声明・談話

2017年5月31日

安倍首相の「2020年改憲発言」に関する見解

社会民主党全国連合常任幹事会

1.安倍首相は、5月3日、憲法施行70周年の記念日に開かれた改憲派の集会にビデオ・メッセージを寄せ、「2020年を新しい憲法が施行される年にしたい」と言明し、改憲項目として「9条1項、2項を残しつつ、自衛隊を明文で書き込む」ことや、「高等教育の無償化」について例示した。
 この「2020年改憲発言」は、誰よりも「憲法を尊重し擁護する義務」を負っている首相の憲法99条違反であるとともに、憲法改正の発議権を有する立法府への越権行為である。国会では、「発言は党総裁としてのものだ」と使い分けているが、そのような便法が許されるはずもない。権力は憲法に縛られるという立憲主義を踏みにじる言動は断じて許されない。

2.安倍首相は、「多くの憲法学者や政党の中には自衛隊を違憲だとする議論が、今なお存在している。『自衛隊は、違憲かもしれないけれども、何かあれば、命を張ってくれ』というのは、余りにも無責任だ」と述べ、「9条1項、2項を残しつつ、3項以降に自衛隊を明文で書き込む」意向を示した。学説上の違憲論の多くは、「戦力不保持」と「交戦権否認」を規定した2項との関係であり、2項を残すのであれば、違憲論の根拠が残り、矛盾が生じる。あえて9条内に矛盾を抱えることによって、9条が自衛隊拡大の歯止めとなってきた規範性を無力化しようとするものに他ならない。
 そもそも多くの学者が違憲と指摘している集団的自衛権の行使を認める「戦争法」や閣議決定こそ、廃止すべきである。違憲と言うのならば憲法自体を変えてしまえという発想は、きわめて乱暴かつ危険であり、違憲の現実があれば、憲法を活かす方向にこそ取り組むべきである。

3.首相の言う自衛隊の明記は、国民の多くが肯定している、「専守防衛」に徹し、国内外の災害救助や非軍事の平和維持活動を行う自衛隊の存在を単に規定するものではない。安倍政権が強行した違憲の「戦争法」に基づく集団的自衛権を行使し、アメリカとともに海外で戦争ができる自衛隊である。自衛隊を憲法に位置づけることによって9条1項、2項を死文化させ、立憲主義を踏みにじる狙いは明らかであり、任務や装備の一層の拡大・強化に加え、軍事の論理が平和主義を浸食することを許すことにつながると言わねばならない。

4.また、「高等教育の無償化」のための改憲というが、そもそも3年連続で教育予算を削ってきたのは安倍政権であり、かつて社民党も参画した連立政権下での高校授業料無償化に対し、「バラマキ」と批判したのは自民党である。憲法26条は高等教育の無償化を妨げてはおらず、この条文を活かし、無償化の法制化と財源を手当すれば可能であって、憲法を変える必要は全くない。

5.憲法審査会の職務を定めた国会法第102条の6においては、「日本国憲法及び日本国憲法に密接に関連する基本法制について広範かつ総合的に調査を行う」と明記しており、安倍首相の提案を議論する場ではない。違憲の「戦争法」の実態や安倍内閣による9条の解釈変更の違憲性こそが徹底追及されなければならない。また憲法条文の空文化の現実を徹底して検証すべきである。

6.社民党は、護憲の党として、戦争を放棄した国から戦争のできる国へ180度転換を謀る安倍改憲の狙いや問題点をしっかり国民に知らしめ、2020年の改憲スケジュールの既成事実化を許さず、改憲阻止・活憲運動の一層の強化を図り、安倍首相の野望を断固阻んでいく。

以上