声明・談話

2016年12月16日

日ロ首脳会談について(談話)

社会民主党幹事長 又市 征治

1.ロシアのプーチン大統領が来日し、昨日と本日、日ロ首脳会談を行い、8項目の経済協力プランの具体化と北方四島での「共同経済活動」実現に向けた協議の開始、北方四島の元島民の自由な往来に向けた改善などについて両首脳が合意した。平和条約締結後に歯舞群島と色丹島を引き渡すと明記されている「日ソ共同宣言」調印から今年は60年を迎える節目でもあり、北方領土問題について「2島返還」であるとか、「期限を区切った平和条約の締結で合意する」などの期待が高まっていた。安倍首相は共同記者会見で「共同経済活動は平和条約締結に向けた重要な一歩だという認識で一致した」、「日ロ間に平和条約がない異常な状態に、私たちの手で終止符を打たなければならない強い決意を確認した」などと述べたものの、「北方領土の主権問題は協議されなかった」(ロシアの大統領報道官)ということで、全くの期待外れに終わった。

2.5月のプーチン大統領との会談のあと、安倍首相が、新しいアプローチの下、領土問題、平和条約問題が前進すると吹聴し、この半年近く官邸が打ち上げてきた「領土を取り戻す」というアドバルーンは完全に失敗した。ロシア経済分野協力担当大臣まで新設したが、自分がやればうまくいくという大きな思い込みがあり、功を焦り前のめりになったのではないのか。来日直前、プーチン大統領は、「ロシアに領土問題はない」と明言し、安倍首相が提案した8項目の経済協力プランも「(平和条約締結の)条件ではない。必要な雰囲気づくりだ」として、領土問題に焦る安倍首相の足元を完全に見透かしていた。「日ロ両国が本格的なパートナーシップ関係を構成するための基礎は経済分野の協力だと確信している」として、経済協力の満額回答を勝ち取ったプーチン大統領に、「一本」取られた感じがする。「地球儀を俯瞰する外交」が本当に成果を上げてきたのか、検証が不可欠である。

3.北方四島での共同経済活動を行うための特別な制度についての交渉も、「日ロ両国の立場を害さないという共通認識の下に進められる」(安倍首相)というが、ロシア政府の高官が会談後、「共同経済活動はロシアの法律に基づいて行われる」と述べるなど、日本の主権を損なわない形で進められる保障が確保されているのかどうか。日ロ両政府の溝は深いままであり、交渉の難航は必至である。北方領土問題を含む平和条約締結交渉の進展に向けた足掛かりとなるのか、疑問が残る。

4.北方領土の元島民が先祖の墓を訪問するための往来に関して、人道上の理由に立脚し、参加者が高齢であることを考慮した改善を必要としていることで合意したことは、一歩前進であり、早急に具体化していくことが必要である。

以上