声明・談話

2016年12月9日

TPP承認案及び関係法案の成立に当たって(談話)

社会民主党幹事長
又市 征治

1.衆議院で採決が強行されてから30日に当たる本日、参議院本会議でTPP(環太平洋パートナーシップ協定)承認案及び関係法案の採決が行われた。参院の意思を示すためとはいえ、TPPの有する多岐にわたる課題や国民の不安・疑問に対し、十分な審議が尽くされないまま採決に至ったことは、極めて残念である。社民党は、グローバルに展開する多国籍大企業のために、あらゆる分野の関税や非関税障壁の撤廃・自由化を目指すTPPは、日本の農林水産業に壊滅的打撃を与えるとともに、国民の命と暮らしを脅かすものであることから、断固反対した。

2.なぜ安倍政権が今国会での承認に固執するのか、全く理解できない。安倍政権はTPP承認を急ぐ理由を米国の承認を後押しするためと説明してきたが、離脱を明言するトランプ次期米大統領の誕生が確定し、トランプ氏は11月21日に発表したビデオ演説でも来年1月20日の大統領就任初日に「TPPから脱退の意思を通告する」と改めて表明し、発効はもはや絶望的となった。大統領選の結果によりTPPを取り巻く状況が劇的に変化したにもかかわらず、何の軌道修正も行わず、TPPを成長戦略の柱としてきた安倍政権のメンツだけで審議を続行、強行したのは、愚の骨頂と言うほかない。一方でTPPに代わる「米国内に雇用と産業を引き戻すような2国間貿易協定」に言及しているトランプ氏が、日米間のFTA(自由貿易協定)に舵を切る恐れも拭えず、その際、日本がTPP承認を終えていればTPPでの合意事項がスタートラインとなり、より一層の市場開放や負担増、規制緩和への譲歩圧力が加わる危険性は十二分にある。その意味からも今国会でのTPP承認を見送り、新大統領就任後の米国の政治状況や通商・外交姿勢を冷静に分析すべきだったが、安倍政権にそうした思慮は微塵も感じられなかった。

3.政府・与党は審議時間を重ねたと強弁するが、「農産物重要5項目」の聖域堅持を求めた国会決議は守られたのか、TPP参加により「GDP13兆円超押し上げ」「農林水産業への打撃最大2100億円」「約80万人の雇用創出」などの政府試算はお手盛りのご都合主義ではないか、国内農業対策で生産量や食料自給率が維持されるという政府試算の根拠は何か、食の安全や国民皆保険制度などは守られるのか、ISDS条項で外国企業から提訴され日本国内の規制や制度変更を迫られる恐れは本当にないのかなど、多くの国民が抱く数々の重大な懸念は、良識の府・熟議の府・再考の府である参議院の審議を通じても何ら払拭されなかった。社民党は今後も相互互恵的で各国の食料主権を十分に尊重した経済連携を、アジアを中心に追求していくよう、安倍政権に強く求めていく。

以上