声明・談話

2017年6月7日

日印原子力協定の承認に抗議する(談話)

社会民主党幹事長 又市征治

1.本日の参議院本会議で、日本からインドへの原子力発電所関連の資機材や技術の輸出を可能とする日印原子力協定が与党などの賛成多数で承認された。インドとの原子力協定は、2011年の東日本大震災と東京電力福島第一原発事故によって中断されてきたにもかかわらず、原子力を成長戦略に位置づけ、原発再稼働やインフラ輸出の柱としての原発輸出に躍起になる安倍政権によって2013年に交渉が再開されたものである。今回の協定は、核不拡散条約(NPT)非加盟国とのはじめての原子力協定であり、被爆国として核廃絶を強く訴えてきた日本が、インドの核兵器国としての地位を認めさらに確固としたものとすることを意味する。社民党は、全被爆者、全世界の核廃絶の願いを踏みにじる愚行であり、核不拡散体制を揺るがす致命的な一歩となるものとして、今回の協定に断固反対し抗議する。

2.NPTに加盟していないインドは、包括的核実験禁止条約(CTBT)に署名すらしておらず、1974年と98年に核実験を行った核保有国である。しかし今回の協定では、核実験をさせない枠組みや方法は極めて不十分であり、使用済み核燃料の再処理で抽出されるプルトニウムについて、軍事転用されないことの監視や担保も明らかではない。核物質や原子力関連技術、資機材の核兵器開発への転用の懸念が払拭できないにもかかわらず、核不拡散体制にインドを実質的に参加させることにつながり、NPT体制を強化するかのように強弁する政府の姿勢は全くの欺瞞である。NPTに入らずとも原子力協定を結べるのなら、むしろNPT加盟へのインセンティブを損なうことになり、核不拡散の努力を無にし、NPTの信頼性を傷つけることになりかねない。

3.さらに、ベトナムやヨルダンとの間の原子力協定で明記された、インドが核実験を実施した際の協力停止について、本協定の本体には盛り込まれていない。政府は、協定第14条により、理由のいかんにかかわらず協定を終了できるため問題はないというが、実際、稼働原発からの汚染資機材や使用済み核燃料、再処理や濃縮により生成されたプルトニウムを、最終貯蔵施設を持たない日本に持ち帰るなどできるものではない。

4.インドの原子力損害賠償責任法では、事故の際、原子炉などの設備を納入した企業にも事故の責任を負わせる仕組みとなっており、日本の責任が追及されるリスクも高い。そもそも2011年3月11日に発生した東京電力福島第一原子力発電所事故の原因究明も収束もなく、被災者への補償も不十分な中、万が一日本が輸出した原発で事故が起きてしまった場合、日本はインドの被害住民に償うことができるのか。電力需要が急増するインドに対して、日本が行うべきは、再生可能エネルギーへの協力であるはずである。

5.インドとパキスタンは、カシミール地方を巡って、近年最悪の緊張にあると言われており、今回の協定が、激しさを増している南アジア地域の軍事緊張を一層高めないという保証はない。

6.危険な原発のインドへの輸出を推進する政府の姿勢は断じて許されない。安倍政権は、原発輸出と再稼働を中止すべきである。社民党は、「さようなら原発1000万人アクション」をはじめ、多くの市民の皆さんとともに、原発ゼロに向けて全力で取り組む。

以上