず、加計学園疑惑の隠蔽・幕引きを図ろうとする官邸による「国会ジャック」であり、議会制民主主義を根底から蹂躙する暴挙であり、断じて許されない。社民党は、統一会派を組む自由党とともに、強い抗議の意思を示すため、牛歩戦術を展開するなどの努力をしたが、結果的に数の暴力によって法案の成立を許したことは痛恨の極みである。

3.安倍政権の閣僚等の問題発言が相次ぎ、資質が問われる事態が続発した。稲田防衛相は、南スーダンPKOにかかる日報問題の対応やシビリアンコントロールへの疑念がもたれるに至り、また森友学園問題に関して虚偽答弁を行った。金田法相は、「判例による」と言いながらその判例も示せず、「頭脳が対応できなくて申し訳ありません」など支離滅裂な答弁を連発してその不能ぶりをさらけ出した。山本幸三地方創生担当相は、「一番のがんは文化学芸員と言われる人たちだ。一掃しなければ駄目だ」などと述べた。松野文科省は、天下り斡旋問題や加計学園に関する内部文書についてリーダーシップを発揮できなかった。今村復興相が「自主避難者は自己責任だ」とするとともに、東日本大震災について、「東北で、良かった。」などと述べ、さすがに辞任に追い込まれた。務台政務官、中川政務官も事実上更迭された。資質に欠け、問題発言を連発する、安倍政権の閣僚こそ「一掃」されるべきである。安倍長期政権のおごりを決して許すわけにいかない。

4.安倍首相自らに関わる森友学園や加計学園問題は、権力の中枢が便宜・優遇を図った疑惑であり、行政の公正性や透明性がゆがめられた疑惑である。社民党は、森友学園・加計学園追及PTを設置し、現地調査を行うとともに、関係委員会で政府を追及した。参院予算委員会では、「もし、働きかけて決めているのだとすれば、わたし責任取りますよ」との答弁を引き出した。疑惑の追及・真相究明のため、閉会中審査を強く求めていく。また、与党が許可しないと役所の資料を提出させないことや、政権に批判的な全国紙の資料配付を禁止するといった異常な国会運営も行われた。資料を隠蔽し続け、会期末に報告するような、国民の知る権利に真摯に向き合わず、政府に都合の悪いことは隠蔽しようとする安倍政権の姿勢は、断じて許されない。

5.国民生活の面でも、弾道ミサイル防衛関連経費の前倒し計上など防衛費の膨張をもたらすとともに、アベノミクスの失敗による1.7兆円の税収減を赤字国債で賄う2016年度第3次補正予算案、社会保障の自然増を1400億円も圧縮し医療・介護の負担を増加させる一方で、防衛費を膨張させ質量ともに軍拡を進める2017年度予算案、利用者の自己負担増や介護保険料の抑制を目的とする介護保険法案、利用者の生命、財産及び安全が担保されないまま安易に「民泊」を解禁する住宅宿泊事業法案などに対し、社民党は、国民生活を擁護し、アベ政治の暴走を止める立場から、政府の姿勢を徹底的に正していく立場で闘った。

6.憲法違反の「戦争法」と一体であり、海外での武力行使に直結しかねない日米物品役務相互提供協定(ACSA)、日豪ACSA、日英ACSAも可決・承認された。また、昨年3月に施行された「戦争法」に基づく新たな任務である「武器等防護」として米艦防護が初めて実施されたが、「戦争法」の新任務の本格化と既成事実化、自衛隊と米軍の一体化の加速は断じて認められない。さらに、日印原子力協定が承認されたが、社民党は、全被爆者、全世界の核廃絶の願いを踏みにじる愚行であり、核不拡散体制を揺るがす致命的な一歩となるものとして、断固反対し抗議した。

7.残業代ゼロ制度を導入する労働基準法改悪法案は引き続き継続審議に追い込んだ。また、制度の谷間におかれている自治体の臨時・非常勤職員の待遇改善を図る法案は不十分であるが、今後の一歩を切り開くものとして賛成した。「公的サービスの産業化」を進めるため、自治体の窓口業務を独法化する地方独法改正案には、窓口業務の行政サービス水準を著しく低下させ、地方自治を空洞化させるものとなりかねないものとして反対した。

