声明・談話

2017年2月12日

日米首脳会談について(談話)

社会民主党幹事長 又市征治

1.安倍首相は、2月10日午後0時15分(日本時間11日午前2時15分)からトランプ米大統領と初の首脳会談を行い、その後の共同記者会見に引き続き、ワーキングランチを行った。そして大統領専用機に同乗しフロリダ州のトランプ氏の別荘で会食・宿泊し、「ゴルフ外交」にいそしんだ。異例の厚遇ぶりに加え、「握手だけでなくハグをした」、「非常に気が合う」とリップサービスされ、両首脳とも蜜月ぶりをアピールしたが、日本にとっては、「日米同盟ファースト」とも言うべき、対米追従姿勢極まれりという結果となった。移民・難民入国制限問題をめぐって欧州主要国の首脳から批判を受け、国内的にも司法から厳しい判断を突きつけられているトランプ大統領にとって、日本から「お土産」を持ってやってきた安倍首相は、「忠犬」のように見えたのではないか。

2.共同声明では、日米同盟及び経済関係を一層強化するための強い決意を確認したというが、米国の防衛義務を定めた日米安全保障条約第5条の尖閣諸島への適用の確認は、オバマ政権の水準と変わらない。また共同声明では、「日本は同盟におけるより大きな役割及び責任を果たす」と強調した。トランプ大統領が選挙戦等において日本の負担増に言及したことを意識したのだろうが、防衛予算は、安倍政権になって5年連続で過去最高額を更新しすでに5兆円を超えている。トランプ大統領に迎合して、進んで負担を買って出る姿勢はきわめて卑屈であり、日本が自ら進んで軍拡路線を歩み、これ以上の防衛費の増額や、違憲の「戦争法」に基づく日本の役割拡大を進めていくことは断じて許されない。

3.訪米前に辺野古海上工事を強行した安倍首相は、辺野古新基地建設を「普天間飛行場の継続的な使用を回避するための唯一の解決策である」と言明したが、首脳会談での共同声明にこの文言が明記されるのは初めてことである。しかも首相は、政府が2019年2月までに実現すると沖縄県に約束した普天間の運用停止についての米側の協力は求めなかった。日米同盟の犠牲になり、戦後72年も基地負担に苦しみ続ける沖縄県民の民意を踏みにじる今回の合意は断じて許されるものではなく、厳重に抗議する。日本政府に求められているのは、自国民よりも他国軍の軍事的要請を重視し、沖縄に基地負担を押しつけることを認めてもらうことではない。県民の民意を尊重し、辺野古新基地建設の中止や高江ヘリパッドの撤去、普天間飛行場の即時閉鎖・全面返還をはじめとする沖縄県民の基地負担の軽減、日米地位協定の全面改正に取り組むことである。

4.両首脳は、経済関係強化のため、麻生副総理とペンス副大統領の下で、経済政策、インフラ投資やエネルギー分野での協力、貿易・投資ルールの3つを柱とする経済対話を立ち上げることで合意した。トランプ大統領が自動車産業に難癖を付けたら、米インフラへ約51兆円の投資や70万人の雇用創出を約束するというのは、「朝貢外交」そのものである。また「双方の利益となる個別分野での協力を積極的に推進していく」との合意も、TPP以上に譲歩を迫られる日米FTAやEPAという二国間交渉に道を開きかねない危険性がある。

5.トランプ大統領は、8日、中国の習近平主席に米国と中国の双方に恩恵を与える建設的な関係を発展させるために、習主席との協力を楽しみにしている「親書」を送るとともに、日米会談直前に米中首脳の電話協議を行い、「一つの中国」維持を確認し、経済・貿易、投資などで協力を強化することで一致している。今回の首脳会談を機に、中国を「共通の敵」にして対中包囲網を強化しようとしてきた安倍首相の思惑は、完全に破綻した。

6.首相は年内の日本公式訪問を招請し、トランプ氏は応じたというが、「自由と民主主義」の価値観を共有している同盟国というのであれば、移民・難民問題についても毅然と大統領令の撤回を促すべきであって、「トランプ大統領の英国議会演説には断固反対する」というイギリス庶民院(下院)のジョン・バーカウ議長の見識を学ぶべきである。

7.そもそも、トランプ氏が大統領就任早々のこの時期に会いに行くことが得策だったのか。米政権の出方をじっくり見極めるべきであった。米国の政権交代を機に、日本は平和憲法を外交政策の柱に据え、毅然とした姿勢のもとで主体的で対等な日米関係を構築していくべきであった。しかし今回の訪米は、対米追随外交を根本から見直す機会を逸したどころか、トランプ政権に認めてもらうために、「すりより」、「へつらい」を印象付ける、卑屈でいじましい対米追従姿勢をより一層のさらけだしたと言わざるを得ない。前代未聞の「朝貢外交」による異例の厚遇の結果、今後無理難題を押しつけられはしないか強く憂慮する。

以上