声明・談話

2017年6月9日

「民泊」を解禁する住宅宿泊事業法案の成立に当たって(談話)

社会民主党幹事長 又市征治

1.本日の参議院本会議において、住宅の空き部屋に旅行者を有料で泊める「民泊」を全国で解禁する住宅宿泊事業法案が与党などの賛成多数で可決・成立した。社民党は、安全確保や周辺環境の維持、トラブルの防止、既存の宿泊施設との競合など解決すべき課題は山積しており、シェアリングエコノミーの一環として、経済効果ばかりをうたって規制緩和を急ぐべきではなく、利用者の生命、財産及び安全が担保されない「民泊」の安易な解禁は認められないとの立場で、法案に反対した。

2.現在、「民泊」は、東京都大田区や大阪府など地域を限定して規制緩和を行う「国家戦略特区」で認められているほか、カプセルホテルなどと同じ「簡易宿所」として都道府県などの許可をとれば営業できる。しかし、原則として住宅地では営業できず、種々の規制も厳しいことから、無許可で営業を行う「違法民泊」が各地に広がり、地域住民との間で騒音などのトラブルが多発していた。今回の宿泊事業法案には、物件の所有者に届け出や衛生管理、苦情対応などを義務付けたり、物件管理を所有者から委託された業者や米エアビーアンドビーのような仲介業者には国への登録を課したりするなど、「民泊」のルールを整備し、罰則を定める面があり、無許可営業のまん延や近隣トラブルの増加に一定の歯止めをかける意味がないわけではない。

3.しかし、一方で十分な取り締まりを行わず、現状の違法行為の実態を放置し、新たな法律制定で合法化する手法に疑問が残る。今後、「住居専用地域」でも「民泊」の営業が可能になるが、特に家主が不在のまま旅行者に貸し出される「家主不在型民泊」の拡大は、不法滞在など犯罪の温床になることが懸念されるなど、治安の観点から問題があるとともに、近隣住人にも不安を与えることになり、資産価値の低下や地域コミュニティの破壊にもつながりかねない。また、行政が無許可も含めて営業実態を把握し、家主らを指導監督することができなければ、期待されるような効果は上がらない。営業日数などの規制が守られているかなども自治体任せで、懸念は小さくない。

4.自治体は条例で営業を認める日数や区域を制限できるとするが、政府は制限を「騒音など生活環境の悪化を防止する目的」に限っており、営業日数を「ゼロ日」として事実上「民泊」を締め出すような条例を認めないのは、分権や地方自治に反するものである。

5.近隣住人の理解・合意が得られない中で一部の利益のために「民泊」を拙速に導入することがあってはならない。地方の旅館などは、厳しい経営環境にあり、既存施設の経営が逼迫しないための支援や、違法行為の迅速な取り締まりなどが必要である。政府に対し、実情をしっかり把握するとともに、安全や衛生管理、防火、騒音等の対策、取締りをはじめ、必要な規制の強化を図るよう求めていく。

以上