8.暴走する安倍政権は、農業分野でもさらなる規制改革、競争力強化、農業予算見直しなどの国策を進めてきている。昨年11月に政府・与党が決定した新たな農業改革「農業競争力強化プログラム」を具体化する農業競争力強化8法案について、社民党は、ごく一部の大規模農家支援や企業参入を進め、それ以外の家族農業や中山間地域などを切り捨て、日本の農林水産業を民間資本や外資に売り渡す新自由主義的な安倍農政と厳しく対決した。特に、主要農産物種子法廃止法案は、一部外国種子メーカーの利益のために食料主権をふみにじるものであり、断固反対した。

9.恣意的に選ばれた政府の有識者会議の議論が先行していた天皇の退位等について、社民党は、憲法に基づく象徴天皇の退位等に関する問題であることから、憲法の理念や条文に則って検討すべきであるとの立場を重視し、10党会派からなる合同会議での意見反映に努めて、「天皇の退位等についての立法府の対応」に関する議論の『とりまとめ』」に至った。天皇の退位等に関する皇室典範特例法案が、全国民の代表者からなる立法府が国権の最高機関として、衆参両院の正副議長の下、全ての政党会派による静ひつかつ真摯な論議を行い、「国民の総意」をまとめる努力を積み重ねてきたことの成果として成立した。女性・女系天皇、女性宮家などの論点についての議論や、皇室典範の不断の見直しを引き続き求めていく。

10.様々な問題に対応するため4野党国対委員長会談などを頻繁に開き、野党共闘の強化に努めてきた。社民党は野党共闘の要石として、市民連合からの提案を踏まえ、民進党、共産党、自由党との調整に奔走し、「共通政策」のベースとなる「4党の考え方」をとりまとめに尽力した。4月26日、今国会で初となる4野党幹事長・書記局長会談を開催し、さらに最終盤での国会対応の意思統一を図るため、?月8日の党首会談の開催に努力し、安倍政権下の9条改悪に反対することや、選挙協力について加速させることを確認した。14日には緊急の幹事長・書記局長会談の開催を呼びかけ、内閣不信任決議案を提出し院外の皆さんと呼応して最後まで闘うよう努力した。

11.安倍首相は、5月3日、憲法施行70周年の記念日に開かれた改憲派の集会にビデオ・メッセージを寄せ、「2020年を新しい憲法が施行される年にしたい」と言明し、改憲項目として「9条1項、2項を残しつつ、自衛隊を明文で書き込む」ことや、「高等教育の無償化」について例示した。自衛隊を憲法に位置づけることによって9条1項、2項を死文化させ、立憲主義を踏みにじる狙いは明らかである。社民党は、護憲の党として、戦争を放棄した国から戦争のできる国へ180度転換を謀る安倍改憲の狙いや問題点をしっかり国民に知らしめ、2020年の改憲スケジュールの既成事実化を許さず、改憲阻止・活憲運動の一層の強化を図っていく。

12.政府・与党の数のおごりと緩みによって強引な運営が進められた国会となった一方、安倍一強体制にほころびが出始めたことも事実である。今国会では、公職選挙法改正案が成立し、次期総選挙は新たな区割りで行われることになった。この間の特定秘密保護法、「戦争法」、「共謀罪」法等の悪法を廃止するとともに、2020年改憲の野望を打ち砕くには、解散・総選挙によって、自公とその補完勢力を3分の2割れに追い込み、安倍政権に鉄槌を下し終焉に追い込むしかない。わが党は、アベ政治の暴走を止めるため、事態を憂慮する多くの市民とともに、憲法と国民の基本的人権を守る闘いに全力をあげると同時に、候補者擁立をはじめとする選挙準備を急ぎ、この間の党首会談合意事項に基づく野党間の選挙協力・候補者調整の作業を加速する。

以上